事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い依然として厳しい状況となりました。政府は経済活性化と蔓延防止策の双方のバランスをとりながらも、いまだ収束は見通せず、二度にわたる緊急事態宣言の発令による社会経済活動の制限に移動制限も含まれることから、個人消費の低迷も続き、先行きは不透明な状況が続いております。

このような状況の中、業種によっては機会を捉え積極的な投資や業態の変革により事業拡大を図る企業もあり、二極化が進んでいます。当社グループが属する情報サービス業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響による社会全体の新たな生活行動やビジネス形態へのシフトにより、企業のテレワーク環境の整備需要に加え、営業・販売活動のデジタル化への取り組みや、それらを支援する新たなネットワークサービスの開発などの増加がみられました。一方で、社会環境の変容が読み切れないことから、企業の戦略的投資案件の見直しや特に金融業に特化したシステムインテグレーション案件の延期といった厳しい状況もみられます。

当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により顧客のIT投資が二極化する環境下で、既存のエンハンスビジネスでの売上減をカバーすべく成長力豊かなマーケットに対して生産力をシフトした結果、当連結会計年度における業績として、売上高は14,788百万円(前年同期比0.5%増)となり前年並みを確保しました。また、利益面におきましてはリソースの適正化ならびにデジタル技術を活用した分散型業務遂行の推進(移動や会議にかかるコスト抑制)により、営業利益は1,174百万円(同22.5%増)、投資事業組合への出資における運用益ならびに投資有価証券売却益での増益により、経常利益は1,295百万円(同32.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は844百万円(同60.7%増)となりました。

連結業績
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事業区分別の概況

事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

売上高
前期比 %増
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(単位:

運輸業における宅配便事業会社向けシステム構築案件の拡大および教育事業会社向けシステム構築案件の拡大等により、売上高前期比0.9%増、売上総利益は前期比15.8%増となりました。

売上高
前期比 %減
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(単位:

流通業におけるアウトソーシング案件の規模縮小により、売上高は前期比9.2%減、売上総利益は前期比4.3%減となりました。

売上高
前期比 %増
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(単位:

コンサルティング案件の拡大、大手商社向け案件への新規参画による拡大および官公庁向け案件の拡大等により、売上高は前期比10.9%増、売上総利益は前期比21.9%増となりました。

所在地別のセグメントの業績については、CUBE SYSTEM VIETNAM CO.,LTD.、上海求歩信息系統有限公司を連結の範囲に含めておりますが、当連結会計年度において本邦の売上高が、全セグメントの売上高の合計に占める割合の90%超であるため、所在地別セグメント情報の記載を省略しております。

設備投資の状況

特記すべき事項はありません。

資金調達の状況

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引金融機関と総額2,500百万円の当座貸越契約および貸出コミットメント契約を締結しております。

事業の譲渡、吸収分割または新設分割の状況

該当事項はありません。

他の会社の事業の譲受けの状況

該当事項はありません。

吸収合併または吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況

該当事項はありません。

他の会社の株式その他の持分または新株予約権等の取得または処分の状況

該当事項はありません。

対処すべき課題

今日の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中で、持ち直しの動きがみられるものの依然として先行きは不透明かつ厳しい状況にあります。このような状況の中、業種によっては機会を捉え積極的なICT投資や業態の変革により事業拡大を図る企業もあり二極化が進んでいます。

当社グループにおいては、中長期経営ビジョン《VISION2026》の初年度を迎え、計画達成にあたり事業拡大、収益性の改善、人材価値の向上、品質向上、ガバナンス体制の強化が課題と捉えております。

重点施策

1)事業拡大と収益性の向上

ICT投資において、データとデジタル技術(クラウド、AI、IoT等)を活用し、業務や企業運営のモデル自体を変革することで競争上の優位性の確立や生産性の向上を推進する、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、DX)への投資が目立っております。

当社においては、2016年度から積極的な研究開発投資を行い、AIやブロックチェーン、クラウドサービス等の技術を強みに転化させ、新たなデジタル技術を有するパートナー企業との業務提携等により、サービスメニューの充実や事業化に向けた取り組みを推進してまいりました。

