事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

NTTグループの現況に関する事項

(注) 2020年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っており、EPSは当該株式分割調整後の数値を記載しております。

事業報告の記載内容について

●本事業報告において、「NTTドコモ」は株式会社NTTドコモ、「NTTコミュニケーションズ」はエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、「NTTコムウェア」はエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社、「NTT東日本」は東日本電信電話株式会社、「NTT西日本」は西日本電信電話株式会社、「NTTデータ」は株式会社エヌ・ティ・ティ・データを示しています。

●当社の連結計算書類は、国際財務報告基準(以下「IFRS」)を適用しています。

●本事業報告に記載している金額については、表示単位未満の端数を四捨五入して表示しています。

●文中において  が付されている用語について、「用語解説」にて解説を掲載しています。

●本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明は、現在当社の経営陣が入手している情報に基づいて行った判断・評価・事実認識・方針の策定などに基づいてなされもしくは算定されています。また、過去に確定し正確に認識された事実以外に、将来の予想およびその記述を行うために不可欠となる一定の前提(仮定)を用いてなされもしくは算定したものです。将来の予測および将来の見通しに関する記述・言明に本質的に内在する不確定性・不確実性および今後の事業運営や内外の経済、証券市場その他の状況変化などによる変動可能性に照らし、現実の業績の数値、結果、パフォーマンスおよび成果は、本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明と異なる可能性があります。

1.事業の経過およびその成果

(1) 事業環境

当事業年度における情報通信市場では、クラウドサービスや5Gサービスの拡大に加え、AI、デジタルツイン、量子コンピューティングなどの技術が急速に進展しています。また、さまざまなデータが蓄積され、その分析・活用が進むことで、人々の生活における利便性向上や、ビジネスにおける新たなモデル創出や生産性向上など、より良い方向への変革を実現するデジタルトランスフォーメーションが世界的に進みつつあり、この流れは新型コロナウイルス感染症に対応しリアルとオンラインが共存した働き方・ライフスタイルへの変容が進行する中で加速しています。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や環境保護への貢献への取り組みも求められています。
こうしたさまざまな社会的課題を解決するうえでも、情報通信の役割はますます重要になっています。

(2) 事業の状況

このような事業環境のなか、NTTグループは中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、国内/グローバル事業の強化、企業価値の向上および新たな経営スタイルへの変革を通じたサステナブルな社会実現への貢献をめざす取り組みを推進しました。この結果、当事業年度の営業収益は13兆1,362億円(前年比8.1%増)、営業利益は1兆8,290億円(前年比3.4%増)、当社に帰属する当期利益は1兆2,131億円(前年比2.7%増)となりました。

国内/グローバル事業の強化

新生ドコモグループの成長・強化、グローバル事業の競争力強化、IOWN構想に基づくAPNの提供開始、B2B2Xモデル推進、新規事業の強化に取り組みました。

【新生ドコモグループの成長・強化】

  • 2022年7月、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズおよびNTTコムウェアは、統合シナジー効果の創出に向け、ドコモグループ新体制をスタートしました。
    法人事業ではNTTコミュニケーションズへの営業機能の統合・強化、スマートライフ事業では映像事業の統合によるコンテンツの充実およびコスト競争力強化、コンシューマ通信事業では移動・固定の融合による高品質で経済的なネットワークの実現などに向けた取り組みを進めました。

【グローバル事業の競争力強化】

  • 2022年10月、ビジネスユーザ向けグローバル事業をNTTデータ傘下に集約し、より一体となって事業運営を行うため、当社とNTTデータの共同出資による海外事業会社として株式会社NTT DATA,Inc.を設立しました。グローバルでのサービス提供能力や実績が評価され、大手家電メーカーのプロジェクトを受注するなど、事業集約を通じた販売活動の効果が出始めており、引き続き多様化・高度化するお客さまのニーズにグローバルレベルで対応していきます。

【APNの提供開始】

  • 2023年3月、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の実現に向けた初めての商用サービスとして、通信ネットワークの全区間で光波長を専有するAPN IOWN1.0(All-Photonics Network:オールフォトニクス・ネットワーク)の提供を開始しました。
APNとは?

