事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

NTTグループの現況に関する事項

(注) 2020年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っており、EPSは当該株式分割調整後の数値を記載しております。

事業報告の記載内容について

●本事業報告において、「NTTドコモ」は株式会社NTTドコモ、「NTT東日本」は東日本電信電話株式会社、「NTT西日本」は西日本電信電話株式会社、「NTTコミュニケーションズ」はエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、「NTTコムウェア」はエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社を示しています。

●当社の連結財務諸表は、2018年度より、従来の米国会計基準に替えて国際財務報告基準(以下「IFRS」)を適用しており、2017年度の数値もIFRSに組み替えて比較・分析を行っています。

●本事業報告に記載している金額については、表示単位未満の端数を四捨五入して表示しています。なお、国内会計基準に準拠するものは、従来、表示単位未満の端数を切り捨てて表示していましたが、2020年度より四捨五入による表示へ変更しています。当該変更に伴い、2019年度以前についても四捨五入へ組み替えて表示しています。

●文中において  が付されている用語について、「用語解説」にて解説を掲載しています。

●本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明は、現在当社の経営陣が入手している情報に基づいて行った判断・評価・事実認識・方針の策定などに基づいてなされもしくは算定されています。また、過去に確定し正確に認識された事実以外に、将来の予想およびその記述を行うために不可欠となる一定の前提(仮定)を用いてなされもしくは算定したものです。将来の予測および将来の見通しに関する記述・言明に本質的に内在する不確定性・不確実性および今後の事業運営や内外の経済、証券市場その他の状況変化などによる変動可能性に照らし、現実の業績の数値、結果、パフォーマンスおよび成果は、本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明と異なる可能性があります。

1.事業の経過およびその成果

(1)事業環境

当事業年度における情報通信市場では、引き続きクラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AIなどの進展により、デジタル化への取り組みが加速するとともに、5Gのサービスが拡大しています。それらのサービスの利用を通じて蓄積されたデータを分析・活用(データマネジメント)することで、人々の生活における利便性向上や、ビジネスにおける新たなモデル創出や生産性向上など、より良い方向への変革を実現するデジタルトランスフォーメーションが世界的に進みつつあります。また、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や、環境保護への貢献なども求められるようになっています。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、在宅勤務や遠隔教育、遠隔医療など、社会生活の変容への取り組みが求められています。

こうしたさまざまな社会的課題を解決するうえで、情報通信の役割はますます重要になっています。

(2)事業の状況

このような事業環境のなか、NTTグループは中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、「Your Value Partner」としてパートナーの皆さまとともに、社会的課題の解決をめざす取り組みを推進しました。

NTTドコモの完全子会社化

NTTドコモの競争力強化・成長ならびにNTTグループ全体の成長に向け、2020年12月にNTTドコモを完全子会社化しました。

  • 情報通信市場では、固定通信と移動通信の垣根がなくなるとともに、グローバルプレーヤーを含め、通信レイヤーを超えた多面的かつ多層的な市場競争が展開されつつあります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、アフターコロナの社会を展望すると、リモートワールド(分散型社会)が基本となる社会やグローバリズムが変質するなど大きな変化が想定されます。NTTグループとして、こうしたグローバルレベルでダイナミックな環境変化に対応していく必要があります。
  • そうした経営環境において、NTTグループが中期的に成長・発展していくため、①リモートワールドを考慮した新サービスの展開・提供、②リソースの集中化とデジタルトランスフォーメーションの推進、③世界規模での研究開発の推進、④スマートライフ事業など新規事業の強化をめざします。
  • そのために、グループ横断でのリソース・アセットの戦略的活用と意思決定の迅速化が不可欠と考え、NTTドコモを完全子会社化しました。
  • 今後、NTTドコモは、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアなどのグループ会社の能力を活用していくことにより、法人営業力の強化、サービス創出力の強化、コスト競争力の強化、研究開発力の強化を図ります。そして、新たなサービス・ソリューションおよび6Gを見据えた通信基盤整備を移動固定融合型で推進し、上位レイヤービジネスまでを含めた総合ICT企業への進化をめざします。
5Gサービスの実現・展開、パーソナル化の推進

5Gサービスの実現・展開に向けた取り組み、パーソナル化推進によるライフスタイル変革の支援などを進めました。

  • 5Gサービスの対応エリアを、2020年6月末には全都道府県へ、2021年3月末には全政令指定都市を含む574都市へ拡大しました。エリア拡大に加え、5G対応機種の充実、新サービスの展開などに取り組み、2021年3月末時点の5Gサービス契約者数は309万契約となりました。
  • デジタルネイティブ世代にフィットした新料金プラン「ahamo(アハモ)」を2021年3月から提供開始しました。本プランは、2020年12月から先行エントリーキャンペーンの受付を開始しており、提供開始までに約254万件のお申し込みをいただきました。

    「ahamo」ロゴ

B2B2Xモデルの推進

B2B2Xモデルの推進による新たな価値創出の支援などを進めました。

  • 5Gの実証実験ならびにスマートシティ・スマートキャンパスの創造および教育・研究、地域社会の発展に向け、学校法人近畿大学との包括連携協定を2020年11月に締結しました。
  • 国立大学法人北海道大学、岩見沢市と連携し、最先端のロボット農業技術に、5G、IOWN関連技術などを用いて、安定的で円滑な農機の広域自動走行とその遠隔監視制御を実現しました。
グローバル事業の競争力強化

グローバル事業の競争力強化に向けたOne NTTとしてのグローバルビジネス成長戦略などを推進しました。

  • 2021年3月、オーストラリア ニューサウスウェールズ州政府と、安全でスマートな都市の実現に向けた基本合意を締結しました。NTTグループのスマートソリューションとICTプラットフォームを活用し、シドニー中心部におけるオープンな共創と革新を推進します。
  • 2020年12月、独ソフトウェア会社のSAP SEと全方位的なパートナーシップ構築に向けた戦略的提携の拡大を発表しました。デジタルでつながるグローバルなバリューチェーンを構築し、リモートワールドなどの実現につながるソリューションの提供を行います。
新事業の取り組み、地域社会・経済の活性化への貢献

