事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1) 当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及びその成果

当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦など保護主義の拡大が世界貿易に影響し、経済が減速局面入りしたところで、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大しました。各国は感染拡大阻止のため入国制限や厳しい外出規制等をおこない、世界的な景気後退の恐れが強まっています。日本経済は、堅調な雇用環境の一方で、製造業の減速や消費増税により景気が減速し、四半期GDPはマイナスとなりました。

自動車市場は、米中貿易摩擦、新興国の減速などにより、世界の販売台数が前年割れとなりました。さらに1月からの新型コロナウイルスの感染拡大により、中国を皮切りに工場が操業停止となり、欧米では、3月下旬に操業停止となりました。アジア各国の自動車生産も3月下旬から一部操業停止となりました。日本は、新機種の立上り遅れや、海外部品の調達遅れなどのため、生産台数は前年を下回りました。

このような環境の中、当社グループは、自動車産業の大変革期にあって、サプライヤーとして得意先のニーズや市場の変化などを踏まえ、生き残りをかけ次の4つの重点項目に取り組んできました。

(1) 企業体質の向上:自動化・デジタル技術を活用した生産性と質の信頼の向上、

(2) 成長加速・売上利益の拡大:車1台分開発の加速と既存生産技術の更なる進化、

(3) 人財育成:次世代経営人財の育成、ミドルマネジメントの育成、成長分野の専門人財確保

(4) 社会貢献:気候変動やSDGsへの貢献

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、世界経済と自動車産業に深刻な打撃を与え、また、人々の価値観や行動様式に変化を及ぼしています。当社は、上記の重点項目に大きな修正はありませんが、ポストコロナに向けては、全グループ会社の財務体質の更なる強化、働き方の新スタイル導入による生産性向上、デジタル技術を活用した製造現場の自動化推進などにも取り組んでまいります。

当期業績は、得意先の生産台数の減少や新機種立上げの遅れにより、量産売上、型設備売上共に減少しました。売上高は228,253百万円(前年同期比10.7%減)となりました。利益につきましては、売上減少の影響及び労務費高騰などの固定費負担等により、営業利益は8,677百万円(前年同期比48.4%減)となりました。経常利益は8,744百万円(前年同期比49.8%減)となりました。親会社株主に属する当期純利益は、5,633百万円(前年同期比46.2%減)となりました。

◆ 報告セグメント別売上高
◆ 報告セグメント別営業利益又は損失(△)(億円)
◆ 製品別売上高

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(2) 対処すべき課題

当社グループが属する自動車産業は、「CASE&MaaS」という大変革期を迎えております。当社は、「情熱と革新を融合させ、人とクルマのより良い未来をかたちづくる」をビジョンに掲げ、開発から量産までを担う車体専門メーカーとなり環境と安全性で車づくりをリードする企業を目指しています。

CASE&MaaSの進展による当社の事業環境認識は、EV化とシェアリング拡大を通じて、自動車の価格の2極化が進むこと、OEMがCASE対応の開発負担が増加しサプライヤーの活用の機会が増えること、環境規制が軽量化ニーズを高めることなどです。当社は、これを受けて次の4項目を重点施策として推進しています。

① 企業体質の向上

生産性の向上のため、生産ラインの自動化を加速し、デジタル技術を活用した業務効率アップを行います。また、品質は顧客との信頼関係の基礎であり、カメラ映像や画像分析技術を活用した品質保証を進め、生産ライン内部での精度・品質検査の実現により、質の信頼性を向上します。

② 売上・利益の拡大

ジーテクト東京ラボに世界の拠点情報や欧州ESPの技術を集約し、車一台分開発能力を高め、新たなコア技術を獲得します。先進技術を集めた高付加価値の高級車の開発競争への参画、EV化に伴う軽量化技術の進化を狙います。

冷間超ハイテン加工技術や熱間プレス(ホットスタンプ)技術、マルチマテリアル化やバッテリーケース開発などにさらに磨きをかけます。上記①の生産性向上による原価低減と合わせ、普及モデルの売上原単位拡大や新規受注を目指します。

また、「生産性/信頼性向上プロジェクト」を推進し、デジタル技術や映像解析技術を活用した省人化、無人化等による原価低減を進めてまいります。

③ 人財

当社の成長の基盤を担う各階層の人財育成・確保に努めます。次世代経営を担う幹部候補には、外部研修や社内のエキスパートによる経営の継承を図る育成プログラムを推進します。若手からミドルまで階層別に能力・スキルを補完するため、ハードタスクや海外子会社経営などを通じ実践教育を行います。新たな成長分野を開拓するため、外部登用も含めエキスパート人材を確保します。

④ 社会貢献

企業の持続的な成長のため、気候変動問題への対応や企業価値向上の指針としてのSDGsを実践してまいります。

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連結計算書類