現在のネットワークは、光信号と電気信号の変換を多数実施することにより、電力を消費しているほか、通信トラフィックの制御処理により遅延が発生します。APNは、最終的にこれらをすべて光にすることで、現在よりも低消費電力で、大容量かつ低遅延なネットワークを実現します。

B2B2Xモデル推進】

  • 2022年10月、次世代施設園芸のノウハウを保有する株式会社NTTアグリテクノロジーが、全国農業協同組合連合会(JA全農)との協力体制で受注した最先端グリーンハウスが竣工しました。農業におけるICTを活用した生産性向上・省力化などにより、今後の持続可能な農業の実現に貢献していきます。

【新規事業の強化】

  • 2022年12月、人的資本分野を中心に、幅広いソリューションやテクノロジーなどの価値提供により、働く社員と企業双方の持続的な成長を支援する企業として、株式会社NTT HumanEXを設立しました。
企業価値の向上

新たな環境エネルギービジョンに基づく環境負荷削減に向けた取り組み、災害対策、株主還元の充実を進めました。

【新たな環境エネルギービジョン】

  • 2040年度までのNTTグループ全体のカーボンニュートラル実現に向け、自らの環境負荷低減として省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入拡大などに取り組みました。また、お客さまの環境負荷低減に貢献するため、温室効果ガス排出量可視化プラットフォームなどのサービスの提供を進めました。

【災害対策】

  • 近年の激甚化・広域化・長期化する災害の増加を踏まえ、設備の強靭化や復旧対応の迅速化に向けた取り組みを推進しました。

【株主還元の充実】

  • 継続的な増配および機動的な自己株式取得を実施し、資本効率の向上を図りました。

新たな経営スタイルへの変革

業務変革やデジタルトランスフォーメーション、制度見直しや環境の整備、ワークインライフ(健康経営)の推進、オープン、グローバル、イノベーティブな業務運営の実現に取り組みました。

【業務変革・デジタルトランスフォーメーション

  • 業務の効率化のため、これまで各社が個別に構築していた共通系業務システム(財務・調達・決裁・ビリング)について、グローバルで標準化されたシステムへ移行していくことを通じて、各社の仕事の進め方を世の中の標準に合わせる取り組みを進めました。

【制度見直し・環境の整備】

  • 社員一人ひとりが今まで以上に高い専門性とスキルを獲得・発揮し、さまざまな分野で多様な人材が多様なキャリアを自律的に構築しながら、高い付加価値を創出できる仕組みを整備するため、専門性を軸とした新たな人事給与制度の導入に向けた取り組みを進めました。

【ワークインライフ(健康経営)の推進、オープン、グローバル、イノベーティブな業務運営の実現】

  • 2022年7月、住む場所の自由度を高め、ワークインライフ(健康経営)をより一層推進していく観点から、国内の主要グループ会社において、リモートワークを基本とする新たな働き方を可能とするリモートスタンダード制度を導入しました。
(3) 研究開発などの状況

IOWN構想の具現化やさまざまな産業への技術の展開・課題解決などの取り組みを推進しました。

IOWN構想の具現化に向けた研究開発
  • APN IOWN1.0の提供開始(本取り組みの詳細は、21頁の(2)事業の状況 【APNの提供開始】をご覧ください。)とともに、今後の展開を公表しました。
  • IOWN2.0以降の早期提供に向けて、新たな半導体部品や、ソフトウェアの開発・提供を進めました。引き続き、本構想の目標達成および、その早期実現に向けて取り組んでいきます。
さまざまな産業への技術の展開・課題解決
  • 第6世代移動通信方式(以下、6G)のサービス提供に向けた技術的課題を解決するため、当社およびNTTドコモは主要ベンダーとの協力体制を拡充し、国内外全5社と6Gの実現に向けた実証実験を協力して実施していくことで合意しました。
    • 宇宙統合コンピューティング・ネットワークの実現に向けた取り組みを進めました。
      当社とスカパーJSAT株式会社が設立した合弁会社、株式会社Space Compassが事業を開始したほか、光通信技術を活用した宇宙から地球へのデータ伝送サービス(光データリレーサービス)の提供開始に向け、同社はSkyloom Global Corporation(本社:アメリカ)と共同事業契約を締結しました。
    • 地球環境負荷の低減に貢献するため、海水中に溶け込んだ二酸化炭素(CO2)量を低減させる藻類の研究を進めています。
      研究の中で、藻類のCO2吸収量を増加させることが期待できる遺伝子特定に成功しました。
      本技術は、当社とリージョナルフィッシュ株式会社が設立に向けて基本合意書を締結した、将来の食糧不足、地球環境問題の解決をめざすグリーン&フード事業に関する合弁会社で活用していく予定です。
(4)セグメント別の状況

総合ICT事業

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概況

総合ICT事業では、新生ドコモグループとしての新体制がスタートしたことを踏まえ、法人事業の拡大、ネットワークの競争力強化、サービス創出・開発力強化とデジタルトランスフォーメーション推進の大きく3つのシナジーを創出するための取り組みを進めたほか、5Gサービスなどの販売を推進しました。

