事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

経営の基本方針

経営理念および行動準則

積水化学グループは、経営に対する理念を体系化しています。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されています。

(1) 社是「3S精神」

当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、「水」という文字をかたどったものです。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定しました。

「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、約2万7千名の全社員の間で、しっかりと共有されています。

<社是「3S精神」>

Service :企業活動を通じて社会的価値を創造する

Speed :積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する

Superiority :際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する

(2) グループビジョン

積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通して社会に貢献することを目指しています。

地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指しています。

<グループビジョン>

積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。

(3) 積水化学グループ 企業行動指針

積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指しています。

<企業行動指針>

1. 社会の発展に役立つ事業活動を行う。

2. 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。

3. お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。

4. あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。

5. よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。

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グループビジョンを実現するための経営戦略

積水化学グループは、社是「3S精神」の下、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪として成長していくため、新たな長期ビジョン「VISION 2030」、ならびに2020年度から2022年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Drive 2022」を策定し、以下の取り組みを推進しています。

(1) 長期ビジョン「VISION 2030」

長期ビジョン「VISION 2030」では、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げています。レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つの事業領域を設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙います。

<長期ビジョンの全体像>

(2) 中期経営計画「Drive 2022」

<中期経営計画「Drive 2022」の全体像>

長期ビジョンに基づいて策定した新しい中期経営計画「Drive 2022」では、積水化学グループの業容倍増に向け、持続可能な「成長」「改革」「仕込み」にドライブをかけることを基本方針とし、①成長と改革、②長期への仕込み、③ESG基盤強化の3つの重点課題をESG経営の実践により、グローバルに加速します。

<中期経営計画の数値目標>

(注)

1.「純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」を表しています。

2.上記数値目標から新規M&A等は除いています。

<基本戦略>

中期経営計画「Drive 2022」の基本戦略は、ESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させることのできる企業体制の構築を追求すること、長期ビジョンの第一歩として①成長と改革②長期への仕込み③ESG基盤強化の3つの重点課題(Drive)に取り組むこと、さらに融合施策とデジタル変革により取り組みを加速させることにあります。

①成長と改革(現有事業Drive)

  • 成長戦略:全社売上高約900億円の増分を獲得する
  • 構造改革:全社営業利益率10%レベルの収益性を確保する
  • DX:推進体制を強化し、成長戦略・構造改革をサポートする

②長期への仕込み(新事業Drive)

各ドメインにおいて新領域の事業基盤を構築します。

  • アドバンストライフライン:BR(バイオリファイナリー)実証開発本格化
  • イノベーティブモビリティ:航空機分野参入・拡大
  • レジデンシャル:まちづくり事業拡大
  • ライフサイエンス:次なる柱の獲得

③ESG基盤の強化(経営基盤Drive)

  • 持続経営力の強化に向けたKPI(重要業績評価指標)として、ROIC(投下資本利益率)を導入
  • 資本効率向上と長期的な調達コスト低減により、持続経営力を高める
<投資・財務戦略>

中期経営計画「Drive 2022」の3年間に獲得するキャッシュに加え、適切かつ機動的な資金調達を行うため、投資枠5,000億円を設定します。戦略投資は前中期経営計画比2倍以上となる4,000億円に引き上げ、うち3,000億円をM&A投資枠として設定し、技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用します。また、環境負荷低減、働き方改革、デジタル変革など長期的に資本コストを抑制し、企業価値向上に寄与するESG投資枠400億円を新たに設定しました。

*ESG投資:長期的に資本コストを抑え込み、企業価値向上に寄与する先行投資(環境、働き方改革、DXなど)

<株主還元>

中期経営計画「Drive 2022」では、株主の皆様への「剰余金の配当等に関する基本方針」の内容を見直し、株主還元のコミットを強化・明確化しました。連結配当性向35%以上、総還元性向50%以上(D/Eレシオ(負債資本倍率)が0.5以下の場合)としつつ、DOE(自己資本配当率)3%以上を確保し、業績に応じ、かつ安定的な配当政策を実施いたします。

