事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況

当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における世界経済及び日本経済は、通期に亘って新型コロナウイルス感染症の周期的拡大により経済活動が繰り返し制限を受ける等、厳しい状況で推移しました。国内においては、ワクチン接種の進行等、同感染症の拡大防止と、社会・経済活動の維持・両立を目指した各種政策の効果により、緊急事態宣言の解除後は段階的な経済活動の再開により景気回復の兆しが見られ、年明け後は今後の経済活動の持ち直しに向けた動きに期待が高まりました。しかし、感染力の強いオミクロン株の感染急拡大により、多くの地域でまん延防止等重点措置が実施されました。また、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発する地政学リスクの高まりとエネルギー価格や原材料価格等の上昇は、企業卸売物価を押し上げ、消費者物価へと波及しています。日本経済の基本的脆弱性と金融政策の差異によって生み出される急激な円安は、国富の流出を招き始めており、消費行動の制約となる等、日本経済の先行きは、低位かつ不安定な状況にあります。

国内のコンタクトレンズ市場におきましても、コロナ禍における在宅勤務の定着やマスク着用によるメイク機会減少、また、中高等学校の部活動や課外活動の停滞がコンタクトレンズ全般の需要を減退させる等、厳しい市場環境は続いておりますが、2022年の卒業・入学シーズンを迎え、消費者の購入活動については回復の兆しが見られております。

海外におきましては、アジア諸国によるワクチン接種の普及、そして、欧米諸国を中心にワクチンのブースター接種の普及等により、「ウィズコロナ」の考えに根差した行動制限の緩和策が取られ、経済・社会活動は国や地域によるばらつきを伴いながらも回復しつつあります。当社が営業を展開している欧州諸国・東南アジア諸国・インド・オーストラリア等では、2021年秋口から順次コンタクトレンズの販売は回復の兆しを見せ始めております。一方、中国市場においては、年明けからのオミクロン株の感染急拡大により、「ゼロコロナ政策」の下の上海の都市封鎖等で物流機能は損なわれ、コンタクトレンズの小売り活動にも大きな支障が出てきております。

このような状況の下、当社グループは、新3ヶ年中期経営計画の初年度となる2022年3月期につきましては、主力である純国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心に、日本国内での安定した成長を軸に、海外各国での需要回復を図ることにより同事業規模の拡大と収益基盤の強化を図ってまいりました。当社初となるシリコーンハイドロゲル素材ワンデーコンタクトレンズ「シード 1day Silfa(シルファ)」については、2021年2月から欧州の一部地域で販売を開始し、既に国内での承認を取得し、2022年夏の国内販売に向けて準備をすすめております。また、新しい流行を取り入れたカラーコンタクトレンズ「Belleme(ベルミー)」ブランドを新しく立ち上げ、2022年春の発売開始に向けてマーケティング活動を進めております。

2022年4月4日に実施された東京証券取引所の市場再編において、当社はプライム市場に移行いたしました。現時点ではプライム市場の上場維持基準項目のうち「流通株式時価総額」についてのみ、未達となっております。今後、早期のプライム市場上場維持基準の達成に向けて、企業価値を高める施策に注力しております。具体的には、市場競争力・収益力の強化を進めるとともに、信頼されるモノづくり、SDGsの推進、株主還元施策等の各種取組を進めてまいります。

また、社会の持続可能な発展に貢献することを経営の重要課題の1つと捉え、その実現に向けた行動を企業の行動指針として掲げ、会社運営の全てにわたり、環境と調和した企業活動を遂行していくことを基本とした『環境方針』を策定し、推進体制の整備および環境経営マネジメントシステムを構築したことを2022年2月に公表いたしました。2022年3月31日には株式会社日本政策投資銀行から「環境への配慮に対する取り組みが十分」であると評価され、格付を取得し、「DBJ環境格付」に基づく融資を受けました。

これらの事業活動の結果、当連結会計年度の業績について、主に国内のコンタクトレンズ販売が前年対比で回復し、売上高は28,835百万円(前期比0.8%増)となりました。

利益につきましては、本社建替え計画による現本社社屋の償却年数を短縮したこと等に伴う減価償却費に加え、広告宣伝費・営業経費・人件費等が増加となったこと等により、営業利益1,177百万円(前期比1.6%減)、経常利益1,138百万円(前期比6.0%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、2021年11月に子会社の事業譲渡に関連する特別利益を計上したこと等により、1,153百万円(前期比2.1%増)となりました。

尚、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているため、上記文章中に記載している前期比は参考値となっております。

また、2021年3月期と同様の算出方法とした場合、売上高前期比は3.4%増、販売費及び一般管理費については前期比3.2%増となります。営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益への影響はありません。第4四半期連結会計期間に計上した特別利益及び特別損失の詳細につきましては、2022年5月6日公表の「通期業績予想の修正及び特別利益・特別損失の計上に関するお知らせ」をご参照ください。

セグメント別の概況

セグメントの業績は次のとおりであります。

コンタクトレンズ・ケア用品

国内のコンタクトレンズにつきましては、コロナ禍においてWEB等を併用した営業活動を展開しました。同時にSNS、雑誌タイアップを通じた広告宣伝を行う等、消費者への直接の需要喚起も行いました。引き続き主力である純国産の「ワンデーピュアシリーズ」を中心とし、特に市場の伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズ及びオルソケラトロジーレンズ等の高付加価値商品の拡販に注力してまいりました。その結果、新型コロナウイルス感染症の影響によりサークル・カラーコンタクトレンズの伸びは鈍いものの、高付加価値の遠近両用レンズは需要増により前期比9.9%増、オルソケラトロジーレンズにつきましては、同感染症拡大の状況下においても市場が着実な進展を示し、前期比32.4%増と大きく伸長いたしました。オルソケラトロジーレンズについては、製品開発に迅速に対応できる体制を構築することを目的として、同レンズの製造販売業者であり、100%出資子会社である株式会社ユニバーサルビューを2022年3月31日に吸収合併いたしました。

ケア用品につきましては、オルソケラトロジーレンズ関連のケア用品は増加したものの、コンタクトレンズの使用機会が減少した影響を受け、前期を下回る結果となりました。

海外へのコンタクトレンズ輸出等につきましては、感染症の影響により欧州諸国・東南アジア諸国・台湾・インド等の市場が引き続き厳しい状況で推移している一方、中国市場はいち早い景気回復を示しました。

その結果、セグメント全体の売上高は28,602百万円(前期 28,089百万円)、営業利益2,275百万円(前期 2,186百万円)となりました。

眼鏡

眼鏡につきましては、主力フレームの「ビビッドムーン」や「プラスミックス」を中心として、主に既存在庫の圧縮とアフターサービスの営業活動を行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により市場の低迷は続き、売上高は145百万円(前期 391百万円)、営業損失は88百万円(前期営業損失36百万円)となりました。

なお、眼鏡事業につきましては、2022年3月31日をもちまして同事業から撤退いたしました。連結子会社である株式会社シードアイサービスの一部店舗における眼鏡の小売り事業は継続しております。

その他

その他につきましては、眼内レンズの売上が減少した結果、売上高は87百万円(前期 137百万円)、営業損失は10百万円(前期営業損失13百万円)となりました。

連結計算書類