事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症第7波が収束した昨年秋あたりから、各種規制の緩和が順次実施されたことで、人々の活動や企業活動も平時に戻りつつありますが、一方で、長期化するロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクの高まりや、インフレ、エネルギー価格の上昇、金利上昇圧力の高まりの中、一般消費者は生活防衛意識を強めており、消費行動にも影響を及ぼしているなど、依然として先行きの不透明感は拭えない状況です。
不動産業界におきましても、一次取得者層による住宅取得は底堅いニーズがあるものの、不動産価格や建築価格並びに住宅設備価格などの上昇若しくは高止まりの状況が続いていることに加えて、金利上昇圧力の高まりや、先行きへの心理的な不安が一次取得者層の新築住宅購入意欲に水を差しており、決して事業環境としては好ましくはありませんでした。しかしながら、新築住宅に比ベて割安な中古住宅が販売好調であり、富裕層を対象とする投資用賃貸住宅も好調な受注状況を維持しておりますので、今まで以上に二極化が進んでいると感じるものの、当社グループの特徴であるバランス経営の強みを活かせる環境であったとも言えます。
そのような状況下にありますが、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注契約高及び売上高は前連結会計年度を下回ったものの、各段階利益は概ね前連結会計年度並みの水準を維持することができました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。

分譲住宅セグメント

分譲住宅セグメントにおいては、当連結会計年度の戸建自由設計住宅等の引渡戸数が623戸(前期は823戸)と前連結会計年度に比べて大幅に減少したことに加えて、当連結会計年度の土地販売売上高が1,644百万円となり、兵庫県下の大型分譲住宅用地の一部を素地販売した前期の売上高3,752百万円と比較して大幅に減少したことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は36,495百万円(前期比19.6%減)となり、セグメント利益は1,237百万円(前期比16.2%減)となりました。

住宅流通セグメント

住宅流通セグメントにおいては、当連結会計年度の中古住宅の引渡戸数は1,077戸(前期は1,039戸)となり、前連結会計年度に比べ増加しました。新築住宅に比ベて割安な中古住宅に対する需要は根強く、販売は総じて好調に推移したことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は25,628百万円(前期比7.1%増)となり、セグメント利益は1,370百万円(前期比7.1%増)となりました。

土地有効活用セグメント

土地有効活用セグメントにおいては、当連結会計年度の個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が125棟(前期は130棟)と微減となりましたが、一棟当たり単価の上昇により売上高は増加し、賃貸住宅等建築請負及びサービス付き高齢者向け住宅の引渡件数は29件(前期は40件)と減少しましたが、新規受注が好調で建築請負工事が順調に進行したことにより、売上高は増加しました。一方で、自社保有のサービス付き高齢者向け住宅の施工が前期に比べ減少したことで、内部売上高は減少しました。その結果、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は26,576百万円(前期比0.7%減)となり、セグメント利益は2,217百万円(前期比6.3%減)となりました。

賃貸及び管理セグメント

賃貸及び管理セグメントにおいては、主として土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したこと及び自社保有のサービス付き高齢者向け住宅の増加により、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は25,976百万円(前期比9.0%増)となり、セグメント利益は3,111百万円(前期比12.4%増)となりました。

建設関連セグメント

建設関連セグメントにおいては、当連結会計年度における建設工事が工程どおりに順調に進捗したものの受注契約高が減少したことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は2,299百万円(前期比6.3%減)となり、セグメント損失は14百万円(前期はセグメント利益112百万円)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高114,473百万円(前期比3.6%減)を計上し、営業利益6,091百万円(前期比3.7%増)、経常利益5,744百万円(前期比2.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,817百万円(前期比1.3%減)となりました。

対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、社会経済活動は正常化に向かい、各種政策効果の下、景気が緩やかに持ち直していくことが期待されます。しかしながら、長期化するウクライナ情勢の緊迫、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスク、また、原材料及びエネルギー価格の上昇や金融資本市場の変動等、先行きについては不透明な状況が予想されます。
不動産業界におきましても、2022年12月に日銀による長期金利の引き上げが行われたものの、大規模金融緩和は維持されており、低金利で良好な資金調達環境を背景に、不動産取引については堅調に推移するものと予想される一方で、建築資材の価格高騰や国内金融政策の変更などが懸念され、引き続き厳しい経営環境が継続するものと予想されます。

当社グループは、2022年5月に、2022年度(2023年3月期)を初年度とし2024年度(2025年3月期)を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を策定しており、初年度となる当連結会計年度における実績と計画は以下のとおりとなっております。
今後につきましても株主重視の経営という観点から、企業価値の向上と継続的・安定的な成長を図り、財務体質の強化及び安定した収益の確保に努めてまいります。

当社グループは「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」という経営理念のもと、創業以来、事業活動を通じて社会貢献活動に取り組んでまいりました。昨今、国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)など、社会課題に対する企業が果たす役割の重要性が増しております。
ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGsと地域密着型経営である当社の事業活動との関連を意識し、社会貢献・持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
当社は、2023年3月8日付で経済産業省が日本健康会議と共同で認定を行う「健康経営優良法人2023 大規模法人部門(ホワイト500)」に7年連続7回目の認定を受けました。経営トップが先頭に立ち、全ての社員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、枠にとらわれない柔軟な環境を整えていることを評価いただいたものと認識しております。2023年2月には、スポーツ庁が社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを実施している企業を認定する「スポーツエールカンパニー2023」にも4年連続で選ばれております。また、当社で働く社員が柔軟な働き方ができる環境で、仕事上もプライベート上も充実した人生を送ることが大切であると考え、遠隔地の身障者支援など社員と社員の家族のためのテレワーク活用、住宅現場・管理マンション・お客様宅等へ外出する社員のためのモバイルワーク推進、BCP(事業継続計画)対策のためのテレワーク活用等多岐にわたり、社員や業務のニーズに応えてテレワークを実践的に導入してまいりました。結果、2018年には「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選定され、2020年、2022年には、2度にわたり「テレワーク推進賞 優秀賞」も受賞しております。
DX(デジタルトランスフォーメーション)については、経済状況や社会情勢の変化が急速に進む現代社会において、より変化に強いシステム基盤の構築を目指し、次世代システム構築プロジェクトを推進しております。豊富な情報の全社的な活用や、業務効率・生産性向上等により、長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
気候変動リスクへの対応については、脱炭素化社会の実現に向けて「OSAKAゼロカーボン・スマートシティ・ファウンデーション」の活動に参加しております。中でも、当社グループでの脱炭素の取り組みとして、和歌山県の「企業の森」による森林保全・管理活動に係る協定を締結し、和歌山県日高郡日高川町の森林を「フジ住宅の森」と名付けて当社グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動を行っており、二酸化炭素の削減に貢献しております。
今後も引き続き、社会貢献及び持続可能な社会の実現に取り組むことにより、社会とともに持続的に成長し、信頼される企業グループを目指してまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

財産及び損益の状況

連結計算書類