第59期 事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

1 経営の基本方針等

経営の基本方針

オリックス(当社およびその子会社から成る企業集団をいう。以下同じとする。)はグループとして次の企業理念および経営方針を定めています。

目標とする経営指標

オリックスは、持続的な成長に向けて、収益力の観点から当社株主に帰属する当期純利益を、資本効率の観点からROE(株主資本・当社株主に帰属する当期純利益率)を、健全性の観点から信用格付を目標とする経営指標としています。

当期は、新型コロナウイルス感染症が未だ収束したとは言えない状況が続いていましたが、オリックスの強みである分散された事業ポートフォリオからの安定した収益貢献により、当社株主に帰属する当期純利益は3,121億円となりました。ROEは、当期純利益の増加により前期の6.4%から上昇し、当期は9.9%となりました。

これらの経営指標にかかる中期的な方向性として、2025年3月期の目標を当期純利益4,400億円、ROE11.7%、信用格付A格相当の財務健全性を維持することと致します。

剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、事業活動で得られた利益を事業基盤の強化や成長のための投資に活用することにより、株主価値の増大に努めています。同時に、業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施致します。また、自己株式取得につきましては、経営環境、株価の動向、財務状況および目標とする経営指標等を勘案の上、弾力的・機動的に実施します。

これらの基本方針の下、当期の1株当たりの年間配当金につきましては、85.60円(中間配当金は支払済みの39.00円、期末配当金は46.60円)と致します。配当性向は、33.0%となります。なお、配当の決定につきましては、会社法第459条第1項に基づき、取締役会の決議により剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めています。また、当期は、合計500億円の自己株式取得を行いました。

1株当たりの配当金の過去5年間の推移は以下のとおりです。

2 オリックスの現況に関する事項

「2.オリックスの現況に関する事項」における記載は、米国預託証券の発行等に関して要請されている用語、様式および作成方法(以下、「米国会計基準」)に基づいています。

当期の事業の経過およびその成果

経営環境

新型コロナウイルス感染症は未だ収束しておらず、加えて、半導体不足、原油高、金利上昇、急激な円安など、事業環境の不確実性が増していることから、外部環境の変化に細心の注意を払いながら経営していく必要がありました。当期において、オリックスでは、不動産セグメントの施設運営事業、事業投資・コンセッションセグメントの空港運営事業、輸送機器セグメントの航空機リース事業における事業環境は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前期から回復しなかったものの、弥生株式会社の事業売却に伴い子会社・関連会社株式売却損益が増加したこと等により、大幅な増益となりました。

連結業績等の概況

当期の営業収益は、サービス収入やオペレーティング・リース収益、商品および不動産売上高、有価証券売却・評価損益および受取配当金の増加により、前期に比べて10%増の2兆5,204億円になりました。

営業費用は、サービス費用やオペレーティング・リース原価、商品および不動産売上原価、販売費および一般管理費、長期性資産評価損の増加により、前期に比べて9%増の2兆2,183億円になりました。

また、持分法投資損益は前期に比べて145億円増の150億円、子会社・関連会社株式売却損益および清算損は前期に比べて1,645億円増の1,878億円になりました。

以上により、税引前当期純利益は、前期に比べて76%増の5,049億円、当社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて62%増の3,121億円になりました。

財産および損益の状況(米国会計基準)

ご参考2022年3月期 セグメント利益・セグメント資産
(1億円未満を四捨五入して表示)

主要な事業内容および主要な営業所ならびに使用人の状況

セグメント情報

セグメント利益(1億円未満を四捨五入して表示しているため、各セグメントの合計値はセグメント数値とは合致しません)

法人営業・メンテナンスリース

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法人営業では、グループ営業の中核的な役割を担い、全国の営業網を通じて、法人向けにリースや融資に加え、生命保険、環境エネルギーなどの商品・サービスを幅広く提供しています。メンテナンスリース事業では、専門性を強みに、自動車のトータルサービスおよび電子計測器やIT関連機器など多種多様なレンタル商材を提供しています。

主要な事業内容

金融・各種手数料ビジネス、自動車およびIT関連機器などのリースおよびレンタル、弥生

業績等の概況

セグメント利益は、弥生㈱の事業売却に伴い子会社・関連会社株式売却損益が増加したこと、自動車関連事業における車両売却益の影響でオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前期に比べて255%増の2,514億円になりました。

