事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

当社グループ(企業集団)の現況に関する事項

事業の経過および成果

2021年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種進展等を背景に回復が進みましたが、変異株の影響で先行きが見通しにくい状況が続きました。原材料や物流費の高騰と部材不足が、年間を通じて常に景気の下押し要因となり、更に年度後半からは、インフレの加速や地政学リスク増大等による景気後退懸念が生じました。

このような経営環境のもと、当社は、事業の状況に応じた固定費管理と、新型コロナウイルス感染症による社会変化を捉えた新たな事業機会への取り組みを進めながら、2019年度からスタートした中期戦略の最終年度として、経営体質強化等を継続してきました。あわせて、全ての事業において、攻めるべき領域を定め、そこでの競争力を徹底的に高めてきました。

具体的には、成長に向けた投資として、現場プロセス事業において、2021年9月に、世界トップクラスのサプライチェーン(注)1・ソフトウェアの専門企業である米国Blue Yonder Holding, Inc. (以下、「Blue Yonder」)の80%分の株式追加取得を完了し、2020年7月に取得済の20%分の株式と合わせて全株式を取得、同社を完全子会社化しました。当社が長年培ってきたモノづくりのノウハウや、エッジデバイス(注)2、IoT(注)3、センシング技術等に、Blue Yonder のAI(人工知能)・ML(機械学習)が強みであるソフトウェアプラットフォームを組み合わせることで、新しい価値を創造し、両社で「オートノマス(自律的な)サプライチェーン™」を加速、お客様の経営課題を解決するとともに、エネルギーの削減、資源の有効活用を通じて、地球環境の保全やサステナブルな社会の実現を目指しています。

なお、2021年10月には、2022年度からのパナソニック ホールディングス㈱を持株会社とする事業会社制への移行に向けて新体制をスタートさせ、中期戦略を着実に推進するとともに、新事業会社による円滑な事業運営に向けた準備を進めました。

当年度の連結売上高は、7兆3,888億円(前年度比10%増)となりました。国内売上は、産業・情報通信向け商品が好調に推移し、増収となりました。海外売上は、需要増加を受けた車載電池が伸長、Blue Yonderの新規連結の影響もあり、増収となりました。

営業利益は、3,575億円(前年度比38%増)となりました。原材料価格高騰の影響などがあったものの、増販益や価格改定の取り組みに加え、Blue Yonderの既存持分の再評価益の計上などにより、増益となりました。また、税引前利益は、3,604億円(前年度比38%増)、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、2,553億円(前年度比55%増)となりました。

(注)

    サプライチェーン:製品や商品などが消費者に届くまでの調達、製造、在庫管理、配送、販売などの一連の流れ

    エッジデバイス:インターネットに接続された機器のこと

    IoT:Internet of Things 多くのモノ(機器)がインターネットにつながること

セグメント別の状況

2021年10月1日付のグループ体制再編に伴い、報告セグメントを「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つに区分変更しております。(注)

報告セグメント別の事業部および主要な事業内容を次頁に掲載しており、その次の頁から当年度の売上高および営業利益をセグメント別に示しております。事業再編に伴い、売上高および営業利益の前年度比較は、前年度のセグメント情報を当年度末の形態に合わせて組み替えして算出しております。

(注) 「くらし事業」は、従来の「アプライアンス」「ライフソリューションズ」を母体として構成しております。
「オートモーティブ」は、従来の「オートモーティブ」の内、車載機器事業により構成しております。
「コネクト」は、従来の「コネクティッドソリューションズ」を移行しております。
「インダストリー」は、従来の「インダストリアルソリューションズ」の内、メカトロニクス、産業デバイス、デバイスソリューション、電子材料の事業により構成しております。
「エナジー」は、従来の「オートモーティブ」に含まれていた車載電池事業と、「インダストリアルソリューションズ」に含まれていたエナジーソリューション、エナジーデバイスの事業により構成しております。

報告セグメント別の事業部および
主要な事業内容

詳細はこちらを閉じる
売上高構成比 %

当セグメントの売上高は、前年度比で3%増加し、3兆6,476億円となりました。

当年度は、国内はルームエアコンなど空質空調事業が減収となりましたが、海外は中国の美容家電・洗濯機・冷蔵庫や欧州のヒートポンプ式温水暖房機などが好調に推移し、為替影響もあり、全体では増収となりました。

