事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況

当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における世界経済及び日本経済は、世界規模での新型コロナウイルス感染症の拡大により、防疫措置による経済活動の制限及び消費者の行動様式の変容が個人消費を大きく抑制し、多くの地域においてGDPのマイナス成長に至る等、非常に厳しい状況に陥りました。国内においては、1回目の緊急事態宣言解除後、政府主導の景気対策の効果や、段階的に社会経済活動が再開されたこと等により、第2・第3四半期においては一時的に回復の兆しを見せました。しかしながら、昨年末には新たな変異ウイルスの出現等もあり、国内の感染者が再び急激な増加に転じ、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が実施されるに至り、依然として先行き不透明な状況が続いております。ワクチン接種が十分に行われない限り、これまでと同様の感染拡大と収縮を繰り返す中で、経済状況の圧迫が生じる懸念があります。

国内のコンタクトレンズ市場においては、在宅勤務の定着、スポーツ・イベント及び学校の部活動等の中止による外出機会の抑制がコンタクトレンズの需要全般を減少させ、中でも女性のマスク着用によるメイク機会減少に連動するサークル・カラーコンタクトレンズの需要後退が顕著であります。当業界全体の市場規模調査に従えば、2020年は2019年対比、約7%強程度の市場規模が縮小したと推定されます。しかしながら、2021年の卒業・入学シーズンを迎え、消費者の購入活動については回復の兆しが見られております。更に、コロナ禍における働き方の改革や学校のリモート授業の普及に伴うデジタル機器への依存の高まりから、遠近両用コンタクトレンズを活用した眼精疲労の緩和やオルソケラトロジーレンズを用いた近視進行抑制等を主題とした放送番組も散見され、近視に対する社会の意識が大きく高まり、視力補正のためのコンタクトレンズが更なる広がりを見せる可能性が出てきております。

また、海外におきましては、当社グループが営業を展開している東南アジア・インド・欧州等で同感染症の拡大により経済活動が依然制約されておりますが、一方で中国経済はいち早く回復を示し、安定的な成長を継続しており、その回復の兆しは東南アジアにも及びつつあります。

このような状況の下、3ヶ年中期経営計画の最終年度となる2021年3月期につきましては、計画を踏まえつつも外部環境に応じた臨機応変な経営を行ってまいりました。当社グループでは、同感染症に対する社内外への感染防止と従業員の安全確保、ならびに製品供給責任を両立する施策を講じてまいりました。社員の健康と出勤管理を徹底し、組織の冗長化を図るグループ別の勤務体制・テレワーク・フレックスタイム制度を活用する等の感染対策を行い、事業継続を最優先事項として取り組むとともに、不測の事態に備えた原料・資材在庫の一定量への積み増しや、国内製造品の在庫の積上げ等を行うと同時に、仕入れ商品については在庫の適正化を行ってまいりました。これにより、商品在庫水準の適正化により生じた資金で借入金返済を進める等、バランスシートの健全化にも取り組みました。

その結果、当連結会計年度の業績について、国内外の経済活動の再開に伴い第2四半期以降業績は徐々に回復基調を示してきましたが、第1四半期の大幅な減少を取り戻すには至らず、売上高は28,617百万円(前年同期比10.0%減)となりました。

利益につきましても、製造原価低減に加え、広告宣伝費や営業経費・人件費をはじめとした販売費及び一般管理費の削減に努めてきた一方、欧州の薬事規制変更や英国の欧州離脱に端を発する資材及び製品在庫処分の実施、さらに、コロナ禍におけるサークル・カラーコンタクトレンズの販売低迷から「JILL STUART 1day UV」の在庫評価減を実施したことが原価の増加につながり、営業利益1,195百万円(前年同期比31.0%減)、経常利益1,211百万円(前年同期比28.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社の事業譲渡に関連する特別利益を計上したこと等により、1,129百万円(前年同期比346.6%増)となりました。第4四半期連結会計期間に計上した特別利益及び特別損失の詳細につきましては、2021年5月7日公表の「通期業績予想の修正及び特別利益・特別損失の計上に関するお知らせ」をご参照ください。

セグメント別の概況

セグメントの業績は次のとおりであります。

コンタクトレンズ・ケア用品

国内のコンタクトレンズにつきましては、コロナ禍において眼科・販売店への営業活動や他県を跨る移動が制限されるなか、WEB等を併用した営業活動を展開しながら、SNSを通じた広告宣伝を行う等、消費者への直接の需要喚起も行いました。引き続き主力の純国産1日使い捨てコンタクトレンズ「ワンデーピュアシリーズ」を中心とし、特に遠近両用・乱視等のテクニカルレンズの拡販に注力してまいりました。その結果、新型コロナウイルス感染症の影響によりサークル・カラーレンズの落ち込みは継続したものの、コンタクトレンズ全体の売上は着実に回復基調を示し、その中でも高付加価値の遠近両用レンズは需要増により前年同期比4.2%増、オルソケラトロジーレンズにつきましては、同感染症拡大の状況下においても市場が着実な進展を示し、前年同期比26.3%増となりました。ケア用品につきましては、オルソケラトロジー関連のケア用品は増加したものの、コンタクトレンズの使用機会が減少した影響を受け、前年同期を大きく下回る結果となりました。

海外へのコンタクトレンズ輸出等につきましては、東南アジア諸国・台湾・インド・欧州諸国の市場が引き続き厳しい状況で推移したものの、中国市場はいち早い回復を示し伸長しております。

その結果、セグメント全体の売上高は28,089百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益2,186百万円(前年同期比23.4%減)となりました。

眼鏡

眼鏡につきましては、2020年3月期に引き続き事業規模縮小に取り組みながら、主力フレームの「ビビッドムーン」や「プラスミックス」を中心に営業活動を行ってまいりましたが、コンタクトレンズ以上に新型コロナウイルス感染症の影響による買い控えの傾向が見られた結果、売上高は391百万円(前年同期比34.2%減)、営業損失は36百万円(前年同期営業損失54百万円)となりました。

その他

その他につきましては、期間中、新型コロナウイルス感染予防を目的として外科手術を抑制した眼科施設が少なからず存在したため、眼科医療機器や眼内レンズの売上が減少した等の要因により、売上高は137百万円(前年同期比55.7%減)、営業損失13百万円(前年同期営業損失11百万円)となりました。

連結計算書類