事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1) 当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及びその成果

当連結会計年度における経済情勢は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世界各地で移動が制限され、経済活動が停滞しました。各国の巨額の財政出動や金融緩和により、第1四半期を底に回復しましたが、第3〜4四半期は欧米を中心に感染が再拡大し、活動制限が再び強化され、雇用回復は鈍化しました。今後、ワクチン接種の普及拡大による経済回復が期待されています。

自動車業界は、第1四半期に生産活動停止や販売縮小で大変な打撃となりましたが、生産再開後は、中国は好調な生産状況が続き、米国や欧州も回復しました。新興国は他の地域と比べ生産再開に遅れが生じていましたが、回復傾向にあります。一方で、第4四半期における半導体や原材料不足の影響による生産停止など、依然として先行の不確実性が高い状況が続いています。

このような環境のなか、当社グループは、自動車産業の大変革期にあって、サプライヤーとして得意先のニーズや市場の変化などを踏まえ、生き残りをかけ次の4つの重点項目に取り組んでまいりました。

  • (1) 企業体質の向上:自動化・デジタル技術を活用した生産性と質の信頼の向上
  • (2) 成長加速、売上・利益の拡大:車1台分開発の加速と既存生産技術の更なる進化
  • (3) 人財育成:次世代経営人財の育成、ミドルマネジメントの育成、成長分野の専門人財確保
  • (4) 社会貢献:気候変動やSDGsへの貢献

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、人々の価値観や行動様式に変化を及ぼしています。当社は、上記の重点項目に大きな修正はありませんが、喫緊の課題である気候変動問題への対応、デジタルプラットフォームの強化、自社内のバリューチェーンの革新に活かすDXの推進、顧客のニーズに合わせてカスタマイズできるバッテリーハウジングや電動パワートレイン関連部品をはじめとするEV関連事業の強化等に取り組んでまいります。

当期業績は、第2四半期以降回復基調となり、中国では好調な市場環境により生産台数が増加し、他地域においても生産回復しましたが、第1四半期における新型コロナウイルス感染拡大に伴う稼働停止や第4四半期における一部地域の半導体不足の影響で、量産売上が減少し、売上高は209,420百万円(前期比8.3%減)となりました。利益につきましては、増益となった中国、欧州を除く地域の減収の影響等により、営業利益は8,050百万円(前期比7.2%減)となりました。経常利益は8,653百万円(前期比1.0%減)、親会社株主に属する当期純利益は、6,532百万円(前期比15.9%増)となりました。

◆ 報告セグメント別売上高
◆ 報告セグメント別営業利益又は損失(△)(億円)
◆ 製品別売上高

(2) 対処すべき課題

当社グループが属する自動車業界は、電動化、自動運転における急速な技術革新と異業種参入、さらには、世界各国の政府が定める温暖化・気候変動にかかる環境基準への対応のため、大きな転換点を迎えています。

このような経営環境の中、当社は、「情熱と革新を融合させ、人とクルマのより良い未来をかたちづくる」をビジョンに掲げ、開発から量産までを担う車体専門メーカーとなり環境と安全性で車づくりをリードする企業を目指し、以下の取り組みを加速させていきます。

① 成長加速、売上・利益の拡大

気候変動問題への対応として、各OEMは戦略を見直し、EV化を加速させています。当社は、今後のEVの需要増加を事業拡大に繋げるため、EV関連事業を確立します。

新規事業創出として、従来から取り組んできた車体1台解析技術を土台として、EV専用プラットフォームの開発への参入を目指します。

また、EV関連商品のラインナップ拡充のため、顧客のニーズに合わせてカスタマイズできるバッテリーハウジングや電動パワートレイン関連部品領域での事業創出にも取り組んでまいります。

② 企業の変革

新たにDX(デジタル・トランスフォーメーション)プロジェクトを立ち上げ、デジタル技術を活用した自社内のバリューチェーンの革新を進めてまいります。

顧客との信頼の基礎である品質保証領域では、グローバルでグループの品質情報を可視化し、モニタリングすることで、予知予防による管理を目指します。

③ 人財の育成・確保

多様な社員が、互いに尊重し合い、能力や個性を発揮し、働くことを通じてやりがいや成長を感じられる組織を目指して、マネジメント力のレベルアップに取り組み、「管理」から、人や組織に光を当てるマネジメントに転換します。

また、それぞれの社員には、公正かつ継続的に教育機会を提供し、一人一人が強みを認識し持ち味を存分に高め発揮できる育成施策を講じます。

さらには、公正な採用選考、平等な登用制度、ジョブ型処遇制度を掲げ、ジェンダー、国際性、職歴、年齢の面を含む多様な人財の育成・確保に努めてまいります。

④ 社会貢献

企業の持続的な成長のため、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、あらゆるステークホルダーとの適切な協働により、サステナビリティの課題に取り組んでまいります。

主要課題である地球環境問題への対応として、当社としての2050年カーボンニュートラル宣言しております。これに対応するため、GX(グリーン・トランスフォーメーション)プロジェクトを立ち上げて、ゼロエミッションに向けた活動を加速させてまいります。

連結計算書類