不動産利活用、グリーン電力供給などの新事業創出、地域社会・経済の活性化に取り組みました。

  • 2021年2月、現実と仮想をつなぐデジタル基盤 街づくりDTC™の実証実験を開始しました。NTTグループが持つICT技術を活用し、省エネルギーと快適性、街の運用効率性や賑わいなど、さまざまな指標をすべて考慮した、街全体の最適化を行います。
  • 製造業や地方自治体などのお客さまの敷地内外へ太陽光発電装置を設置することによるグリーン電力供給など、エネルギーの地産地消を担う分散エネルギー基盤の確立に向けた取り組みを推進しました。
  • 地域の価値ある文化芸術のデジタル化とその活用を通じ、新たな鑑賞方法や文化芸術の保護を提案し、地域と都市・世界をつなぐ新しい地方創生に向け、株式会社NTT ArtTechnologyを2020年12月に設立しました。
  • ICT、不動産、エネルギー、環境技術などのリソースを最大限に活用した地域活性化・課題解決に向け、長崎市、株式会社ふくおかフィナンシャルグループなどと産学官金連携協定を2020年10月に締結しました。
ESG経営の推進、株主還元の充実による企業価値の向上

持続的な企業価値の向上と、株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題の一つとして位置づけ、環境負荷の低減、災害対策、セキュリティの強化、多様な人材の活用、株主還元の充実などに取り組みました。

  • 2020年5月、お客さま・企業・社会の環境負荷低減へ貢献するため、環境エネルギービジョンを策定しました。グリーン電力の推進やICT技術などによる社会の環境負荷低減を推進するとともに、気候変動に対する企業の情報開示フレームワークであるTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に賛同しました。
  • 2020年9月、KDDI株式会社と、社会的課題の解決に取り組む社会貢献連携協定を締結し、大規模災害時の船舶を相互利用した物資運搬や、災害対応の訓練・啓発活動における相互協力を開始しました。また、2021年3月より、就職氷河期世代などへの就労・就業支援に関する取り組みも開始しました。
  • 2020年7月より、株式会社オリィ研究所が開発した遠隔操作型の分身ロボット「OriHime-D」を活用した、障がい者による受付業務を本格導入しました。2020年10月には、障がい者の活躍推進、リモートワールド実現に向けたビジネスの強化・技術連携、これによる事業拡大を目的に、同社との資本業務提携に合意しました。
  • 株主還元については、継続的な増配および機動的な自己株式取得を実施しました。また、当社株式の魅力を高め、中長期的に当社株を保有していただける株主の拡大を図ることを目的として、当社株式の保有期間に応じたdポイント進呈を開始しました。
新型コロナウイルス感染症に対するNTTグループの主な取り組み
【指定公共機関として通信サービスの安定的な供給を確保】

NTTグループは、指定公共機関※1として、引き続き、通信サービスの安定的な供給の確保に取り組んでいます。2021年1月から3月までの緊急事態宣言下における固定通信のデータトラフィック量(通信量)は、平日昼間、夜間ともに、緊急事態宣言前と比べて1割程度の増加※2に留まっています。継続的にトラフィックをモニタリングし、必要な設備増強を実施してまいります。

  • ※1 新型インフルエンザ等対策特別措置法により、当社、NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズの5社が指定公共機関に指定されています。
  • ※2 固定通信のデータトラフィック量の増加率は、2021年1月25日週の実績(2020年11月30日週との比較)です。
【お客さまの支援施策】

NTTグループ各社は、2020年4月から5月まで、および2021年1月から3月までの緊急事態宣言下において、サービス料金などのお支払いを期限までに行うことが困難なお客さまからお申し出があった場合、お支払い期限の延長を行いました。また、NTTドコモやNTTコミュニケーションズが、25歳以下のお客さまに対して、スマートフォンを用いたオンライン学習などの利用の支援としてデータ通信の一部無償提供を行うなど、遠隔教育やテレワーク支援の取り組みも行いました。

【働き方に関わる制度・職場環境の整備】

リモートワーク中心の働き方に相応しい制度や職場環境の整備を進めています。リモートワーク手当、通勤費の実費化、スーパーフレックスタイム制を導入し、間接部門では平時5割以上(緊急事態宣言対象地域では7割以上)の在宅勤務実施に向けて取り組んできました。また、NTTグループが保有するビルのサテライトオフィス化も推進しています。加えて、自社コールセンターにおいても、セキュリティ対策を強化し、在宅環境におけるお客さま情報の安全な取り扱いを実現することで、在宅勤務を拡大するほか、光回線の開通工事について、お客さま宅内工事における非対面工法も実施しています。

【新たなサービスの提供】

Face to Faceを超える新たな空間の実現をめざす新サービスブランド「Remote World」を立ち上げました。with/afterコロナに相応しいサービスをお客さまに選択いただけるよう、サービスのラインナップ化を進めつつ、各種プロモーションを通じて世界観を広く共有し、世の中にサービスを浸透させていきます。

「Remote World」の主なサービス・ラインナップ

elgana

安心かつ円滑なコミュニケーションをかなえるビジネスチャット

AceReal for docomo

ARスマートグラスを活用した作業現場などの遠隔支援ソリューション

SmartGo™ Staple

経費・交通費の自動精算サービス

AI電話サービス

コールセンター向けの電話応対・PC操作自動化サービス

※最新の情報については、当社ウェブサイト(https://group.ntt/jp/covid19/)をご覧ください。

(3)基盤的研究開発などの状況

中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、世界に変革をもたらす革新的な研究開発を推進しました。2019年5月に発表したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の具現化に向けて、要素技術の研究開発およびさまざまな産業での活用事例創出に取り組みました。また、多様な領域における新たな価値創造の源泉として、国内外のさまざまな分野の産業界の方々とともに、産業競争力の強化や社会的課題の解決をめざす取り組みを推進しました。