主な取り組み内容

  • 2022年6月、お客さまそれぞれのライフスタイルに合わせた料金サービスの更なる充実に向け、「ahamo大盛り」の提供を開始しました。また、2022年11月、基地局スリープ機能の高度化によるネットワークの省電力化を開始したほか、2023年2月、リサイクル素材を活用した環境配慮型スマートフォンの提供を開始しました。
  • 2022年7月、個人向けローンサービス「dスマホローン」、2022年9月、従来の端末補償サービスから補償対象を拡大した「smartあんしん補償」の提供を開始しました。また、スマートライフ事業の事業領域拡大に向け、ビッグデータを活用したマーケティングソリューションの推進などの取り組みを進めました。
  • 2022年9月、さまざまな回線・デバイスにおけるセキュリティ対策と運用効率化を実現するデバイス管理サービス「あんしんマネージャーNEXT」の提供を開始しました。また、法人事業における従来のソリューションに加え、モバイルソリューションやアプリケーションなどを組み合わせた統合ソリューションの提供に努めました。
主なサービスの契約数

〇「携帯電話サービス」:8,750万契約(対前年:+274万契約)

(再掲)「5G契約数」:2,060万契約(対前年:+907万契約)

地域通信事業

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概況

地域通信事業では、地域の社会課題解決に向け、企業・自治体・社会のデジタルトランスフォーメーションを支援するソリューションビジネスの強化のほか、光アクセスサービスなどをさまざまな事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」の提供を推進しました。

主な取り組み内容

  • 2022年8月、NTT東日本およびNTT西日本は、地域のお客さまの課題にきめ細かく対応し、全国の中小企業のデジタルトランスフォーメーションを全面的にサポートするために信用中央金庫と業務提携を行い、全国の信用金庫と地域の中小企業をデジタルでつなぐ取り組みを推進しました。
  • 2022年10月、NTT西日本の子会社であるNTTビジネスソリューションズ株式会社は、自治体・法人のお客さまにおける電気自動車(以下、EV)の導入、およびEVとEV蓄電池を活用した電力の最適利用をトータルに支援するソリューション「N.mobi(エヌモビ)」の提供を開始しました。
  • 2022年11月、NTT東日本は、東京ガスネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社と社会課題の解決に向けた連携協定を締結し、インフラ基盤の持続安定化、社会価値の向上、豊かな未来に向けたイノベーションに連携して取り組むことに合意しました。
主なサービスの契約数

〇「フレッツ光」:2,358万契約(対前年:+31万契約)

(再掲)「コラボ光」:1,681万契約(対前年:+52万契約)

グローバル・ソリューション事業

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概況

グローバル・ソリューション事業では、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供のほか、データセンタービジネスやマネージドサービスといった成長分野でのサービス提供力の強化に取り組みました。

主な取り組み内容

  • 2022年7月、SAP SE(本社:ドイツ)と共同で、壊れやすい貨物の輸送をIoTセンサなどで追跡し、保険手続きを円滑化する新たなソリューション「Connected Product」を開発しました。今後、国際的な保険・物流会社向けに実ビジネスへの適用を予定しています。
  • 2023年2月、トヨタ自動車株式会社と共同で、三井不動産グループの協力のもと、ショッピングモールの駐車場および周辺道路の混雑の解消をめざし、コネクティッドカーデータを利用した実証実験を開始しました。ショッピングモール周辺の渋滞を解消し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減と顧客満足度向上のため、コネクティッドカーデータを渋滞解消に利活用する方法の確立をめざします。
  • 企業のサステナビリティ推進をサポートする各種サービスの拡大に取り組みました。2022年6月にはESG経営を促進するDX支援サービスを、2022年7月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示対応支援サービスを、2022年8月には、国際NGO CDP保有のデータを活用した温室効果ガス排出量可視化サービス「C-Turtle®」をそれぞれ開始しました。

その他(不動産、エネルギー等)

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概況

不動産事業、エネルギー事業などに係るサービスを提供しました。

主な取り組み内容

【不動産事業】
  • NTTグループの不動産事業を一元的に担うNTTアーバンソリューションズ株式会社を中心に、オフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を推進しました。2022年6月、名古屋において次世代型先進オフィスビルを開業し、未来の街づくりを実現するため、IOWNの技術要素を活用したデジタル基盤の開発および実証実験などに取り組みました。
【エネルギー事業】
  • スマートエネルギー事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を中心に、再生可能エネルギー発電所の開発、NTTグループが保有するアセットの活用拡大、脱炭素ソリューションの展開などを推進しました。2022年7月、スマートエネルギー事業の拡大に向け、NTTアノードエナジー株式会社は株式会社NTTファシリティーズの電力関連業務を統合しました。

