事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

企業集団の事業の経過及びその成果

当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画において、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じ、連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指しています。

このような基本方針のもと、国内事業では、需要の構造的な変化に対応すべく、生産体制の再構築を行うことで資本の効率化を進める一方、有望事業には経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力の強化に取り組みました。また、海外事業では、海外拠点数の拡大に加え、既存のインフラを活用した新事業の展開等、既存拠点からの有機的拡大を図るとともに、事業・拠点間のシナジー創出を進めました。イノベーションの推進では、環境・社会ニーズに対応した新事業・新製品の開発推進と早期事業化を図り、「持続可能な社会への貢献」を進めました。

当期の売上高は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や経済活動の停滞の影響を受け、印刷情報用紙を中心に需要が落ち込んだことに加え、海外においてパルプ市況が軟化した影響等もあり、前期を1,486億円(△9.9%)下回る13,590億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は前期を0.6ポイント下回る29.3%となりました。

営業利益は、コスト削減効果や原燃料価格の低下もありましたが、国内事業・海外事業ともに減益となり、前期を213億円(△20.1%)下回る848億円、営業外損益では為替差益が発生しましたが、経常利益は前期を182億円(△18.0%)下回る831億円となりました。税金等調整前当期純利益は前期を173億円(△17.6%)下回る809億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を85億円(△14.7%)下回る496億円となりました。

各事業部門の状況

各事業部門の状況は、次のとおりであります。

(注)

1.調整額は、主として内部取引に関わる調整額です。

2.百万円未満は切り捨てて表示しております。

<ご参考>

(注)事業部門別の売上高および営業利益構成比(%)は、調整額(内部取引に関わる調整額等)を除いて計算しております。

生活産業資材

売上高 647,489 百万円
前期比 5.6 %減
営業利益 38,090 百万円
前期比 7.0 %減
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主要な事業

段ボール原紙・加工、白板紙・紙器、包装用紙・製袋、家庭紙、紙おむつ

国内事業では、段ボール原紙・段ボールの国内販売は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛等により、一部加工食品向けや通販向けの販売は堅調に推移しましたが、全体では経済活動の制限等による需要減を受け、販売量が前年に対し減少しました。段ボール原紙の輸出販売は、前年に対し増加しました。白板紙は、同感染拡大防止のためのイベント中止や外出自粛による土産物・贈答関係の需要減等により、販売量が前年に対し減少しました。包装用紙は、外出自粛や経済活動の制限等を背景とした、手提袋や工業製品向け重包装袋等の需要減により、販売量が前年に対し減少しました。子供用紙おむつは、国内販売は減少しましたが、輸出販売は増加し、全体の販売量は前年並みとなりました。家庭紙は、同感染拡大に伴う衛生意識の高まり等から、使い捨て拭き取り商品の使用シーンが多様化し、キッチンタオルの販売量が増加しましたが、経済活動停滞の影響等により業務用製品の販売量が減少したため、全体の販売量は前年に対し減少しました。ウエットティシュ、マスク等加工品は販売量、売上高ともに前年に対し大幅に増加しました。

海外事業では、段ボール原紙は、東南アジアにおいて、ロックダウンを受けた顧客加工会社の生産活動制限により、販売量が前年に対し減少しました。オセアニアでは、同感染拡大に伴う経済活動停滞の影響により、アジア向け輸出が減少し、販売量が前年に対し減少しました。段ボールは、東南アジアでは、ゴム手袋などの衛生用品や通販用途を中心に、販売量が前年に対し増加しました。オセアニアでは、ニュージーランド、オーストラリアともに、国内向けの食品・通販用途が堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。子供用紙おむつは、マレーシアでは、外出規制による大手小売店での販売不振により、販売量は前年に対し減少しましたが、中国でのドラえもんパッケージ品の新規販売やECサイトでの販売好調、インドネシアでのコンビニエンスストアへの拡販継続により、販売量が前年に対し大幅に増加しました。

機能材

売上高 182,338 百万円
前期比 15.1 %減
営業利益 11,480 百万円
前期比 25.2 %減
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主要な事業

特殊紙、感熱紙、粘着、フィルム

国内事業では、特殊紙は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、電動車(電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド車および燃料電池車)向けのコンデンサ用フィルムや、スマートフォン向け電子部品の製造工程紙等で回復傾向も見られましたが、訪日観光客やイベントの減少により、乗車券や土産物用途の需要低迷は続いており、全体としては販売量が前年に対し減少しました。感熱紙は、外出自粛等の影響によりPOSレジ用途等の需要が減少し、販売量が前年に対し減少しました。

海外事業においても、各国での外出規制や経済活動停滞の影響を受け、感熱紙はPOSレジ・チケット用途等で需要が減少し、北米、南米、欧州、東南アジアで販売量が前年に対し減少しました。

資源環境ビジネス

売上高 245,334 百万円
前期比 14.1 %減
営業利益 16,651 百万円
前期比 42.3 %減
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主要な事業

パルプ、エネルギー、植林・木材加工

国内事業では、パルプ事業は、主に溶解パルプの中国向け輸出が、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停滞の影響等を受け減少したことにより、販売量が前年に対し減少しました。エネルギー事業は、2019年9月に稼働したエム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社が通期で寄与したことにより、売電量が前年に対し増加しました。

海外事業では、パルプ事業は、同感染拡大に伴う経済活動停滞の影響等を受け、世界的に需要が減少したことにより、販売量が前年に対し減少しました。

印刷情報メディア

売上高 243,957 百万円
前期比 16.6 %減
営業利益 11,156 百万円
前期比 1.5 %減
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主要な事業

新聞用紙、印刷・出版・情報用紙

国内事業では、新聞用紙は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動停滞の影響等を受け、頁数および発行部数の減少により、販売量が前年に対し減少しました。印刷用紙は、同感染拡大に伴う経済活動停滞の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。印刷用紙の用途別では、出版用途においては、ヒット作の発売や外出自粛に伴う巣ごもり需要の高まりを受けたコミック需要の増加等があったものの、女性誌、旅行誌、スポーツ誌等の頁数および発行部数の減少が大きく、販売量が前年に対し減少しました。また商業印刷用途においても、集客およびイベント自粛によるカタログ、ポスター、チラシ等の需要減を受け、販売量が前年に対し減少しました。情報用紙は、テレワークの普及によるオフィスでの需要減退等により、販売量が前年に対し減少しました。

海外事業では、江蘇王子製紙有限公司において、同感染拡大に伴う経済活動停滞の影響等により、国内外で広告等の商業印刷需要が減退し、販売量が前年に対し減少しました。

その他

売上高 270,188 百万円
前期比 6.6 %減
営業利益 6,752 百万円
前期比 24.8 %減
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主要な事業

不動産、エンジニアリング、商事、物流 他

その他につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響等により、エンジニアリング事業、商事事業、物流事業、ホテル事業等で減収となりました。

<ご参考>

連結計算書類