IOWN構想の具現化に向けた研究開発
  • 新たな光電子融合情報処理基盤の要素技術として、超低遅延処理のための高性能な光論理ゲート“Ψ(プサイ)ゲート”の低損失かつ高速な動作に世界で初めて成功しました。
  • 世界最高速の、帯域100GHzを超える直接変調レーザーを国立大学法人東京工業大学と共同で開発しました。また、広帯域光伝送の分野では、世界で初めて、光パラメトリック増幅器による広帯域光増幅中継伝送に成功しました。トラフィックの増大に低コスト・低消費電力で対応し、IOWN構想を支えるオールフォトニクス・ネットワークの実現に貢献します。
  • ヒト・モノ・コトのセンシングデータを、高精度空間情報としてリアルタイムかつ精緻に統合し、多様な産業基盤とのデータの融合や未来予測を可能にする4Dデジタル基盤™の研究開発において、MMS点群データ処理技術(geoNebula™)、高精度衛星測位技術、時空間データ管理技術を確立しました。
  • 2020年11月、人々と医療従事者がともに健康で将来に希望を持ち続けられる世界の実現に貢献する医療健康ビジョンを発表しました。IOWNの構成要素の一つであるデジタルツインコンピューティングによって、人それぞれの身体および心理の精緻な写像(バイオデジタルツイン)を生成し、これを通じて心身の状態の未来予測を実現していきます。
  • デジタルツインコンピューティングの研究開発目標としてグランドチャレンジを策定しました。心や感情などの感性によるコミュニケーション技術、人と共に成長・共存する分身技術(Another Me)、未来社会の姿を探索する技術、地球と社会・経済システムの包摂的な平衡解を導出する技術の実現をめざします。
カーボンニュートラルな社会への貢献に向けた研究開発
  • 2020年5月にITER機構と、2020年11月に量子科学技術研究開発機構とITER計画に関する連携協定を締結しました。核融合エネルギーの実証に向けて光関連研究開発で連携し、革新的な環境エネルギー技術の創出に取り組んでいます。
  • 2020年7月、NTT宇宙環境エネルギー研究所を設立しました。地球環境の再生と持続可能かつ包摂的な社会の実現に向け、核融合や宇宙太陽光発電など次世代エネルギー技術とレジリエントな環境適応を可能とする技術の創出をめざすとともに、環境負荷ゼロに貢献するための研究を進めています。
新型コロナウイルス感染症により大きく変化する社会への貢献に向けた研究開発
  • 自動車や建物の窓越しであっても、窓がないかのように会話ができる「ウインドウトーク®」を開発しました。この技術により、窓を閉めたまま感染リスクを抑えたコミュニケーションを実現します。
  • 光ファイバーを用いて離れたところにある対象物に紫外線を照射しウイルスを不活化する技術(Fivery™)の研究開発に着手しました。通信分野で培ってきた光ファイバー技術を活用し、さまざまな場所・場面での感染症予防実現をめざします。
  • 多数の音響センサーにより生体音を収集し、ネットワークを通じて遠隔伝送する装着型の音響センサーアレイシステムを開発しました。遠隔医療における聴診などでの活用が期待されます。
研究開発の強化・グローバル化
  • 2020年6月、当社と日本電気株式会社(NEC)は、革新的光・無線技術を活用したICT製品の共同研究開発およびグローバル展開を目的とした資本業務提携に合意しました。他の通信機器ベンダーとも連携しつつ、日本の産業競争力強化および通信インフラの安全性・信頼性の一層の確保に取り組んでいます。
  • IOWN Global Forumにさまざまな業界のグローバル企業が多数参画するなか、当社は、理事会および技術ワーキングの議長として活動を主導しています。IOWN構想の早期実現に向け、2030年ビジョンに関する白書などの作成・公開や、300名以上が参加する四半期ごとのミーティングを通じた議論などを行っています。
  • 暗号分野で世界最高峰の国際会議Crypto2020において、Best Paper AwardをNTTセキュアプラットフォーム研究所とNTT Research, Inc.の研究者がそれぞれ受賞しました。また、NTT Research, Inc.は、Crypto2020、EuroCrypt2020において1つの研究所における論文採択数でトップとなりました。
  • AI・機械学習分野の難関国際会議NeurIPSにおいて、匿名化技術コンペティションにて優勝しました。今後は、匿名化・プライバシー保護技術の開発およびAIによる自動処理化の実現などをめざします。

以上の取り組みの結果、当事業年度のNTTグループの営業収益は11兆9,440億円(前年比0.4%増)となりました。また、営業費用は10兆2,726億円(前年比0.6%減)となりました。この結果、営業利益は1兆6,714億円(前年比7.0%増)、また、税引前当期利益は1兆6,526億円(前年比5.3%増)、当社に帰属する当期利益は9,162億円(前年比7.1%増)となりました。

(4)セグメント別の状況

移動通信事業

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概況

移動通信事業では、5Gサービスや新料金プラン「ahamo」を含めた携帯電話サービスおよび「ドコモ光」などの販売を推進したほか、スマートライフ領域においては、さまざまな事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供に取り組みました。

主な取り組み内容

  • スマートフォン決済サービスの「d払い」や「dポイント」の取扱い店舗の拡大に努め、2021年3月末時点の「dポイントクラブ」会員数は8,195万会員、「dポイントカード」登録数は5,078万件となりました。
  • 5Gの特長を活かしたサービス、ソリューションの拡大に取り組みました。2020年11月、卓球のTリーグ開幕戦において全映像の5G伝送を行い、これまでにない臨場感ある新たな観戦体験を実現しました。また、5Gスマート工場であるSmart Smile Factoryを産学連携で開設し、遠隔MR(Mixed Reality)会議やバーチャル工場見学の機能を搭載しました。“人”中心のデジタルトランスフォーメーションを実現し、地理的要因やコロナ禍により課題となっていた社内外のコミュニケーションの活性化に貢献しています。
  • 一部の他社アプリを対象に、アカウントデータの移行や初期設定をサポートする「アプリ設定サポート」を、2020年12月から順次、全国のドコモショップで提供開始しました。
ご参考 | 主なサービスの契約数

〇「携帯電話サービス」:8,263万契約(対前年:+231万契約)

〇「ドコモ光」:704万契約(対前年:+55万契約)

地域通信事業

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概況

地域通信事業では、光アクセスサービスなどをさまざまな事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」や、地域社会・経済の活性化に向けたソリューションビジネスの強化を図りました。