2.対処すべき課題

(1)事業環境の変化

新型コロナウイルス感染症拡大に端を発したリモート・分散型社会の拡大により、デジタル化やデジタルトランスフォーメーションが引き続き進展する一方で、監視社会などのデジタル化の負の側面が課題となっています。また、経済安全保障の重要性の増大や世界規模での自然災害の巨大化など、環境が大きく変化しています。

(2)NTTグループ中期経営戦略に基づく事業展開

NTTグループは2023年5月に新中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」を発表しました。お客さまと社会のために新たな価値を提供し、事業そのものをサステナブルな社会の実現へとシフトすることで、地球のサステナビリティを支える存在へなっていきたいと考えています。そのために、成長分野への投資を拡大し、5年間で成長分野に約8兆円の投資を行うほか、さらに未来のためにキャッシュ創出力を拡大し、2027年度に向けて成長のためのキャッシュを増大することで、EBITDA約4兆円をめざしていきます。
具体的な取り組みの柱として、新たな価値の創造とグローバルサステナブル社会を支えるNTTへ、お客さま体験(CX)の高度化、従業員体験(EX)の高度化、の3つを掲げて取り組みます。

(3)中期財務目標

新中期経営戦略の発表にあわせ、新たに財務目標を設定しました。
持続的な更なる成長に向けて、キャッシュ創出力を軸とした取り組みを強化することとし、主要指標としてEBITDAを設定のうえ、2027年度に向けて20%増加となる4兆円をめざします。
ドライバーとなる成長分野ではEBITDAは40%増加を目標とし、海外営業利益率も2025年度で10%をめざします。既存分野ではEBITDA10%増加に加え、ROIC(投下資本利益率)9%の目標を掲げて取り組んでまいります。
また、サステナビリティ関連指標としては女性新任管理者登用率、温室効果ガス排出量、従業員エンゲージメント率を設定し、目標の達成をめざしさまざまな取り組みを進めていきます。

3.設備投資の状況

NTTグループは、5Gや「フレッツ光コラボ光含む)」、データセンターなどの各種サービス需要への対応を中心に、1兆8,624億円(前年比10.4%増)の設備投資を行いました。

4.資金調達の状況

NTTグループは、設備投資などのため、社債発行(グリーンボンド)や長期借入金(グリーンローンなど)により、1兆909億円の長期資金調達を実施しました。

なお、当社においては、NTT東日本・NTT西日本への貸付などに係る資金として、NTTファイナンス株式会社からの長期借入金により、6,077億円の長期資金調達を実施しました。

5.主要な借入先および借入額

6.重要な子会社の状況

(注)
  • 1. 出資比率は各社の保有する自己株式を控除して計算しています。また、括弧内は当社の子会社による間接保有も含めた出資比率です。
  • 2. 当事業年度末日における特定完全子会社の状況は、次のとおりです。

株式に関する事項

1.発行可能株式総数

6,192,920,900株

2.発行済株式の総数

3,622,012,656株

3.当事業年度末の株主数

918,858名

4.大株主

(注)
  • 1. 持株数は、千株未満を切り捨てて表示しています。
  • 2. 当社は自己株式211,524,308株を保有していますが、上記大株主からは除外しています。
  • 3. 持株比率は自己株式を控除して計算しています。なお、自己株式には役員報酬BIP信託が保有する当社株式1,033,466株は含めておりません。

5.当事業年度中に職務執行の対価として役員に対し交付した株式の状況

(注)
  • 1. 当社の株式報酬の内容については、49頁をご覧ください。
  • 2. 上記の取締役(社外取締役を除く)に交付された株式は、2022年6月24日開催の第37回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役に対して交付されたものです。

コーポレート・ガバナンスに関する事項

1.基本方針

当社は、株主や投資家の皆さまをはじめ、お客さまやお取引先、従業員などさまざまなステークホルダーの期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要であると考えており、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでおります。

コーポレート・ガバナンス体制

2023年3月31日時点

2.コーポレート・ガバナンス体制の概要

当社は、独立社外監査役を含めた監査役による監査体制が経営監視機能として有効であると判断し、監査役会設置会社形態を採用しております。

また、当社は、独立社外取締役を選任することにより、業務執行を適切に監督する機能を強化しております。

3.取締役会

取締役会は、独立社外取締役5名を含む取締役10名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離することで、執行に対する監視機能と経営の機動力を担保しております。取締役会は、原則として毎月1回の定例取締役会を開催し、必要のある都度臨時取締役会を開催することで、グループ経営戦略に関する議論に加え、法令で定められた事項、および会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役および執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けることなどにより、取締役および執行役員の職務執行を監督しております。
独立社外取締役については、それぞれ豊富な経験を有し、人格、見識ともに優れていることから、業務執行の監督機能強化への貢献および幅広い経営的視点からの助言を期待するものです。
なお、当社は、取締役会による役員等の指名・報酬の決定等における独立性、客観性および説明責任の更なる強化を目的に、取締役会の事前審議等機関として5名の取締役で構成(過半数である3名が独立社外取締役)される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。
加えて、サステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、サステナビリティ委員会を取締役会直下の機関として任意に設置し、重要な課題・指標の決定については、取締役会で決議することで、その取り組みの更なる推進を図っております。

