事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

1.当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における日本の株式市場は、経済正常化や堅調な企業業績への期待と新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念が交錯するなか、一進一退の展開となりました。9月にはワクチン接種の進展による経済正常化や新政権への期待が高まり、TOPIXが終値ベースで2,118.87ポイントまで上昇するなど31年ぶりの高水準となりました。その後、年末にかけては世界的なインフレと新たな変異株への懸念により上値が抑えられました。2022年に入ってからは、インフレの進展や金利上昇の懸念にウクライナ情勢の緊迫化が加わり、2月下旬から3月初旬にかけて株式市場が大幅に下落したものの、その後、米国金融政策への不透明感が和らいだことなどから期末に向けて急速に回復しました。その結果、2022年3月末時点でTOPIXは1,946.40ポイント(2021年3月末比-7.60ポイント)となりました。

このような状況の下、当社グループは、グローバルな環境変化や技術革新の中、ステークホルダーとの一層の協力や新たなパートナーシップを通じ、誰もがあらゆる商品を安心かつ容易に取引できる取引所<Total smart exchange >への進化を目指すとともに、責任あるインフラの運営者として「持続可能な社会の構築」に向けて、さらに積極的に貢献していくこととする第三次中期経営計画(2019年度-2021年度)の最終年度として、4つの重点戦略として掲げたⅠ.次世代に向けた「市場のカタチ」の追求、Ⅱ.総合取引所の活性化と発展、Ⅲ.データサービスの多様化の実現と次世代化への挑戦、Ⅳ.事業と社会の未来を支えるための基盤作りについて、諸施策を着実に実施しました。

当社グループの当連結会計年度の連結業績は、営業収益は1,354億32百万円(前連結会計年度比1.6%増)、営業費用は632億20百万円(同3.0%増)、営業利益は734億73百万円(同1.5%減)となり、税引前利益は734億29百万円(同1.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は499億55百万円(同2.8%減)となりました。

事業区分別の概況

①取引関連収益

営業収益 53,196 百万円
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取引関連収益は、現物の売買代金並びに金融デリバティブ及びコモディティ・デリバティブの取引高等に応じた「取引料」、取引参加者の取引資格に応じた「基本料」、注文件数に応じた「アクセス料」、利用する売買システム施設の種類に応じた「売買システム施設利用料」等から構成されます。

当連結会計年度の現物市場における1日平均売買代金は3兆7,578億円(注)、金融デリバティブ市場の取引高合計は3億3,566万単位、コモディティ・デリバティブ市場の取引高合計は1,692万単位となりました。

この結果、当連結会計年度の取引関連収益は、基本料が10億00百万円(前連結会計年度比1.8%減)、現物取引料が315億63百万円(同1.6%増)、金融デリバティブ取引料が101億68百万円(同2.2%減)、コモディティ・デリバティブ取引料が15億67百万円(22.2%減)、その他アクセス料・売買システム施設利用料等が88億97百万円(同2.4%増)となり、合計531億96百万円(同0.0%増)となりました。

(注) 東証市場第一部、第二部、マザーズ、JASDAQ及びTOKYO PRO Marketにおける立会内、立会外の株券売買代金並びにETF・ETN、REIT・インフラファンド及びその他有価証券等の立会内、立会外の売買代金の合計を記載しております。

主な取組み内容

● 新デリバティブ売買システム(J-GATE3.0)稼働(2021年9月)

● 現物市場の機能強化に向けたアクション・プログラムを公表(2021年10月)

②清算関連収益

営業収益 27,945 百万円
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清算関連収益は、㈱日本証券クリアリング機構が行う金融商品債務引受業に関する清算手数料等から構成されます。

当連結会計年度の清算関連収益は、279億45百万円(前連結会計年度比0.0%増)となりました。

主な取組み内容

● 金利指標改革対応として、LIBOR参照スワップ清算約定のOISへの一括変換を実施(2021年12月)

● 国債清算システムのリプレース、関西データセンタへのバックアップ機能移行(2022年1月)

● Asia Risk Awards 2021において「Clearing House of the Year」を受賞(2021年9月)

(注)LIBOR(London Interbank Offered Rate):ロンドンのインターバンク市場で算出される指標金利OIS(Overnight Index Swap):金利スワップ取引の一種で、一定期間の翌日物金利を加重平均(複利計算)して求められた変動金利と約定時に決めた固定金利を交換する商品

③上場関連収益

営業収益 15,736 百万円
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上場関連収益は、上場会社等から時価総額に応じて受領する「年間上場料」、新規上場や上場後の新株券の追加上場などの際に受領する「新規・追加上場料」から構成されます。

当連結会計年度の上場関連収益は、新規・追加上場料が減少したことなどから、157億36百万円(前連結会計年度比5.5%減)となりました。

主な取組み内容

● IPOのサポートを推進し、133件のIPOを実現

● 新市場区分への円滑な移行の実現に向けた対応を実施

● 新市場区分への移行を見据えたコーポレートガバナンス・コードの改訂

④情報関連収益

営業収益 27,175 百万円
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情報関連収益は、情報ベンダー等への相場情報の提供に係る収益である相場情報料のほか、指数ビジネスに係る収益及びコーポレートアクション情報等の各種情報の提供に係る収益から構成されます。

当連結会計年度の情報関連収益は、相場情報料が増加したことなどから、271億75百万円(前連結会計年度比12.6%増)となりました。

主な取組み内容

● TOPIXの移行ルールを決定(2021年4月)

● ロンドン証券取引所グループと「FTSE/JPXネットゼロ インデックス シリーズ」について開発合意(2021年11月)

● S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスと「S&P/JPX 500 ESG スコア・ティルト指数シリーズ」を開発・公表(2022年3月)

⑤営業費用

営業費用 63,220 百万円
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当連結会計年度の営業費用は、人件費が190億48百万円、システム維持・運営費が149億84百万円、減価償却費及び償却費が174億93百万円となったこと等から632億20百万円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。

2.直前3連結会計年度の財産及び損益の状況

連結計算書類