<ESG経営の強化>

中期経営計画「Drive 2022」では、ESG経営の実践を最重要課題に掲げています。積水化学グループが社会課題解決に貢献し利益ある成長を加速するために、これまでの「環境貢献製品」に代わる「サステナビリティ貢献製品制度」を導入します。さらに、ESG投資枠400億円を新たに設定し、重大インシデントにつながるリスク軽減に向けた取り組みの強化やDX(デジタル変革)・人材・環境など経営基盤への投資により、資本コストを抑制し、持続経営力を高めてまいります。

(3) 持続可能な開発目標(SDGs)の取り組み

気候変動などの社会課題が深刻化し、持続可能な社会の実現に貢献することを企業に求める声が高まってきていることを背景に、ESG(環境・社会・企業統治)の観点で企業を評価するESG投資が拡大しています。そんな中、積水化学グループは、社会の持続可能性向上への貢献と当社グループの利益ある成長をともに追求する「ESG経営」を2019年に打ち出しました。

グループビジョンの中で「世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献する」ことを掲げる企業として、積水化学グループはさまざまな製品や事業を通じて、持続可能な社会の実現のために2030年までに世界が成し遂げるべき「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた企業活動を推進しています。

中でも、自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった、地球および社会環境における課題解決への貢献度が高い製品を環境貢献製品と認定し、連結売上高に占める環境貢献製品比率を高めています。

TOPICS

「世界で最も持続可能性の高い100社」に選出

2020年1月、当社は、カナダのコーポレートナイツ社が選定する2020年版「世界で最も持続可能性の高い100社(2020 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World Index(以下Global 100))」に選出されました。選出は3年連続5度目となります。日本企業は当社を含め6社が選出され、当社は日本企業で最上位の12位にランクされました。

Global 100は、財務状況、環境、人事、安全などに関する21項目の活動指標に基づく指標で、当社は「クリーンレベニュー」「資源・廃棄物等の管理」「イノベーション能力」「安全」「従業員の定着率」などの項目で高い評価を受けました。

<社外からの主な評価>

(4) ダイバーシティ経営の取り組み

積水化学グループでは、2015年から推進しているダイバーシティ経営を加速するため、2018年に働き方改革、2019年に健康経営の活動を加えました。従業員一人一人の持ち味を活かすとともに、働きがい向上を図るため、全社をあげて活動に取り組んでいます。

①ダイバーシティ

多様な持ち味を活かすための組織風土づくり(職場ごとのボトムアップ活動と上司層のマネジメント教育)とともに、女性活躍、障がい者雇用に注力しています。

②働き方改革

生産性向上(設備投資やシステム導入の支援)や柔軟な働き方(リモートワーク、ペーパーレス)の推進を通じ、グループ従業員の労働時間削減を図っています。

③健康経営

健康管理(従業員のからだとこころの健康、組織の健康)を通じ、働きがい・やりがいの向上を図っています。2019年度は「健康宣言」と「健康経営基本方針」を新たに策定しました。

<積水化学グループ健康宣言>

積水化学グループは、「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、従業員の健康管理に取り組んできました。この取り組みをさらに一歩進め、従業員の健康推進を経営戦略としてとらえて、すべての従業員が、心身ともにそして社会的にも良好な状態であるWell-Beingであることを目指します。

TOPICS

「2019年度なでしこ銘柄」に選定

本年3月、当社は、女性の活躍を中長期的な企業価値向上につなげている企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「2019年度なでしこ銘柄」に選定されました。2016年度、2017年度に続き、3度目の選定となります。

100年経っても存在感のある企業グループであり続けるために、今後も一層のダイバーシティ推進に取り組んでまいります。

「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」に認定

当社は優良な健康経営を実践している企業を顕彰する経済産業省の「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)〜ホワイト500〜」に4年連続で認定されました(グループ会社28社を含む)。

