事業報告(2019年3月1日から2020年2月29日まで)

企業集団の現況に関する事項

(1)当事業年度の事業の状況

① 事業の経過及びその成果

当社は、2018年2月期(2017年度)を初年度とする中期経営計画(2017~2019年度)を策定し、既存のビジネスモデルの革新を図るとともに、新たな成長モデルの確立に向け、「アジアにおける成長機会の獲得」「新たな国内需要の発掘」「圧倒的な地域No.1モールへの進化」「都市部における成長機会の獲得」「成長を支えるファイナンスミックスと組織体制構築」の5つの成長施策を通じ、持続的な成長と収益性の向上に取り組んできました。

当連結会計年度における業績は、営業収益及び各利益とも過去最高実績となりました。

営業収益は3,241億3千8百万円(前期比103.6%)、営業原価は2,348億1千3百万円(同100.9%)、営業総利益は893億2千4百万円(同111.5%)、販売費及び一般管理費は285億3千万円(同105.1%)となり、営業利益は607億9千4百万円(同114.7%)となりました。

経常利益は561億1千7百万円(同107.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は342億3千9百万円(同102.1%)となりました。

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セグメント別経営成績

当連結会計年度における連結及びセグメント別の経営成績は次の通りです。

なお、当連結会計年度から在外連結子会社において国際財務報告基準「リース」(以下、IFRS第16号という)を適用しております。IFRS第16号適用の影響についての詳細は、第109期定時株主総会招集ご通知に際してのインターネット開示事項「連結計算書類」の注記(会計方針の変更)」をご覧ください。

当連結会計年度より在外連結子会社においてIFRS第16号を適用しております。この結果、当連結会計年度において、中国のセグメント利益が48億5千9百万円、アセアンのセグメント利益が4億8千万円増加しております。

a. 海外(中国・アセアン)

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営業収益は491億3千8百万円(前期比110.1%)、営業利益は83億8百万円(同1,519.9%)となりました。海外事業は、当連結会計年度末で30モール体制となり、ドミナント出店の進展に伴いブランディングメリットの享受が進んでいます。高い売上成長に比例して営業収益、営業利益が伸長しました。

◆アジアにおける成長機会の獲得

(中国)

営業収益は358億5千万円(前期比107.4%)、営業利益は前連結会計年度と比較して60億7千5百万円利益改善し、56億2千2百万円(前連結会計年度は4億5千3百万円の営業損失)となりました。

中国では、北京・天津・山東、江蘇・浙江、湖北、広東の4エリアを中心にドミナント出店を進めています。その効果により、当社モールのブランド力が向上し集客力が高まることで、優良専門店の誘致や、より有利なリーシング条件での契約が可能となる等、ブランディングメリットの享受が進んでいます。

新規モールでは、6月に江蘇省5号店、常熟市初出店となるイオンモール常熟新区(江蘇省常熟市)、11月に山東省2号店、青島市初出店となるイオンモール青島西海岸新区(山東省青島市)をオープンしました。

イオンモール常熟新区は、最新デジタル技術による利便性の高いサービスや機能として、デジタルフロアガイド、バーチャル試着、駐車場所検索等、スマートフォンアプリを通じて新しい買い物体験を提供しました。

イオンモール青島西海岸新区は、国際的なリゾート地である青島市において、国内9番目の国家級新区として設立されたエリアである西海岸新区に立地し、当モールにおいても専門店に顔認証レジシステムを新たに導入する等、最先端のデジタル機能を付加しました。

また、当社は青島市人民政府との間で、戦略連携に関する覚書を12月6日に締結しました。本覚書は、当社の青島市における大型ショッピングセンター事業開発において、全面的に連携関係を結び、青島市消費市場の繁栄促進と活性化に協同して取り組むことを目的としたものです。

中国においては、経済成長率がやや鈍化傾向にあるものの、当社モールでは、日本で培った管理・運営ノウハウを活かし、消費を喚起するセールやイベントの開催、日本のモール環境と同等のクリンリネス(清潔、安全、快適な状態)の徹底及び計画的な専門店入替を中心としたリニューアルの実施等により、集客力が向上しています。

既存モールでは、オープン後3~4年が経過し、契約更新や賃料改定のタイミングで旬の専門店への入替を行うリニューアルを迎えるモールが増加しており、5モールでリニューアルを実施しました。

新たな需要創出に向けた取り組みとして、3月の「国際婦人デー」や中国最大のオンラインショッピング商戦日である「独身の日(11月11日)」等、社会行事に対応したセールス企画等の実施により、売上拡大を図りました。

8月には、「第4回 イオンモール中国 接客ロールプレイングコンテスト全国大会」をイオンモール広州番禺広場(広東省広州市)で開催しました。参加対象は年々増加し、中国全土の19モール、約3,700店舗の従業員約50,000人となりました。同大会を通じて、接客サービスレベルの向上、モール従業員全体のスキルアップに結びついています。

これらの施策により、既存17モールの専門店売上は2桁水準の伸び率で推移しました。引き続き、日本で培ってきた活性化ノウハウによりモールの鮮度を常に高めていくとともに、ジャパンクオリティでのモールオペレーションを通じ、さらにモールを進化させていくことで、集客力向上及び収益拡大を図っていきます。

(アセアン)

営業収益は132億8千8百万円(前期比118.1%)、営業利益は前連結会計年度と比較して16億8千6百万円増益の26億8千6百万円(同268.7%)となりました。