取締役会の実効性評価

純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。
当社の取締役会は、執行役員などで構成する執行役員会議や、社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員などが参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項などを決定するとともに、各取締役および各執行役員の職務執行の状況をモニタリングしています。
取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営などにおける課題とその解決に向けた取り組みや、出資や提携などの事業拡大に向けた取り組みについて報告・審議されております。当事業年度は、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、NTTグループにおけるグローバル事業の強化に向けた再編などの会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスの更なる強化に向けた方針の策定などを中心に、活発な議論がなされました。また、独立社外取締役に対して、取締役会付議案件の事前説明に加え、代表取締役から当面の課題や検討状況を説明し、執行の注力内容と取り組み趣旨の明確化に努めることで、取締役会の監督機能が充分に発揮できるような環境を整えております。
さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、独立社外取締役と代表取締役で当社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発に関する展示会における、最先端の研究成果などの説明や、最新ICT技術を用いた講演の紹介なども実施しました。他にも、独立社外取締役と当社監査役、主要なグループ会社の独立社外取締役などとの間で、NTTグループの経営課題について意見交換を行いました。
これらの意見交換会において、独立社外取締役および監査役から、当社の取締役会などに関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できていると評価されています。
また、取締役会の継続的な実効性向上を通じた経営ガバナンスの強化を目的に、毎年1回、取締役会の実効性評価を実施しています。当事業年度においても第三者機関を起用し、全取締役・監査役を対象とした取締役会に関するアンケート調査を行い、取締役会としての実効性評価を実施しました。
取締役会の役割と責務、構成、運営、満足度といった観点での質問を行い、第三者機関にて取りまとめた結果、すべての設問において肯定的意見が多数を占めており、取締役会に期待される重要な役割・責務が十分に果たされていることを確認しました。
また、戦略的議論の活性化に向けて実施した意見交換会の開催や、グローバル事業の強化に向けた再編などの会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスの更なる強化に向けた方針の策定など重要課題の議論の充実などにより、すべての役員から肯定的な意見を得ており、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しております。

4.監査役会

監査役会は、社内監査役2名と独立社外監査役4名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計6名で構成されております。当事業年度は監査計画に基づき、グローバル事業再編など引き続き経営が大きく変化するなか、法令に基づく監査に加え、中期経営戦略の進捗状況やコーポレート・ガバナンスの維持・向上に向けた取り組み状況、コンプライアンスの徹底状況、通信サービスの安定的提供などについて、内部監査部門・会計監査人・グループ会社監査役などとの連携による効率的・効果的な監査に努めました。また、代表取締役および独立社外取締役などとの意見交換、海外子会社を含むグループ会社の代表取締役および監査役などとテーマに応じた意見交換を実施することで、取締役および執行役員の職務の執行状況の実情を把握するとともに必要に応じて提言を行っております。当事業年度は、代表取締役および独立社外取締役などとの意見交換を40回、グループ会社の代表取締役および監査役などとの意見交換を65回実施しました。
独立社外監査役を含む当社の監査役は、取締役会など重要な会議に出席するほか、取締役および執行役員の職務の執行状況に関し、適宜監査を行っております。また、内部監査部門・会計監査人・グループ会社監査役などと、定期的、および必要に応じて適時に情報交換を行うなど連携を強化し監査を行っております。さらに、グループ監査体制の高度化に向け、主要グループ会社の監査役との間で、重要性、およびリスク・アプローチに基づきリスク認識の統一を図り、主要グループ会社の監査役を通じた監査、往査を実施しました。
また、当事業年度の監査活動を振り返り、次年度の監査計画への反映、および監査品質の向上などを目的に、2018年度以降継続して監査役会の実効性を評価しております。当事業年度の実効性の評価に際しては、全監査役に対するアンケートおよびインタビューを実施しました。なお、匿名性を確保するとともに客観的な視点を確保するため、アンケートやインタビューの実施、集計結果の分析にあたり、第三者機関を活用いたしました。当事業年度の主な評価項目は、監査計画、経営幹部への提言・業務執行監査、グループ監査体制、不正対応、三様監査(監査役による監査、会計監査人による監査、内部監査部門による内部監査)連携、監査役会の運営などです。アンケートやインタビューの分析に際しては、経年変化の状況のみならず、グローバル事業再編や通信サービスの安定的提供、サステナビリティの取り組みなどに対する監査状況を踏まえ、監査役会で議論・検証した結果、監査役会の実効性は確保されていると評価しました。
引き続き、NTTグループの事業展開や国内外の組織再編などを踏まえ、内部監査部門およびグループ会社監査役などとの連携を強化するとともに、グループ監査体制の高度化に向けて取り組みます。また、社会的要請への責任の高まりや非財務情報の開示の充実などの状況を踏まえ、取締役および執行役員の取り組み状況を一層注視し、積極的に提言を行います。経営幹部に対する監査に際しては独立社外取締役との連携を一層強化するなど、今後も監査役会の実効性の一層の向上に努めます。

