事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延が長期化・深刻化する状況の中、変異株の急激な感染拡大や医療体制のひっ迫などが懸念された一方で、ワクチンの接種率が急速に向上した結果、段階的に経済活動が再開され正常化に向けての期待感が高まりました。しかしながら、感染力が強いとされるオミクロン株による第6波となる感染再拡大、その後の感染者数の減少傾向の鈍化により、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しが立たない状況となっております。

不動産業界におきましては、低金利の環境や政府による各種の住宅取得支援策が継続されていることを背景に、コロナ禍におけるテレワーク(在宅勤務)の普及による住まいへの関心の高まりとともに、新しい生活様式やワークスタイルが定着しつつあり、住居ニーズの変化が中古不動産や居住空間の広い一戸建て需要の喚起に繋がる一方で、ウッドショックによる住宅建築資材不足の影響を受け、依然として販売環境は厳しいものとなりました。

そのような環境ではありましたが、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、受注契約高及び売上高は前連結会計年度を下回ったものの、各段階利益の全てにおいて前連結会計年度を上回る結果となりました。

なお、当連結会計年度をもちまして、2019年度(2020年3月期)を初年度とし2021年度(2022年3月期)を最終年度とする3ヵ年の中期利益計画が終了いたしました。当社グループは同中期利益計画に沿って着実な成長を続けてまいりましたが、今回のコロナ禍による事業環境の激変を受けて、計画最終年度であった2021年度(2022年3月期)の目標は、売上高、各段階利益ともに誠に遺憾ながら未達成となりました。同中期利益計画期間の目標と実績は下表のとおりです。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

分譲住宅セグメント

分譲住宅セグメントにおいては、当連結会計年度の戸建自由設計住宅等の引渡戸数が823戸(前期は714戸)、分譲マンションの引渡戸数が210戸(前期は138戸)と前連結会計年度に比べて大幅に増加したことに加えて、収益性の改善により、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は45,388百万円(前期比12.8%増)となり、セグメント利益は1,475百万円(前期比273.0%増)となりました。

住宅流通セグメント

住宅流通セグメントにおいては、当連結会計年度の中古住宅の引渡戸数は1,039戸(前期は1,459戸)となり、前連結会計年度に比べ大幅に減少したものの収益性が改善されたことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は23,928百万円(前期比27.0%減)となり、セグメント利益は1,280百万円(前期比153.3%増)となりました。

土地有効活用セグメント

土地有効活用セグメントにおいては、当連結会計年度の賃貸住宅等建築請負の引渡件数が40件(前期は61件)となり、前連結会計年度を下回ったものの、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が130棟(前期は113棟)となり、前連結会計年度に比べ増加したことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は26,775百万円(前期比2.6%増)となり、セグメント利益は2,365百万円(前期比2.4%増)となりました。

賃貸及び管理セグメント

賃貸及び管理セグメントにおいては、主として土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したこと及び自社保有のサービス付き高齢者向け賃貸住宅の増加により、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は23,829百万円(前期比9.7%増)となり、セグメント利益は2,766百万円(前期比7.0%増)となりました。

建設関連セグメント

建設関連セグメントにおいては、当連結会計年度における建設工事が工程どおりに順調に進捗したことに加えて、利益率が高まったことにより、当セグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は2,454百万円(前期比3.2%増)となり、セグメント利益は112百万円(前期比388.6%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高118,698百万円(前期比2.3%減)を計上し、営業利益5,871百万円(前期比47.3%増)、経常利益5,627百万円(前期比58.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円(前期比64.0%増)となりました。

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の第7波が懸念されるものの、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症のもたらす経済活動の停滞が徐々に改善していくと思われ、消費マインドの回復が期待されます。しかしながら、世界経済の正常化に伴うインフレの進行とその余波をうけての急激な円安、資源価格の高騰、更には中国経済の弱まり、ウクライナ危機による対ロシア経済制裁の影響と、先行きの不確実性が極めて高い状況にあります。

不動産業界におきましては、数年来の土地価格の上昇や、ウッドショックによる木材価格の高騰と住宅設備の相次ぐ値上げによる建物原価の上昇が販売価格に転嫁されることによって、依然として、販売環境は厳しさを増すことが予想されます。

このような状況の中、当社グループは5つの事業分野の連携強化によるシナジー効果の最大化を目指し、想定外の経済環境の変化に耐えうるストック収益重視への安定収益構造の構築を更に図るとともに、人財育成を通じて持続可能な社会の実現への貢献を目指すべく、2022年5月10日に、2022年度(2023年3月期)を初年度とし2024年度(2025年3月期)を最終年度とする「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」を新たに発表いたしました。新中期経営計画の目標は下表のとおりです。

当社グループは「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」という経営理念のもと、創業以来、事業活動を通じて社会貢献活動に取り組んでまいりました。現在、世界的に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症に対する対応策や国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)など、社会課題に対する企業が果たす役割の重要性が増しています。

ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGsと地域密着型経営である当社の事業活動との関連を意識し、社会貢献・持続可能な社会の実現に取り組んでおります。

当社は、2022年3月9日付で経済産業省が日本健康会議と共同で認定を行う「健康経営優良法人2022 大規模法人部門(ホワイト500)」に6年連続6回目の認定を受けました。経営トップが先頭に立ち、全ての社員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、枠にとらわれない柔軟な環境を整えていることを評価いただいたものと認識しております。2022年2月には、スポーツ庁が社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを実施している企業を認定する「スポーツエールカンパニー2022」にも3年連続で選ばれております。また、当社で働く社員が柔軟な働き方ができる環境で、仕事上もプライベート上も充実した人生を送ることが大切であると考え、総務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・内閣官房・内閣府主催のテレワーク・デイズがはじめて開催された2017年から毎年参画し、2021年で5年連続の参加となりました。新型コロナウイルス感染症拡大対策として政府や大阪府からのテレワークの要請に応えるとともに、社内の感染防止の観点からも、会社をあげて積極的にテレワークを活用しております。

DX(デジタルトランスフォーメーション)については、経済状況や社会情勢の変化が急速に進む現代社会において、より変化に強いシステム基盤の構築を目指し、次世代システム構築プロジェクトを推進しております。豊富な情報の全社的な活用や、業務効率・生産性向上等により、長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

気候変動リスクへの対応については、脱炭素化社会の実現に向けて「OSAKAゼロカーボンファウンデーション」の活動に参加しております。中でも、当社グループでの脱炭素の取り組みとして、和歌山県の「企業の森」による森林保全・管理活動に係る協定を締結し、和歌山県日高郡日高川町の森林を「フジ住宅の森」と名付けて当社グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動を行っており、二酸化炭素の削減に貢献しております。

今後も引き続き、社会貢献及び持続可能な社会の実現に取り組むことにより、社会とともに持続的に成長し、信頼される企業グループを目指してまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

財産及び損益の状況

連結計算書類