【ご参考】コーポレートガバナンスに関する取り組み

■コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

海運事業の事業環境やリスクの態様は目まぐるしく変化するため、当社の経営にあたっては事業環境を正しく把握し、常にリスクに向き合い、攻守のバランスをとりながら経営資源を有効に活用するという高度な舵取りが求められます。多様なステークホルダーの意見やその他各種社会的要請も認識しながら、経営の透明性・公正性を確保しつつ、適切なリスク管理の下、迅速・果断に意思決定を行うことにより、持続的な成長を継続し、企業価値を高めていくことがコーポレート・ガバナンスの要諦であると考えています。

また、当社はグループ企業理念に基づき、経営計画(Rolling Plan)の推進とサステナビリティ課題(MOL Sustainability Plan)への取り組みを通じてグループビジョンへの到達と中長期的なグループ企業価値の最大化を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に積極的かつ継続的に取り組んでいます。

■当社のコーポレートガバナンス体制

当社は、取締役会から独立した監査役会による監査機能を確保しつつ、それに加え、業務執行を行う社内取締役(執行役員を兼務しています)相互の監督・牽制はもちろん、取締役会を業務執行も担う社内取締役と監督機能に特化した役割を果たす社外取締役とからなる構成とし、取締役会での実効的な監督体制を確保することにより、業務執行の適法性・妥当性・効率性を実現することが当社の機関設計として適切であると考えています。このような考え方の下、当社は会社法が定める監査役会設置会社としています。

取締役会は、その決議により、業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)構築の基本方針を定めています。社長を経営の最高責任者とする当社グループの役職員は、取締役会の監督と監査役会の監査の下、取締役会が定めた経営方針と上記基本方針に従い、業務執行を行っています。2021年度からは、当社のコーポレート・ガバナンス体制の充実・強化に関する課題全般について、社外の知見も取り入れながら自由闊達に議論できる場として、取締役会の傘下に新たにコーポレート・ガバナンス審議会を設置しました。同審議会には取締役会への報告・助言を通じて、取締役会の実効性向上に寄与する効果も期待しています。

また、当社におけるコーポレートガバナンス体制の真価は、上記のように構築された枠組み・組織の存在そのものによってもたらされるものではなく、かかる枠組みが実際に29-32ページに記載のような形で適正かつ効率的に機能しているかによって問われるものと当社は考えます。

■取締役会

取締役会は、当社の中枢的な意思決定機関として、当社グループの経営に係る基本方針と最重要案件の審議・決裁を行っています。

取締役会は、社内取締役5名(2022年4月1日時点)と当社と利害関係のない社外取締役3名(2022年4月1日時点)より構成されています。社外取締役は、当社と利害関係のない独立した立場で各々の経験と知見から経営判断の妥当性並びに業務執行の状況についてチェックを行うと同時に、経営全般にわたって有益な意見を表することで、取締役会の活性化に大きな役割を果たしています。社外取締役に対しては、取締役会議案を事前に説明するとともに、重要な業務執行について都度報告を行うなどサポート体制を整えています。また、経営戦略や長期ビジョン、あるいは経営全般に関わる重要なテーマについて、社内外の取締役、監査役で自由な意見交換を行う「戦略・ビジョン討議」を実施しています。「戦略・ビジョン討議」に加え、取締役会議案以外の進行中の各種重要案件を早期に共有・協議するための「取締役会メンバー懇談会」を取締役会後に適時開催しています。

なお、取締役会は定例としては年10回程度適切な間隔を置き開催し、経営計画の策定や大型投資の決定、各事業年度の予算承認、四半期決算承認、コーポレート・ガバナンス強化等について決議を行っています。

2021年度「戦略・ビジョン討議」主な議題一覧

■指名諮問委員会・報酬諮問委員会

取締役会の下に任意の組織として指名諮問委員会と報酬諮問委員会を設置しています。社外取締役による業務執行取締役への監督をより実効性のあるものとするため、いずれも社外取締役を委員長として、社外取締役全員(3名)、会長、および社長で構成される社外取締役が過半数の委員会としています。

指名諮問委員会では、取締役・執行役員の選解任及びその決定のために必要な基準と、後継者計画に基づき次期社長案(現社長の再任・解任を含む)について、審議を行うことで、手続きの客観性および透明性を高め、説明責任を強化します。報酬諮問委員会では、取締役・執行役員の報酬制度のレビューを適宜行い、長期的な企業価値の向上に対するインセンティブを含む役員報酬のあり方について、「ステークホルダーの視点」を重視した客観的な立場から検討を行っています。なお、各委員会の委員に加え、社外監査役は審議の過程を把握するため各委員会に出席し、意見を述べることができることとしています。取締役会は両諮問委員会の答申内容を尊重し、必要な決議を行うこととしています。

諮問委員会での主要な検討議題(2021年度)
■指名諮問委員会(計6回開催)
  • ・取締役会のあるべき姿、構成、スキルマトリックスについて
  • ・社長・CEOの後継者計画に基づく次期社長選定、および有事の際の後継者選定方法について
  • ・2022年度役員の選任について
  • ・監査役の選解任について、等
■報酬諮問委員会(計9回開催)
  • ・2020年度取締役賞与、2021年度取締役報酬について
  • ・非業務執行取締役の報酬制度改定について
  • ・報酬水準の適正性の担保の為のピアグループ検討について
  • ・取締役個人別報酬等の内容の決定方針について、等

