第22期事業報告(2020年12月1日から2021年11月30日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

全般的概況

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスワクチン接種の推進等により新規感染者数は大幅に減少しており、2021年9月末には緊急事態宣言が解除されるなど経済活動の改善に向けた動きがみられました。その一方で変異株の脅威など感染症再拡大のリスクが残っており、未だ先行きが不透明な状況が続く可能性があります。

そのような中、当社グループは、領域の異なる事業を複数展開するポートフォリオ経営を推進したことにより、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑え、売上・利益ともに過去最高を更新しました。

人材アウトソーシングサービスでは、コールセンター業務が業績をけん引しました。同業務については、派遣サービスではスポット案件が好調だったほか、受託案件の受注も伸びました。障がい者雇用支援サービスにおいては、法定雇用率の引き上げ等の影響もあり、営業活動が非常に好調に推移しました。その結果、設備販売は、期初計画を大幅に上回るとともに、過去最高も大きく更新することができました。また、環境経営支援サービス、広域行政BPOサービスなどの新規事業も順調な立ち上がりを見せました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は24,862百万円(前連結会計年度比18.3%増)、営業利益は2,668百万円(前連結会計年度比19.6%増)、経常利益は2,673百万円(前連結会計年度比19.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,881百万円(前連結会計年度比19.0%増)といずれも過去最高を更新いたしました。

事業別概況

当連結会計年度のセグメント業績(セグメント間内部取引消去前)は以下のとおりであります。

売上高
前期比 %増
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事業別売上高
構成比率
%

(単位:

[事業概要]

ビジネスソリューション事業では、シニアや障がい者など潜在労働力の活用を支援するサービスや、企業の業務の一部を受託するアウトソーシングサービスを提供しています。前者においては、株式会社エスプールプラスが、障がい者の就労に適した農園を企業に貸し出し、主に知的障がい者の採用から定着化までをワンストップで支援するサービスを行っています。株式会社エスプールでは、様々な経験やノウハウを有するシニアを企業の経営課題や業務課題の解決に役立てるプロフェッショナル人材サービスを提供しています。

後者のアウトソーシングサービスでは、株式会社エスプールロジスティクスが、通販商品の発送を代行する物流サービスを行っています。株式会社エスプールリンクでは、アルバイトやパートの求人応募の受付を代行する採用支援サービスを提供しており、株式会社エスプールセールスサポートでは、対面型の会員獲得業務や販売促進業務を行っています。ブルードットグリーン株式会社は、CO2の排出量算出やカーボンオフセット仲介など環境経営の支援に関するサービスを提供しており、2020年6月に子会社となりました。また、株式会社エスプールでは、隣接する複数の自治体の行政業務を一括で受託する広域行政のBPOサービスを2021年6月から開始しました。

[当連結会計年度の経営成績]

主力事業である障がい者雇用支援サービスにおいては、2021年3月の法定雇用率の引き上げにより、企業の障がい者雇用に対する意識が一段と高まっており、営業活動が好調に推移しました。設備販売については、期初計画(1,035区画)を大幅に上回る1,188区画となり、前期に達成した過去最高の販売数(936区画)も大きく更新することができました。また、農園の開設も当初の予定から1増となる7施設となり、累計では30施設まで拡大しました。ロジスティクスアウトソーシングサービスについては、売上は堅調に推移したものの、品川センターの収益が一時的に悪化したことにより減益となりました。なお、同センターの収益改善は完了しており、現在は平時の水準まで回復が進んでおります。環境経営支援サービスにおいては、新たに開始した環境情報開示のコンサルティング業務が大きく伸びたことで、売上・利益ともに大幅増となりました。また、第3四半期より開始した広域行政BPOサービスは、3つの広域自治体の業務を受注し、順調な立ち上がりとなりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は7,696百万円(前連結会計年度比32.1%増)、営業利益は2,121百万円(前連結会計年度比31.0%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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事業別売上高
構成比率
%

(単位:

[事業概要]

人材ソリューション事業は、人材派遣サービスを主力とする株式会社エスプールヒューマンソリューションズが提供するサービスで、コールセンター等のオフィスサポート業務と、スマートフォンや家電製品等の店頭販売支援業務に関する人材サービスを展開しています。サービスの特徴は、フィールドコンサルタント(FC)と呼ばれる同社の従業員と派遣スタッフをチームで派遣する「グループ型派遣」の形態を採用している点になります。派遣先に配置されたFCが、現場で派遣スタッフを手厚くフォローすることで、未経験者を短期間で育成できるだけでなく定着率の向上にもつながり、顧客満足度の向上とシェア拡大に寄与しています。また、最近では、受託業務の受注にも注力しており、当連結会計年度に自社コールセンターを3施設開設しました。

