事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

当社グループの現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当期の経済環境

当期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染抑制に向けた企業活動や人の移動制限の強化等により大幅に悪化した後、制限緩和を受けて持直し傾向に転じましたが、その足取りは総じて緩慢でした。感染が抑制された中国では景気回復が続きましたが、欧米等の他の地域では感染拡大の再加速と制限の強化が相次ぐもとで景気回復にブレーキが掛かりました。原油価格(WTIベース/1バレルあたり)は、期初の20ドル台前半から4月下旬に一時急落した後、世界経済の持直しを背景に40ドル前後で安定的に推移、11月中旬以降は新型コロナウイルスのワクチン接種開始や米国での大型追加経済対策の成立が景気回復期待を高めたこと等から上昇し、3月は概ね60ドル台前半で推移しました。

日本経済は、新型コロナウイルスの影響により大幅に落込んだ個人消費が5月の緊急事態宣言解除を受けて反転した他、輸出も海外経済の底入れにより増加に転じたため、緩やかに持直していましたが、11月下旬以降は新型コロナウイルス感染再拡大や東京・大阪を中心とした一部地域での緊急事態宣言再発令により景気回復が足踏みしました。ドル・円相場は、期初の107円台から6月上旬に109円台まで円安となった後、7月下旬から1月上旬にかけては米国の追加金融緩和観測を背景に102円台まで円高が進行、その後は米国金利の上昇に伴い円安傾向に転じ、期末は110円台で終えました。日経平均株価は、期初の18,000円台から6月上旬には国内景気の改善期待等を背景に23,000円台を回復、その後21,000円台まで下落した局面はあったものの徐々に底堅さを増し、11月上旬には節目とされた24,000円を上抜け、更に米国株価上昇や円安を背景に騰勢が強まって2月半ばには30,000円台に乗せ、期末も29,000円台で終えました。10年物国債利回りは、日銀の潤沢な資金供給により、期初の0.02%から概ね横ばいで推移していましたが、1月半ば以降は米国金利に連れて底離れし、2月末には0.17%まで上昇、期末は0.10%で終えました。

当社グループの当期の業績

当期の収益は、エネルギー・化学品はエネルギー関連事業及び化学品関連取引の販売価格下落及び取引減少等により減収、機械は(株)ヤナセの販売回復はあったものの、新型コロナウイルスの影響による海外自動車関連事業、自動車関連取引及び航空機関連取引での販売数量減少等により減収、繊維は新型コロナウイルスの影響によるアパレル関連事業の販売不振を中心とした全般的な取引低調等により減収となり、一方、食料は食糧関連取引の減少はあったものの、前第3四半期のプリマハム(株)の子会社化等により増収となりましたが、全体としては前期比6,203億円(5.6%)減収の10兆3,626億円となりました。

売上総利益は、第8は新型コロナウイルスの影響による(株)ファミリーマートでの日商の減少等により減益、機械は(株)ヤナセの販売回復はあったものの、新型コロナウイルスの影響による海外自動車関連事業、自動車関連取引及び航空機関連取引での販売数量減少等により減益、繊維は新型コロナウイルスの影響によるアパレル関連事業の販売不振を中心とした全般的な取引低調等により減益となり、一方、情報・金融は伊藤忠テクノソリューションズ(株)の堅調な推移に加え、前第3四半期のほけんの窓口グループ(株)の子会社化等により増益、食料は新型コロナウイルスの影響による食糧関連事業及び(株)日本アクセスのCVS・外食事業向けの取扱数量の減少はあったものの、前第3四半期のプリマハム(株)の子会社化等により増益となりましたが、全体としては前期比170億円(0.9%)減益の1兆7,807億円となりました。

販売費及び一般管理費は、前第3四半期のプリマハム(株)及びほけんの窓口グループ(株)の子会社化の影響はあったものの、経費削減努力に加え、新型コロナウイルスの影響による旅費等の減少もあり、前期比145億円(1.0%)減少の1兆3,665億円となりました。