セグメント資産は、弥生㈱の事業売却に伴い無形資産が減少したこと、およびリース純投資、オペレーティング・リース投資も減少したことにより、前期に比べて10%減の1兆5,168億円になりました。

セグメント利益

不動産

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物流施設・オフィスビル・商業施設・分譲マンションなどの開発・賃貸・管理や、不動産の資産運用などの事業を展開しています。また、ホテル・旅館、水族館など様々な施設を運営し、質の高いサービスを提供しています。

主要な事業内容

不動産開発・賃貸・管理、施設運営、不動産の資産運用

業績等の概況

セグメント利益は、運営施設のサービス収入が増加したこと、賃貸不動産の売却に伴いオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前期に比べて30%増の336億円になりました。

セグメント資産は、関連会社投資および賃貸資産前渡金が増加したことにより、前期に比べて4%増の9,101億円になりました。

セグメント利益

事業投資・コンセッション

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事業投資事業では、国内外で企業投資を行い、グループの専門性を活用して投資先の企業価値向上を図っています。コンセッション事業では、関西の3カ所の空港および下水処理場などの公共施設を運営しています。

主要な事業内容

企業投資、コンセッション

業績等の概況

セグメント利益は、一部の投資先で資産譲渡契約を締結したことに伴う評価損を計上したことにより、前期に比べて151億円減の113億円の損失になりました。

セグメント資産は、前記の資産譲渡契約により、前期に比べて7%減の3,536億円になりました。

セグメント利益

環境エネルギー

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再生可能エネルギー事業をグローバルに展開しています。また、電力小売、省エネルギーサービス、廃棄物の再資源化や処理など、総合的な環境エネルギー事業のトップランナーとして、幅広い領域で事業を行っています。

主要な事業内容

国内外の再生可能エネルギー、電力小売、省エネルギーサービス、ソーラーパネル・蓄電池販売、廃棄物処理

業績等の概況

セグメント利益は、投資先からの持分法投資損益の増加があったものの、事業用資産の減損を計上したことにより、前期に比べて89%減の29億円になりました。

セグメント資産は、スペイン本拠のグローバル再生可能エネルギー事業会社Elawan Energy S.L. の発行済株式の80%を取得したことにより、前期に比べて44%増の7,036億円になりました。

セグメント利益

保険

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「シンプルで分かりやすいこと」「合理的な保障をお手頃な価格でご提供すること」をコンセプトに、豊富な保険商品を取り揃え、保険代理店による販売、金融機関による販売、通信販売、当社社員による対面販売を行っています。

主要な事業内容

医療保険や死亡保険などの生命保険

業績等の概況

セグメント利益は、保険契約の増加に伴い生命保険料収入および運用益が増加したものの、前期に変額保険に関連する利益を計上した反動により、前期に比べて3%減の546億円になりました。

セグメント資産は、前期に比べて6%増の2兆721億円になりました。

セグメント利益

銀行・クレジット

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銀行事業では、投資用不動産ローンを中心として、環境関連事業への融資にも注力しています。また、インターネットを通じた取引を中心にすることで運営費を抑え、お客様に高水準の預金金利を提供しています。クレジット事業では、カードローンに加え、他の金融機関が取り扱う無担保ローンの保証や住宅ローン(フラット35)も展開しています。

主要な事業内容

投資用不動産ローンを中心とした銀行業務、カードローン、信用保証、住宅ローン

業績等の概況

セグメント利益は、クレジットにおいて信用損失費用および広告宣伝費が増加したことにより、前期に比べて12%減の438億円になりました。

セグメント資産は、前期に比べて横ばいの2兆6,872億円になりました。

セグメント利益

輸送機器

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航空機事業では、当社保有機体を航空会社にリースしています。また、国内外の投資家に対して航空機投資のアレンジメントや、機体の売却・再リースを含むアセットマネジメントサービスを提供しています。船舶事業では船舶のファイナンス、当社保有船の管理・運航、船舶の売買・仲介を行っています。

主要な事業内容

航空機および船舶のリースやアセットマネジメントサービス

業績等の概況

セグメント利益は、船舶事業においてサービス収入およびオペレーティング・リース収益が増加したものの、Avolon Holdings Limited(以下、「Avolon」)の持分法投資損益が減少したことにより、前期に比べて72億円減の18億円の損失になりました。