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積水化学グループの現況に関する事項

事業の経過およびその成果、対処すべき課題

積水化学グループ2019年度の業績

中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の最終年度となる2019年度は、M&Aや戦略投資など「未来への成長投資」を着実に実行に移すとともに、新製品・新事業の創出や融合施策を推進し、量的成長を図りました。サプライチェーン全体のコスト革新や固定費削減などの「たゆまぬ構造改革」による質的転換を強化し、効果発現に向けグループ一丸となって取り組みました。このような中、環境・ライフラインカンパニーは社会課題の解決に貢献する重点拡大製品の販売が順調に推移し、営業利益は最高益を更新しました。

しかしながら、想定を上回るグローバル自動車市況の低迷や消費増税の影響に加え、第4四半期には新型コロナウイルス感染症の拡大により、モビリティ分野における顧客の稼働低下や住宅・リフォームの引き渡し遅延などが発現し、高機能プラスチックスカンパニー、住宅カンパニーは大きな影響を受けました。

その結果、売上高は前年度比1.2%減の1兆1,292億円、営業利益は8.3%減の877億円、経常利益は6.6%減の869億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比10.8%減の589億円となり、減収減益となりました。

2020年度の計画概要

2020年は、積水化学グループの長期ビジョン「VISION 2030」に基づき、新たに策定した中期経営計画「Drive 2022」のスタートとなる重要な年になります。

2020年度は、第1四半期は新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の経済活動が大幅に制約を受けるものの、第2四半期以降徐々に回復し、下半期には正常化すると想定しています。積水化学グループでは、下半期の需要回復に備えサプライチェーンの維持に努め、後ろ倒しとなった需要を着実に獲得することで下半期の増益を目指します。社会課題解決型の製品拡大に取り組み、下半期以降の需要獲得に向けた先行投資、将来の成長領域に向けた投資は継続して実行してまいります。さらに、サプライチェーン全体のコスト革新や事業構造改革を加速し、成長投資以外の固定費削減にも取り組みます。

これらの取り組みにより、売上高は1兆1,074億円、営業利益は700億円、経常利益は690億円、親会社株主に帰属する当期純利益は435億円を見込んでいます。

株主の皆様におかれましては、持続的な成長を目指す積水化学グループに、引き続き、厚いご支援を賜りますようお願いいたします。

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事業区分別の概況

住宅カンパニー

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住宅カンパニー2019年度の業績

消費増税の反動により建て替え需要や集合住宅の需要が減少する中、売上の平準化やリフォーム事業の収益体質強化を図り、売上は堅調に推移していましたが、第4四半期に新型コロナウイルス感染症の影響による引き渡し遅延が生じ、売上高は前年度比1.2%増の5,129億円、営業利益は前年度比3.1%減の377億円となりました。

新築住宅事業は、新商品「スマートパワーステーションアーバン」や「新・スマートパワーステーション」を中心にスマートハウスの拡販を図るとともに、体感型ショールームの全国展開を推進しました。また、販売用土地在庫の拡充により、分譲住宅を中心としたファーストバイヤー向け住宅の受注獲得に取り組みました。

リフォーム事業は、蓄電池を中心としたエネルギー自給自足の提案など戦略商材の拡販を図るとともに、ショールーム「ファミエスミュージアム」「ファミエスギャラリー」を展開しました。このような中、太陽光発電の余剰電力"買売"サービス「スマートハイムでんき」事業を開始しました。

2020年度の計画概要

2020年度は、消費増税の反動による需要減に加え、第1四半期は新型コロナウイルス感染症による受注の影響が予想され、営業減益となる見通しです。

新築住宅事業は、新型コロナウイルス感染症の収束後の回復期に向け、とくにファーストバイヤー層をターゲットにして、土地・建売在庫の増大と商品力の強化を推進します。営業人員やモデルハウスなどの体制強化に加え、Webマーケティング強化により集客の確保を図り、受注の増大を図ります。さらに、生産会社再編による売上の平準化と収益体質の強化、一層の構造改革に取り組みます。

リフォーム事業は、引き続き、蓄電池などによるエネルギー自給自足提案を強化するとともに、定期診断を中心とした顧客接点強化により重点商材の拡販を図ります。

TOPICS

『あさかリードタウン』を公開

「あさかリードタウン」の完成予想図

2019年10月、「あさかリードタウンお披露目式」を開催し、当社初の戸建分譲住宅、商業施設、集合住宅などの複合大規模タウン「あさかリードタウン」を公開いたしました。

