事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の国内及び世界的な拡大の影響により、国内外の経済活動が著しく抑制されたことから、個人消費は外食・宿泊等のサービスを中心に大きく落ち込み、企業収益の急速な低下、雇用環境の悪化が見られました。足元では、政府による経済対策や日本銀行の金融政策を背景に、個人消費や雇用環境の持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大や金融資本市場の変動等、依然として不透明な状況が続いております。

不動産業界におきましては、分譲住宅事業については、緊急事態宣言により一時販売活動を休止したことが影響し受注戸数及び供給戸数に影響があったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に住環境への関心が高まり、また生活防衛のための住宅購買意識が高まったこと等により、堅調に推移いたしました。また、賃貸住宅事業については、新型コロナウイルス感染症の拡大や景気動向の影響は受けておらず、堅調に推移いたしました。しかし、良質な分譲用地の取得競争の激化、それに伴う地価の上昇や人手不足を背景とした建築コストの高止まり、木材を中心とする建材のサプライチェーン不安定化等により、依然として事業への警戒感は高いままであります。

当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度の経営成績は、2020年8月4日発表の通期連結業績予想に比べて売上高、各段階利益ともに上回る結果となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

分譲住宅セグメント

分譲住宅セグメントにおいては、当連結会計年度の戸建自由設計住宅等の引渡戸数は714戸(前期は736戸)と減少しましたが、分譲住宅用地の宅地販売が97区画(前期は40区画)と増加し、分譲マンションの引渡戸数が138戸(前期は14戸)と大幅に増加したことに加えて、兵庫県下の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したことが売上高及び利益の押し上げ要因となりました。しかしながら、今後の新型コロナウイルス感染症拡大に備えて、手許資金の充実、在庫リスクの低減を当連結会計年度の方針とし、販売価格引き下げ等の弾力的な売価設定を行ったことにより、セグメント利益は大幅に減少しました。その結果、当セグメントの売上高は40,241百万円(前期比39.1%増)となり、セグメント利益は395百万円(前期比69.9%減)となりました。

住宅流通セグメント

住宅流通セグメントにおいては、当連結会計年度の中古住宅の引渡戸数は1,459戸(前期は1,707戸)となり、前連結会計年度より大幅に減少しました。その結果、当セグメントの売上高は32,789百万円(前期比14.1%減)となり、セグメント利益は505百万円(前期比29.2%減)となりました。

土地有効活用セグメント

土地有効活用セグメントにおいては、新型コロナウイルス感染症の拡大による2020年4月発出の緊急事態宣言により受注活動が大幅に制限されましたが、同宣言解除後は受注高が回復基調となり、当連結会計年度の受注高は24,539百万円(前期比17.2%増)となりました。また、当連結会計年度の引渡棟数が、前期に比べ増加いたしました。その結果、当セグメントの売上高は24,401百万円(前期比4.7%増)となり、セグメント利益は2,085百万円(前期比4.0%減)となりました。

賃貸及び管理セグメント

賃貸及び管理セグメントにおいては、主として土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したこと及び自社保有のサービス付き高齢者向け賃貸住宅の増加により、当セグメントの売上高は21,728百万円(前期比8.4%増)となり、セグメント利益は2,584百万円(前期比6.3%増)となりました。

建設関連セグメント

建設関連セグメントにおいては、第1四半期連結会計期間より報告セグメントとなりました。当セグメントの売上高は2,379百万円となり、セグメント利益は22百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高121,541百万円(前期比10.0%増)を計上し、営業利益3,986百万円(前期比20.3%減)、経常利益3,558百万円(前期比22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,358百万円(前期比23.6%減)となりました。

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や、政府による経済対策により回復基調をたどることが期待されますが、依然として先行きは不透明であり、警戒感の高い状況が続くと思われます。また、住宅関連事業におきましては、自宅でのテレワークが普及したこと等を背景に住環境への関心が高まり、多様化するライフスタイルに応じた変革がますます重要になってまいりました。

当社グループにおきましては、今後も不透明な経済状況が予想される中、営業力の一層の強化と顧客ニーズにマッチした立地選定・商品企画を図り、原価の低減及び高品質の商品供給に注力いたします。また、安定した収益を獲得できる収益基盤として、賃貸住宅等建築請負及び個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数の増加、並びにサービス付き高齢者向け賃貸住宅の自社保有棟数の増加等、ストックビジネスを中核事業として更に強化することで、市場環境の変化に対応できるよう努めてまいります。

当社グループは、2019年5月に、2019年度(2020年3月期)を初年度とし2021年度(2022年3月期)を最終年度とする3ヶ年の中期利益計画を策定しており、2年目となる当連結会計年度における実績と計画は以下のとおりとなっております。

今後につきましても、企業価値の向上と継続的・安定的な成長を企図し、企業の経営効率を判断する指標であるROEを重要な経営指標として意識し、財務体質の強化及び安定した収益の確保に努めてまいります。

当社グループは「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」という経営理念のもと、創業以来、事業活動を通じて社会貢献活動に取り組んでまいりました。現在、世界的に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症の拡大に対する対応策や国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)など、社会課題に対する企業が果たす役割の重要性が増しています。

ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGsと地域密着型経営である当社の事業活動との関連を意識し、社会貢献・持続可能な社会の実現に取り組んでおります。

当社は、2021年3月4日付で経済産業省が日本健康会議と共同で認定を行う「健康経営優良法人2021 大規模法人部門(ホワイト500)」に5年連続5回目の認定を受けました。経営トップが先頭に立ち、全ての社員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、枠にとらわれない柔軟な環境を整えていることを評価いただいたものと認識しております。2021年1月には、スポーツ庁が社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを実施している企業を認定する「スポーツエールカンパニー2021」にも2年連続で選ばれております。また、同月に一般社団法人日本テレワーク協会主催の「第21回テレワーク推進賞」において「優秀賞」を受賞いたしました。当社で働く社員が柔軟な働き方ができる環境で、仕事上もプライベート上も充実した人生を送ることが大切であると考え、総務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・内閣官房・内閣府主催のテレワーク・デイズがはじめて開催された2017年から毎年参画し、2020年で4年連続の参加となりました。新型コロナウイルス感染症拡大対策として政府や大阪府からのテレワークの要請に応えるとともに、社内の感染防止の観点からも、会社をあげて積極的にテレワークを活用しております。

DX(デジタルトランスフォーメーション)については、ICTを活用した業務の変革とAIの導入による大幅な業務効率の向上を図り、お客様との接点の創出やニーズに対応できる開発などを進めてまいります。

社会貢献活動におきましては、2018年度に創業45周年記念事業の一環として、和歌山県の「企業の森」による、森林保全・管理活動に係る協定の調印を行いました。和歌山県日高郡日高川町の森林を「フジ住宅の森」と名付け、当社グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動を通じて、地域との交流を深め、森林保全を進めております。

また、2021年2月に株式会社南都銀行が引き受け先となる寄付型私募債発行による資金調達を行い、これに伴い公益社団法人大阪府看護協会へ寄付を行いました。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、当該感染症対策の医療現場で治療に取り組んでいただいている医療従事者の方々や医療体制の継続にご尽力いただいている関係者の方々に感謝の気持ちを込めて、実施いたしました。

今後も引き続き、社会貢献及び持続可能な社会の実現に取り組むことにより、社会とともに持続的に成長し、信頼される企業グループを目指してまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

財産及び損益の状況

連結計算書類