セグメント資産は、営業貸付金が増加したことにより、前期に比べて14%増の6,841億円になりました。

セグメント利益

ORIX USA

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法人向けファイナンス事業、有価証券投資、不動産ファイナンス事業、企業投資事業を展開するとともに、これらの資産を対象としたアセットマネジメントサービス事業などを提供・展開しています。

主要な事業内容

米州における金融、投資、アセットマネジメント

業績等の概況

セグメント利益は、投資先の売却益を計上したことに加え、信用損失費用が減少したことにより、前期に比べて89%増の763億円になりました。

セグメント資産は、主に為替影響で増加したことにより、前期に比べて12%増の1兆3,641億円になりました。

セグメント利益

ORIX Europe

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株式から債券まで幅広いアクティブ運用の投資ソリューションを提供しています。また、1995年に初のサステナブル投資商品を開発し、以来、サステナブル投資分野をリードしています。

主要な事業内容

欧州・米国を中心としたアセットマネジメント

業績等の概況

セグメント利益は受託資産の増加によりサービス収入が増加したことにより、前期に比べて26%増の496億円になりました。

セグメント資産は、前期に比べて9%増の4,019億円になりました。

セグメント利益

アジア・豪州

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現地のお客様に対して機械・設備リース、自動車リース、割賦、融資、レンタルなどを提供しています。中華圏では、企業投資も行っています。各現地法人では、オリックスの国内事業で培ったノウハウを活用し、事業の多角化を図っています。

主要な事業内容

アジア・豪州における金融、投資

業績等の概況

セグメント利益は、投資先からの持分法投資損益が増加したこと、中国における金融収益および韓国、豪州におけるオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前期に比べて298%増の523億円になりました。

セグメント資産は、中国、韓国、豪州におけるリース純投資、営業貸付金、オペレーティング・リース投資が増加したことにより、前期に比べて20%増の1兆3,061億円になりました。

セグメント利益

資金調達等についての状況(重要なもの)

① 資金調達の状況

オリックスの長短借入債務および預金の受け入れによる資金調達は当期末で7兆1,428億円になっています。そのうち金融機関からの調達については大手銀行、地方銀行、外資系銀行、生損保会社等、調達先は多岐にわたり、その数は約200社です。資本市場での調達については、社債、ミディアム・ターム・ノート(MTN)、コマーシャル・ペーパー(CP)、資産の証券化に伴う支払債務などで構成されています。

当期は借入債務の長期化、返済額の集中緩和などの施策を実施しました。また、劣後特約付シンジケートローン(ハイブリッドローン)を調達しました。今後も調達のバランスを考慮しながら、財務の安定化を図っていきます。

② 設備投資の状況

当期中に、主に法人営業・メンテナンスリースセグメント、アジア・豪州セグメントおよび輸送機器セグメントにおいて、オペレーティング・リース事業用の賃貸設備として総額3,884億円の投資を行いました。また、環境エネルギーセグメントの太陽光発電設備・風力発電設備などを中心に、社用設備や賃貸目的以外の事業用設備として総額888億円の投資を行いました。

③ 事業の譲渡・譲受け、合併・分割、株式等の取得・処分等の状況

該当事項はありません。

④ 主要な借入先およびその借入額 (2022年3月31日現在)

オリックスの金融機関借入は当社を中心に行っており、当期末におけるオリックスの主な借入先は以下のとおりです。

対処すべき課題

オリックスは、社会に新しい価値を提供し社会に必要とされる存在となることが、企業の持続的な成長を可能にすると考えています。そのためには以下のような取組により経営基盤を強化することが課題であると考えています。

サステナビリティの推進

2021年11月の取締役会において基本的な方針を策定し、オリックスが取り組むべきESG関連の重点分野・課題と全7項目の重要目標を設定しました。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに沿った開示を開始しました。事業活動を通じた社会課題解決のため、各事業部門でもそれぞれの特性に合わせたサステナビリティ推進を進めています。

リスク管理の強化

経営戦略実現のために必要なリスク管理の方針や基準を策定し、それを実現するための体制づくりおよび内部統制システムの実効性を不断に向上させる仕組みづくりを進めています。また、リスクを適切に特定・評価、コントロール、マネジメントできる体制の整備とその運用強化に継続的に取り組んでいます。

情報セキュリティの強化とデジタルトランスフォーメーション

業務のデジタル化とデジタル化された経営情報のセキュリティ強化を推進しています。また、その次のステップとして、蓄積した膨大な取引データの有効利用に加え、ITを駆使した事業拡大と新規事業の開発を視野に入れています。

連結計算書類