事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過および成果

新型コロナウイルス感染症の脅威にさらされることで社会活動が一変し、企業活動もテレワーク(在宅勤務)を前提とした働き方へ一気に変容するなどニューノーマル(新常態)に突入しています。多くの企業において数々のクラウドサービスを活動基盤として徹底活用するなど、ITによる変革“デジタルトランスフォーメーション”が進行しており、従業員のサイバーセキュリティを含めたデジタル活用力、いわゆるデジタル力(デジ力)向上も経営課題として捉えられてきています。今後もこれらに対応するIT投資は堅調に推移し、ますますデジタルを活用する社会に変容していくものと推測されます。

昨年4月に発出された政府による緊急事態宣言を受けて、その場しのぎでテレワークの導入を進めた企業も多々見られましたが、長引く感染症対策のもと、宣言解除後も多くの企業で事業継続対策としてテレワークの併用は必須と捉え、安全かつ継続的に利用できる環境を定着させる必要性に迫られています。さらに、今後のデジタル社会を睨んだ各国の覇権争いや組織犯罪に関連したと見られるサイバー攻撃も増大しており、セキュリティ対策への重要性は一層高まっていくものと考えています。

当社では、前期に働き方改革の一環として社内IT変革を実施していたことで、新型コロナウイルス感染症の脅威が増していた昨年2月以降、事業継続上の観点からテレワーク中心の勤務形態に迅速に移行することができました。昨年の政府による緊急事態宣言後もテレワークを最大限に活用し、事業に大きな影響なく企業活動を継続しております。一方で、特に第1四半期にお客様の企業活動の停滞等により営業・受注活動に制約を受け、想定より収益が落ち込む事業部門もあり、また今年1月には再び緊急事態宣言が発出されるなど、事業環境は依然として予断を許さない状況が続いています。

このような状況下、第1四半期での落ち込みはあったものの、期末にかけてセキュリティ対策サービスの需要が拡大したことにより、セキュリティソリューションサービス事業(SSS事業)はコンサルティングや診断等のサービス売上が伸長するとともに製品販売が拡大したことによって増収となり、システムインテグレーションサービス事業(SIS事業)もソリューションサービスや開発サービス等の拡大で増収となったことにより、当連結会計年度の売上高は43,693百万円(前期比8.0%増)となりました。利益面では、SSS事業における人員体制強化や業務効率改善のための社内ITシステム刷新等の投資、在宅勤務等の負担に対する全社員への特別支援一時金の支給などがあったものの、営業利益は2,117百万円(同19.8%増)、経常利益は2,242百万円(同19.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、長期滞留仕掛品評価損を特別損失として計上したことなどにより、304百万円(同72.1%減)となりました。

事業区分別の概況

当連結会計年度の事業別の状況は、次のとおりであります。

売上高
前期比 %増
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<主要な事業内容>

情報セキュリティ対策の策定・導入・運用支援、サイバー攻撃緊急対応、セキュリティ構築・運用監視、セキュリティ診断および情報セキュリティ教育等のサービス、ならびにセキュリティ関連商品の販売とその保守サービスの提供

セキュリティ診断サービスは、第1四半期はお客様のシステム開発延期等の影響を受け前年同期比で減収となりましたが、第2四半期以降、Webアプリケーション診断やプラットフォーム診断の受注が伸長したこと、またIoTセキュリティ診断サービス等の新サービスの拡大もあり、売上高は2,651百万円(同13.7%増)となりました。

セキュリティ運用監視サービスは、中部地域大手製造業グループ向けなどの運用監視サービスの売上が拡大したことにより、売上高は5,993百万円(同4.1%増)となりました。

セキュリティ製品販売は、サービス妨害型攻撃にも対応したWebセキュリティ対策をはじめとするクラウド対応製品などが拡大したことにより、売上高は5,063百万円(同31.7%増)となりました。

セキュリティ保守サービスは、既存案件の更新等により、売上高は1,441百万円(同5.6%増)となりました。

この結果、SSS事業の売上高は18,659百万円(同13.5%増)、セグメント利益は人員増強などの体制強化を推進しながらも2,541百万円(同4.2%増)となりました。

売上高
前期比 %増
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<主要な事業内容>

情報システムに関するコンサルティングサービスおよび情報システムの設計、開発・構築、運用・保守サービス、ならびに関連商品の販売およびその保守サービス等の提供

主力ビジネスである開発サービスは、銀行や保険など金融業向け案件が減少したものの、公共および情報サービス業向けなどの案件が伸長したことにより、売上高は15,316百万円(前期比0.2%増)となりました。

HW/SW販売は、クラウドサービスの拡大等により需要は縮小しているものの、更新案件の獲得等により、売上高は2,641百万円(同3.1%増)となりました。

IT保守サービスは、前期のHW/SW販売が堅調に推移し契約更新案件が増加したことにより、売上高は4,818百万円(同3.2%増)となりました。

ソリューションサービスは、テレワーク需要に対応したリモート接続ソリューションやマルチクラウドにおける開発管理ソリューションの販売拡大等により、売上高は2,257百万円(同50.2%増)となりました。

この結果、SIS事業の売上高は25,033百万円(同4.2%増)、セグメント利益は開発サービスの管理体制強化等により収益性が改善し、3,172百万円(同9.2%増)となりました。

直前3事業年度の損益の状況

対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症による不透明な状況が続くなか、私たちは新たな社会・経済環境に順応していくことが求められています。このような環境の変革に伴ってITの利活用は加速しており、デジタル技術の活用によって新たな価値を生み出す社会様式の転換、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション」は必須になっていくものと推測しています。さらに、デジタル基盤を脅かすサイバー攻撃への影響が一層増すなかで、これらを支えるサイバーセキュリティ対策も必須になると想定しています。

さらに、変革によって「パラダイムシフト」が起きており、新たなビジネスの芽が生まれています。当社グループが進化し続け、成長するためには「耐久力」「適応力」「デジタル活用力」が重要と考えており、デジタル社会をリードするべく、この3つのキーワードを軸に「スピード」をもって「挑み」続けます。

「耐久力」

従来からの商材による事業を基幹事業と定義。提案力・受注力を強化し、収益力強化に注力することで、新常態へ適応できるだけの体力を備えます。

「適応力」

環境変化は常に成長の機会と捉え、イノベーションを通じて進化し成長することに果敢に挑みます。

「デジタル活用力(デジ力)」

デジタル技術を徹底活用して、事業や業務を変革し新たな価値を生み出します。

連結計算書類