ベトナムでは、急速な経済発展に伴うマーケットニーズの変化に対応した取り組みを推し進めており、既存モールでは、6月に1号店イオンモール タンフーセラドン(ホーチミン市)を増床リニューアルオープン、11月に4号店イオンモール ビンタン(ホーチミン市)のリニューアルを実施しました。新規モールでは、12月にベトナム5号店、ハノイ市2号店となるイオンモール ハドン(ハノイ市)をオープンしました。

イオンモール タンフーセラドンは、1,000席に拡大したフードコートをはじめ各階フロアに飲食ゾーン(フードマーケット)を配置した他、ファッション、スポーツ、コスメ、ペットショップ、エンターテインメント等の多種多様な業種の専門店を導入しました。

イオンモール ビンタンは、2016年7月のオープン以来初となる大規模リニューアルとして、食品を中心にデイリーユース商品を取り揃えた専門店や、アクセサリー、コスメ、雑貨等のライフスタイル提案型専門店を導入する等、モール全体の約半数に当たる71店舗をリニューアルしました。

イオンモール ハドンは、全220店舗の約40%において、ベトナム初、ハノイ初、ショッピングモール初出店となるブランドを導入し、飲食店は世界各国の料理を提供する21店舗で構成したフードコートをはじめ、全体の30%を超える約80店舗を集積しました。また、グローバルファッションブランドに加えて地元で人気のファッションブランドを展開する他、若手ファッションデザイナーが手がけるブランドによるチャレンジ出店ゾーンを展開し、ベトナム国内におけるブランド育成支援にも取り組みました。

また、ベトナム6号店イオンモール ハイフォンレチャン(ハイフォン市)において、2020年度オープンに向けた準備を進めました。

7月には、JETRO(日本貿易振興機構)とベトナム計画投資省により東京都内で開催されたベトナム投資カンファレンスにおいて、当社は、VNPT社(Vietnam Posts and Telecommunications Group)と日商エレクトロニクスベトナム社との協働で、ベトナム国民の生活利便性の向上及び快適性の向上に貢献することを目的とした覚書を締結しました。3社の持つ企業リソースを活用し、ベトナム社会におけるデジタル化やICT活用を促進していきます。

インドネシアでは、2020年度にオープン予定の3号店イオンモール セントゥールシティ(西ジャワ地区)、4号店イオンモール タンジュン バラット(南ジャカルタ区)のオープン準備を進めました。

カンボジアでは、11月に「第4回イオンモールカンボジア 接客ロールプレイングコンテスト決勝大会」を開催しました。同様のコンテストは、10月にベトナム、11月にインドネシアにおいても開催しており、同大会を通じて接客サービスレベルの向上、モール従業員全体のスキルアップを図りました。

<当連結会計年度における海外リニューアルモール>

(注)
イオンモール タンフーセラドンは増床リニューアル。専門店数は200店舗(+80店舗)、総賃貸面積は84,000㎡(+37,000㎡)、駐車台数は2,000台(+1,500台)、バイク駐車台数は10,000台(+6,000台)に拡大。

<当連結会計年度における海外新規事業所(モール)>

(注)
イオンモール セントゥールシティは、建築工事スケジュールの変更に伴い、オープン予定時期を2020年度に変更しました。

なお、海外現地法人の決算期は12月末のため、当連結会計年度の業績は1月~12月度となります。

b. 日本

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営業収益は2,749億9千9百万円(前期比102.5%)、営業利益は524億6千万円(同100.1%)となりました。モール事業は、既存モールにおいて4モールの増床、11モールのリニューアルを実施しました。積極的な既存モールの増床及びリニューアルに加え、「ハピネスモール」の取り組みを通じた新たな顧客層の取り込み、ローカライゼーションの推進を目的とした営業施策の実施等、集客力強化に向けた施策を推進しました。

◆新たな国内需要の発掘

消費税増税後の国内における消費需要の喚起を目的として、10月1日から31日までの1ヶ月間「レストラン・フードコート・カフェ WAON POINT5倍キャンペーン」を実施し、ファミリーからシニアまで幅広いお客さまを対象に集客強化を図りました。

11月22日から26日の5日間(注)に「イオンモール ブラックフライデー」を全国のイオンモールで実施しました。前年度までに引き続き、4年目を迎える今回もファッション、グルメ等の目玉商品を期間限定価格で取り揃えた他、オリジナルノベルティ企画やイオンカード決済時のポイント5倍キャンペーンの実施等により集客強化を図りました。期間中の来店客数は対前年同期比108.5%、専門店売上は対前年同期比106.9%(いずれも曜日調整後)と好調に推移しました。

消費環境変化やデジタル化進展への対応として、幅広い世代のお客さまの来店動機創出と買い物環境向上を目的に「スマートモール」の実現に向けた取り組みを推進しています。中国、アセアンにおいて先行展開するデジタル技術の効果測定及びお客さまからのご意見をもとに、独自の技術を有する国内外のパートナー企業と連携し、デジタル機器の開発と検証を進めており、イオンモール幕張新都心(千葉県)をパイロット店舗として、「ストレスフリー」「コンビニエンス」「情報発信力」「インバウンド対応」「省人・省力対応」の5つの視点から実証実験を行いました。効果検証しながら全国のモールへ水平展開を図っていきます。

お客さまの、心身ともに健康で、豊かな生活づくりへの貢献を目的として、イオングループでは「ヘルス&ウエルネス」の取り組みを強化しています。当社では、お客さまにとっての「しあわせ」が生まれる場所でありたいとの思いから、ヘルス(健康)・ウエルネス(感動・癒し)・コミュニティ(地域)・オポチュニティ(新たな価値観や生活と出会う機会づくり)の4つを柱に、「ハピネスモール」の取り組みを各モールで展開しています。