これまでの強みと実績を基に、《VISION 2026》ではデジタルビジネス、SIビジネス、エンハンスビジネスの3つを事業の軸として推進してまいります。特にデジタルビジネスでは、システムコンサル事業や当社発の製品開発を目的に、DXビジネスの推進や、継続した積極的技術投資を行ってまいります。SIビジネスにおいては、レガシー環境をクラウド環境に移行する(Lift)と新たな方法論を確立する(Shift)によるLift&Shiftモデルを確立します。マルチクラウド、マイクロサービスにおけるSIer/メーカーとの協業ビジネスの拡大、クラウドベンダーとの共創促進による特化技術の確立とエンドユーザービジネスの拡大を行ってまいります。エンハンスビジネスでは、これまでも進めてきた高生産性、高収益性の実現に向けた取り組みを一層加速してまいります。

2)人材価値の向上

エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力強化、差別化に直結するため、システムエンジニアの継続的なスキルアップや社員の健康、働き方改革は重要な経営課題と捉えております。技術力強化に向けた研修プログラムの充実に加え、先進的な技術を取り入れたPJの推進等による成長機会の創出や、研究開発によるエンジニアリング力の向上に努めてまいります。

また、事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材を育成するため、人員配置も含め社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時にフォロー・サポートのサイクルを確立し、実施してまいります。

今期においては引き続きオンラインでの新卒・中途採用の強化を継続するとともに、人材価値の向上を目的に、事業成長を推進する人材育成の立案および実行を行ってまいります。また、人材開発会議を通じて、当社のあるべき人材像への成長のスピードアップを図り、高付加価値サービスを担う人的リソースを確保いたします。

3)品質向上の取り組み

当社の属する業界においては、予期せぬ不採算案件の発生による収益性の低下が懸念されます。システム開発会議により、見積もり・提案時のみならず、重要度の高いプロジェクトに対しては、全社横断的に工程毎のプロジェクトの状況把握・確認、次工程判定等のプロセスを経て全社に影響を及ぼすプロジェクトリスクを共有し、対策を講じております。今後も継続的にプロセスの見直し、品質マネジメントシステムの改善を行い、不採算案件の低減に努めてまいります。

4)ガバナンス体制の整備

前述の重点施策の実施をはじめ、お客様に満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレートガバナンスの充実を重要課題と捉えております。経営の意思伝達プロセスが機能する体制の構築に努め、経営と執行の有機的な運営を行うことで、適切・適正な監督・モニタリングと意思決定の迅速化を図ります。また、事業戦略、人事戦略、コンプライアンス、セキュリティといった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めてまいります。

昨今の世界各地での新型コロナウイルス感染拡大のようなパンデミックや、その他災害への対策、地政学的リスク等を加味した事業継続プログラム(BCP)の再構築も進めていくことで、持続可能な運営の仕組みを構築してまいります。

5)サステナビリティ経営

当社グループは、社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、社員一人ひとりが事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値向上と社会課題解決の双方を実現するとともに、その基盤となる法令や企業倫理などのコンプライアンスを徹底し、社会や環境に負の影響を与えうる企業活動のリスク軽減に取り組んでいくことを基本方針としております。

この基本方針と経営理念に基づいて、これまで培ってきた強固な「財務資本」と多様な「非財務資本」を活用し、ビジョン実現に向けて事業活動を推進することで持続的な社会の発展に貢献し、企業価値向上を図る仕組みが価値創造モデルとなります。

社会課題の解決やSDGsの達成にあたっては、ステークホルダーとの対話によって、当社自らが課題を発見し取り組む直接的な価値提供と、お客様に提供する高付加価値サービスを通じて寄与する間接的な社会還元があります。いずれも、ステークホルダーの声を経営に活かしていくことで、価値創造モデルを循環させ、持続的な成長を実現します。

当社グループは、これからもステークホルダーとの対話を通じ、ビジョンを実現するための成長戦略を描いてまいります。

(ご参考)

サステナビリティ経営について(価値創造プロセス)

当社グループは、より良い未来に向けて、社員一人ひとりが事業を通じて社会に貢献し、企業価値向上を目指しています。
価値創造プロセスは、経営理念にもとづいて、これまで培ってきた経営資源を活用し、ビジョン実現に向けて事業活動を推進することで持続的な社会の発展に貢献し、企業価値向上を図る仕組みです。

連結計算書類