事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1) 当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及びその成果

当連結会計年度における世界経済は、コロナ後の経済再開とウクライナ情勢等を背景とした物価上昇が進みましたが、各国中央銀行による金融引締めにより、インフレ鈍化の兆しが見られ、金利のピーク感からドル高是正が進展しました。一方で、ウクライナ情勢長期化に伴うエネルギー確保や地政学的要因による中国での経済活動抑制等が依然リスク要因としてあり、欧米を中心に景気減速が懸念され、先行き不透明な状況です。

自動車産業においては、期初は半導体供給制約やロックダウン等の影響により、自動車生産台数の変動がありましたが、完成車メーカーによる差はありながらも緩やかな回復基調にあります。また、欧米を中心として環境規制強化が加速し、中国に追随するかたちでEV化の進展が予想されます。

当社はこのような外部環境の中、足元では現場マネジメントを徹底し、生産変動への対応力を強化しつつ、電力や物流等のコスト上昇分を、売価に反映する取り組みを継続してまいりました。さらに、100年に一度の大変革期を成長の機会とするべく、新経営戦略(「地球環境への対応」、「EV関連事業の確立」、「人財の多様性向上」、「既存事業の変革」)を掲げ、着実に推進してまいりました。

地球環境への対応として、当社は「2050年度カーボンニュートラル」を目指し、CO₂排出量削減に取り組んでおります。当社のCO₂排出量の大半は、製造過程の電力消費によるものであり、再生可能エネルギー由来の電力への切替えを推進しております。2023年5月には、日本国内における全ての工場、自社所有事業所において切替えを完了しました。海外現地法人におきましても、地域特性を鑑みて順次切替えを行っていく予定です。

EV関連事業の確立として、当社はモーターコア、バッテリーハウジング、EV車体専用部品の開発・量産化を進めております。当期においては、テスラ社向けEV車体部品の量産立ち上がり等により、EV関連部品の受注が増加しました。さらに、モーターコア事業では、生産技術の実証ラインが稼働を開始し、事業化の段階へと移行しております。

このような変革を推進するため、多様な人財への投資に注力しております。新規事業を推し進めるため、必要なスキル・経験を持つ人財の獲得と働きやすい組織・人事施策を進めております。

また、既存の車体部品等の事業変革を進め、DXによる品質と原価領域の変革を推進しております。

当連結会計年度の業績は、得意先の減産影響はありましたが、材料単価改定や為替影響等により、売上高は過去最高の314,312百万円(前年同期比32.9%増)、利益につきましては、営業利益は、型設備売上の増加等により、12,836百万円(前年同期比17.4%増)となりました。経常利益は持分法利益等により14,284百万円(前年同期比14.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,270百万円(前年同期比15.7%増)となりました。

地域のセグメント別業績は、次のとおりであります。

【日本】

上期は半導体影響により主要得意先で減産となり、車体部品売上が減少しましたが、下期にかけて生産台数が回復したことに加え、型設備売上の増加や原価低減活動の推進により、黒字転換しました。

【米国】

半導体影響により主要得意先で減産が続きましたが、期末にかけて生産台数が回復したことに加え、型設備売上の増加、生産ラインの省人化・合理化による体質改善等により、営業損失が大幅に縮小しました。

【欧州】

半導体影響が比較的少なく、生産台数の増加による量産売上増加等により、増収となりました。利益については減益となりましたが、前期の一時的な補償等の要因を除くと、実質的には増益となりました。

【アジア】

上海ロックダウンによる得意先の減産がありましたが、下期にかけて生産が回復し、量産売上の増加等により増収となりました。利益については、型設備売上の減少等により、減益となりました。

【中国】

材料単価改定や為替影響等により増収となりましたが、型設備売上が減少したことに加え、コロナ感染再拡大等により主要得意先で生産調整が続き、固定費をカバーしきれず、減益となりました。

【南米】

半導体影響が比較的少なく、生産台数増加による量産売上の増加や為替影響等により、増収増益となりました。

◆ 報告セグメント別売上高及び営業利益又は損失(△)(億円)

(注) 上記数値は億円未満を四捨五入して表示しています。増減率は百万円単位まで計算しています。

◆ 製品別売上高(億円)

(注) 上記数値は億円未満を四捨五入して表示しています。構成比及び増減率は百万円単位まで計算しています。

連結計算書類