積水化学グループの総力を結集したまちづくりとして、武蔵野の面影を残す自然環境と都心へのアクセスもよい朝霞の地に、朝霞市の協力のもと2018年5月に発表しました。「Safe&Sound(安心・安全で、環境にやさしく、サステナブルなまち)」をコンセプトに、地上には緑あふれる美しい街並みと生活の利便性を兼ね備え、地下にはグループの総合力を結集させ災害にも強い地下インフラを整備しています。子育て支援施設や高齢者施設の開設も予定しており、幅広い世代の方が安全かつ快適に生活できるハード、ソフトを提供し、サステナブルタウンの構築を目指します。

環境・ライフラインカンパニー

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環境・ライフラインカンパニー2019年度の業績

消費増税の反動による住宅着工数減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による工事遅延や設備投資停止などにより汎用品の販売が苦戦したものの、重点拡大製品の販売が順調に拡大したことにより、売上高は前年度並みの2,373億円となりました。一方、構造改革の推進や製品構成の改善が寄与し、営業利益は前年度比3.1%増の154億円となり、4期連続して最高益を更新しました。

配管・インフラ分野は、汎用品に加えてIT投資減少の影響を受けプラント管材が苦戦したものの、非住宅施設や公共インフラ向けに省人化、工期短縮に貢献する管材、下水道の更生工法向け資材の販売が順調に拡大し、売上高は前年度を上回りました。

建築・住環境分野は、集合住宅向け需要低迷の影響を受けたものの、集中豪雨対応の雨水高排水システムや介護・自立支援設備を拡販し、売上高は前年度並みを確保しました。

機能材料分野は、鉄道まくらぎ向け合成木材の海外での新規採用が拡大するとともに、成形用プラスチックシートにおいて医療向け用途が拡大しましたが、海外の航空機需要の急速な落ち込みの影響を受け、売上高は前年度を下回りました。

2020年度の計画概要

上半期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けますが、経営基盤の盤石化に向け一層の構造改革を推進するとともに、DX(デジタル変革)を活用した業務全般の効率化や生産の自動化推進など生産性改革に向けた施策に取り組みます。

配管・インフラ分野は、人手不足やインフラ老朽化など社会課題解決に資する製品・新製品を中心に拡販を図るとともに、住宅着工数減少や設備投資抑制などによる事業環境悪化には収益力強化と生産性改善活動の推進を徹底して対処します。

建築・住環境分野は、集中豪雨などの災害激甚化対応製品や介護向け製品の販売を拡大し、収益力強化を推進します。

機能材料分野は、事業基盤の整備を推進し、鉄道まくらぎ向け合成木材の採用拡大や成形用プラスチックシートの用途開拓を加速します。

TOPICS

「大型高排水システム」が「2019年度グッドデザイン賞」を受賞

「大型高排水システム」

2019年10月、当社の「大型高排水システム」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2019年度グッドデザイン賞」を受賞しました。

昨今頻発した集中豪雨により降雨強度が見直されたことで、雨水排水部材は大型化される傾向にあります。一方、建築現場では、原材料高騰、労働力不足などの問題が懸念されています。このような環境下で従来の配管設計の考え方を見直したこと、さらに専用部材を用いることで配管径を拡大せず排水効率を向上したことで多くの建築がその恩恵を得られた点などについて、高い評価をいただきました。

高機能プラスチックスカンパニー

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高機能プラスチックスカンパニー2019年度の業績

自動車関連を中心に海外市況の長期低迷を受け、サプライチェーン全体のコスト革新や原材料価格の低下に伴うスプレッド改善を推進したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う顧客の稼働低下の影響が大きく、売上高は前年度比5.5%減の3,224億円、営業利益は前年度比17.1%減の371億円となり、減収減益となりました。

エレクトロニクス分野は、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の市況の悪化により売上高は前年度を下回りましたが、5G向けの放熱材料や接合部材などの非液晶分野向けの拡販は堅調に進捗しました。