5.指名委員会、報酬委員会

取締役会による役員等の指名・報酬の決定等における独立性、客観性および説明責任の更なる強化を目的に、取締役会の事前審議等機関として5名の取締役で構成(過半数である3名が独立社外取締役)される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。当事業年度末時点において、両委員会を構成する委員は、島田明(代表取締役社長)、廣井孝史(代表取締役副社長)、坂村健(社外取締役)、内永ゆか子(社外取締役)および渡邉光一郎(社外取締役)とし、議事運営を統括する委員長は島田明(代表取締役社長)としております。両委員会の決議にあたっては、構成メンバーである委員の過半数が出席し、出席委員の過半数をもって行うこととしております。
2022年度は、指名委員会を5回、報酬委員会を1回開催し、役員等の選任、後継者計画、役員報酬体系の在り方などについて活発な議論を実施しております。

6.役員の選任

当社の取締役会の構成は、NTTグループ人事方針における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。社外役員については、幅広い経営視点・専門家としての意見を期待するとともに、社内外の取締役については、ダイバーシティの推進も踏まえて選任することとしております。
なお、当社においては、法令の定め(日本電信電話株式会社等に関する法律 第10条第1項)により、外国人を取締役または監査役とすることはできません。

NTTグループ人事方針
【基本的な考え方】

NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「Your Value Partner」として、お客さまに対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととします。

【取締役候補の選任】

取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任します。取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野などのバランスおよび多様性を考慮した構成とします。
なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。

【監査役候補の選任】

監査役候補は、専門的な経験、見識などからの視点に基づく監査が期待できる人材を選任することとします。
なお、取締役の業務執行を公正に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を社外監査役とし、会社法に則り監査役の半数以上を選任します。

取締役候補の選任にあたっては、独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。また、監査役候補の選任にあたっては、監査役候補の選任方針に基づき取締役が提案する監査役候補について、社外監査役が半数以上を占める監査役会における審議・同意を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。

後継者計画

最高経営責任者等の後継者候補については、技術革新、市場動向、経営環境の変化のスピードに対応できる後継者候補の確保が重要と捉え、幅広い職務経験、重要ポストへの配置などを通じ、候補者の多様性を担保し、人格、見識ともに優れ時世に合った人材を登用していけるよう育成を行っております。選任にあたっては、取締役会の事前審議等機関として独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会の審議を経て、取締役会で決定しております。
なお、将来の経営幹部候補については、年齢・性別・専門分野を問わずさまざまな人材を選抜し、経営幹部候補育成プログラムとしてスタートした”NTT University”における育成を通じて、変革をリードしていく意欲あふれる多様な人材を対象としてまいります。

社外役員の独立性

当社は、職務執行の監督機能を強化する観点、あるいは取締役の職務執行を適切に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を、社外取締役ないし社外監査役とする方針としております。さらに、東京証券取引所の定める独立性基準に加え、以下の要件を満たす社外取締役ないし社外監査役を、独立役員(独立社外取締役ないし独立社外監査役)に指定しております。