貸倒損失は、前期の海外債権に対する引当金の反動等により、前期比66億円減少の108億円(損失)となりました。

有価証券損益は、イー・ギャランティ(株)の一部売却に伴う利益はあったものの、食料の海外事業での減損損失及び(株)オリエントコーポレーションに係る減損損失、前期の住生活の海外事業の一部売却に伴う利益及びプリマハム(株)の子会社化に伴う再評価益の反動等により、前期比537億円(92.9%)減少の41億円(利益)となりました。

固定資産に係る損益は、(株)ファミリーマート及び豪州石炭事業での減損損失に加え、機械の海外事業に係る減損損失等により、前期比1,531億円悪化の1,575億円(損失)となりました。

その他の損益は、為替損益の改善あるも、エネルギー長期契約に係る損失等により、前期比48億円悪化の62億円(損失)となりました。

受取利息、支払利息の合計である金利収支は、USドル金利低下による支払利息の減少等により前期比92億円改善の131億円(費用)となり、受取配当金は、石油及びLNGプロジェクト、ブラジル鉄鉱石事業からの配当の減少等により、前期比133億円減少の531億円となりました。その結果、金利収支に受取配当金を加えた金融収支は、前期比41億円減少の400億円(利益)となりました。

持分法による投資損益は、その他及び修正消去(注)はCITIC Limitedの取込損益の増加に加え、豚市況上昇及び事業再編に伴う利益によるC.P. Pokphand Co. Ltd.の取込損益の増加により増加となり、一方、機械は新型コロナウイルスの影響による航空関連事業及び産業機械関連事業の取込損益減少等により減少、食料は畜産関連事業の堅調な推移による取込損益の増加はあったものの、新型コロナウイルスの影響による食糧関連事業の取込損益減少及び前第3四半期のプリマハム(株)の子会社化等により減少となりましたが、全体としては前期比228億円(11.1%)増加の2,286億円(利益)となりました。

(注)「その他及び修正消去」は、各事業セグメントに帰属しない損益及びセグメント間の内部取引消去が含まれております。

以上の結果、税引前利益は、前期比1,890億円(26.9%)減益の5,125億円となりました。法人所得税費用は、前期の資源案件に係る税金費用減少の反動はあったものの、税引前利益の減少及び(株)ファミリーマートに係る税金費用の改善等により、前期比706億円(49.7%)減少の716億円となり、税引前利益5,125億円から法人所得税費用716億円を控除した当期純利益は、前期比1,183億円(21.2%)減益の4,409億円となりました。このうち、非支配持分に帰属する当期純利益395億円(利益)を控除した当社株主に帰属する当期純利益は、前期比999億円(19.9%)減益の4,014億円となりました。

(ご参考)

日本の会計慣行に基づく営業利益(売上総利益、販売費及び一般管理費、貸倒損失の合計)は、エネルギー・化学品は油価下落による石油開発事業の採算悪化はあったものの、化学品関連事業の堅調な推移や衛生用品取引及び電力取引等の増加に加え、経費削減等により増益、食料は新型コロナウイルスの影響による食糧関連事業及び(株)日本アクセスのCVS・外食事業向けの取扱数量の減少はあったものの、前第3四半期のプリマハム(株)の子会社化及び経費削減等により増益となり、一方、機械は経費削減及び(株)ヤナセの販売回復はあったものの、新型コロナウイルスの影響による海外自動車関連事業、自動車関連取引及び航空機関連取引での販売数量減少等により減益、第8は(株)ファミリーマートでの経費削減及び前期の割増退職金の反動はあったものの、新型コロナウイルスの影響による日商の減少等により減益、住生活は北米建材関連事業の堅調な推移及び経費削減はあったものの、新型コロナウイルスの影響によるEuropean Tyre Enterprise Limited(欧州タイヤ関連事業)の販売数量減少等により減益となりましたが、全体としては前期比40億円(1.0%)増益の4,034億円となりました。

見通しに関する注意事項

本事業報告に記載されているデータや将来予測は、現在入手可能な情報に基づくもので、種々の要因により影響を受けることがありますので、実際の業績は見通しから大きく異なる可能性があります。従って、これらの将来予測に関する記述に全面的に依拠することは差し控えるようお願いいたします。また、当社は新しい情報、将来の出来事等に基づきこれらの将来予測を更新する義務を負うものではありません。