主な事業部の状況としては、空調冷熱ソリューションズ事業部では、国内のルームエアコンの需要減はありましたが、欧州のヒートポンプ式温水暖房機やアジアのルームエアコンが堅調に推移し、増収となりました。

エナジーシステム事業部では、海外を中心とした電設資材の販売が好調に推移し、増収となりました。

キッチン空間事業部では、国内の冷蔵庫・調理家電の販売が減少しましたが、中国の冷蔵庫や北東アジアの電子レンジなどの販売が好調に推移し、増収となりました。

ライティング事業部では、国内は照明用部品などを中心に増収となりましたが、中国の照明機器の販売落ち込みなどにより、全体では減収となりました。

当セグメントの営業利益は、1,136億円となりました。中国や欧州での増販益はありましたが、国内家電の減販、原材料価格の高騰、輸送費用の増加などの影響があり、前年度から533億円の減益となりました。

詳細はこちらを閉じる
売上高構成比 %

当セグメントの売上高は、前年度比で5%増加し、1兆671億円となりました。

当年度は、主に東南アジアなどにおける新型コロナウイルス感染症再拡大や、世界的な半導体および部材のひっ迫などにより、自動車生産が当年度年初の見通しに比べて減少し、当セグメント売上高への影響がありました。しかしながら、上期において前年度に自動車生産が大きく減少したことからの回復があり、また、為替影響なども加わり、車載コックピットシステム事業、車載エレクトロニクス事業ともに増収となりました。

当セグメントの営業利益は、13億円となりました。半導体などの部材のひっ迫などによる価格高騰や輸送費用の増加がありました。さらに、前年度の上期に、新型コロナウイルス感染症拡大による一時的な工場稼働停止など企業活動が停滞していた結果、当年度はその反動などによる固定費の増加もありました。しかしながら、コストダウン効果や、車載エレクトロニクス事業において前年度に一時費用を計上したこともあり、前年度から131億円の増益となりました。

詳細はこちらを閉じる
売上高構成比 %

当セグメントの売上高は、前年度比で13%増加し、9,249億円となりました。

当年度は、パソコン・サーバー関連の需要増を受けた実装機や、米国や欧州を中心に市場が回復傾向であったプロジェクターがけん引し、増収となりました。

主な事業部の状況としては、プロセスオートメーション事業部では、サーバーやスマートフォン関連の設備投資および電気自動車関連投資が好調だったことにより、実装機の需要が増加し、増収となりました。

モバイルソリューションズ事業部では、欧州を中心に堅牢PCの需要が好調に推移し、国内法人向けノートパソコンの需要も増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大による部材調達の問題が影響し、減収となりました。

メディアエンターテインメント事業部では、リモートカメラの需要拡大に加え、欧米・中国のプロジェクターが好調に推移し、増収となりました。

パナソニック アビオニクス㈱では、航空需要や機体生産の回復遅れの影響はありましたが、旅客機の運航便数の回復基調により、機体メンテナンス・リペアサービス事業が増販となり、全体でも増収となりました。

当セグメントの営業利益は、517億円となりました。実装機やプロジェクターの増販益に加え、Blue Yonderの新規連結による既存持分の再評価益を計上したことなどにより、前年度から717億円の増益となりました。

詳細はこちらを閉じる
売上高構成比 %

当セグメントの売上高は、前年度比で15%増加し、1兆1,314億円となりました。

当年度は、原材料価格の高騰や半導体不足の影響はありましたが、産業用モーターやリレーに加え、情報通信インフラ・車載用コンデンサーを中心に増販となり、増収となりました。

主な事業の状況としては、制御機器・FAソリューション事業では、半導体製造装置市場の好況や生産設備の自動化など、設備投資需要拡大による産業用モーターやFAセンサーの増販に加え、車載用を中心にリレー・電源・モジュールユニットなどが好調に推移したことにより、増収となりました。

電子デバイス・電子材料事業では、サーバー・データセンターなどの情報通信インフラや車載用コンデンサーに加え、車載・産業用の基板材料の増販で、増収となりました。

その他、半導体や液晶パネル事業は、事業譲渡や事業縮小などの影響により、減収となりました。

当セグメントの営業利益は、832億円となりました。原材料価格の高騰や半導体不足の影響を受けましたが、情報通信インフラ・車載用コンデンサー、産業用モーター、電源、リレーなどの増販益に加え、生産性向上などの合理化を推進し、前年度から425億円の増益となりました。