■コーポレート・ガバナンス審議会

当社のコーポレート・ガバナンス体制の充実・強化に関する課題全般について、社外の知見も取り入れながら自由闊達に議論できる場として、コーポレート・ガバナンス審議会を取締役会の傘下に設置しています。同審議会は当社グループ全体のコーポレートガバナンスの状況や方向性、及び取締役会の実効性の検証について、独立社外取締役・独立社外監査役の視点を交えて検討し、取締役会に対する報告・助言を行っています。

コーポレート・ガバナンス審議会における主要な検討議題(2021年度、計4回開催)
  • ・コーポレート・ガバナンス審議会の役割、及び審議テーマの選定に関して
  • ・改訂CGコードに基づく、当社グループにおけるコーポレートガバナンス課題の洗い出し
  • ・取締役会審議時間確保のための社内規則改定について
  • ・各種課題(取締役・監査役スキルアップや政策保有株式等)について、等

コーポレート・ガバナンス審議会の討議の様子

■後継者計画

当社は、当社に相応しい社長・CEO(以下、「社長」)を適時適切に選定するために、社長の要件、社長選定プロセス、後継者候補の育成計画を内容とする社長の後継者計画を策定しております。

2021年度は、当該計画に基づき指名諮問委員会にて社長の後継者計画に基づく次期社長選定、及び有事の際の後継者選定方法について審議し、取締役会に答申しました。

■実効性評価

取締役会は、取締役会とその傘下にある指名・報酬諮問委員会及びコーポレート・ガバナンス審議会における議題・審議内容、各構成員の貢献、及び運営等の実効性に関して、各取締役・監査役の自己評価を含むアンケートを毎年実施します。その上で、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、課題抽出と改善策を検討の上、その結果の概要を開示します。

2021年度は、2022年2月に自己アンケート形式で全取締役・監査役から回答を受領し、その後同年4月にコーポレート・ガバナンス審議会にて、その実効性に関する評価・分析の上、課題抽出と改善策を取り纏めました。その結果の概要につきましては、コーポレートガバナンス報告書の中で詳細に開示を行います。

■業務執行体制

業務執行については、当社は2000年より執行役員制度を導入しています。取締役会で選任され代表取締役から権限の委譲を受けた執行役員は、取締役会で決定された経営の最高方針に従い業務執行を行うことで経営のスピードアップを図っています。業務執行レベルの最高意思決定機関としての経営会議(議長:社長)は、取締役会が決定した基本方針に基づき、経営の基本計画及び業務の執行に関する重要案件を決裁するための審議機関として機能しています。経営会議の下部機構として、6つの委員会を設置しており、それぞれの委員会のメンバーに加え、案件毎に関係する役員・部長が出席し、経営会議に付議される重要案件や部門を跨る案件などの検討・審議を行っています。

■監査体制

監査役会は、常勤監査役2名と当社と利害関係のない社外監査役2名より構成されています。監査役は、定期的に監査役会を開催し、監査計画の策定や監査結果の報告・共有等を行い、期末には監査報告書を作成します。各監査役は取締役会その他重要な会議に出席して、審議・意思決定過程の監査を実施するとともに、取締役・執行役員・従業員との面談やグループ会社の調査を通じて、内部統制システムの構築・運用状況等を監査しています。会計監査は、会計監査人である有限責任あずさ監査法人が監査を実施しています。これに加え、社長から指示を受け、他のいかなる職制からも独立した経営監査部が、グループ会社を含めた内部監査を行っています。監査役会、会計監査人、経営監査部の三者は、密接な連携によって監査の実効性向上に努めています。

■社外役員

当社の社外役員5名(社外取締役3名、社外監査役2名)は、いずれも当社独自の「社外役員の独立性基準」を満たしています。

社外取締役3名はいずれも各々の専門領域における豊富な経験と幅広い見識から、当社の経営全般に関して独立した立場から助言を行い、経営の意思決定及び監督についての取締役会の機能を強化する役割を担っています。社外取締役は、取締役会、指名・報酬諮問委員会への出席のほか、執行役員との経営課題に関するディスカッションを通じて当社グループの事業への理解を深め、社外取締役としての職務に反映させています。

また社外監査役2名は、法律及び会計の専門家としての深い知見と見識を有しており、独立した立場から当社における監査体制を強化する役割を担っています。社外監査役は、取締役会・監査役会への出席のほか、社内取締役との面談、社外取締役との意見交換、執行役員との経営課題に関するディスカッション等を行い、それらにより得られた知見を社外監査役としての職務に反映させています。

当社は、社外取締役及び社外監査役が期待される役割を十分に発揮できるよう、社外取締役(3名)及び社外監査役(2名)の各氏との間で、取締役または監査役としての任務を怠り当社に損害を加えた場合において、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がなかったときは、会社法第425条第1項各号に定める額の合計額を賠償額の上限とする責任限定契約を締結しています。