「ヘルス」では、全国のモールで実施しているイオンモールウォーキングが、健康増進や熱中症予防の観点で、天候に左右されずに快適な館内で手軽にできるウォーキングとして、医療機関や行政とのコラボレーションや、シニア向けのフリーペーパーで紹介される等、各エリアで取り組みが定着してきました。

また、一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現をめざすスポーツ庁の新たなプロジェクト「Sport in Life」に賛同し、快適なモール環境を活かしたスポーツ体験イベント「モールdeスポーツ」を全国のイオンモールで実施しました。

「ウエルネス」では、公益財団法人日本オペラ振興会との協働による「オペラ de イオンモール」を各モールで実施しています。当連結会計年度は規模を拡大し、全国28会場で開催しました。2017年の初開催以降、2020年2月末時点で63会場、約20,000人のお客さまに鑑賞いただいており、今後もより多くのお客さまに本格的なオペラ体験を提供していきます。さらに2月には、日本の伝統芸能を体験していただくことを目的に「イオンモール de 歌舞伎」をイオンモール新小松(石川県)、イオンモール成田(千葉県)において開催しました。

「コミュニティ」では、各モールにおける「産」(企業)・「学」(教育機関)・「官」(行政)・「民」(団体)・「文」(文化・歴史)・「品」(産品)の6分野とのコラボレーションによる「究極のローカライズ」企画等を通じ、地域のコミュニティづくりに取り組みました。

「オポチュニティ」では、お客さまに新たな体験や発見を提供することを目的として、英国ロンドンで人気のカカオ専門店「Hotel Chocolat(ホテルショコラ)」や、台湾で500店舗以上を展開し、高い知名度と人気を誇る台湾茶タピオカ専門店「50嵐(ウーシーラン)」の海外ブランド「KOI Thé(コイティー)」等、海外専門店の日本への誘致を積極的に進めました。今後も、海外展開で培った海外専門店企業とのネットワークを活かし、有力な海外専門店の誘致を進めていきます。

(注)
前年は11月23日から25日の3日間開催。数値比較は11月22日から26日の5日間対比。

◆圧倒的な地域No.1モールへの進化

商業施設の淘汰が急速に進展する中、エリアで最も支持される地域No.1モールを増やすことにより、国内モール市場における競争優位性を高めています。

既存モールでは4月にイオンモール東浦(愛知県)、イオンモール名取(宮城県)、イオンモール沖縄ライカム(沖縄県)、9月にイオンモール高岡(富山県)の4モールを増床し、11モールのリニューアルを実施しました。

イオンモール東浦は、2001年のオープン以来初となる大規模リニューアルとして増床棟を新設しました。増床棟にはキッズ・ベビー専門店の集積、1,000席に拡大した最新型フードコート等を導入し、既存棟部分と合わせて、キッズ・ベビーゾーンはエリア最大級に拡大、飲食ゾーンの面積は従来比1.8倍に拡大しました。また7月には既存棟において、新規12店舗からなる食物販ゾーン及び書店とカフェの融合によるライフスタイルゾーンを新たに導入しました。

イオンモール名取は、増床により東北最大級のモールへと生まれ変わりました。増床棟2階には、お客さまに快適にご利用いただけるよう屋根付きのデッキを新設し、鉄道駅と直結しました。

イオンモール沖縄ライカムは、ピロティ駐車場を一部店舗化する増床を行いました。新規8店舗を誘致するとともに、既存棟においても10店舗の入替を行い、沖縄県最大級のモールとなりました。

イオンモール高岡は、増床により北陸最大級のモールへと生まれ変わりました。増床棟には、大型ファッション専門店の集積、最新の体験型アミューズメント施設の導入に加え、約900席からなるフードコートを新設し、既存棟と合わせた約1,400席のフードコートとして北陸最大級の規模で展開しました。

前連結会計年度及び当連結会計年度において増床及びリニューアルを実施した既存22モールの専門店売上は前期比105.0%と堅調に推移しました。

新規モールでは、9月にイオン藤井寺ショッピングセンター(大阪府)をオープンしました。当モールは、1973年に開業し、2014年に一旦閉店し建て替え、再オープンしたものです。生鮮三品やスイーツ、惣菜等の食物販専門店とフードコートによるグルメゾーンを中心に、デイリーニーズに特化した専門店65店舗により構成しています。また、図書館の返却ポストや市政インフォメーションを設置する等、地域行政との連携による取り組みを推進しました。

また、2020年度オープンに向けてイオンモール上尾(埼玉県)、(仮称)イオンモール利府 新棟(宮城県)、2021年度オープンに向けて(仮称)ノリタケの森プロジェクト(愛知県)、イオンモール川口(埼玉県)を建築着工しました。

<当連結会計年度におけるリニューアルモール>

(注)
  • ( )内は新規専門店のうち都道府県初出店の専門店数。
  • イオンモール東浦は増床リニューアル。専門店数は170店舗(+50店舗)、総賃貸面積は75,000㎡(+12,000㎡)に拡大。
  • イオンモール名取は増床リニューアル。専門店数は240店舗(+50店舗)、総賃貸面積は80,000㎡(+13,000㎡)に拡大。
  • イオンモール沖縄ライカムは増床リニューアル。専門店数は240店舗(+10店舗)、総賃貸面積は86,000㎡(+8,000㎡)に拡大。
  • イオンモール高岡は増床リニューアル。専門店数は200店舗(+70店舗)、総賃貸面積は82,000㎡(+19,000㎡)に拡大。