詳細はこちらを閉じる
売上高構成比 %

当セグメントの売上高は、前年度比で27%増加し、7,644億円となりました。

当年度は、世界的に旺盛な電気自動車需要やIoT・社会インフラの需要拡大を背景に、車載電池や蓄電システムなどの増販により、増収となりました。

主な事業の状況としては、車載事業では、世界的な環境規制の強化を背景に、旺盛な電気自動車需要が車載用リチウムイオン電池の販売をけん引しました。加えて、前年度の新型コロナウイルス感染症拡大による影響からの需要回復や、北米電池工場の新ラインが2021年8月から稼働を開始したことなどから、大幅な増収となりました。

産業・民生事業では、データセンター向けバックアップ電源用蓄電システムに加え、電動アシスト自転車などの動力向けにリチウムイオン電池の販売が好調に推移しました。また、中南米など重点市場向けの乾電池や、インフラ・医療向けのリチウム一次電池の販売も伸長し、増収となりました。

当セグメントの営業利益は、642億円となりました。増産に伴う固定費増加や原材料価格高騰などの影響はありましたが、車載電池や蓄電システムなどの増販益や材料合理化の取り組みなどによりカバーし、前年度から307億円の増益となりました。

対処すべき課題

2022年度の世界経済は、原材料価格および物流費の高騰と部材不足、世界的なインフレが継続し、厳しい状況が予想されます。新型コロナウイルス感染症による不確実性や地政学リスクも依然として高く、先行きは見通しにくい経営環境が続きます。さらに日本では、円安による経済への悪影響が懸念材料です。

このような状況もふまえ、当社は、2022年度より新しいグループ体制に移行し、新中長期戦略をスタートしました。新中長期戦略では、当社の使命である「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向けて地球環境問題の解決と、世界中の皆様お一人おひとりの「くらし」と「しごと」の場面での人々のウェルビーイング、すなわち快適で安心で心身ともに健康で幸せな状態への貢献を果たすことを目指します。

<中長期戦略のポイント>

  • ①Panasonic GREEN IMPACT
     2050年に向けて現時点の全世界CO2総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトを目指します(注)
  • ②中期経営指標(KGI:Key Goal Indicator)
    事業の競争力を徹底強化し、キャッシュ創出力を向上。
    • ・累積営業キャッシュ・フロー:2.0兆円(2022-2024年度)
    • ・ROE(株主資本利益率):10%以上(2024年度)
    • ・累積営業利益:1.5兆円(2022-2024年度)
  • ③中長期戦略における投資の考え方
    • ・事業会社は、自ら稼いだキャッシュを基に、あるべき姿に向け自ら投資を行い、各事業領域でさらなる成長を目指します。
    • ・財務規律を意識しつつも、競争力強化により得られたキャッシュで、事業会社のみならずグループとしても戦略的に2022年度から2024年度までの3年間で「成長領域」に4,000億円、「技術基盤」に2,000億円を投資します。
      • 「成長領域」:車載電池領域、サプライチェーンソフトウェア領域、空質空調領域
      • 「技術基盤」:水素エネルギー、CPS(Cyber Physical System)を含むグループ共通技術基盤
  • ④グローバル戦略
     グローバルでは、地域特性に応じて現地のお客様に向き合った戦略、各地域におけるオペレーション力の強化を進め、事業を通じたPanasonic GREEN IMPACTを拡大していきます。
  • ⑤競争力強化に向けたグループ共通の重点施策
     挑戦を願う従業員の声を傾聴し、個性が最大限に活きる環境づくりを推進する「一人ひとりが活きる経営」と、Panasonic Transformation(PX)や改善思想とデジタル技術を通じた現場革新によるサプライチェーン全体のオペレーション力の徹底強化を推進します。

(注) 2019年エネルギー起源CO2排出量336億トン(出典:IEA)、3億トンは2020年の排出係数で算出

<報告セグメントにおける取り組みの方向性>

くらし事業

新型コロナウイルスの感染再拡大、世界的な需要急増に伴う半導体不足、原材料高騰などの影響も継続していますが、長引くコロナ禍において生活様式は多様化し、環境・省エネに対する考え方にも変化が見られるなど、今後益々、くらしにまつわるさまざま分野において、顧客視点でくらしの質を豊かにしていく期待が高まってくると見込まれています。

