事業報告(2022年1月1日から2022年12月31日まで)

企業集団の現況

(1) 当連結会計年度の事業の状況

①事業の経過及び成果

当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しがみられました。その一方で、世界的なエネルギー価格の高騰や欧米各国の金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、わが国経済を取り巻く環境には厳しさが増しており、依然として先行きの不透明な状況が継続しております。

不動産投資マーケット全体では、欧米各国での金融引締め政策が継続する一方、国内における緩和的な金融環境の維持等を背景に、国内投資家の投資意欲は引き続き高い状況にありますが、今後の動向を注視する必要があります。

当社は、「JINUSHIビジネス(※)を通じて安全な不動産金融商品を創り出し、世界の人々の資産を守る一翼を担う。」ことを経営理念として掲げております。当連結会計年度においても、建物を保有しないことから自然災害やマーケットボラティリティに強く、長期にわたり安定的に収益を得ることができるJINUSHIビジネスを基本戦略に、新規仕入及び販売用不動産の売却を推進いたしました。売上高は前年対比で減少いたしましたが、JINUSHIビジネスの評価向上、並びに流動性の高い底地マーケットの創出・拡大により、売上高営業利益率は12.9%(前年同期比3.1ポイント増)に向上いたしました。また、事業環境が堅調な中、子会社株式の売却に伴う法人税等の減少などによる利益寄与の状況を総合的に勘案した結果、中期的な展望を考慮し、当連結会計年度において「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、当社の保有する固定資産(土地)の1案件にかかる減損損失1,046百万円を特別損失として計上いたしました。

この結果、当連結会計年度の売上高は49,887百万円(前年同期比11.2%減)、営業利益は6,411百万円(同17.1%増)、経常利益は5,943百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,641百万円(同16.5%増)となりました。

(※)JINUSHIビジネスとは、土地のみに投資を行い、テナントと長期の事業用定期借地契約を締結することで、建物投資はテナントが行うため追加投資を必要としない、安定的な収益が長期にわたって見込めるビジネスモデルを指します。

2022年2月には、当連結会計年度を含む5年間(2022年12月期~2026年12月期)を計画期間とする中期経営計画、並びに持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上を目指してESG方針を策定いたしました。
中期経営計画の達成に向けて、今後一層のテナント業種の多様化への注力を行うとともに、ESG方針に沿った持続可能な社会の実現のため、当連結会計年度においてヘルスケア施設をテナントとした投資事業への取り組みを開始いたしました。カーボンニュートラル(自社排出分)については、中期経営計画のESGロードマップによる計画を前倒しで実施する等、計画達成に向けて推進しております。
当該詳細につきましては、2022年2月14日付公表の「中期経営計画の策定に関するお知らせ」及び「ESG方針の策定に関するお知らせ」(当社ウェブサイト https://www.jinushi-jp.com/(IR情報、ニュースリリース))をご参照ください。

地主プライベートリート投資法人(以下、「地主リート」といいます。)につきましては、運用開始後7年連続で増資を実現し、2023年1月時点における運用資産規模は約1,800億円となっております。当社は地主アセットマネジメント株式会社及び地主リートとの間でスポンサーサポート契約を締結しており、引き続き、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品の売却を中心に、スポンサーとして地主リートのサポートを強化してまいります。

(2)財産及び損益の状況の推移

①当社グループの財産及び損益の状況

②当社の財産及び損益の状況

対処すべき課題

当社は、安定的な収益が長期にわたって見込め、追加投資のかからない独自の不動産投資手法「JINUSHIビジネス」を基本戦略に事業を展開しております。JINUSHIビジネスを通じて、不動産で資金を運用する機関投資家の皆様のニーズに応えることで社会に貢献し、結果として、高い成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの信頼を得られるよう邁進しております。
当社グループを取り巻く経営環境は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある一方で、世界的なエネルギー価格の高騰や欧米各国の金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、依然として先行きの不透明な状況が継続しております。
このような経営環境のもと、当社グループにおきましてはJINUSHIビジネスの更なる成長を目指し、生活必需品を取扱うスーパー、ホームセンター、ドラッグストアや物流施設に加え、社会的ニーズが高まるヘルスケア施設等への取り組みを通じて、底地マーケットの拡大を行ってまいります。
今後は、中期経営計画(2022年12月期~2026年12月期)として掲げる売上高1,000億円、当期純利益70億円、地主リートの資産規模3,000億円の達成を目指してまいります。本計画では、不動産売却収益獲得によるフロービジネスの成長に加え、将来の予期せぬマーケット環境の変動に備えた安定した事業構造への変革を推し進めており、地主リートの資産規模拡大によるアセットマネジメント報酬の増加、JINUSHIビジネスによる不動産金融商品を長期保有し、安定的な賃料収入を得る長期賃貸事業の拡大等により、ストック収益の拡大を図ってまいります。
JINUSHIビジネスの海外(米国)展開につきましては、海外経済の動向に注視しながら、案件の仕入を推し進めてまいります。
財務戦略といたしましては、資金調達は、借入金につきまして従前より借入期間の長期化や財務制限条項を撤廃するなど、金融市場の変動に備えた調達を行っており、引き続き強固な財務基盤の構築を目指してまいります。また、大手リース会社との販売用不動産の包括的売買枠に基づき、機動的な物件売却によるバランスシートのマネジメントを継続してまいります。
さらに、コーポレートガバナンスの遵守に努め、当社ESG方針に則り、中長期的かつ持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
配当政策につきましては、安定した配当を継続することを基本方針としております。事業環境や業績、財務状況等を総合的に勘案したうえで、長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実を図りながら、株主の皆様への利益還元を行います。
株主の皆様におかれましては、今後も変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。

連結計算書類