主要な事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、国内及び海外におけるネットワークを通じて、繊維、機械、情報・通信関連、金属、石油等エネルギー関連、生活資材、化学品、食糧・食品等の各種商品の国内、輸出入及び海外取引、更には損害保険代理業、金融業、建設業、不動産の売買、倉庫業並びにそれらに付帯または関連する業務及び事業への投資を多角的に行っています。

セグメント別業績
連結財政状態

総資産は、有形固定資産の減少はあったものの、期末円安に伴う為替影響や持分法で会計処理されている投資の増加等により、前期末比2,588億円(2.4%)増加の11兆1,784億円となりました。

有利子負債から現預金を控除したネット有利子負債は、堅調な営業取引収入はあったものの、(株)ファミリーマートの追加取得及び配当金の支払等により、前期末比3,445億円(15.3%)増加の2兆6,014億円となりました。有利子負債は、前期末比2,783億円(9.7%)増加の3兆1,553億円となりました。

株主資本は、(株)ファミリーマートの追加取得により資本剰余金が減少した影響及び配当金の支払はあったものの、当社株主に帰属する当期純利益の積上げや期末円安に伴う為替影響等により、前期末比3,203億円(10.7%)増加の3兆3,163億円となりました。

株主資本比率は、前期末比2.2ポイント上昇の29.7%となり、NET DER(ネット有利子負債対株主資本倍率)は、前期末比若干増加の0.78倍となりました。

連結キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、第8、金属、情報・金融及びエネルギー・化学品での営業取引収入の堅調な推移等により、8,959億円のネット入金となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、機械での東京センチュリー(株)及び食料での不二製油グループ本社(株)の追加取得に加え、第8での投資の取得並びに第8、食料、エネルギー・化学品、金属での固定資産の取得等により、2,073億円のネット支払となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債及び借入金による調達はあったものの、(株)ファミリーマートの追加取得に加え、リース負債の返済及び配当金の支払等により、7,288億円のネット支払となりました。

現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末比672億円減少の5,440億円となりました。

2020年度の定性的成果

当社グループは、経営環境の急激な変化を踏まえ、足元を固める1年として中期経営計画に属さない2020年単年度の経営計画を策定し、ビジネスの基本である「稼ぐ・削る・防ぐ」の再徹底を通じて、高効率経営の更なる推進を図りました。また、「中長期的な株主還元方針」を継続し、中長期的視点に立った企業価値の持続的な向上を図りました。

2020年度における具体的成果は、次のとおりです。

繊維カンパニー

環境配慮型素材を軸としたバリューチェーン構築

フィンランド森林業界大手のMETSA GROUPと設立した針葉樹由来のセルロースファイバー合弁パイロット工場の稼働を開始し、「クウラ(Kuura)」ブランドでの展開がスタートしました。また、繊維由来の再生ポリエステル「レニュー(RENU)」では、(株)ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」に採用される等、取組が広がっています。今後も、環境配慮型素材を軸に、原料から製品に至るバリューチェーン構築を拡大していきます。

(針葉樹由来のセルロース繊維「クウラ」)

「スローウエア」の日本市場における展開を開始

世界最高級の品質で知られるパンツブランド「インコテックス」等の専業ブランドを擁するイタリア発祥のアパレルブランドグループ「スローウエア」の日本市場における独占輸入販売権を取得しました。既存の直営展開に加え、2021年秋冬シーズンからは、全国の百貨店、セレクトショップ等での展開を開始します。今後も多様化する消費者ニーズに対応し、マーケットインの発想で、ブランドビジネスの更なる多角化に取組んでいきます。

(「スローウエア」が作り出す高品質なコレクションの展開を開始)

機械カンパニー

再生可能エネルギー事業への取組強化

当社の米国子会社NAES Corporation(NAES社)は、2020年12月、太陽光発電所向け運転・保守事業で米国最大規模を誇るBay4 Energy Services, LLCを買収しました。北米を中心に約200ヵ所の発電所を運転する世界最大の独立系運転・保守サービス会社であるNAES社は、当社米国発電事業子会社Tyr Energy Inc.が取組んでいる太陽光発電所の開発事業と合わせ、開発から運転・保守までの総合的なサービスを提供することで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