<当連結会計年度における国内新規事業所(モール)>

◆都市部における成長機会の獲得

都市型ショッピングセンター事業では、既存店の集客力向上に向けて、話題性のある専門店を導入する等、アパレル中心の売場構成からの脱却を見据えたリニューアルを推し進めました。

名古屋ワンダーシティビブレは、10月に名古屋mozoオーパ(愛知県)としてリニューアルオープンしました。充実した品揃えの書店を中心に、カフェ、インテリア雑貨、幼児教室等、多様な業種の専門店集積によるカルチャーゾーンを展開しました。

キャナルシティオーパ(福岡県)は、11月に2階の旧レディスフロアを、メンズの最新トレンドも取り入れたユニセックスフロアへリニューアルしました。また、インバウンド消費への対応として、コスメや雑貨の比率を高めました。

他にも、横浜ビブレ(神奈川県)、新百合丘オーパ(神奈川県)等においても、飲食、食物販、ドラッグ、雑貨等の専門店を導入するリニューアルを実施しました。

これらの結果、前連結会計年度より強化してきた既存店の活性化効果もあり、既存店売上は102.3%と前期を上回って推移しました。

新規店舗では、6月に大分オーパ(大分県)をオープンしました。当店舗は、2017年6月に一旦閉店後、スクラップ&ビルドによりオープンしたもので、従来のアパレル中心の店舗構成から、食を中心に多様なモノ・コトを集約し、都市生活者に新しいライフスタイルを提案しました。

当社は、横浜ワールドポーターズの運営会社である株式会社横浜インポートマートの株式を横浜市等から取得しました。同施設においては株式会社OPAが管理・運営するワールドポーターズビブレ(神奈川県)を部分的に運営していましたが、今後、当社グループが施設全体を一括で管理・運営することにより、施設全体のリニューアルによる集客向上及びオペレーションの効率化を進め、収益拡大を図っていきます。

天神ビブレ(福岡県)は、福岡市による天神・博多エリアの再開発「天神ビッグバンプロジェクト」の推進に当たり、2020年2月11日をもって一旦営業終了しました。1976年にニチイ天神店として開業以降、44年間にわたる営業の終了に伴い閉店セールを実施しました。再開発プロジェクトでは、巨大複合ビル開発が新たに計画されており、その地下飲食・食物販ゾーンへの再出店を計画しています。

<当連結会計年度における国内新規事業所(都市型ショッピングセンター)>

② 設備投資等の状況

当連結会計年度における設備投資総額は、996億3千3百万円(長期前払費用を含む)であります。

その内訳は、モール事業における「日本」827億2千8百万円、「中国」66億5千4百万円、「アセアン」102億5千万円であります。「日本」においては、当社所有新規モールであるイオン藤井寺ショッピングセンターの開設を行ったこと、既存モールであるイオンモール東浦、イオンモール名取、イオンモール高岡の増床リニューアルを実施したこと等による投資を実施しました。「中国」においては、イオンモール常熟新区、イオンモール青島西海岸新区、「アセアン」においては、イオンモール ハドンの新規モールの開設を行ったこと等による投資を実施しました。

③ 資金調達の状況

当連結会計年度におきましては、長期借入金として既存取引銀行等より85億円、社債の発行により800億円の調達をいたしました。

(2)財産及び損益の状況の推移

企業集団の営業成績及び財産の状況の推移
(注)
  • 1株当たり当期純利益は、期中平均発行済株式総数により算出しております。
  • 第109期(当連結会計年度)につきましては、前記(1)当事業年度の事業の状況①事業の経過及びその成果に記載のとおりであります。

【ご参考】

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ご参考 ESGへの取り組み

1 環境保全・社会貢献活動

当社は、「社会」「環境」「倫理」の側面から企業活動の方針を定め、これを推進する「イオンモールCSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)会議」を毎月開催し、ESGへの取り組みの進捗管理及び課題解決に向けての迅速な意思決定を行っています。

<環境課題の解決に向けて>

・脱炭素社会の実現に向けた取り組み

イオングループは脱炭素社会の実現をめざし、「店舗で排出するCO2等を2050年までに総量でゼロにする」「事業の過程で発生するCO2等をゼロにする努力を続ける」「すべてのお客さまとともに脱炭素社会の実現に努める」という3つの視点で取り組む「イオン脱炭素ビジョン2050」を策定しました。当社ではこの目標達成に向けて、太陽光発電設備及びEV充電器の設置等による省エネルギー活動を推進しています。

9月にオープンしたイオン藤井寺ショッピングセンター(大阪府)では、当社初となるPPAモデル(注1)による100kWの太陽光発電設備を設置しました。また、イオンディライト株式会社が提供するオープンネットワークシステムを導入しました。施設運営に必要な設備機器類を統合管理することで、各種設備の遠隔監視が可能となる等、省エネルギー化を進めています。これらの取り組みにより、当ショッピングセンターは、イオングループで初めて使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄う店舗として運営しています。

イオンモール名古屋茶屋(愛知県)、イオンモール長久手(愛知県)、イオンモール岡崎(愛知県)では2019年4月より、再生可能エネルギーの発電所で発電された電気の受電を開始しました。この結果、3モール合計で従来の電力と比較して4月から12月までの9ヶ月間で約6,700トンのCO2を削減しました。

また、当社では2017年に日本企業として初めてEV100(注2)へ参加し、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッドカー)でも安心してご来店いただける環境整備を進めています。当連結会計年度末時点で、国内外154モール(注3)に2,404基のEV充電器を設置しています。2019年度には、イオンモール堺鉄砲町(大阪府)においてお客さまへの充電サービスの提供だけでなく、電気自動車を活用した充放電の実証実験等、新たな取り組みの検討も開始しています。