主な取り組み内容

  • 2020年7月、持続可能な畜産・酪農業の実現と地域活性化をめざし、株式会社ビオストックを設立しました。ICTを活用し、家畜の糞尿処理に係るさまざまな課題を解決できるバイオガスプラントの提供・運営や、次世代畜産・酪農ソリューションの提供に取り組んでいます。
  • eスポーツに係るソリューションの提供や、地域社会と経済活性化への貢献などに取り組みました。ICT × eスポーツを通じて新しい文化・社会の創造をめざす交流施設(eXeField Akiba)を秋葉原に開業したほか、複数の自治体や大学と連携協定を締結し、eスポーツの普及促進や実証実験などを行いました。
  • 2020年11月、「特殊詐欺対策サービス」の提供を開始しました。通話内容を特殊詐欺解析AIが解析し、特殊詐欺であると疑われる場合には、注意喚起の電話やメール送信を行う機能を提供するなど、お客さまが安心して電話をご利用いただけるよう取り組んでいます。
ご参考 | 主なサービスの契約数

〇「フレッツ光」:2,256万契約(対前年:+91万契約)

〇(再掲)「コラボ光」:1,525万契約(対前年:+136万契約)

(注) 「フレッツ光」は「光コラボレーションモデル」を活用してNTT東日本およびNTT西日本がサービス提供事業者に卸提供しているサービスの契約数を含めて記載しております。

長距離・国際通信事業

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概況

長距離・国際通信事業では、ネットワーク、セキュリティなどを組み合わせたICTソリューションの提供力を強化したほか、クラウドサービスやマネージドサービスといった成長分野でのサービス提供力の強化を図りました。

主な取り組み内容

  • 世界各地でのクラウドサービスやデータセンターの需要に対応するため、市場拡大の続く各国において、サービス提供体制の拡充を進めました。NTTコミュニケーションズは、お客さまの需要に継続して応えるため、2020年9月、東京第11データセンターの提供を開始しました。また、グローバル事業会社であるNTT Ltd.は、インド、イギリス、アメリカ、ドイツ、マレーシアに新たなデータセンターを開設しました。NTTグループは、20以上の国と地域で、約160拠点のデータセンターを運営する世界トップクラスのデータセンター事業者となっています。
  • 国立大学法人千葉大学医学部附属病院と、秘密計算ディープラーニングなどの技術を活用した臨床データ分析の共同研究を開始しました。この共同研究を通じて、臨床研究データを安心安全に収集、分析するための高レベルな情報セキュリティ環境を構築します。
  • 2020年8月、リモートワークにおけるコミュニケーションを活性化するオンラインワークスペース「NeWork」の提供を開始しました。立ち話感覚での相談や雑談などを活性化できるようにデザインされた、リモートワークにおけるコミュニケーションや生産性向上に貢献するサービスです。

データ通信事業

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概況

データ通信事業では、グローバルでのデジタルトランスフォーメーションなどの加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。

主な取り組み内容

  • 2020年4月、トヨタコネクティッド株式会社と、モビリティサービス事業領域における業務提携を開始しました。スマートシティ構想を視野に入れたモビリティサービス・プラットフォームの機能強化とコネクティッドカーの世界展開に向け、より一層のソフトウェア開発力の強化および運用体制の拡充に取り組んでいます。
  • 北米、EMEA(欧州・中東・アフリカ)および中南米において事業構造改革に取り組みました。北米では、デジタル人財の拡充とリスキル、リソースの最適化、オフィスなどの統廃合を進めました。EMEA・中南米では、事業構造改革の成果により、欧州の国境管理システム管轄機関とITシステム開発に係る複数年契約を締結するなど、複数のデジタル案件を獲得しました。
  • 2021年2月、多様なニーズに応じて最適なプラットフォームを提供するクラウド基盤である、政府向けのコミュニティクラウドサービス「OpenCanvas for Government」の提供を開始しました。本サービス上で、行政・金融機関の連携によるキャッシュレスサービスをはじめとした新たなデジタルサービスの提供など、官民の魅力あるサービスの創出に貢献していきます。

その他の事業

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概況

その他の事業では、主に不動産事業、金融事業、電力事業、システム開発事業に係るサービスを提供しました。

主な取り組み内容

    不動産事業
  • NTTグループの不動産事業を一元的に担うNTTアーバンソリューションズ株式会社を中心に、オフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を推進しました。2020年6月に原宿や京都において複合施設を開業したほか、仙台市の都心部活性化に向けた連携協定を締結するなど、地域社会の街づくりに貢献しました。
  • 金融事業
  • NTTファイナンス株式会社を中心に、通信サービス料金などの請求・回収、クレジットカード決済サービスの提供などを行いました。
  • 電力事業
  • スマートエネルギー事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を中心に、再生可能エネルギー発電の拡大、NTTグループが持つ資産を活用した新たな電力供給ソリューションの提供などを通じ、エネルギーのグリーン化などを推進しました。
  • システム開発事業
  • デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、新規サービスのプラットフォームとなるITシステム群などの開発・導入を推進しました。また、社会インフラの効率的維持・地域の活性化など、社会課題解決ソリューションの開発に取り組みました。

2.対処すべき課題

(1)事業環境の見通し

地球規模の人口増加と都市化の進展がますます加速し、環境問題が深刻化していくとともに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、私たちの社会や経済に与える影響がますます不透明な状況になっています。一方、国際連合で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のもと、持続可能な社会の実現に向けた動きも世界中で活発化しています。

このような社会情勢のもと、情報通信市場では、新たなプレイヤーを含めた熾烈な競争も進むなか、5G・仮想化・AIなどの最新技術を活用した新たなサービスが発展し、デジタルトランスフォーメーションを通じたスマートな社会が実現していくと見込まれます。その際、新たな価値創造や社会的課題の解決に向けて、従来の事業領域の垣根を越えたさまざまなプレイヤーとの協創・連携が進み、情報通信に求められる役割もますます拡大すると考えられます。

(2)中期経営戦略に基づく事業展開

NTTグループは、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、パートナーの皆さまとともに、事業活動を通じた社会的課題の解決に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。

5Gサービスの実現・展開、パーソナル化の推進

5Gサービスの実現・展開については、幅広いパートナーとともに、5Gの特徴を活かした高臨場、インタラクティブ(双方向)なサービスによる新しい価値を創出します。また、NTTドコモの「5Gギガホ プレミア」や「ahamo」などの提供による顧客基盤の強化や、dポイントクラブ会員向けのサービスによる収益機会の創出などを通じ、お客さま一人ひとりに合わせたきめ細やかなパーソナルソリューションを実現し、お客さまのライフスタイルの変革をサポートします。