(米国ペンシルベニア州のナザレス太陽光発電施設)

建設機械分野における川下事業の拡大

当社は、従来型の建設機械の販売事業からレンタル・中古販売等、ユーザーニーズに対応した事業を強化する「建機ライフサイクル戦略」を北米中心に推進しています。発電機や小型建機等の販売で高いシェアを持つ米国子会社Multiquip, Inc. (Multiquip社)によるIoTを活用した遠隔保守、中古建機の整備再生等のアフターサービス拡大、2019年に資本参加したBigRentz, Inc.による建機オンラインレンタル事業等を通じて川下事業拡大に取組んでいきます。

(Multiquip社が販売する発電機)

豊かなカーライフの実現を目指すヤナセ

当社子会社の(株)ヤナセは、約240拠点に及ぶ充実した販売・サービスのネットワークを有する国内最大の輸入車販売会社です。同社は、20万人を超えるお客様に全国のどこの店舗でもスムーズなサービスをお受けいただく等、最上質のアフターサービスと顧客サポート体制の整備に注力しています。加えて、多様な価値観を持つお客様のニーズに応えるべく、輸入車のEV(電気自動車)、レンタカー、福祉車両や、高級クラシックカー等の新たな商品・サービスの提供にも力を入れており、お客様との信頼の輪を更に太く・強くしていきます。

(ヤナセ東京支店ショウルーム)

金属カンパニー

副生水素を水素エンジン船舶で活用

当社の重要顧客である日本コークス工業(株)及び新造船において当社と長年の取引があるベルギー最大手の総合海運会社Compagnie Maritime Belge B.V.(CMB社)とともに、九州北部での水素地産地消モデル事業に関する共同事業化調査を実施することに合意しました。本プロジェクトでは、コークス事業からの副生水素とCMB社の水素エンジンを柱に、水素の需要・供給双方を創出し、地産地消モデル構築を目指します。更に、同プロジェクトの他地域への積極展開により、グローバル規模での水素の社会実装を実現し、SDGsへの貢献・取組強化を推進します。

(副生水素を生む日本コークス工業(株)のコークス炉)

エネルギー・化学品カンパニー

次世代蓄電システムSmart Star新製品販売

自然災害等の停電時に強く、AIによる最適制御機能が高く評価されている「Smart Star」シリーズの新製品「Smart Star 3」を2021年5月より販売しています。新製品では、家庭用蓄電システムを通じて太陽光発電から作られる環境価値を取り出す仕組みを、世界で初めて構築しました。脱炭素社会の実現を目指す企業にこれらの環境価値を提供すると同時に、新製品購入家庭には、お買い物等に利用可能なポイントを還元し、環境への貢献をより身近に感じられる製品となっています。分散型エネルギーの更なる普及を目指すとともに、蓄電池ビジネスを通じた新たな価値の創出及び経済圏の確立に挑戦し続けます。

(次世代家庭用蓄電システムSmart Star3)

環境に配慮したプラスチック製品の普及推進

米国TerraCycle, Inc.と協働し、海岸に漂着したプラスチックごみを回収、洗浄し、プラスチック製品原料への再利用を推進、ゴミ袋や買い物かご等の製品化を実現しました。また、再生可能資源由来のバイオマスプラスチック原料大手メーカーと日本向け販売に関する業務提携に合意しました。(株)ファミリーマートや国内外のブランドオーナーとの連携による環境に配慮したプラスチック容器や包材等の開発・普及にも貢献していきます。

(海洋プラスチックごみを原料とした買い物かご)

食料カンパニー

不二製油との取組

当社の主要関連会社である不二製油グループ本社(株)は、北米のBlommer Chocolate Companyをグループに抱える世界第3位の業務用チョコレートメーカーであり、植物性油脂・大豆タンパク分野では卓越した技術を保有するリーディングカンパニーです。当社は、製品販売・原料供給のみならず、海外事業、植物由来食品ビジネスの拡大を同社とともに推進しています。特に、近年同社は、環境と健康に配慮した食品として関心が高まっている大豆ミートの普及にも力を入れており、当社もマーケットインの発想でグループ内のリテール、流通網を最大限に活用し、消費者の期待に応えていきます。