独立性判断基準

直近の3事業年度において以下に該当する者ではないこと。

  • (1)当社の基準を超える取引先※1の業務執行者
  • (2)当社の基準を超える借入先※2の業務執行者
  • (3)当社および主要子会社※3から、直近の3事業年度のいずれかの事業年度において、役員報酬以外に年間1,000万円以上の金銭その他の財産上の利益を直接得ているコンサルタント、会計専門家、法律専門家などの専門的サービスを提供する個人
  • (4)当社の基準を超える寄付を受けた団体※4の業務執行者
    なお、以上の(1)から(4)のいずれかに該当する場合であっても、当該人物が実質的に独立性を有すると判断した場合には、独立役員の指定時にその理由を説明、開示します。
  • ※1 当社の基準を超える取引先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3の取引合計額が、当該事業年度における当社および主要子会社の年間営業収益合計額の2%以上の取引先をいう。
  • ※2 当社の基準を超える借入先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における連結ベースでの借入額が、当該事業年度における当社の連結総資産の2%以上の借入先とする。
  • ※3 主要子会社とは、NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTデータをいう。
  • ※4 当社の基準を超える寄付を受けた団体とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3からの寄付の合計額が、年間1,000万円または当該事業年度における当該組織の年間総収入の2%のいずれか大きい額を超える団体をいう。

7.取締役・監査役に対する研修

NTTグループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメントなど、さまざまな研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験などを積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所などにおける最新の研究開発成果への理解を深める機会を設けるなど、NTTグループ事業への理解をさらに深める取り組みも行っています。

8.政策保有株式

当社は、安定株主の形成を目的とした株式の保有をしておらず、また、今後も保有いたしません。
一方で、当社は、中長期的な企業価値の向上に向け、さまざまな業界のパートナーとのコラボレーションやオープンイノベーションの推進を事業の方針としております。こうした方針を踏まえ、当社は、投資戦略委員会などにおいて、当社の中長期的な業績への寄与、業務連携の進捗状況、業務連携に係る今後の検討課題、保有先の業績推移および今後の経営戦略など、総合的に勘案し、個別銘柄の保有適否に関して検証し、株式の保有・売却を行うこととしております。また、NTTグループ各社が保有する政策保有株式についても、個別銘柄の保有適否に関する検証などを毎年実施し、売却などに取り組んでおります。
政策保有株式に関する議決権行使については、投資先企業の持続的な成長と、当社および投資先企業の企業価値向上の観点から、中長期的な企業価値向上に向けた取り組み内容を検証のうえ、株主として適切に議決権を行使します。

9.資本政策

配当については継続的な増配の実施を基本的な考えとし、自己株式の取得についても機動的に実施することで、資本効率の向上を図ります。

会社役員に関する事項

1. 取締役および監査役の状況

2.役員等賠償責任保険

当社は会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、これにより、被保険者が会社役員などの地位に基づいて行った行為(不作為を含む)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用などを補償することとしています。ただし、被保険者自身が贈収賄などの犯罪行為や意図的に違法行為を行ったことに起因して被保険者が被る損害などについては補償対象外とすることにより、役員などの職務の執行の適正性が損なわれないように措置を講じています。
当該保険契約の被保険者は、当社および当社子会社であるNTT東日本、NTT西日本のすべての取締役、監査役、執行役員です。

3.取締役および監査役の報酬等に関する方針ならびにその総額

2021年5月12日開催の取締役会において、新たな取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針(以下「決定方針」という。)を決議しております(2021年11月10日開催の取締役会において、一部改訂を決議)。決定方針の概要は以下のとおりです。
当社の取締役の報酬の決定方針および構成・水準については、客観性・透明性を確保するために、独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される報酬委員会を設置し、同委員会の審議を経て取締役会にて決定することとします。また、報酬の割合、算定方法および個人別の報酬の額については、取締役会から同委員会に委任し、決定することとしております。これらの権限を報酬委員会に委任している理由は、当該委員会が代表取締役2名と社外取締役3名で構成されており、当社全体の業績を俯瞰しつつ、社外の目線も取り入れて適切な判断が可能であると考えているためです。
取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬については、月額報酬(基本報酬)と賞与(短期の業績連動報酬)、ならびに役員持株会を通じた自社株式取得および業績連動型株式報酬(中長期の業績連動報酬)から構成することとしております。
月額報酬は、月例の固定報酬とし、役位ごとの役割の大きさや責任範囲に基づき、支給することとし、賞与は、当事業年度の業績を勘案し毎年6月に支給することとしております。賞与の業績指標については、当社の中期経営戦略で掲げた財務目標を選定しており、その理由は、取締役の報酬と当社の企業価値との連動性をより明確にし、中期経営戦略における財務目標達成に向けた意欲を高めるためであります。また、賞与の算定方法は、各財務目標の対前年改善度または計画達成度を各指標ごとに予め定めた方法により支給率に換算した上で、各指標のウェイトに基づき加重平均し、これに役位別の賞与基準額を乗じることにより算定しております。(次頁の「賞与の業績指標」をご参照ください)
さらに、中長期の業績を反映させる観点から、毎月支給する株式取得目的報酬により、役員持株会を通じて自社株式を購入することとし、購入した株式は在任期間中、そのすべてを保有することとしております。
業績連動型株式報酬は、当社が設定した信託を用いて、毎年6月に役位に応じたポイントを付与し、中期経営戦略の終了年度の翌年度6月に、業績指標の達成度に応じて業績連動係数を決定し、これに累積ポイント数を乗じて付与する株式数を算定することとしております。また、株式の付与は退任時に行うこととしております。
なお、業績連動型株式報酬の業績指標としては、2018年11月発表の中期経営戦略の目標年度が2023年度であることから、EPS(1株当たり当期利益)を引き続き適用しております。
報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定報酬:短期の業績連動報酬:中長期の業績連動報酬=50%:30%:20%」とします。
社外取締役の報酬については、高い独立性の確保の観点から、業績との連動は行わず、月例の固定報酬のみを支給することとしております。
取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針の概要は以上のとおりですが、取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、報酬委員会による決定方針との整合性を含めた多角的な検討が行われているため、取締役会もその判断を尊重し、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると判断しております。
監査役の報酬については、監査役の協議にて決定しており、社外取締役と同様の観点から、月額報酬のみを支給することとしております。
また、取締役会からの委任を受けて当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容を決定した報酬委員会は、島田明(代表取締役社長)、廣井孝史(代表取締役副社長)、坂村健(社外取締役)、内永ゆか子(社外取締役)、渡邉光一郎(社外取締役)を構成メンバーとしております。