B2B2Xモデルの推進

スマートな社会の実現に向け、デジタルサービスやデータマネジメントを活用したB2B2Xモデルを推進します。プロジェクト数は、2021年度目標である100プロジェクトを1年前倒しで達成しており、引き続き、プロジェクト数の拡大に取り組みます。

グローバル事業の競争力強化

お客さまのデジタル化を推進する統合ソリューションと、最先端技術を活用した革新的な取り組みを掛け合わせ相乗効果を高めるとともに、NTTグループのグローバル人材・ブランディングとあわせて、One NTTとしてグローバルビジネスの競争力強化と成長を加速させます。具体的には、お客さまに合わせた営業体制の確立により、高付加価値サービスを中核とするビジネスへの転換を進めるとともに、営業支援や人事・経理業務の一元化、IT統合の推進を通じて、コスト削減にも取り組みます。

国内事業のデジタルトランスフォーメーションを推進

国内事業については、主要各社に設置しているCDO(Chief Digital Officer)を中心に、デジタル化施策を推進します。自らの業務プロセスについて、AIやRPAなどを活用し、デジタル化することで効率化を図るとともに、社外の協力会社も含めた業務プロセスにおいて、人手を介さないスマートなオペレーションを実現します。また、グループ経営の高度化に向けて、統一ERPを導入し、共通的な業務を統合していきます。

新事業の取り組み、地域社会・経済の活性化への貢献

NTTグループが持つ不動産やICT・エネルギー・環境技術などを最大限活用し、NTTアーバンソリューションズ株式会社を中心に、従来の不動産開発にとどまらない新たな街づくり事業を推進します。また、新たなエネルギーソリューションを迅速に提供するため、NTTアノードエナジー株式会社は、サービス開発・提供・運用リソースの最適化などを進め、ICTを活用したスマートエネルギー事業を推進します。

さらに、地域密着の営業体制、最新技術、設備・拠点といった経営資源を活かし、自治体などさまざまなパートナーとのコラボレーションを通じて、行政・生活サービスの充実、地場産業の活性化を支援します。

また、災害対策においては設備の強靭化、復旧の迅速化などに取り組み、安心・安全なICT基盤の確保に引き続き注力します。

ESG経営の推進、株主還元の充実による企業価値の向上

ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を通じて社会的課題を解決し、持続的な企業価値の向上をめざします。ESG経営の観点で特に優先度の高いマテリアリティ(重要課題)として、環境負荷の低減、セキュリティの強化、多様な人材の活用、災害対策の強化、持続的成長に向けたガバナンス強化を設定し、事業機会を拡大するとともに、事業リスクを最小化することに努めます。

環境については、2020年5月に策定した環境エネルギービジョンに基づき、お客さま・企業・社会の環境負荷低減に貢献することで、環境負荷ゼロをめざします。

ダイバーシティ&インクルージョンの推進については、リモートを前提とした働き方の定着などを通じて、一人ひとりが活き活きと働ける環境づくりに取り組みます。なお、女性管理者比率については、2025年度までに10%以上をめざす目標を掲げています。

そのほか、ネットワークの高い安定性と信頼性の確保に向けて、日々のネットワーク運用のノウハウ蓄積などを通じて、一層の安心・安全なサービス提供に努めます。

持続的成長にむけたガバナンス強化に向け、不正・不祥事を発生させない企業風土の醸成と高い倫理観に基づく事業運営に取り組みます。

今般の当社経営層と省庁関係者などとの会食に関する社内ルールの見直しについて

株主の皆さま、お客さまをはじめ、関係する皆さまからの信頼を取り戻すために、今後、当社が実施する会食、贈答品の贈与など(以下「会食など」)に関する社内ルールを見直します。

  • 1.利害関係ある政務三役との対応
    「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」を踏まえ、利害関係者にあたる政務三役との個別の会食などは実施しない。
  • 2.利害関係ある国家公務員との対応
    「国家公務員倫理法」および「国家公務員倫理規程」を踏まえ、利害関係者にあたる国家公務員との個別の会食などは実施しない。
  • 3.その他の社外などとの対応
    会食などに関する新たな社内ルールを整備する。
  • 4.違反したものの扱い
    1.〜3.に違反した場合の罰則を定める。

独立社外取締役、独立社外監査役、外部の法律専門家を委員として立ち上げた特別調査委員会の意見などを踏まえ、新たな時代に相応しい経営への転換を図ります。

当社を含めた主要グループ会社において、中期経営戦略の達成と持続的成長、および中長期的な企業価値向上をより強く意識した経営を促進するため、新たな株式報酬制度の導入を本株主総会にお諮りしています。加えて、非上場の主要子会社においては、執行役員制度を導入し、独立役員相当の社外取締役を選任することで取締役会の議論の活性化およびガバナンス強化を進めます。

配当については継続的な増配の実施を基本的な考えとし、自己株式の取得についても機動的に実施することで、資本効率の向上を図ります。

(3)基盤的研究開発などの推進

ネットワーク基盤技術、新たなサービスやアプリケーションの基盤となる技術、先端および基礎的な技術の調和を図りながら、より付加価値の高い研究開発を推進するとともに、IOWN Global Forumをはじめとして国内外において、他研究機関・パートナー企業などと連携したイノベーションや技術交流、普及・標準化活動などに引き続き積極的に努めます。

また、地球環境の再生と持続可能かつ包摂的な社会の実現に向け、環境負荷ゼロに貢献するための研究を進めます。

3.設備投資の状況

NTTグループは、5G・LTEサービスや「フレッツ光コラボ光含む)」などの各種サービス需要への対応を中心に、1兆7,283億円(前年比4.3%減)の設備投資を行いました。

4.資金調達の状況

NTTグループは、NTTドコモの完全子会社化および設備投資などのため、2兆6,585億円(うちNTTファイナンス株式会社が発行し当社が債務保証したNTTドコモ完全子会社化のための社債発行額2兆1,069億円)の長期資金調達を実施しました。

長期資金調達の内訳は次のとおりです。

なお、当社においては、NTTドコモの完全子会社化およびNTT西日本への貸付に係る資金として、関係会社からの長期借入金にて2兆2,069億円(うちNTTドコモの完全子会社化のための借入額2兆1,069億円)を調達しました。

