事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等による経済社会活動の抑制が続きましたが、ワクチンや治療薬の開発が進み感染症への懸念が和らぐ中で、経済社会活動の制限が緩和され、景気回復へと向かう動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢を契機とする資源価格の上昇や急激な円安等、先行きは不透明な状況が続いております。

このような状況の中、業種・企業によっては機会と捉え積極的な投資や業態の変革により事業拡大を図る等、二極化の傾向が依然として続きました。企業の情報化投資においては、デジタル庁設立に後押しされ、企業規模に関わらずDXを中心とした需要が継続的に伸びており、IT投資が更に拡大する傾向にあります。その結果、当社の属する情報サービス産業では、営業・販売活動のデジタル化への取り組みや、それらを支援する新たなネットワークサービスの開発などに加え、AI・IoT技術を活用したシステムインテグレーションおよび管理運営受託が堅調に推移しております。しかしながら、デジタル人材の供給面に目を向けると、慢性的なシステム/ネットワークエンジニアの不足が拡大しております。

当社グループにおきましては、このような環境下で、デジタル人材の育成に努めるとともに人的リソースの再配置等を機動的に進めることによって、運送事業会社ならびに通信会社向けシステム構築案件での受注が拡大し、当連結会計年度における売上高は16,099百万円(前期比8.9%増)と堅調に推移いたしました。また、利益面におきましては事業構造モデルの改革に向けたSIビジネス(Lift&Shift※)へのリソースの集約化による高収益化および既存マーケットからの派生開発案件の拡大により、営業利益は1,417百万円(同20.7%増)、経常利益は1,432百万円(同10.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は944百万円(同11.9%増)となりました。

※レガシー環境をクラウド環境へ移行(Lift)し、クラウド環境に最適化しながらシステム再構築を段階的に進めていく(Shift)こと

連結業績
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事業区分別の概況

事業の品目別の業績を示すと次のとおりであります。

売上高
前期比 %増
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(単位:

運輸業における運送事業会社向けシステム構築案件の拡大および流通業における総合スーパー向けシステム構築案件の拡大等により、売上高は前期比13.6%増、営業利益は前期比24.9%増となりました。

売上高
前期比 %減
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(単位:

金融業におけるカード会社向けシステム構築案件の縮小等により、売上高は前期比15.8%減、営業利益は前期比4.0%増となりました。

売上高
前期比 %増
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(単位:

通信業における通信会社向けシステム構築案件の拡大等により、売上高は前期比10.7%増、営業利益は前期比14.4%増となりました。

所在地別のセグメントの業績は、CUBE SYSTEM VIETNAM CO.,LTD.、上海求歩信息系統有限公司を連結の範囲に含めておりますが、当連結会計年度における本邦の売上高が、全セグメントの売上高の合計に占める割合の90%超であるため、所在地別セグメント情報の記載を省略しております。

設備投資の状況

特記すべき事項はありません。

資金調達の状況

当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引金融機関と総額2,300百万円の当座貸越契約および貸出コミットメント契約を締結しております。

事業の譲渡、吸収分割または新設分割の状況

該当事項はありません。

他の会社の事業の譲受けの状況

該当事項はありません。

吸収合併または吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況

該当事項はありません。

他の会社の株式その他の持分または新株予約権等の取得または処分の状況

該当事項はありません。

対処すべき課題

今日の日本経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の開発が進み、経済社会活動の制限が緩和され景気回復へと向かう動きが見られたものの、ウクライナ情勢を契機とする資源価格の上昇や急激な円安等、先行きは不透明かつ厳しい状況にあります。このような状況の中、業種・企業によっては機会と捉え積極的な投資や業態の変革により事業拡大を図る企業もあり二極化の傾向が依然として続いています。

このような環境も踏まえ、当社グループにおいては、中長期経営ビジョン《VISION2026》の計画達成にあたり次の5つの課題を重要と考え、対応してまいります。

重点施策

1)事業拡大と収益性の向上

ICT投資では、データとデジタル技術(クラウド、AI、IoT等)を活用し、業務や企業運営のモデル自体を変革することで競争上の優位性を確立したり、生産性を向上したりする、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、DX)への投資が依然として堅調です。

当社においては、積極的な研究開発投資を行い、AIやブロックチェーン、クラウドサービス等の技術を強みに転化させ、新たなデジタル技術を有するパートナー企業との業務提携等により、サービスメニューの充実や事業化に向けた取り組みを推進してまいりました。

