株主の皆様へ

クボタグループは「食料・水・環境」分野で世界に貢献します。

企業理念クボタグローバルアイデンティティ

スピリッツ〈私たちの精神・姿勢〉
一.
総合力を生かしすぐれた製品と技術を通じて社会の発展につくそう
一.
会社の繁栄と従業員の幸福を(ねが)って今日を築き明日を(ひら)こう
一.
創意と勇気をもって未知の世界に挑戦しよう
ブランドステートメント〈私たちの約束〉

クボタグループは、美しい地球環境を守りながら、人々の豊かな暮らしをこれからも支えていくことを約束します。

ミッション〈私たちの使命〉

人類の生存に欠かすことのできない食料・水・環境。
クボタグループは、優れた製品・技術・サービスを通じ、豊かで安定的な食料の生産、安心な水の供給と再生、快適な生活環境の創造に貢献し、地球と人の未来を支え続けます。

クボタグループがめざす社会価値と重なる国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」

2015年9月、国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。本アジェンダでは、行動計画として17の目標・169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられました。

クボタグループは、これらの内容も踏まえ、事業活動を通じたグローバルな課題の解決にチャレンジしています。

株主の皆様へ

株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。

世界的に新型コロナウイルスの感染拡大がいまだ収束せず、世界経済も不安定な状況が続いた1年でしたが、売上高は初めて2兆円を超え、営業利益も過去最高益を達成しました。

昨年は、長期ビジョン「GMB2030」および中期経営計画2025の初年度に当たりますが、業績だけでなく、特に企業や大学とのパートナーシップの構築においても大きな成果を収めることができました。改めて、当社の事業を支えていただいた関係者の皆様に深く感謝申しあげます。

新たにスタートした中期経営計画2025では「ESG経営の推進」を掲げ、この1年、事業運営の組み立てや意識改革にグループを挙げて取り組んできました。そして、クボタらしいESG経営、すなわちK-ESG経営とは何かについて考え、次の4つの領域から発展させていくことといたします。

  • 事業を通じた環境・社会課題の解決
  • 課題解決を実現するイノベーションの加速
  • ステークホルダーの共感・参画
  • 持続可能性を高めるガバナンスの構築

企業が社会から求められるものは時代とともに変化しますが、当社は、創業時から社会課題を解決する製品・サービスを世に出すことを志してきました。

  • ・不衛生な水が原因のコレラを防ぐために、水道管を国産化。
  • ・戦後の食料難を解決するために農業を機械化。
  • ・高度成長期の水質汚染や都市ゴミに対応する、水処理機器や、焼却溶融炉の開発。

このように、クボタの事業は常に、「技術ありき」ではなく「社会課題の解決ありき」で発展してきました。それが創業以来、脈々と続くクボタのDNAです。

今後もESG経営を軸に、グループ一丸となって企業価値の向上をめざしてまいりますので、株主の皆様には変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。

代表取締役社長北尾 裕一

社長メッセージ

サステナブルな社会の実現にむけて

3つの事業領域をもつクボタの役割について

依然として新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮っている現状ですが、我々が直面している問題はそれだけではありません。

温暖化にはじまり、人口増加による食料、水不足の問題など、あらゆる社会課題が地球規模で押し寄せています。持続可能な社会の実現のため、カーボンニュートラルは世界的に達成しなくてはならない目標となり、当社も昨年公表したとおり、2050年に向け『環境負荷ゼロに挑戦しながら、「食料・水・環境」分野においてカーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現』を環境ビジョンとして掲げます。この実現のために、地域ごとの社会課題をふまえつつ、温室効果ガスの排出量をどのように削減するのか、具体策の検討を開始します。

例えば、農業と地球環境は切っても切り離せない関係にあります。農機やハウスから排出されるCO₂を減らしていくことはもちろん、温暖化に悪影響を及ぼすメタンガスの抑制も、水管理の在り方など工夫と知恵で可能となります。農機のもつ技術に水環境の技術も組み合わせ、クボタのソリューションによって温暖化の抑制に貢献していきたいと考えます。

「私たちがリードしないと社会の課題は解決しない」という意識で、カーボンニュートラルという、社会がめざす新たな未来に向けて挑戦します。

理想とする循環型社会とは

近年では、AIやICTを活用し、住民の人たちがITで繋がるスマートシティが注目されはじめていますが、私たちがめざす社会とは、自然循環システムが構築された社会です。

温室効果ガスの原因となる農業残渣や家畜の糞尿などを用いたバイオマス発電などによって、エネルギーを抽出し、そのエネルギーを使ってトラクタなどを動かす。農機関連の技術に、水環境の技術を結集することで、そういった自然循環システムが構築できれば、1つのビレッジで自己完結できるようになります。また、食料生産のフードバリューチェーンや上下水道などの水インフラ、廃棄物処理などの資源循環システムを融合させることで、大量生産・大量消費の都市集中型の社会から、ロスの少ない循環型の分散型社会が実現できると考えています。今後、国や自治体、民間企業や大学などに協力を呼びかけ、実現していきたいです。

100年後の地球のために

未来の地球のために、社会の様々な課題の解決策を考え、実現できる人財を育成することも大切です。

若い世代に100年後の地球のために色々なことを考えてほしいという願いを込めて、昨年東京大学と産学協創協定を締結しました。新しい食料生産・流通・消費の循環サイクルや、生物圏に優しく新しい水循環の仕組み、未来の私たちの快適な生活と環境保全を両立させる循環型社会の実現にむけて、共同で研究していきたいと考えています。また、そのような人財への教育や投資が、新しい事業の芽を創出することにつながると考えています。

最後に

長期ビジョン「GMB2030」のあるべき姿「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」は、各事業が個々に活動をしていては実現できません。

水と環境、環境と農業、水と農業など、お互いのシナジーが期待されるテーマの推進やDXの活用が広がりはじめ、今後複雑かつ高度化する社会課題解決に必要なソリューションが生まれようとしています。そして、「食料・水・環境」の3つのグローバル・ループの一つ一つが大きくなっていき、次第に1つになることを想定しています。

50年後、100年後の地球のために、当社として何ができるかを引き続き考えていきたいと思います。

さらなる詳細につきましては、決算説明会資料をご覧ください。
https://www.kubota.co.jp/ir/financial/resume/data/mp133.pdf

財務ハイライト

※ 第129期より従来の米国基準(U.S.GAAP)に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
また、第128期の財務数値についても、IFRSに準拠して表示しています。