[当連結会計年度の経営成績]

主力のコールセンター業務については、主要顧客を中心にグループ型派遣が好調を維持しました。第2四半期以降、新型コロナウイルス感染症対策に関連したスポット案件が増えており、売上増に大きく寄与しました。また、自社コールセンターを東京と福岡に3施設開設したことで、受託案件の獲得も進みました。一方、販売支援業務については、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、緊急事態宣言解除後も人材需要の回復は鈍く苦戦が続きました。地域別では、コールセンターのスポット案件が集中した東京や大阪など大都市エリアが高い伸びを示しました。損益面では、派遣スタッフの継続率の向上により社会保険料などの売上原価が上昇しましたが、売上増による利益増に加え、効率的な支店運営に努めたことにより増益を達成しました。

その結果、当連結会計年度の売上高は17,234百万円(前連結会計年度比13.0%増)、営業利益は1,910百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。

対処すべき課題

当社グループは、ソーシャルビジネスを通じて新たな価値を提供することで、社会的価値と経済的価値の両立の実現することを中期的なビジョンとしております。また、高い収益性を確保することで、持続的成長に向けた投資と株主の皆さまへの安定的な還元を両立することを目指しております。また、経営面では、環境変化に強い企業グループを目指すポートフォリオ経営を基本戦略とし、以下の3点を重点戦略として定めております。

・既存事業の深掘りによるオーガニック成長の継続

・新たな事業領域における成長機会の獲得

・ESGを軸とした経営基盤の強化

当社グループは、持続的な成長を実現していくために、以下5点を対処すべき課題として認識しております。

①既存事業の継続的な発展

当社グループは、持続的な成長を実現するには、既存事業の継続的な発展による安定的な収益基盤を構築することが重要であると考えています。根幹となる既存事業においては、現在の事業領域で継続的な収益を確保しつつ、派生事業の開発に取り組むことで収益構造の多様化を進めてまいります。また、長期的視点での成長を確実なものとするために、既存サービスの継続的な改善及び高付加価値化によって競争優位性を着実に高め、お客様との強固な関係の構築に取り組んでまいります。

②主力事業への依存度の軽減

当社グループの営業利益の構成比は、人材派遣サービスと障がい者雇用支援サービスの主力2事業で93.3%を占めております。今後の事業を取り巻く環境の変化等により、主力事業の売上が急減した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があることから、新たな収益の柱の構築が急務であると認識しております。具体的には、ロジスティクスアウトソーシングサービス並びに採用支援サービスなど既存事業のより一層の推進を図るとともに、今後の市場拡大が期待できる自治体向けのBPOサービス領域や環境ビジネス領域など新たな事業領域での成長機会の獲得を目指してまいります。

③DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

新型コロナウイルス感染症対策をきっかけとして私たちの生活や経済活動はオンラインを前提とした業務への移行が進んでいます。また、ダイバーシティ推進の側面からも、多様な働き方を支える環境構築には優れたITシステムの整備が必須となっています。こうした環境変化に対応するため、当社グループでは、DXに対応したITやデジタル技術、蓄積データの活用を推進することで、業務の効率化、生産性の向上、営業力の強化を図り、より一層の競争力向上を実現してまいります。

④社会感度の高い人材の採用・育成

「社員の成長が会社の成長につながる」という方針のもと、当社グループのビジョンに共鳴する優秀な人材を採用し育成を続けることが重要であると考えております。ソーシャルビジネスの推進に必要な資質、具体的には社会変化や課題を敏感に察知し、主体的に解決に取り組むことのできる人材の採用を積極的に進めるとともに、若手リーダーの育成にも注力してまいります。

⑤ダイバーシティの推進

当社グループは、女性をはじめとする多様な人材が長期的に活躍することで企業の競争力を高めることを目指しております。全ての従業員が長く安心して働くことができるように、各グループ会社の特性に合わせた人事制度の導入、新卒育成プログラムに基づくジョブローテーションの実施など退職抑制のための取り組み、従業員持株会の奨励金100%付与(積立金額に対して同額の奨励金を会社から支給)、ブーメラン制度(退職した従業員の出戻り制度)の活用など、環境整備に注力しております。

連結計算書類