・脱プラスチックの取り組み

2019年10月よりイオンモール幕張新都心(千葉県)、イオンレイクタウンkaze(埼玉県)においてプラスチックストローの提供中止の実証実験を開始し、2020年3月から全国のモールへ展開しています。ストローの提供中止または紙ストローへの代替等、飲食・食品店舗のうち80%以上の専門店に実施いただいています。

・植樹活動

イオングループでは、イオンの基本理念を具現化する活動として、1991年から継続して植樹活動を実施しており、地域の自然環境に最も適した、その土地に自生する樹木をお客さまと共に植えています。当連結会計年度末現在、イオングループ全体での累計植樹本数は約1,212万本に達しています。当社では、2019年度には国内外の新規オープンした4モールで約28,700本の植樹を行いました。

・従業員のエコ検定取得

環境保護に対する意識の向上及び取り組みの推進を目的として、国内の従業員にエコ検定の取得を推進しており、対象となる1,619名のうち82%にあたる1,327名がエコ検定を取得しています。

(注)

1.「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略で、PPA事業者が電力需要家の敷地や屋根等を借り太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電力を需要家に販売する事業モデルです。

2.電気自動車推進イニシアチブ。温室効果ガス排出量の削減に取り組む国際環境NGOのクライメイトグループにより、2017年9月18日から24日にニューヨーク市で開催された気候週間で発足を発表。EV100とは、企業による電気自動車の使用や環境整備促進をめざす国際的なビジネスイニシアチブ。当社は2017年11月10日より正式参加しました。

3.イオンリテール株式会社より管理・運営業務を受託している58モールを含んだ数値で記載しています。また、海外モール数について、海外現地法人の決算期は12月末ですが、日本の会計年度における数値を記載しています。

<社会課題の解決に向けて>

・地域の防災活動への協力

地域の皆さまに対する安全の提供として、国内の大半のモールでは、防災活動への協力等に関する協定を地方行政と締結しています。2019年9月9日から10日にかけて関東地方に上陸した台風15号において、イオンモール木更津(千葉県)は食料や物資の購入だけでなく、電力、水道、ガソリン等の生活インフラを支援する地域の復旧拠点として機能しました。また、専門店従業員にも参加いただく実践的な防災訓練を国内全てのモールで定期的に実施する等、地域と共に防災体制の強化に向けた取り組みを進めています。

・イオンゆめみらい保育園

子育てをしながら働く従業員の活躍支援を目的として、事業所内保育施設「イオンゆめみらい保育園」の設置を進めており、当連結会計年度末において30園(注4)となりました。今後もモール専門店の従業員やグループ企業の従業員をはじめ、より多くの方々の仕事と育児の両立支援、待機児童解消の一助となる取り組みを進めていきます。

・地域コミュニティ機能の強化

ローカライゼーションの視点に基づいた地域のコミュニティセンターとしてのモールづくりに取り組んでおり、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟の協力による全国防災キャラバンの実施や、期日前投票所の設置等の取り組みを進めています。また、お客さまの利便性向上の観点から、モール館内に郵便局、市役所出張所、図書館、クリニックモール、フィナンシャルモール等の地域インフラ機能の拡充を進めています。

・献血活動

日本赤十字社と共にに推進している献血活動においては、12月に日本赤十字社の学生献血推進ボランティアが主体となって献血の呼びかけを行う「全国学生クリスマス献血キャンペーン」を全国35モールで開催しました。

・イオン 心をつなぐプロジェクト

東日本大震災復興支援活動である「イオン 心をつなぐプロジェクト」では、被災地の復興に向け、植樹活動やボランティア活動に当社従業員が参加する等、今後も継続的に支援活動を続けていきます。

・公益財団法人イオンワンパーセントクラブ

イオングループの主要各社が税引前利益の1%を拠出し、社会貢献活動を行う公益財団法人イオンワンパーセントクラブの取り組みに協賛し寄付を行うとともに、伝統的な文化・工芸・技術の普及啓蒙事業協力事業者、全国募金協力事業者として継続的に社会貢献活動を行っています。

(注)
4.イオングループに設置している10施設を含みます。

<外部からの評価>

・DBJ Green Building認証

イオンレイクタウンkaze(埼玉県)とイオンレイクタウンmori(埼玉県)は、環境負荷を低減する取り組みや、地域の皆さまが便利に、快適に過ごせる取り組みが評価され、「DBJ Green Building認証」(注5)を取得しました。同認証は、これまでに当社が管理運営する15モールで取得しています。

・GRESBリアルエステイト評価

2019年度GRESB(注6)リアルエステイト評価において、環境配慮やサステナビリティに関する取り組みに関して、「マネジメントと方針」及び「実行と計測」の両面において優れていると高く評価され、5年連続で最高位となる「Green Star」評価を獲得しました。また、2017 年より開始されたESG に関する開示情報のみを元に評価を行う「GRESB 開示評価(GRESB Public Disclosure)」においても最上位の「A」評価を取得しました。

・CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)

気候変動に対する取り組み及び情報開示が評価され、CDP(注7)より8段階の評価のうち3番目に位置するスコアBを取得しました。

・なでしこ銘柄

女性管理職比率の向上をめざし、仕事と介護や育児を両立できる制度設計や時間外労働削減に向けた労働時間の見える化や業務効率化を評価指標の一つとする等、女性が活躍して働き続けるための環境整備を推し進めており、女性人材の活用を積極的に進めている上場企業として「なでしこ銘柄」(注8)に4年連続で選出されました。

・健康経営優良法人2020 (大規模法人部門)