5.主要な借入先および借入額

6.重要な子会社の状況

(注)
  • 1. 出資比率は各社の保有する自己株式を控除して計算しています。また、括弧内は当社の子会社による出資比率です。
  • 2. 当事業年度において、NTT Global Data Centers EMEAは、Lux e-shelter 1から、NTT Cloud Communications International Holdingsは、Arkadin Internationalから、NTT Global Data Centers EMEA UKは、GYRON INTERNETから、NTT Security AppSec Solutionsは、WhiteHat Securityから、それぞれ商号を変更しました。
  • 3. 当事業年度末日における特定完全子会社の状況は、次のとおりです。

株式に関する事項

1.発行可能株式総数

6,192,920,900株

2.発行済株式の総数

3,900,788,940株

3.当事業年度末の株主数

890,450名

4.大株主

(注)
  • 1. 持株数は、千株未満を切り捨てて表示しています。
  • 2. 当社は自己株式278,776,284株を保有していますが、上記大株主からは除外しています。
  • 3. 持株比率は自己株式を控除して計算しています。
  • 4. 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社は、2020年7月27日付でJTCホールディングス株式会社、資産管理サービス信託銀行株式会社と合併し、株式会社日本カストディ銀行となりました。

コーポレート・ガバナンスに関する事項

1.基本方針

当社は、株主や投資家の皆さまをはじめ、お客さまやお取引先、従業員などさまざまなステークホルダー(利害関係者)の期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要であると考えております。中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、「Your Value Partner」としてパートナーの皆さまとともに社会的課題の解決をめざした活動を推進するために、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでおります。

ご参考 │ コーポレート・ガバナンス体制

2.コーポレート・ガバナンス体制の概要

当社は、独立社外監査役を含めた監査役による監査体制が経営監視機能として有効であると判断し、監査役会設置会社形態を採用しております。

また、当社は、独立社外取締役を選任することにより、業務執行を適切に監督する機能を強化しております。

3.取締役会

取締役会は、独立社外取締役4名を含む取締役8名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離することで、執行に対する監視機能をより強化するとともに、経営の機動力の向上も図っております。取締役会は、原則として毎月1回の定例取締役会を開催し、必要のある都度臨時取締役会を開催することで、グループ経営戦略に関する議論に加え、法令で定められた事項、および会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役および執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けることなどにより、取締役および執行役員の職務執行を監督しております。

独立社外取締役については、それぞれ豊富な経験を有し、人格、見識ともに優れていることから、業務執行の監督機能強化への貢献および幅広い経営的視点からの助言を期待するものです。

なお、当社は、取締役の人事・報酬の決定における客観性・透明性の向上を目的に、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。

取締役会の実効性評価

純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。

当社の取締役会は、執行役員などで構成する執行役員会議や、社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員などが参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項などを決定するとともに、各取締役および各執行役員の職務執行の状況をモニタリングしています。

取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営などにおける課題とその解決に向けた取り組みや、出資や提携などの事業拡大に向けた取り組みについて報告・審議されており、当事業年度は、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、B2B2Xモデルの推進に向けた提携などの会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスの更なる強化に向けた方針の策定などを中心に、活発な議論がなされました。特に、当事業年度は執行役員制度の導入やグループ会社の役員を改選したこともあり、ガバナンスに関する議案の割合が増加しております。また、当事業年度は、独立社外取締役への取締役会付議案件の事前説明に加え、取締役会後に代表取締役から当面の課題や検討状況を説明し、執行の注力内容と取り組み趣旨の明確化に努めることで、取締役会の監督機能の強化を図りました。

さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、独立社外取締役と代表取締役で当社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発に関する展示会への参加を含め、最先端の研究成果などについて説明しました。他にも、独立社外取締役と当社監査役、主要なグループ会社の独立社外取締役などとの間で、NTTグループの経営課題について適宜意見交換を行いました。

これらの意見交換会において、独立社外取締役および監査役から、当社の取締役会などに関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できているとの意見をいただいているところです。

また、取締役会の継続的な実効性向上を通じた経営ガバナンスの強化を目的に、毎年1回、取締役会の実効性評価を実施しています。当事業年度においても第三者機関を起用し、全取締役・監査役を対象とした取締役会に関するアンケート調査を行い、取締役会としての実効性評価を実施しました。取締役会の役割と責務、構成、運営、満足度といった観点での質問を行い、第三者機関にて取りまとめた結果、すべての設問において肯定的意見が多数を占めており、取締役会に期待される重要な役割・責務が十分に果たされていることを確認しました。

また、戦略的議論の活性化にむけて実施した、執行役員制度の導入や意見交換会の設定など、一連のガバナンス関連の見直しにより、取締役会の実効性は向上したとすべての役員から肯定的な意見を得ており、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しております。

一方で、コンプライアンスの体制、監督体制に改善すべき点があったことなどが指摘されており、今後速やかに、会食などに関する社内ルールの見直しおよび厳格な運用を軸としたコンプライアンス体制の見直し、監督機能の強化を実施します。

また、主要な子会社の経営陣との意見交換機会の更なる充実など、実効性のより高い取締役会の運営をめざし、引き続き改善に取り組んでまいります。

4.監査役会

監査役会は、社内監査役2名と独立社外監査役3名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計5名で構成されております。当事業年度は監査計画に基づき、グローバル事業再編や事業領域の拡大、NTTドコモの完全子会社化など、引き続き経営が大きく変化するなか、法令に基づく監査に加え、中期経営戦略の進捗状況やコーポレート・ガバナンスの維持・向上に向けた取り組み状況などについて、内部統制室・会計監査人・グループ会社監査役などとの連携による効率的・効果的な監査に努めました。また、代表取締役および独立社外取締役などとの意見交換、グループ会社の代表取締役および監査役などとテーマに応じた意見交換を実施することで、取締役および執行役員の職務の執行状況の実情を把握するとともに必要に応じて提言を行っております。当事業年度は、代表取締役および独立社外取締役などとの意見交換を26回、グループ会社の代表取締役および監査役などとの意見交換を44回実施しました。

独立社外監査役を含む当社の監査役は、取締役会など重要な会議に出席するほか、取締役および執行役員の職務の執行状況に関し、適宜監査を行っております。また、会計監査人、内部統制室、グループ会社の監査役などと、定期的、および必要に応じて適時に情報交換を行うなど連携を強化し監査を行っております。さらに、ガバナンス状況について、国内外グループ会社の中から、重要性、およびリスク・アプローチに基づき、往査先を選定し往査を実施しました。なお、関係監査組織との連携、往査にあたっては、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大するなか、web会議システムを積極的に活用することにより、監査の実効性に支障を来たすことがないよう、対応しております。