また、これまでの強みと実績を基に、《VISION 2026》ではデジタルビジネス、SIビジネス、エンハンスビジネスの3つを事業の軸として推進し、収益性の高い領域の見極め、選択と集中を行うことで事業拡大と収益性の向上に努めてまいりました。今後においてもデジタルビジネスでは、システムコンサル事業や当社発の製品開発を目的に、DXビジネスの推進や、積極的に継続した技術投資を行ってまいります。SIビジネスにおいては、レガシー環境をクラウド環境に移行する(Lift)と新たな方法論を確立する(Shift)によるLift&Shiftモデルを確立します。マルチクラウド、マイクロサービスにおけるSIer/メーカーとの協業ビジネスの拡大、クラウドベンダーとの共創促進による特化技術の確立とエンドユーザービジネスの拡大を行ってまいります。エンハンスビジネスでは、これまでも進めてきた高生産性、高収益性の実現に向けた取り組みを一層加速してまいります。

2)人材価値の向上

エンジニアリングのスキルは当社グループの競争力強化、差別化に直結するため、システムエンジニアの継続的なスキルアップや社員の健康、働き方改革は重要な経営課題と捉えております。技術力強化に向けた研修プログラムの充実に加え、先進的な技術を取り入れたPJの推進等による成長機会の創出や、研究開発によるエンジニアリング力の向上に努めてまいります。

また、事業展開を推し進める中核人材の育成に加え、女性社員の活躍推進やグローバルで活躍できる人材を育成するため、人員配置も含め社員が果敢にチャレンジできる機会を創出すると同時にフォロー・サポートのサイクルを確立し、実施してまいります。

今期においては引き続き新卒・中途採用の強化を継続するとともに、人材価値の向上を目的に、キャリアフィールドの整備やスキルの可視化を行い、事業成長を推進する人材育成を立案し、実行してまいります。また、人材開発会議を通じて、当社のあるべき人材像を見極めて成長のスピードアップを図り、高付加価値サービスを担う人的リソースを確保いたします。

3)品質向上の取り組み

当社の主要サービスであるシステム開発業務では、予期せぬ不採算案件の発生による収益性の低下リスクが懸念されます。これを回避するためシステム開発会議を設け、見積もり・提案時のみならず、重要度の高いプロジェクトに対しては、全社横断的に工程毎のプロジェクトの状況把握・確認、次工程判定等のプロセスを経て全社に影響を及ぼすプロジェクトリスクを共有し、対策を講じております。今後も継続的にプロセスの見直しや品質マネジメントシステムの改善により品質を確保し、顧客満足を向上することで不採算案件の低減に努めてまいります。

4)ガバナンス体制の整備

前述の重点施策の実施をはじめ、お客様に満足いただけるソリューション・サービスを提供し続けるために、公正かつ効率的な経営に取り組むべく、コーポレートガバナンスの充実を重要課題と捉えております。会社の意思決定や伝達プロセスが有効かつ効率的に機能する体制の構築に努め、適切・適正な監督・モニタリングと意思決定の適正化・迅速化を図ることで、経営の実効性を高めております。また、事業戦略、人事戦略、コンプライアンス、セキュリティといった経営リスクに対しての報告を強化し、対策について議論検討を進めてまいります。

パンデミックや、その他災害への対策、地政学的リスク等を加味した事業継続プログラム(BCP)の改善も進めていくことで、持続可能な運営に努めてまいります。

5)サステナビリティ経営

当社グループは、社員一人ひとりが社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値向上と社会課題解決の双方の実現を目指しております。また、その基盤となる法令や企業倫理などのコンプライアンスを徹底し、社会や環境に負の影響を与えうる企業活動のリスク軽減に取り組んでおります。

この方針に基づいて、これまで培ってきた強固な「財務資本」と多様な「非財務資本」を活用し、ビジョン実現に向けた事業活動を通じて持続的な社会の発展に貢献し、企業価値向上を図る仕組みを価値創造モデルとしています。

さらに、社会課題の解決やSDGsの達成にあたっては、ステークホルダーとの対話によって、当社自らが課題を発見し解決策を直接提供する方式と、お客様への高付加価値サービスを通じて寄与する間接的な社会還元があります。いずれも、ステークホルダーの声を経営に活かしていくことで、価値創造モデルを循環させ、持続的な成長を実現します。

当社グループは、これからもステークホルダーとの対話を通じ、ビジョンを実現するための成長戦略を描いてまいります。

(ご参考)

サステナビリティ経営・価値創造モデル

連結計算書類