事業報告(2019年4月1日から2020年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

1.当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における日本の株式市場は、期初から米中貿易摩擦に対する警戒感などから一進一退を繰り返しました。夏からは米国の金融緩和姿勢などを受けて上昇基調に転じ、12月には、米中貿易交渉が第一段階の合意に達したことなどから、TOPIXが終値ベースで1,747.20ポイントまで上昇しました。1月からは、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し続け、世界的な景気減速懸念が高まったことから、株式市場が大幅に下落しました。その結果、2020年3月末時点におけるTOPIXは1,403.04ポイント(2019年3月末比-188.6ポイント)となりました。

このような状況の下、当社グループ(本事業報告において、当社及びその子会社からなる企業集団を指しております。)は、グローバルな環境変化や技術革新の中、ステークホルダーとの一層の協力や新たなパートナーシップを通じ、誰もがあらゆる商品を安心かつ容易に取引できる取引所<Total smart exchange>への進化を目指すことを中長期的な将来像として設定し、第三次中期経営計画(2019年度-2021年度)の1年目として、4つの重点戦略として掲げたⅠ.次世代に向けた「市場のカタチ」の追求、Ⅱ.総合取引所の実現とその発展、Ⅲ.データサービスの多様化の実現と次世代化への挑戦、Ⅳ.事業と社会の未来を支えるための基盤作りについて、精力的に取組みを進めました。

当社グループの当連結会計年度の連結業績は、営業収益は1,236億88百万円(前連結会計年度比2.1%増)、営業費用は585億32百万円(同8.2%増)、営業利益は685億33百万円(同1.4%減)となり、税引前利益は690億95百万円(同2.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は476億9百万円(同3.0%減)となりました。

なお、当社は、公開買付けにより(株)東京商品取引所及び(株)日本商品清算機構を連結子会社としたことから、当連結会計年度の連結業績には両社の損益を含んでおります(2019年10月1日から2020年3月31日までの6か月間)。

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事業区分別の概況

①取引関連収益

営業収益 48,589 百万円
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取引関連収益は、現物の売買代金並びに金融デリバティブ及び商品デリバティブの取引高等に応じた「取引料」、取引参加者の取引資格に応じた「基本料」、注文件数に応じた「アクセス料」、利用する売買システム施設の種類に応じた「売買システム施設利用料」等から構成されます。

当連結会計年度の現物市場における1日平均売買代金は3兆811億円(注)、金融デリバティブ市場の取引高合計は4億1,203万単位、商品デリバティブ市場の取引高合計は2,142万単位となりました。

この結果、当連結会計年度の取引関連収益は、基本料が10億20百万円(前連結会計年度比0.3%増)、現物取引料が257億57百万円(同8.3%減)、金融デリバティブ取引料が122億55百万円(同9.8%増)、商品デリバティブ取引料が11億4百万円、その他アクセス料・売買システム施設利用料等が84億50百万円(同0.7%増)となり、合計で485億89百万円(同0.1%減)となりました。

(注) 東証市場第一部、第二部、マザーズ、JASDAQ及びTOKYO PRO Marketにおける立会内、立会外の株券売買代金並びにETF・ETN、REIT・インフラファンド及びその他有価証券等の立会内、立会外の売買代金の合計を記載しております。

主な取組み内容

●(株)東京商品取引所との経営統合を実現(2019年10月)。(株)大阪取引所と(株)東京商品取引所の一体運営・市場活性化を推進

●現物プラットフォームarrowheadを刷新(2019年11月)

●BCP強化のための関西バックアップセンターの構築を推進

②清算関連収益

営業収益 26,427 百万円
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清算関連収益は、(株)日本証券クリアリング機構が行う金融商品債務引受業及び(株)日本商品清算機構が行う商品取引債務引受業に関する清算手数料等から構成されます。

当連結会計年度の清算関連収益は、264億27百万円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。

主な取組み内容

●ETFの設定・交換の決済に係る清算制度の要綱を公表(2019年4月)

●株式決済期間の短縮(T+2化)を実現(2019年7月)

●Asia Risk Awards 2019において「Clearing House of the Year」を受賞(2019年9月)

③上場関連収益

営業収益 14,322 百万円
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上場関連収益は、上場会社等から時価総額に応じて受領する「年間上場料」、新規上場や上場後の新株券の追加上場などの際に受領する「新規・追加上場料」から構成されます。

当連結会計年度の上場関連収益は、年間上場料が増加したことなどから、143億22百万円(前連結会計年度比2.1%増)となりました。

主な取組み内容

●日中ETFコネクティビティを活用した日中ETF同時上場を実現(2019年6月)

●現物市場の市場構造について、新市場区分の概要等を公表(2020年2月)

●上場会社による気候関連財務情報の開示推進活動を実施

④情報関連収益

営業収益 21,977 百万円
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情報関連収益は、情報ベンダー等への相場情報の提供に係る収益である相場情報料のほか、指数ビジネスに係る収益及びコーポレートアクション情報等の各種情報の提供に係る収益から構成されます。

当連結会計年度の情報関連収益は、相場情報料が増加したことに加え、指数ビジネスに係る収益が増加したことなどから、219億77百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。

主な取組み内容

●新たなデータサービスの創造に向けた実証実験プログラムを開始(2019年4月)

●デリバティブに係るオルタナティブデータ提供サービスを開始(2019年7月)

●新たな情報利用者層の拡大に向けたデータサンドボックスプログラムを開始(2019年8月)

⑤営業費用

営業費用 58,532 百万円
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当連結会計年度の営業費用は、人件費が175億12百万円、システム維持・運営費が120億71百万円、減価償却費及び償却費が164億84百万円となったこと等から585億32百万円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。

2.直前3連結会計年度の財産及び損益の状況

連結計算書類