事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況

当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引き上げに伴う個人消費の低迷に加え、米中貿易摩擦の長期化や欧州における英国の欧州連合離脱問題等に大きく影響を受けました。さらに新型コロナウイルス感染症の我が国を含む世界的な感染拡大を阻止するための各種の防疫対策が個人消費を直撃したことにより、足元の経済状況は著しく悪化し、今後も予断を許さない状況となっております。

コンタクトレンズ業界におきましては、国内では、少子高齢化が進んでいるものの近視人口が増加しており、また、引き続き1日使い捨てタイプへのシフトが緩やかに続いていることや、乱視用、遠近両用等の高付加価値商品の伸長等により、2020年の年初までは、市場は緩やかながらも成長基調を辿っていたと認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年間の最大の需要期である卒業・新入学シーズンに、新型コロナウイルスへの感染予防のため、ユーザーが眼科医療機関・販売施設への来院・来店を控える状況となりました。また、政府や地方自治体の要請を受けた外出自粛やテレワークへの強力な誘導、マスクの着用により、特に女性ユーザーを対象としたファッション性の高いサークル・カラーコンタクトレンズ市場が低迷しました。さらに、アジア諸国から欧州地域への感染の拡大に伴い、海外輸出も厳しい状況で推移し、未だ多数の海外市場が正常化に時間を要すると思われます。

このような状況の中、当社グループは、3ヶ年中期経営計画の2年目となる2020年3月期につきましても、引き続き『〜61年目からの新たな挑戦〜日本のシードから世界のSEEDへ』を基本施策として、主力である純国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心に、日本国内での安定した成長と同時に積極果敢な世界展開を実現し、販路拡大を通じた事業規模の拡大と将来的な成長を実現する事業基盤の強化を図ってまいりました。

当連結会計年度の業績について、売上高は、国内において消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が想定以上に長期化したことに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により国内外の需要が落ち込んだものの、主力のコンタクトレンズを中心に売上が伸長したことと、欧州での企業買収効果もあり、グループ初の300億円突破となる31,792百万円(前期比7.8%増)となりました。利益につきましては、販売地域の拡大及び新製品投入開始等の多品種化に伴い製造原価が上昇したこと等により、営業利益1,733百万円(前期比7.5%減)、経常利益1,691百万円(前期比8.1%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、スマートコンタクトレンズ事業を手掛けるスイスのSensimed AG社の子会社化に伴う段階取得に係る差損を計上したことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、マーケティング方針を変更した「JILL STUART 1day UV」の在庫に対するたな卸資産評価損の計上、及びドイツ連邦共和国のWoehlk Contactlinsen GmbHに関するのれん、無形資産の減損を行い、特別損失を計上したこと等により、252百万円(前期比73.8%減)となりました。第4四半期に計上した特別損失の詳細につきましては、2020年5月8日公表の「特別損失の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください。

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セグメント別の概況

セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、重要性の観点からオルソケラトロジーレンズ及びトリガーフィッシュに関連する事業のセグメントを「その他」から「コンタクトレンズ・ケア用品」に変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

コンタクトレンズ・ケア用品

コンタクトレンズにつきまして、主力の純国産1日使い捨てコンタクトレンズ「ワンデーピュアシリーズ」は、新しい遠近両用タイプ「シード ワンデーピュア EDOF(イードフ)」を2019年12月に発売し、国内外で成長が大いに見込まれる遠近両用市場での競争力強化を図るとともに、海外の販売強化及び国内の乱視・遠近両用カテゴリーの需要増に支えられ、シリーズ全体として好調に推移しました。一方、サークル・カラーコンタクトレンズにつきましては、3月に「アイコフレ1day UV M」の新色を投入したものの、その効果が限定的にとどまり、国内における販売チャネルの多様化、競合商品のラインナップ増加等の影響に加え、「JILL STUART 1day UV」の不振と、第4四半期には新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、東・東南アジア向けの輸出も停止せざるを得ず、対前年売上高が微減に終わりました。なお、就寝前に装用することで睡眠時に角膜を矯正するオルソケラトロジーレンズ事業につきましては、市場の伸長に加え、2019年10月に「ブレスオーコレクト」の総販売代理店となり、販売体制を強化したことにより前年を大きく上回る57%増の成長を実現しました。

ケア用品につきましては、コンタクトレンズ市場の1日使い捨てタイプへのシフトに加え、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品「シードゥ ソフトケア ピュア」の販売を終了した影響もあり、前期を若干下回る結果となりました。

その結果、セグメント全体の売上高は30,888百万円(前期比8.7%増)、営業利益2,854百万円(前期比5.2%減)となりました。

眼鏡

眼鏡につきましては、卸販売の営業拠点を概ね東京に集約し、小売子会社の不採算店舗を閉店する等、事業の再構築に取り組みながら、主力フレームの「ビビッドムーン」や「プラスミックス」を中心に営業活動を行ってまいりましたが、眼鏡市場全体の低価格商品への需要シフト及び小売子会社店舗の閉店による影響等により、売上高は594百万円(前期比29.3%減)、営業損失は54百万円(前期営業損失79百万円)となりました。

その他

その他につきましては、売上高は309百万円(前期比38.8%増)、営業損失は11百万円(前期営業損失34百万円)となりました。

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