(大豆ミートを使用したベーグルサンド)

仏国Provence Huilesの完全子会社化

当社は、欧州を中心に植物油製造・販売事業を展開するProvence Huiles S.A.S.(PH社)を完全子会社化し、2015年9月の資本参画以降、積極推進してきた機能性植物油バリューチェーンの強化をより機動的に実現していきます。PH社は、世界最大規模の生産量を誇るグレープシード油や、高オレイン酸ひまわり油等の機能性の高い植物油を主に取扱っており、厳格な運用が必要なオーガニック油等のサステナブル対応製品にも注力する等、SDGsの達成にも貢献していきます。

(Provence Huiles社製のSDGs対応グレープシード油)

食品サプライチェーンDXを推進する日本アクセス

当社子会社の(株)日本アクセスは、顧客である小売業向けデジタルマーケティングサービスの提供や小売店の販売データを活用した発注自動化を開始しました。開発・初期費用負担の少ないデジタルサービスを提供することで小売業のDXを支援し、効果的な販促や生産性向上に寄与していきます。更には、それらのデータを食品メーカー等にも繋げることで原材料調達・商品在庫の適正化から物流の効率化に至るまで食品業界全体の進化に貢献していきます。

(携帯アプリを活用したマーケティングサービス)

住生活カンパニー

天然ゴムを持続可能な天然資源へ

天然ゴム事業では、地域住民の人権侵害や違法伐採が課題となっています。今般、ブロックチェーン技術を用い、原料の調達過程を追跡し、社会・環境に優しい天然ゴムの差別化を可能とするシステムを開発しました。当社子会社のP.T. Aneka Bumi Pratamaでは、このシステムを活用し、SDGsに対応したトレーサブル・天然ゴムを高付加価値商品として販売予定です。生産者にも収益の一部を還元し、違法伐採による原料を排除することで、持続可能な天然ゴムの普及に貢献していきます。

(調達の透明化による持続可能な天然ゴムの普及を目指す)

METSA FIBRE OY KEMI工場にて増産決定

METSA FIBRE OY(MF社)は、フィンランド国内の潤沢で良質な森林資源と高い技術力を持つ、世界最大の製紙用市販針葉樹パルプメーカーです。今般MF社KEMI工場に約2,000億円を投じた製造ラインの増設を決定し、2023年の竣工以降は世界最大の地位をより強固なものとします。世界的な人口増加、脱プラスチックの動き等を背景に、紙・パルプ需要がますます高まる中、当社は、世界最大級の取扱量を誇るパルプトレーダーとしてMF社と連携し、生活に不可欠な紙パルプの安定的な供給に努めていきます。

(METSA FIBRE OY社 KEMI工場の増産ライン完成時イメージ)

情報・金融カンパニー

データ活用の専門集団ブレインパッドとの資本業務提携

当社はデータ活用の専門集団として国内で先行する(株)ブレインパッドと共同でDX推進のためのデータ活用事例創出と基盤・体制構築に着手し、様々な事業分野の課題解決ノウハウを蓄積してきました。今般の資本業務提携により、当社グループのDXをより一層推進するとともに、当社グループが各業界で有する事業ノウハウと同社のデータ分析・活用ノウハウを結びつけ、様々な産業における顧客企業のDXを支援していきます。

((株)ブレインパッド データ活用を通じ企業のDXを支援)

ほけんの窓口の顧客対応進化

ほけんの窓口グループ(株)は、「お客さまにとって最優の会社」を経営理念に掲げ、業界No.1の規模(2021年3月末時点で全国795店舗)はもとより、独自の社員教育システムによる徹底した顧客本位のサービスを強みとして優れた顧客満足度を提供する来店型保険ショップのパイオニアです。コロナ禍による店舗での対応に制限が出る中にあっても、お客様の相談ニーズに対応すべく即座に対応しオンライン相談会を開始する等、デジタル化も活用し、顧客対応の更なる拡充を進めました。今後も、豊富な消費者接点を持つ同社との連携を一段と深め、マーケットインの発想で事業拡大を加速していきます。