そのような中、白物家電を中心とするくらしアプライアンス社では、あらゆる局面でお客様と繋がり、くらしに寄り添う事業を展開するため、UX(注)起点の商品創出と流通改革で収益拡大を目指します。空調、空質事業が一体となった空質空調社では、ナノイー・ジアイーノなどの浄化技術を活かした空質空調融合商品による顧客価値向上に取り組みます。また、電気設備領域を中心とするエレクトリックワークス社では、重点地域であるインド、トルコ、ベトナムを中心にマーケティング・生産体制を強化して商品の拡大を図るとともに、件名需要や新規事業の取り組みを通した事業拡大を進めていきます。冷凍冷蔵ショーケースや厨房機器を中心とするコールドチェーンソリューションズ社では、お客様の低環境負荷や労働力不足に対応した価値を創出することで収益改善および事業拡大を目指します。そして、持続可能な社会の実現のため、くらし事業全体を通して、CO2排出量の削減および社会全体のCO2排出削減に貢献可能な事業を拡大し、サステナビリティ経営を実現していきます。

(注) UX(User Experience):生活者が商品・サービスを通じて得られる体験

オートモーティブ

自動車業界は、CASE(注)に代表される技術革新の進展やEV化の加速、新型コロナウイルス感染症がもたらした人のくらしや移動の変化が相まって、より安心安全で快適な移動空間の快適性へのニーズはさらに増しています。

当セグメントでは、「Heartmotive」~こころ動かす出会いを創り続ける~をスローガンに、パナソニックが培った技術と知見を生かし、モビリティ社会・車の進化への貢献、人の多様性に寄り添う事業に取り組みます。車の進化には、ユーザーの安全・快適な運転に効果的な情報を提供する先進コックピットの価値を提供する「コックピット統合ソリューション」とパワーエレクトロニクス技術などのデバイスでEVの普及を促進する「EVソリューション」で貢献します。人の多様性には、車室空間での当社らしい新たなUX価値の提案、商品化を進め、一人ひとりに寄り添った価値を提供します。さらに、モビリティ社会の変革を目指した新たなサービス事業を創出します。

環境貢献は全ての活動基盤であり、再生可能エネルギー調達なども含め、2022年度中の自社のCO2排出量実質ゼロ化達成を目指します。自社のCO2排出量削減やお客様のCO2削減に貢献するソリューションの提供等を通じ、地球環境への貢献を果たします。

(注) CASE:Connected(クルマが通信ネットワークに接続され、運転支援情報の受信やエンターテインメント等のサービスを享受)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(車を共有して使うサービス)、Electric(電動化)

コネクト

労働力人口の減少や消費者嗜好の多様化、ニューノーマルへの対応などが進む中、製造・物流・流通における事業領域は継続的な市場拡大が見込まれています。特に、サプライチェーンにおける課題解決の需要は、世界的に増加しています。

当セグメントは、時々刻々と変化する、複雑な問題を抱えたB2Bのお客様の「現場」にフォーカスし、現場にイノベーションをもたらすことでお客様の経営改革に貢献していきます。物流・流通を中心としたサプライチェーン領域では、倉庫業務や輸配送効率化、在庫適正化などの高付加価値ソリューションをモデル化・展開し、お客様の販売拡大やコスト削減やCO2削減などでお役立ちを果たしていきます。そして、2021年9月に完全子会社化したBlue YonderのAI(人工知能)・ML(機械学習)を活用したソフトウェアプラットフォームを加え、「オートノマス(自律的な)サプライチェーン™」の実現をさらに加速させます。現場のイノベーションにより、お客様の経営への貢献のみならず、廃棄ロスやエネルギーの削減などの社会課題の解決にもつなげ、お客様とともにサステナブルな未来の実現を目指します。

インダストリー

労働人口の減少、IoT社会の進展やモビリティの進化、地球温暖化を背景に、当セグメントが重点的に向き合う「工場省人化」「情報通信インフラ」「車載CASE」領域では、安定性・安全性、自動化、ネットワーク化、カーボンニュートラルへの要求が高まっており、今後も継続的な需要拡大が見込まれています。

「工場省人化」領域では、独自の商品力と提案力を生かし、さまざまな生産設備向けに導入が容易なデバイスやパッケージ商品でお客様の生産性向上や労働力不足解消への貢献を目指します。「情報通信インフラ」領域では、データ通信量の増大にも対応可能な高速性や社会基盤としての安定性が求められている5G基地局やデータセンター向けに、低損失・長期保証可能なデバイスやシステムを提供します。「車載CASE」領域では、モビリティの安全性や環境性能の向上に資する小型高効率・高信頼なデバイスを展開していきます。これらの高成長領域へ経営資源を集中し、商品のカスタム開発や材料・プロセス技術の強化により競争力を鍛えるとともに、お客様へのお役立ちの最大化を図ります。