また、当事業年度の監査活動を振り返り、次年度の監査計画への反映、および監査品質の向上などを目的に、2018年度以降継続して監査役会の実効性を評価しております。当事業年度の実効性の評価に際しては、各監査役に対するアンケートに加え、独立社外監査役3名に対するインタビューを実施しました。なお、匿名性を確保するとともに新たな視点を導入するため、アンケートやインタビューの実施、集計結果の分析にあたり、第三者機関を活用いたしました。当事業年度の主な評価項目は、監査計画、経営幹部への提言・業務執行監査、グループ監査体制、不正対応、三様監査(監査役による監査、会計監査人による監査、内部監査部門による内部監査)連携、監査役会の運営などです。これらを踏まえ、監査役会で議論・検証した結果、監査役会の実効性は確保されていると評価しました。

引き続き、NTTグループの事業展開や国内外の組織再編などを踏まえ、内部統制室およびグループ会社監査役などとの連携を強化するとともに、グループ監査体制の高度化にむけて取り組んでまいります。また、内外経営環境を踏まえ、経営幹部に対する監査に際しては社外取締役との連携を一層強化するなど、今後も監査役会の実効性の一層の向上に努めてまいります。

なお、今般の当社経営層と省庁関係者などとの会食に関しては、監査役会は、特別調査委員会の調査の進捗を注視し必要な対応を行ってまいります。また、会食などに関する社内ルールなどの整備・運用状況について確認してまいります。

5.人事・報酬委員会

取締役の人事・報酬の決定における客観性・透明性の向上を目的に、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。当事業年度は人事・報酬委員会を5回開催したほか、委員会メンバーによる意見交換会を複数回開催し、グループ会社のガバナンス向上、サクセッションプラン、役員報酬体系の在り方などについて活発な議論を実施しております。

なお、当事業年度においては、人事・報酬委員会は澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊󠄀原定征(社外取締役)を構成メンバーとしております。

6.役員の選任

当社の取締役会の構成は、「NTTグループ人事方針」における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。なお、社外役員については、幅広い経営視点・専門家としての意見を期待するとともに、社内外の取締役については、ダイバーシティの推進も踏まえて選任することとしております。

なお、当社においては、法令の定め(日本電信電話株式会社等に関する法律 第10条第1項)により、外国人を取締役または監査役とすることはできません。

NTTグループ人事方針
【基本的な考え方】

NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「Your Value Partner」として、お客さまに対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととします。

【取締役候補の選任】

取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任します。取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野などのバランスおよび多様性を考慮した構成とします。

なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。

【監査役候補の選任】

監査役候補は、専門的な経験、見識などからの視点に基づく監査が期待できる人材を選任することとします。

なお、取締役の業務執行を公正に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を社外監査役とし、会社法に則り監査役の半数以上を選任します。

なお、取締役候補の選任にあたっては、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。また、監査役候補の選任にあたっては、監査役候補の選任方針に基づき取締役が提案する監査役候補について、社外監査役が半数以上を占める監査役会における審議・同意を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。

後継者計画

最高経営責任者の後継者候補については、技術革新、市場動向、経営環境の変化のスピードに対応できる後継者候補の確保が重要と捉え、幅広い職務経験、重要ポストへの配置などを通じ、候補者の多様性を担保し、人格、見識ともに優れ時世に合った人材を登用していけるよう育成を行っております。なお、選任にあたっては、取締役会の事前審議機関として独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会の審議を経て、取締役会で決定しております。

社外役員の独立性

当社は、職務執行の監督機能を強化する観点、あるいは取締役の職務執行を適切に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を、社外取締役ないし社外監査役とする方針としております。さらに、東京証券取引所の定める独立性基準に加え、以下の要件を満たす社外取締役ないし社外監査役を、独立役員(独立社外取締役ないし独立社外監査役)に指定しております。

独立性判断基準

直近の3事業年度において以下に該当する者ではないこと。

  • (1)当社の基準を超える取引先※1の業務執行者
  • (2)当社の基準を超える借入先※2の業務執行者
  • (3)当社および主要子会社※3から、直近の3事業年度のいずれかの事業年度において、役員報酬以外に年間1,000万円以上の金銭その他の財産上の利益を直接得ているコンサルタント、会計専門家、法律専門家などの専門的サービスを提供する個人
  • (4)当社の基準を超える寄付を受けた団体※4の業務執行者
    なお、以上の(1)から(4)のいずれかに該当する場合であっても、当該人物が実質的に独立性を有すると判断した場合には、独立役員の指定時にその理由を説明、開示します。
  • ※1 当社の基準を超える取引先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3の取引合計額が、当該事業年度における当社および主要子会社の年間営業収益合計額の2%以上の取引先をいう。
  • ※2 当社の基準を超える借入先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における連結ベースでの借入額が、当該事業年度における当社の連結総資産の2%以上の借入先とする。
  • ※3 主要子会社とは、株式会社NTTドコモ、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データをいう。
  • ※4 当社の基準を超える寄付を受けた団体とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3からの寄付の合計額が、年間1,000万円又は当該事業年度における当該組織の年間総収入の2%のいずれか大きい額を超える団体をいう。

7.取締役・監査役に対する研修

NTTグループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメントなど、さまざまな研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験などを積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所などにおける最新の研究開発成果への理解を深める機会を設けるなど、NTTグループ事業への理解をさらに深める取り組みも行っています。

8.政策保有株式

当社は、安定株主の形成を目的とした株式の保有をしておらず、また、今後も保有いたしません。

一方で、当社は、中長期的な企業価値の向上に向け、さまざまな業界のパートナーとのコラボレーションやオープンイノベーションの推進を事業の方針としております。こうした方針を踏まえ、当社は、投資戦略委員会などにおいて、当社の中長期的な業績への寄与、業務連携の進捗状況、業務連携に係る今後の検討課題、保有先の業績推移および今後の経営戦略など、総合的に勘案し、個別銘柄の保有適否に関して検証し、株式の保有・売却を行うこととしております。なお、NTTグループ各社が保有する政策保有株式についても、個別銘柄の保有適否に関する検証などを毎年実施し、売却などに取り組んでおります。