当社が健康と福祉を重要なマテリアリティと定義し、従業員教育、労働時間適正化、運動機会の提供等、心と身体の健康づくりに向けた具体的施策を行っていることが評価され、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人制度により、「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」に認定されました。

・心のバリアフリーサポート企業(東京都)

2020年3月には、東京都より「心のバリアフリー」サポート企業及び好事例企業として選ばれました。これは、当社のモール開発におけるユニバーサルデザインの導入及びテナントを含めた従業員に対する研修の提供等、全ての方に寄り添った対応が行えるよう必要な行動を続ける当社の取り組みが評価されたものです。

・第6回地域貢献大賞(一般社団法人日本ショッピングセンター協会)

イオンモール天童(山形県)、イオンモール倉敷(岡山県)は、一般社団法人日本ショッピングセンター協会が主催する第6回地域貢献大賞に選ばれました。同賞は、地域社会への貢献や地域活性化への取り組みを行い、地域の生活に欠かせないショッピングモールが選ばれるものです。

(注)

5.株式会社日本政策投資銀行(DBJ)が、建物の環境性能、快適性、リスクマネジメント、周辺環境・コミュニティへの配慮、ステークホルダーとの協働の5つの視点で不動産を評価する認証制度です。

6.GRESB (グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)は、欧州の年金基金のグループを中心に創設されたGRESB財団が行うアンケート調査に基づき、不動産会社・不動産運用機関のサステナビリティ・パフォーマンスを測るベンチマークです。

7.CDPとは96兆ドルを有する525を超える機関投資家を代表して、気候変動情報開示を推進する国際NGOです。CDPは世界の大企業を毎年調査し、2019年度は8,400社以上がCDPの調査に回答しています。

8.経済産業省と東京証券取引所が共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を選定し、発表しているもので、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じ、企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとしています。

2 コーポレート・ガバナンスの状況について
2020年2月29日現在

(1)コーポレート・ガバナンス組織図

取締役会: 経営監督機能の強化のため、代表取締役社長を議長とし、月1回以上開催。監査役も出席。(取締役14名のうち2名が独立役員)
監査役会: 監査の実効性・効率性向上のため、会計監査人と内部監査部門である経営監査部と都度相互の情報交換・意見交換を実施。(監査役4名のうち2名が独立役員)
経営会議: 経営戦略機能強化、意思決定プロセス効率化のため、社長の諮問機関として常務取締役以上の取締役・常勤監査役及び取締役社長の指名した者を中心メンバーにて構成、原則週1回開催。
経営監査部: 業務の円滑な運営と統制のため、専任者15名が各部門長と連携を取り、業務全般にわたる内部統制の有効性、実効性の調査・評価を実施。現場の各執行部門から独立。

(2)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

①株主の権利、権利行使に係る環境整備・平等性を確保し、株主との適切な協働を進め、持続的な成長につなげます。

②取締役会・経営陣は、お客さま、ステークホルダーの権利・立場や事業活動における倫理を尊重する企業文化・風土の醸成、ESG・CSRへの積極的な取り組みのため、リーダーシップを発揮します。

③財務情報・非財務情報について、「開示方針(ディスクロージャーポリシー)」、「情報開示管理規則」を定め、適切で分かりやすい情報開示を行い、透明性・公平性を確保します。

④取締役会は、小売業に精通した取締役を中心に構成し、小売業出身のディベロッパーの強みを強化するとともに、独立社外取締役の選任による監督体制の強化により、透明性の高い経営を実現し、長期ビジョン・中長期計画等の重要な企業戦略を定め、施策を推進します。

⑤株主との建設的な対話を通じて得られた意見や評価を経営に反映することにより、企業価値の向上に活かします。

(3)現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由

当社は、持続的な成長の実現には、コーポレート・ガバナンス機能を強化し、迅速な意思決定による競争力の向上が不可欠と認識しております。

当社では、監査役制度を運用しており、監査役会は会計監査人と内部監査部門である経営監査部と都度相互の情報交換・意見交換を行うなどの連携もとりながら監査の実効性と効率性の向上に取り組んでおります。

また2018年度より取締役・監査役の指名・選任及び取締役の報酬の内容について、代表取締役社長に助言・答申を行い、透明性と客観性を確保することを目的に社外役員を中心とした指名・報酬諮問委員会を設置しております。

(4)取締役会の役割・責務

当社は取締役会に付議すべき内容は、法令等も踏まえて「取締役会規則」で明確に定めていますが、取締役会の実効性向上の一環として、法的側面からガバナンスチェックを実施し、取締役会規則の改訂を行い改めて付議事項を明確化するなど、更なる改善に取組んでおります。

また、取締役の業務執行については、「職制管理規則」、「業務分掌規則」、「権限規則」、「決裁伺い規則」により、それぞれの業務執行において必要となる権限を付与して経営責任を明確にしたうえで、執行責任、執行手続の詳細について定めています。

業務の適正を確保するための体制及びその運用状況の概要

(1)業務の適正を確保するための体制についての決定事項

①当社取締役の職務執行に係る情報の保存・管理に関する体制

業務執行取締役又は使用人がその職務の執行をするにあたり必要とされる決裁書、会議議事録その他の文書を当社の社内規程に従い作成します。

作成した文書は、その保存媒体に応じた適切かつ確実な検索性の高い状態で保存及び管理を行い、必要に応じて閲覧可能な状態を維持します。

また、それら記録の管理については、「文書管理規則」に定められた主管部門が社外漏洩を防止します。

②当社及び当社子会社(以下「当社グループ」という。)の損失の危険の管理に関する規程その他の体制

当社は、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長、各本部の責任者を担当取締役とし、事業の継続と人命の安全を確保するための体制と環境を整えます。

