事業報告(2022年4月1日から2023年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

1.当連結会計年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における日本の株式市場は、不安定な世界情勢の中でも堅調な企業業績が株価を下支えし、一進一退の展開となりました。2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻を転機に、エネルギー・資源価格の高騰から世界的なインフレ傾向となり、欧米をはじめとした世界各国の中央銀行は相次いで、大幅に、かつ急ピッチに金利の引上げを行いました。そのような不安定な世界情勢の中で、日本の株式相場は、比較的堅調な企業業績により株価は下支えされ、底堅く推移しました。その結果、2023年3月末時点でTOPIXは2,003.50ポイント(2022年3月末比+57.10ポイント)となりました。
このような状況において、当社グループは、安定的市場運営という伝統的な取引所としての機能を強化しながら、同時に、その枠組みに過度にとらわれず新たな領域へも進んでいく意思を込めたExchange & beyondというスローガンの下、グローバルな市場間競争における日本の金融・資本市場全体の魅力向上に貢献するため、3つのFocus(Focus 1 企業のイノベーション・成長と資産形成の循環促進、Focus 2 マーケット・トランスフォーメーション(MX)の実現、Focus 3 社会と経済をつなぐサステナビリティの推進)に掲げる施策を着実に実施しました。

当社グループの当連結会計年度の連結業績は、営業収益は1,339億91百万円(前連結会計年度比1.1%減)、営業費用は675億2百万円(同6.8%増)、営業利益は682億53百万円(同7.1%減)となり、税引前利益は682億7百万円(同7.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は463億42百万円(同7.2%減)となりました。

事業区分別の概況

①取引関連収益

営業収益 53,089 百万円
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取引関連収益は、現物の売買代金並びに金融デリバティブ及びコモディティ・デリバティブの取引高等に応じた「取引料」、取引参加者の取引資格に応じた「基本料」、注文件数に応じた「アクセス料」、利用する売買システム施設の種類に応じた「売買システム施設利用料」等から構成されます。

当連結会計年度の現物市場における1日平均売買代金は3兆8,369億円(注)、金融デリバティブ市場の取引高合計は3億5,281万単位、コモディティ・デリバティブ市場の取引高合計は1,583万単位となりました。

この結果、当連結会計年度の取引関連収益は、基本料が9億86百万円(前連結会計年度比1.4%減)、現物取引料が314億14百万円(同0.5%減)、金融デリバティブ取引料が103億61百万円(同1.9%増)、コモディティ・デリバティブ取引料が13億66百万円(12.8%減)、その他アクセス料・売買システム施設利用料等が89億59百万円(同0.7%増)となり、合計530億89百万円(同0.2%減)となりました。

(注) プライム、スタンダード、グロース、TOKYO PRO Marketにおける普通株式及びETF・ETN/REIT等の立会内及び立会外の一日平均売買代金の合計を記載しております。

主な取組み内容

● 投資単位が50万円以上の上場会社に、投資単位引下げに係る検討について要請

● ヘッジ取引機会提供による投資者の利便性向上に向け、デリバティブの祝日取引を開始

● 首都直下地震の発生に備えた関西データセンターの構築完了

②清算関連収益

営業収益 28,008 百万円
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清算関連収益は、㈱日本証券クリアリング機構が行う金融商品債務引受業に関する清算手数料等から構成されます。

当連結会計年度の清算関連収益は、280億8百万円(前連結会計年度比0.2%増)となりました。

主な取組み内容

● 上場デリバティブの証拠金制度におけるVaR方式導入に向けた制度要綱公表

● ゴム先物取引の受渡決済にDLT技術を実装

(注) VaR方式:過去の一定期間におけるマーケットデータに基づいてポートフォリオの損益額を計算し、その99%をカバーする値を証拠金とする方式

③上場関連収益

営業収益 13,666 百万円
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上場関連収益は、上場会社等から時価総額に応じて受領する「年間上場料」、新規上場や上場後の新株券の追加上場などの際に受領する「新規・追加上場料」から構成されます。

当連結会計年度の上場関連収益は、新規・追加上場料が減少したことなどから、136億66百万円(前連結会計年度比13.2%減)となりました。

主な取組み内容

● IPOのサポートを推進し、110件のIPOを実現

● 新市場区分始動。市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理を行い、今後の東証の対応を策定

● 新規上場プロセスの円滑化等に向けた制度要綱公表

④情報関連収益

営業収益 27,597 百万円
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情報関連収益は、情報ベンダー等への相場情報の提供に係る収益である相場情報料のほか、指数ビジネスに係る収益及びコーポレートアクション情報等の各種情報の提供に係る収益から構成されます。

当連結会計年度の情報関連収益は、相場情報料が増加したことなどから、275億97百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。

主な取組み内容

● FTSEと共同で、環境型指数「FTSE JPXネットゼロ・ジャパン インデックスシリーズ」を算出開始

● TOPIXの段階的ウエイト低減銘柄公表

● 価値創造に着目した新指数「JPXプライム150指数」の骨子公表

⑤営業費用

営業費用 67,502 百万円
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当連結会計年度の営業費用は、人件費が195億99百万円、システム維持・運営費が169億31百万円、減価償却費及び償却費が189億71百万円となったこと等から675億2百万円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。

2.直前3連結会計年度の財産及び損益の状況

連結計算書類