事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当社を取り巻く市場環境は、当社グループが事業展開する電子決済市場、インターネット広告市場ともに今後も継続的な成長が見込まれております。電子決済市場においては、物販やデジタルコンテンツを中心に市場規模が拡大し、2021年の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)は前年比7.4%増の20兆6,950億円となりました(注1)。また、2018年4月に内閣府主導のもと、国内のキャッシュレス決済比率を2017年の21.3%(注2)から2025年に40%とする目標が設定されており(注3)、2021年には32.5%(注2)まで到達するなど、国内のキャッシュレス化が順調に進捗している背景から、今後も継続的な市場の成長が見込まれます。また、インターネット広告市場は、2022年のインターネット広告費が前年比14.3%増の3兆912億円(注4)となり、わずか3年で約1兆円増加するなど、社会のデジタル化加速が追い風となり引き続き市場の拡大が期待されます。

当連結会計年度の収益は30,070百万円(前期比42,884百万円減、同58.8%減)、税引前損失は13,881百万円(前期は45,393百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は9,058百万円(前期は30,330百万円の利益)、当期包括利益は△9,545百万円(前期比39,278百万円減)となりました。

当連結会計年度は、一部投資先の公正価値評価額が大幅に減少したことにより、インキュベーションテクノロジー事業及び事業セグメントに属していない全社費用にて評価損を計上し、減収減益となりました。一方で、主力事業であるフィナンシャルテクノロジー事業では決済取扱高が堅調に増加したほか、マーケティングテクノロジー事業では、デジタル広告において金融領域のマーケティングを中心に広告取扱高が前期を上回りました。また、ロングタームインキュベーション事業では、外食需要が着実に回復に向かったこと等を受け、㈱カカクコムの持分法による投資利益が前期比で増加するなど、インキュベーションテクノロジー事業を除いた各事業セグメントの業績は順調に推移しました。

出所

  • (注1)経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書(2022年8月)」
  • (注2)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2022(2022年6月)」
  • (注3)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(2018年4月)」
  • (注4)㈱電通「2022年日本の広告費」

フィナンシャルテクノロジー事業

フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューション及び決済周辺サービス等の提供を行っております。

当連結会計年度は、非対面領域において、電子商取引市場の成長率を上回るペースで決済取扱高が増加したほか、対面領域においてはアライアンスパートナーとの戦略提携が奏功し、当社が決済を取り扱う拠点数が着実に増加したこと等から、決済取扱高は前期比約19%増の5兆2,774億円、決済取扱件数は同約22%増の9.8億件となりました。

これらの結果、当連結会計年度における収益は11,791百万円(前期比1,029百万円増、同9.6%増)、税引前利益は5,122百万円(前期比574百万円増、同12.6%増)となりました。

マーケティングテクノロジー事業

マーケティングテクノロジー事業では、総合的なデジタルマーケティングや様々なデータを活用したデータマーケティングビジネス等を行っております。

当連結会計年度は、不動産広告領域における取扱高及びスマートフォン向けアプリケーション等におけるデジタル広告の取扱高が前期を下回ったことにより減収となったものの、当社の注力分野であるクレジットカード等のマーケティングを手掛ける金融領域において取扱高が堅調に推移しました。

これらの結果、収益は12,027百万円(前期比992百万円減、同7.6%減)、税引前利益は1,151百万円(前期比128百万円増、同12.5%増)となりました。

インキュベーションテクノロジー事業

インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業等への投資及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成等を行っております。

当連結会計年度は、Blockstream Corporation Inc.における公正価値測定による評価額が大幅に減少したことにより評価損を計上した結果、収益は△1,947百万円(前期比34,734百万円減)、税引前損失は12,022百万円(前期は31,215百万円の利益)、当連結会計年度末における営業投資有価証券の残高は67,676百万円(前連結会計年度末比10,273百万円減)となりました。

ロングタームインキュベーション事業

ロングタームインキュベーション事業では、当社グループがこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも、経済社会活動の正常化が進むなかで外食需要が回復に向かったこと等により、持分法適用会社である㈱カカクコムの業績が前期を上回りました。また、関係会社株式の売却に伴い売却益を計上しました。

これらの結果、収益は7,603百万円(前期比3,023百万円増、同66.0%増)、税引前利益は4,635百万円(前期比3,384百万円増、同270.3%増)となりました。

連結計算書類