当社グループは、危機の未然防止及び危機発生時の被害最小化を目的とした「経営危機管理規則(リスクマネジメント規程)」を策定し、リスクの減少及び被害の低減に努めます。また、リスク項目ごとに主管部門を定め、当社グループ全体の損失の危険を管理することを通じて、ブランド価値の毀損防止はもとより、企業価値の向上にも努めて参ります。

また、組織的、人的、物理的、技術的な各側面から情報資産の保護、管理を可能とすることを目的として、「情報セキュリティ管理規則」を制定し情報セキュリティに関する責任体制を明確化し、当社が取り扱う情報や情報システムのセキュリティレベルの維持、向上に努めます。

当社は、管理本部長を委員長とするリスク管理委員会を設け、当社グループ全体のリスクマネジメント推進にかかわる課題、対応策の審議を行うとともに、その議事については経営会議に報告します。また、重要な案件については、取締役会に報告するとともに、年間報告を行います。

内部監査担当部門は、リスクマネジメントの実効性を高めるべく、「内部監査規則」に基づき、年度監査計画を策定し内部監査を行います。なお、年度監査計画については取締役会に報告します。

③当社取締役及び当社子会社の取締役、執行役、業務を執行する社員、会社法第598条第1項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者(以下「子会社取締役等」という。)の職務執行の効率性を確保する体制

取締役会を月1回開催するほか、必要に応じて適宜臨時に開催するものとし、社長決裁以上の当社グループに重大なリスクの生じる恐れのある意思決定事項に関しては経営会議にて審議を行ったうえで、社長決裁ないし取締役会決議を行います。

業務執行については、予め定められた「職制管理規則」、「業務分掌規則」、「権限規則」、「決裁伺い規則」、「関係会社管理規則」により、それぞれの業務執行において必要となる権限を付与して経営責任を明確化します。

また、子会社取締役等の職務執行の効率性を確保するための体制として、当社は、取締役会にて子会社を含めたグループ中期経営計画、年度経営目標及び予算配分等を承認し、四半期ごとに、それらに沿った事業戦略及び諸施策の進捗状況を検証するとともに、その他重要な情報について報告を受けます。

④当社取締役及び使用人並びに子会社取締役等及び使用人の職務執行が法令・定款に適合することを確保するための体制

より良い地域社会との関係を構築するとともに、企業としての社会的責任を果たすため、コンプライアンス経営を重視し、イオングループの行動規範である「イオン行動規範」を遵守します。

当社は、管理本部長を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設け、当社グループにおける法令、定款及び社内規程の遵守状況等の確認と問題点の指摘及び改善策の審議を行うとともに、コンプライアンス委員会の議事については、経営会議に報告するとともに、重要案件については、取締役会に報告します。

通報者に不利益が及ばない内部通報窓口として、当社は、ヘルプライン・イオンモール「人事110番」を設置します(当社労働組合においても「組合110番」を設置)。また、子会社には、当社の仕組みに準じたヘルプラインを設置します。このヘルプラインに報告・通報があった場合、担当部門はその内容を精査して、違反行為があれば社内規程に基づき必要な処置をしたうえで、再発防止策を自ら策定し、又は当該部門に策定させて全社的に実施させるとともに「コンプライアンス委員会」に報告します。

⑤当社並びに親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

親会社と当社の利益が実質的に相反する恐れのある取引や親会社と競業関係に立つ取引については、経営会議にて、その取引内容の詳細について審議したうえ、取締役会の承認を得てから実施します。

子会社含むグループ各社との取引についても、取引を実施する担当部門は当社の利益を害さないよう市場価格に基づいた適正な条件により取引を実施します。価格決定にあたっては、客観的な評価が可能なものについては第三者による評価書等の資料を取得し、判断に必要となる情報を取締役会及び経営会議に提出します。

また、子会社取締役等の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制として、当社は、子会社に対し、当社が定める「関係会社管理規則」に基づき、子会社の毎月の業績、決算その他当社が必要とする事項につき、経営会議への報告を義務付けます。

内部監査担当部門は、当社及び子会社の業務が適正に運営されているか、「内部監査規則」に基づき、当社及び子会社の監査を実施し、「内部監査報告書」にて、社長及び常勤監査役に報告します。

⑥当社の監査役がその職務を補助すべき使用人(以下、「補助使用人」という。)を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、並びに補助使用人の当社取締役からの独立性に関する事項及び補助使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項

当社は、監査役の補助使用人を、監査役会との協議のうえ、人選し配置します。

補助使用人は取締役又は他の使用人の指揮命令を受けないものとします。

また、補助使用人の人事評価については監査役の協議によって行い、人事異動、懲戒に関しては監査役会の事前の同意を得るものとします。

⑦当社の監査役への報告に関する体制

当社取締役及び使用人並びに子会社取締役等及び使用人は、当社の監査役に報告をするための体制としては、経営の状況、事業の状況、財務の状況並びに内部監査の実施状況、リスク管理及びコンプライアンスの状況等は、監査役が参加する取締役会もしくは経営会議にて報告します。

また、当社取締役及び使用人並びに子会社取締役等及び使用人は、当社及び子会社の業務又は業績に影響を与える事項、法令違反その他コンプライアンス上の問題で、当社及び子会社に著しい損害を及ぼす恐れのある事実があることを発見したとき、又はこれらの者から報告を受けた者は報告を受けたとき、当社の監査役会に速やかに報告します。

