株主の皆様へ

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、当社第154回定時株主総会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。

新型コロナウイルスによる感染がグローバルレベルで拡大し、人々の安心・安全な生活が脅かされ、その収束に向けた厳しい対策は、結果として、社会の大きな混乱と経済活動の急激な落ち込みを招いています。私たち、帝人グループは、こうした危機的な社会状況のなか、ステークホルダーの皆様の安全を守ることを最優先とした事業活動を継続しています。また同時に、私たちの製品・サービス・ノウハウを最大限に活用して、この感染症の克服への活動に積極的に取り組むことで社会の早期回復に貢献するとともに、中長期での持続可能な社会の実現に向けた「未来の社会を支える会社」になるという長期ビジョン実現への歩みを、ゆるめることなく進めてまいります。

2019年度を最終年度とする3か年の前中期経営計画では、地球レベルでの社会的課題と、帝人グループの有する力の交わる所として、地球を支える「環境価値ソリューション」、社会を支える「安心・安全・防災ソリューション」、人を支える「少子高齢化・健康志向ソリューション」の、3つのソリューション提供領域を、目指すべきビジネス領域と定め、様々な活動や投資を実行してまいりました。最終年度の経営指標目標のうちROE、EBITDAは、発展戦略の拡大・収益化の遅れや外部経済環境の悪化により、目標未達となりましたが、戦略的方向性の確かさや、取り組むべき課題、さらなる投資を行うべき重点分野は明確になりました。

こうした成果を踏まえ、今年2月に公表した新たな中期経営計画 2020-2022「ALWAYS EVOLVING」では、SDGsが示すグローバルな社会課題への取り組みの成果や、ありたいポートフォリオの2030年での姿をイメージしたうえで、今後3年間を持続的成長に向けた「成長基盤確立期」と位置づけ、「成長機会の創出」、「環境負荷を中心としたリスク低減」、「イノベーション創出を可能とする経営基盤の強化」に向けて具体的な施策を着実に実施していきます。

帝人グループは、リーマンショック以降の事業構造改革と成長・発展戦略の推進を経て、マテリアル系とヘルスケア系の2大事業領域がほぼ均等に収益貢献し、それに高収益のIT事業が加わる、バランスの取れた、かつ危機時のリスク耐性の強い企業体になりました。新型コロナウイルスによるパンデミックという未曽有の事態の中、中期経営計画のスタートの年である2020年度は、マテリアル領域での短期的な収益の落ち込みを想定していますが、ヘルスケアやIT事業領域における影響は限定的です。不急の支出の見直しやサプライチェーン維持のための施策をすすめることで、収益性と財務体質の悪化を最小限にとどめ、社会的責任を果たし続けながら、一方で中長期での目標を見据えた先行的な資源投入も、経済情勢を見定めながら継続して実施します。

帝人グループは2018年に創立100周年を迎えました。今後も、たゆまぬ努力と挑戦を続け、3つのソリューションを提供することで、次の100年も「未来の社会を支える会社」であり続けることを目指してまいります。

株主の皆様には、変わらぬご理解とご支援をお願い申し上げます。

2020年5月28日
大阪市北区中之島三丁目2番4号

代表取締役社長執行役員