政策保有株式に関する議決権行使については、投資先企業の持続的な成長と、当社および投資先企業の企業価値向上の観点から、中長期的な企業価値向上に向けた取り組み内容を検証のうえ、株主として適切に議決権を行使します。

9.資本政策

配当については継続的な増配の実施を基本的な考えとし、自己株式の取得についても機動的に実施することで、資本効率の向上を図ります。

会社役員に関する事項

1. 取締役および監査役の状況

2.役員等賠償責任保険

当社は会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、これにより、被保険者が会社役員などの地位に基づいて行った行為(不作為を含む)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用などを補償することとしています。ただし、贈収賄などの犯罪行為や意図的に違法行為を行った役員自身の損害などは補償対象外とすることにより、役員などの職務の執行の適正性が損なわれないように措置を講じています。

当該保険契約の被保険者は、当社および当社子会社である東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、NTT株式会社の取締役、監査役、執行役員です。

3.取締役および監査役の報酬等に関する方針ならびにその総額

2021年5月12日開催の取締役会において、本株主総会にお諮りしている第2号議案および第3号議案をご承認いただくことを条件として新たな取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定に関する方針(以下「決定方針」という。)を決議いたしました。これは、当事業年度末における取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定に関する方針(以下「当事業年度末における決定方針」という。)を一部変更したものです。非金銭報酬に関して本株主総会にお諮りしている第2号議案および第3号議案をご承認いただいた場合の決定方針の概要は以下のとおりとなります。

当社の取締役の報酬の決定方針および構成・水準については、客観性・透明性を確保するために、独立社外取締役2名を含む4名の取締役で構成される人事・報酬委員会を設置し、同委員会の審議を経て取締役会にて決定することとします。また、報酬の割合、算定方法および個人別の報酬の額については、取締役会から同委員会に委任し、決定することとしております。

取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬については、月額報酬(基本報酬)と賞与(短期の業績連動報酬)、ならびに役員持株会を通じた自社株式取得および株式報酬(中長期の業績連動報酬)から構成することとしております。

月額報酬は、月例の固定報酬とし、役位ごとの役割の大きさや責任範囲に基づき、支給することとし、賞与は、当事業年度の業績を勘案し毎年6月に支給することとしております。

なお、賞与の業績指標については、中期経営戦略で掲げた目標を指標に設定し、評価することとしております。(「賞与の業績指標」をご参照ください)

さらに、中長期の業績を反映させる観点から、毎月、一定額以上を拠出し役員持株会を通じて自社株式を購入することとし、購入した株式は在任期間中、そのすべてを保有することとしております。

株式報酬は、当社が設定した信託を用いて、毎年6月に役位に応じたポイントを付与し、中期経営戦略の終了年度の翌年度6月に、業績指標の達成度に応じて業績連動係数を決定し、これに累積ポイント数を乗じて付与する株式数を算定することとしております。なお、株式の付与は退任時に行うこととしております。

報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定報酬:短期の業績連動報酬:中長期の業績連動報酬=50%:30%:20%」(改定前の報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定報酬:業績連動報酬=70%:30%」)とします。

社外取締役の報酬については、高い独立性の確保の観点から、業績との連動は行わず、月例の固定報酬のみを支給することとしております。

取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定に関する方針の概要は以上のとおりです。

監査役の報酬については、監査役の協議にて決定しており、社外取締役と同様の観点から、月額報酬のみを支給することとしております。

なお、当事業年度においては、人事・報酬委員会は澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊󠄀原定征(社外取締役)を構成メンバーとしております。

賞与の業績指標

中期経営戦略で掲げた財務目標などを業績指標として設定し、対前年改善度または計画達成度で評価しております。

当事業年度に係る取締役および監査役の報酬等の総額

新たな報酬方針については前項で記載のとおりでありますが、当事業年度についての取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定に関する方針の概要は以下のとおりです。

取締役(社外取締役を除く)の報酬については、月額報酬と賞与から構成しております。月額報酬は、役位ごとの役割の大きさや責任範囲に基づき、支給することとしております。賞与は業績指標の達成度合いなどを勘案して支給することとしております。なお、業績指標は当社の中期経営戦略で掲げた財務目標を選定しており、その理由は、取締役の報酬と当社の企業価値との連動性をより明確にし、中期経営戦略における財務目標達成に向けた意欲を高めるためであります。また、賞与の算定方法は、各財務目標の対前年改善度または計画達成度を各指標ごとに予め定めた方法により支給率に換算した上で、各指標のウェイトに基づき加重平均し、これに役位別の月額報酬に一定数を乗じた数を乗じることにより算定しております。
(上記の「賞与の業績指標」をご参照ください)

また、中長期の業績を反映させる観点から、月額報酬ならびに賞与の一定額以上を拠出し役員持株会を通じて自社株式を購入することとし、購入した株式は在任期間中、そのすべてを保有することとしております。なお、報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定報酬:業績連動報酬=70%:30%」となります。

社外取締役の報酬については、高い独立性の確保の観点から、業績との連動は行わず、月額報酬のみを支給することとしております。

なお、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬などの具体的な内容については、取締役会で決議した決定方針に基づき、人事・報酬委員会において決定することとしております。取締役会から人事・報酬委員会に委任された権限の内容は、報酬の割合、算定方法および個人別の報酬の額の決定であり、これらの権限を人事・報酬委員会に委任している理由は、当該委員会が代表取締役2名と社外取締役2名(澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊󠄀原定征(社外取締役))で構成されており、当社全体の業績を俯瞰しつつ、社外の目線も取り入れて適切な判断が可能であると考えているためです。

なお、取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定方針の決定方法および決定方針の内容の概要については、前記の当事業年度末の決定方針のとおりですが、取締役の個人別の報酬などの内容の決定にあたっては、人事・報酬委員会による決定方針との整合性を含めた多角的な検討が行われているため、取締役会もその判断を尊重し、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬などの内容が決定方針に沿うものであると判断しております。

監査役の報酬については、監査役の協議にて決定しており、社外取締役と同様の観点から、月額報酬のみを支給することとしております。

4.社外役員に関する事項

主な活動状況

連結計算書類