車輌・輸送分野は、欧州の自動車市況の回復遅れ、中国市場の減速、米国市場における自動車販売の停滞などグローバルでの市況低迷の長期化、さらに第4四半期の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う顧客の稼働率の大幅な低下により、売上高は前年度を下回りました。なお、モビリティ材料領域の業容拡大を図るため、「AIM Aerospace」グループの株式譲渡契約を2019年6月に締結、第3四半期末より「SEKISUI AEROSPACE CORPORATION」に社名を変更し、当社グループの連結子会社になりました。

住インフラ材分野は、耐火材料、不燃材料の拡販が順調に進捗し、売上高は前年度を上回りました。

産業分野は、消費増税などの影響および新型コロナウイルス感染症の影響に伴う需要の低下によりテープなど汎用品の販売が苦戦し、売上高は前年度を下回りました。

2020年度の計画概要

上半期は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けるため、減収減益となる見通しです。

エレクトロニクス分野は、東アジア市場での新型コロナウイルス感染症の収束を見込み、基板・半導体関連をはじめとする非液晶分野での拡販や新製品投入を加速します。

モビリティ分野は、新型コロナウイルス感染症の影響が極めて大きく収益は前年度を下回りますが、引き続き合わせガラス用中間膜の高機能品の採用部位の拡大などによるグローバルでの売上拡大、欧州工場の新ライン増設の効果発現を目指すとともに、放熱製品などを中心としたカーエレクトロニクス分野への展開加速を図ります。さらに、米国航空業界の状況に鑑み、SEKISUI AEROSPACEの収益力強化を図ります。

住インフラ材分野は、積水ソフランウイズとのシナジーによる不燃ウレタン事業の拡大推進を中心に耐火材料事業の展開加速を図るとともに、塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂や断熱材料などの販売拡大を図ります。

TOPICS

「AIM Aerospace グループ」の買収について

熱可塑/熱硬化CFRP部材

2019年6月、米航空機部品メーカーの「AIM Aerospace Corporation」(米国ワシントン州)とその子会社(以下、「AIM Aerospaceグループ」)の株式を保有する米国ファンド会社等と、AIM Aerospaceグループの全株式を譲り受ける株式譲渡契約を締結しました。

AIM Aerospaceグループは、航空機・ドローン向けの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など複合材成型品の製造・販売を行っています。同社グループの株式取得により、モビリティ材料領域の業容拡大と基礎技術の強化を図ります。

なお、2019年11月に同社グループの全株式取得を完了し、同年12月に「AIM Aerospace Corporation」は「SEKISUI AEROSPACE CORPORATION」へ社名を変更しました。

メディカル事業

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メディカル事業 2020年度の計画概要

2019年度は、検査事業を中心に欧米や中国での販売が拡大し、売上高は前年度比2.6%増の725億円となりました。一方、事業基盤と開発体制強化のための成長投資が先行する中で、新型コロナウイルス感染症の拡大による生活習慣関連病の外来検査減少の影響を受け、営業利益は前年度比4.4%減の92億円となりました。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により生活習慣関連病の外来検査減少が上半期業績に大きく影響するものの、下半期以降の回復に向けた事業基盤・開発体制の強化を継続し、増収増益を目指します。

R&D(研究開発)の取り組み事例

当社と住友化学、サーキュラーエコノミーの取り組みで協力

本年2月、当社と住友化学株式会社(以下「住友化学」)は、「ごみ」を原料としてポリオレフィンを製造する技術の社会実装に向け、協力関係を構築することを発表しました。

これは、「ごみ」をまるごとエタノールに変換する生産技術の開発に成功した当社と、ポリオレフィンの製造に関する技術・ノウハウを有する住友化学が協力することにより、「ごみ」をポリオレフィンにケミカルリサイクルするサーキュラーエコノミーの取り組みを推進するものです。

当社は、「ごみ」から得たエタノールを、住友化学はそのエタノールを原料としたポリオレフィンを、それぞれ2022年度から試験的に生産を開始し、2025年度の本格上市を目指します。

<「ごみ」を原料にしてポリオレフィンを製造>

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連結計算書類