当社又は子会社は、これらの報告をした者に対してこれを理由とする不利な取り扱いを行うことを禁止し、当社取締役及び使用人並びに子会社取締役等、監査役及び使用人に周知徹底します。

⑧当社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項

当社は、監査役から会社法第388条に基づく費用の前払等の請求を受けたときは、社内の規程に基づき速やかに当該費用の支給を行うものとします。また、担当部門は毎期この支給に必要となる予算措置を講じるものとします。

⑨その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

内部監査担当部門は、内部監査の内容について適時に監査役と打ち合わせるなどして監査役会と緊密に連携を図り、効率的な監査役監査に資するように協調して監査業務を進めます。

(2)業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要

当社は前項に記載の「業務の適正を確保するための体制についての決定事項」に基づいて、適切に内部統制システムが運用されていることを確認しています。

当事業年度における主な運用状況は次の通りです。

2016年度に実施したリスクサーベイの結果と、発生した重大なインシデントおよび新たな事業領域・環境への対応を踏まえ、重要度及び対策の必要性に応じてリスクのレベル分けを行い、主管部門の取組み内容を「リスク管理委員会」で集中的に議論することで、より実効性の高い管理体制を構築しています。

当事業年度では、火災事故や自然災害といった安全にかかわる事項の対策を重点的に進めることで、重篤な被害を未然に防ぐ取組みが進みました。また、デジタル化の推進や情報セキュリティへの対策を進めることを踏まえ、情報セキュリティ会議を新設し、リスク管理委員会と併催することを始めています。

リスクマネジメント業務に携わる社員に対しては集合研修による教育を行うことで、意識の向上と各部門におけるリスクマネジメントの強化を図るほか、内部監査部門の監査や、経営会議・取締役会への報告を通じ、全社のリスク管理体制を随時見直し、実効性を高める取組みを進めています。

当社子会社について、中国・アセアンでは2017年度にリスクサーベイを実施し、この結果に基づき各国のリスク管理体制を日本本社に準じて自律的に推進する体制としているほか、株式会社OPAにおいても当社と同様の体制を構築しており、当社子会社のリスク管理体制の進捗について当社からモニタリングするとともに、助言・指導を随時行っております。

また、コンプライアンスリスクとなる法令・社内規則等の違反を防止するため、「コンプライアンス委員会」にて、過去に社内で発生した違反を事例研究として取扱い、再発防止に向けた議論を行っております。当事業年度では、法改正を見据えたハラスメントの防止施策やリニューアル時の労働環境の改善を中心に議論して参りました。特にハラスメントの防止に向けて、内部通報状況・モラールサーベイの結果・コンプライアンス教育の実施状況を鑑みて議論し、その結果を経営会議・取締役会へ報告することを通じて、より実効性を高められる取組みを進めています。

親会社及びグループ各社との利益が相反する取引が発生する場合の対応については、「関連当事者取引管理規則」に則り、取引の合理性や取引条件の相当性を審議しています。また、取締役会付議の議案につきましては社外役員に対して事前説明を実施し、必要な判断が行えるようにしています。また、中国・アセアン地域の海外子会社については、内部統制強化のため、規定の整備や監査体制の強化を図るとともに、重要な決定事項は経営会議で承認を得るなど、情報を統括し管理を行っています。なお、2018年9月に国内外の贈賄行為を未然に防止すべく「贈賄防止基本規則」を制定し、社内体制の整備、教育を行っております。

内部監査部門は月1回、常勤監査役とのミーティングを実施し、改善状況の進捗管理を行い、半期に一度、経営会議に報告しています。

なお、2019年3月20日に開催した取締役会にて「業務の適正を確保するための体制」構築の基本方針を一部改訂し、更なるガバナンス体制の強化を図っております。

~反社会的勢力排除に向けた取り組み~

1.基本的な考え方

コンプライアンス経営の徹底、企業防衛の観点から、反社会的勢力とは関わりを持たず、不当な要求に対しては毅然とした態度で対応し、排除することが企業の社会的責任であることを認識しています。

2.反社会的勢力排除に向けた整備状況

①万一反社会的勢力による不当請求があった場合には、個人的対応は行わず、民事及び刑事の法的対応を含め、外部専門家や捜査機関とも緊密な連携を構築し、組織的対応をしています。

②「(財)千葉県暴力団追放県民会議」に加盟し、平素から警察、防犯協会等と緊密に連携して、反社会的勢力に関する情報収集に努め、各事業所を含めた全社的な情報を担当部門に集約して、社内啓蒙活動をしています。

③「取引管理規則」に基づき、取引先が反社会的勢力との関わりがないか調査し、反社会的勢力の排除を徹底しています。

(3)剰余金の配当等の決定に関する方針

当社は、収益力向上による株主の皆さまへの利益還元を重要な経営政策と認識しており、利益配分は、株主の皆さまへの安定的な配当継続を重視するとともに、内部留保金は事業基盤強化のための成長事業、新規事業、経営体質強化のために投資していくことを基本方針としています。

また、毎事業年度における配当の回数につきましては、中間配当と期末配当の年2回とし、これらの配当の決定につきましては、会社法第459条第1項に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めています。配当性向については、海外事業がキャッシュ・フローを創出できるステージに入っており、連結配当性向25%以上としています。

【当期剰余金の配当について】

当期の剰余金の期末配当は、2020年4月9日開催の取締役会決議により、1株当たり普通配当20円とさせていただきました。これにより、中間配当20円と合わせた当期の年間配当金は1株当たり40円となります。

なお、期末配当金の支払開始日(効力発生日)は2020年5月1日(金曜日)とさせていただきました。

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