(お客様の相談ニーズに寄り添った丁寧なサービスを展開)

第8カンパニー

ファミリーマートの成長戦略

当社が2020年7月にTOB(株式公開買付)を実施した(株)ファミリーマートは、生活消費関連を重視する当社の最重要子会社の一つであり、今後は、コンビニエンスストアビジネスの基本である「商品力・利便性・親しみやすさ」を徹底的に強化していきます。グループ会社を活用した物流効率化の推進や、お客様に向けた広告・金融事業等、新しいビジネスの創出により、消費者に新たな価値を提供していくことで、取引先も含めたステークホルダーの皆様にとってなくてはならない存在を目指します。名実ともに当社は(株)ファミリーマートと一体となって、マーケットインの発想に根差した戦略を強力に推進していきます。

((株)ファミリーマートの創立40周年記念キャラクター)

デジタル広告事業への参入

当社、(株)ファミリーマート、(株)NTTドコモ、(株)サイバーエージェントは、デジタル広告配信会社の(株)データ・ワンを設立しました。(株)データ・ワンでは、(株)ファミリーマートが保有する購買データ、(株)NTTドコモが保有するdポイントクラブ会員属性情報を活用し、消費者ニーズにあわせた“ID”単位での広告配信を行います。ユーザーには「不要な広告が出る煩わしさ」がなくなり、広告主には精度の高いマーケティングを実現する新たな広告配信事業を展開していきます。

(新たなデジタル広告配信事業の展開)

対処すべき課題

来期の見通し

来期の経営環境を展望しますと、中国経済の回復が続き、米国でも大型追加経済対策の効果が期待されるものの、当面は欧州や新興国の一部を中心に新型コロナウイルス感染の厳しい状況が続く他、ワクチンの有効性や供給等にも不確実性が残ることから、世界経済はなおしばらくの間、緩慢なペースでの持直しに止まると考えられます。日本経済も、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めが掛かる兆しが見えておらず、回復の遅れが懸念されます。

そのようなもとで、ドル・円相場は概ね横ばいで推移、原油価格は主要産油国による生産量の回復が見込まれるため、上値余地は限られると考えられます。

新中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の推進

当社グループは、新たな成長機会の創出による持続的な企業価値向上と社会課題の解決の両立を目指し、次なる中期経営計画として「Brand-new Deal 2023」(2021年度から2023年度までの3ヵ年計画)を策定しました。業態変革を強力に推進していくことで、多様化するマーケットニーズへの対応と、本業を通じた生活基盤の維持・環境改善等の「SDGs」実現への貢献を果たしていきます。

基本方針

「Brand-new Deal 2023」における基本方針として、以下を掲げています。

<連結純利益6,000億円の達成>

中期経営計画期間中に連結純利益6,000億円の達成を目指します。

<「マーケットイン」による事業変革>

多様化する売り手/買い手の顕在・潜在ニーズを捉えて、川下から川上までのバリューチェーン変革による事業成長を実現するため、以下の主要施策に取組みます。

  • ・グループ最大の消費者基盤であるFM事業の進化
  • ・川下起点のバリューチェーン全体の変革
  • ・データ活用・DXによる収益機会拡大

<「SDGs」への貢献・取組強化>

脱炭素社会の業界に先駆けた実現を目指すとともに、以下を通じて「SDGs」実現に貢献していきます。

  • ・脱炭素社会を見据えた事業拡大
  • ・循環型ビジネスの主導的展開
  • ・バリューチェーン強靭化による持続的成長
株主還元方針

中期経営計画「Brand-new Deal 2023」期間中に1株当たり配当金100円を目指します。

自己株式取得についても、従来通り、キャッシュアロケーションの状況に鑑み、機動的、継続的に実行してまいります。

2021年度の1株当たり配当金は、当社史上最高を更新する94円を下限とし、2021年度期中に業績見通しを上方修正する場合は、増配を実現します。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

連結計算書類