賞与の業績指標

中期経営戦略で掲げた財務目標などを業績指標として設定し、対前年改善度または計画達成度で評価しております。

(注)
  • 1. 海外営業利益率の集計範囲は、中期経営戦略策定時にNTT株式会社に帰属していた子会社(NTTデータ海外事業、NTT Ltd.、NTTコミュニケーションズ海外事業など)です。また、買収に伴う無形固定資産の償却費など、一時的なコストを除いて算定しています。
  • 2. 温室効果ガス排出量の数値は速報値です。また、対象はGHGプロトコル:Scope1+2です。
  • 3. B2B2X収益額の集計範囲は、総合ICT事業セグメント、地域通信事業セグメント、グローバル・ソリューション事業セグメントです。
  • 4. 女性の新任管理者登用率の集計範囲は、国内主要6社(当社、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTT東日本、NTT西日本、NTTデータ)です。

2023年度の賞与の業績指標として、財務指標については、新たな中期経営戦略では従来よりも成長(キャッシュ創出力拡大)を重要視する観点からEBITDAを追加するとともに、サステナビリティ指標について、収益創出の源泉となる従業員がより専門性を高め、成長実感と働きがいを得られる環境を作る観点から従業員エンゲージメント率を追加する予定です。

(注)
  • 1. 従業員エンゲージメント率の集計範囲は、国内グループ約100社(今後、海外グループ会社まで拡大予定)です。
  • 2. 海外営業利益率の集計範囲は、NTTデータ連結です。また、買収に伴う無形固定資産の償却費など、一時的なコストを除いて算定しています。
  • 3. 既存分野は、NTTドコモのコンシューマ通信事業、NTT東日本、NTT西日本です。
  • 4. 温室効果ガス排出量の対象は、GHGプロトコル:Scope1+2です。
  • 5. 女性の新任管理者登用率の集計範囲は、国内主要6社(当社、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTT東日本、NTT西日本、NTTデータ)です。
  • 6. B2B2X収益額の集計範囲は、総合ICT事業セグメント、地域通信事業セグメント、グローバル・ソリューション事業セグメントです。
当事業年度に係る報酬等の総額等
(注)
  • 1. 上記には、2022年6月24日開催の第37回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役5名、監査役1名を含んでおります。
  • 2. 取締役の報酬額については、2021年6月24日開催の第36回定時株主総会において、①金銭報酬の額:年額6億円以内、②役員持株会を通じた当社株式の取得の資金として取締役に支給する額など:年額5千万円以内かつ年間当たり24,000株以内、③業績連動型株式報酬制度に拠出する金員など:年額1億円以内かつ年間当たり47,000株以内の3種類の構成とする旨、決議いただいております。なお、当該株主総会終結時において取締役8名であります。
  • 3. 上記のうち取締役の業績連動型株式報酬の額については、当事業年度中に係るポイント付与分として費用計上した額です。
  • 4. 監査役の報酬額については、2006年6月28日開催の第21回定時株主総会において、年額2億円以内と決議いただいております。なお、当該株主総会終結時において監査役5名であります。
  • 5. 取締役(社外取締役を除く)の報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定:短期:中長期=50%、30%、20%」です。

4.社外役員に関する事項

主な活動状況

連結計算書類