エナジー

近年、地球環境問題が深刻化するなか、世界各国で環境規制の強化を背景に、自動車の電動化や再生可能エネルギーの活用などカーボンニュートラルへの取り組みが加速しています。

当セグメントは、これらの環境問題に真摯に向き合い、これまでの電池事業で培ってきた技術開発力や高い品質力といったエナジー領域の強みを活かし、「安心」「安全」「低環境負荷」という提供価値を最大化させ、「車載」と「産業・民生」の両輪で持続的成長を図ります。車載では、モビリティの電動化を通じて、CO2排出量・環境負荷の低減に貢献します。そのために、現行セルのさらなる生産性向上を図るとともに、新しい「4680セル」の量産化に向けた開発と事業化を推進します。産業・民生では、乾電池やデータセンター向けバックアップ蓄電システムなど、電池および応用システムの提供を通じて、安心・安全な社会づくりに貢献します。また、これらの事業推進に際し、ESGを基軸とした事業基盤の確立・強化を徹底的に進めていきます。これらの取り組みにより、豊かなくらしと環境が矛盾なく両立・調和する持続可能な社会の実現に貢献します。

<持続的成長を支える基盤>

環境

2017年に策定した「パナソニック環境ビジョン2050」では、当社が使うエネルギーの削減と、それを超えるクリーンなエネルギーの創出・活用を推進してきました。2022年4月、こうした自社の使う・創るエネルギーの比較から、グループの長期環境ビジョンとして社会全体のCO2削減という課題に対する当社グループの貢献に視点を改め、「Panasonic GREEN IMPACT」に移行しました。

それに伴い、指標についても、当社グループが向き合うべき地球環境課題とその貢献価値をより明確にするため、社会へのCO2削減インパクトに置き換えることとしました。グループのCO2排出を減らし、くらしやビジネスにおけるCO2削減に貢献するさまざまなインパクトを拡げることで、社会とともにカーボンニュートラルを目指します。

具体的には、グループのバリューチェーンにおける排出削減とともに、既存事業、ならびに新事業・新技術による社会への排出削減貢献によるインパクトの拡大を目指します。これらの取り組みにより2050年にグローバルで3億トン(≒世界のCO2排出量の1%)以上のCO2削減インパクトを目指し、気候変動課題解決に貢献してまいります。

人事戦略

当社グループは、社会からお預かりしている大切な「人」を育て、活かすことが経営の根幹であると考えています。この「人間大事」の考え方に基づき、「The Best Place to Work where diverse talents work at their best」(多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮できる最も働きがいのある会社)というビジョンを掲げています。物も心も豊かな「理想の社会」を実現するための人・組織・文化を創出する人事戦略を推進してまいります。具体的には、人材育成やDiversity, Equity & Inclusionの推進を重要な経営施策の一つとして位置づけています。DEIの推進については、前述のポリシー策定を皮切りに、「トップコミットメント」「インクルーシブな(個性を活かし合う)職場環境づくり」「一人ひとりへのサポート」の3つの視点で新たな取り組みを進めてまいります。

コーポレート・ガバナンス

「5.当社の体制および方針(1)当社のコーポレート・ガバナンス(58頁から60頁まで)」に記載しています。

財産および損益の状況の推移

当社グループ

・2018年度は、国内はアプライアンスのコンシューマ向け販売が減収となりましたが、車載関連・パナソニック ホームズ㈱などの増販により、前年度と同水準、海外では車載関連、北米の食品流通等が好調で増収となりました。利益につきましては、資産売却益や年金制度の改定に伴う一時益などにより、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期純利益とも、増益となりました。

・2019年度は、事業ポートフォリオ改革の影響や中国での投資需要低迷に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減収となりました。利益につきましては、固定費削減や合理化に加え、事業譲渡益などがありましたが、減販損の影響が大きく、事業構造改革費用の計上もあり、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期純利益とも、減益となりました。

・2020年度は、住宅関連事業の非連結化影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、減収となりました。利益につきましては、経営体質強化や社会変化を捉えた事業の増益がありましたが、減販損に加え、前年の事業譲渡益の反動もあり、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期純利益とも、減益となりました。

・2021年度(当年度)の状況につきましては、前記「(1) 事業の経過および成果」に記載のとおりであります。

連結計算書類