事業報告(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

NTTグループの現況に関する事項

(注) 2020年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行っており、EPSは当該株式分割調整後の数値を記載しております。

事業報告の記載内容について

●本事業報告において、「NTTドコモ」は株式会社NTTドコモ、「NTTコミュニケーションズ」はエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、「NTTコムウェア」はエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社、「NTT東日本」は東日本電信電話株式会社、「NTT西日本」は西日本電信電話株式会社、「NTT, Inc.」はNTT株式会社、「NTTデータ」は株式会社エヌ・ティ・ティ・データを示しています。

●当社の連結計算書類は、国際財務報告基準(以下「IFRS」)を適用しています。

●本事業報告に記載している金額については、表示単位未満の端数を四捨五入して表示しています。

●文中において  が付されている用語について、「用語解説」にて解説を掲載しています。

●本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明は、現在当社の経営陣が入手している情報に基づいて行った判断・評価・事実認識・方針の策定などに基づいてなされもしくは算定されています。また、過去に確定し正確に認識された事実以外に、将来の予想およびその記述を行うために不可欠となる一定の前提(仮定)を用いてなされもしくは算定したものです。将来の予測および将来の見通しに関する記述・言明に本質的に内在する不確定性・不確実性および今後の事業運営や内外の経済、証券市場その他の状況変化などによる変動可能性に照らし、現実の業績の数値、結果、パフォーマンスおよび成果は、本事業報告に含まれる予想数値および将来の見通しに関する記述・言明と異なる可能性があります。

1.事業の経過およびその成果

(1) 事業環境

当事業年度における情報通信市場では、クラウドサービスや5Gサービスの拡大に加え、IoT、ビッグデータ、AIなどの技術の急速な進展により、デジタル化への取り組みが加速することに伴い、サービスの利用を通じて蓄積されたデータを分析・活用(データマネジメント)することで、人々の生活における利便性向上や、ビジネスにおける新たなモデル創出や生産性向上など、より良い方向への変革を実現するデジタルトランスフォーメーションが世界的に進みつつあります。一方で、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対する情報セキュリティ強化、災害対策への取り組み強化や環境保護への貢献に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた社会生活の変容に対応した分散型ネットワーク社会への移行も求められています。

こうしたさまざまな社会的課題を解決するうえでも、情報通信の役割はますます重要になっています。

(2) 事業の状況

このような事業環境のなか、NTTグループは当事業年度に中期経営戦略を見直し、新たな経営スタイルへの変革、国内/グローバル事業の強化および企業価値の向上を通じたサステナブルな社会実現への貢献をめざす取り組みを推進しました。

新たな経営スタイルへの変革

業務変革やデジタルトランスフォーメーション、制度見直しや環境の整備、ワークインライフ(健康経営)の推進、オープン、グローバル、イノベーティブな業務運営の実現に取り組みました。

【業務変革・デジタルトランスフォーメーション

  • 当社、NTTコミュニケーションズ、NTTデータのスタッフおよび営業系組織は、誰もが、いつでも、あらゆる場所で働くことを可能とするゼロトラストシステムを導入しました。(NTTドコモ、NTT東日本およびNTT西日本は、2022年度導入予定)

【制度見直し・環境の整備】

  • 2021年10月、年次・年齢に関わらない適所適材配置を推進するために、ジョブ型人事制度の適用対象を全管理職へ拡大しました。

【ワークインライフ(健康経営)の推進、オープン、グローバル、イノベーティブな業務運営の実現】

国内/グローバル事業の強化

新生ドコモグループの成長・強化、IOWN開発・導入計画の推進、グローバル事業の競争力強化、B2B2Xモデル推進、新規事業の強化に取り組みました。

【新生ドコモグループの成長・強化】

  • 2021年10月、新ドコモグループ中期戦略を発表し、その後2022年1月に、NTTドコモはNTTコミュニケーションズおよびNTTコムウェアを子会社化しました。3社の機能を統合することにより、法人事業の拡大、ネットワークの競争力強化、サービス創出・開発力強化およびデジタルトランスフォーメーション推進を図ります。

【IOWN開発・導入計画の推進】

  • 2019年5月に発表したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の具現化に向けてさまざまな取り組みを進めました。(本取り組みの詳細は、招集通知28頁の(3)基盤的研究開発などの状況 をご覧ください。)

【グローバル事業の競争力強化】

  • 2022年3月、Macquarie Asset Managementと欧州および北米に保有するデータセンターに関する戦略的パートナーシップの締結に合意しました。投資効率の最大化およびデータセンター事業への更なる成長投資を拡大することにより、グローバル企業に対する高品質なサービスの提供をめざします。

B2B2Xモデル推進】

【新規事業の強化】

  • 2022年1月、名古屋市東区エリアにおけるデジタル基盤を活用したひと中心のオープンで協調的な街づくりが評価され、日本初となるスマートシティの運営に関する国際認証ISO37106を取得しました。本プロジェクトを通じて得た知見・ノウハウを全国の街づくりに活用することで、社会的課題の解決やSociety 5.0の実現に貢献します。
企業価値の向上

新たな環境エネルギービジョンに基づく環境負荷削減に向けた取り組み、災害対策、株主還元の充実を進めました。

【新たな環境エネルギービジョン】

  • 2021年9月、新たな環境エネルギービジョンとしてNTT Green Innovation toward 2040を策定しました。継続的な省エネの取り組みに加え、再生可能エネルギーの利用拡大、省電力化を可能にするIOWNの導入により、2040年度までにNTTグループ全体のカーボンニュートラルの実現をめざします。
  • 2022年3月、太陽光・風力・地熱などの再生可能エネルギーを積極的に活用した地球にやさしいプラン「ドコモでんき Green」の提供を開始しました。

    ※再生可能エネルギー指定の非化石証書なども含めて実質的に再生可能エネルギーを100%とします

【災害対策】

  • 巨大化・広域化・長期化する災害の増加を踏まえ、設備の強靭化や復旧対応の迅速化に向けた取り組みを進めました。

【株主還元の充実】

  • 継続的な増配および機動的な自己株式取得を実施し、資本効率の向上を図りました。

NTTグループサステナビリティ憲章の制定

2021年11月、これまでのCSR憲章を見直し、グローバル水準のNTTグループサステナビリティ憲章を制定しました。新たにSelf as We(“われわれ”としての“わたし”) という考えを基本理念に据え、①自然(地球)との共生、②文化(集団・社会~国)の共栄、③Well-beingの最大化という3つのテーマに関するさまざまな取り組みを進めることで、企業としての成長と社会課題の解決を同時実現し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

※“わたし”は“われわれ(人・モノ・テクノロジーを含めたあらゆる存在)”の中で多様な人・モノ・テクノロジーというつながりの中で支えられている、という考え方

(3) 基盤的研究開発などの状況

世界に変革をもたらす革新的な研究開発を進めており、IOWN構想の具現化に向けては、要素技術の研究開発およびさまざまな産業での活用事例創出に取り組みました。また、国内外のさまざまな分野の産業界の方々とともに、産業競争力の強化や社会的課題の解決をめざす取り組みを推進しました。

IOWN構想の具現化に向けた研究開発
  • IOWN構想のカギを握る光信号と電気信号を融合する光電融合技術の研究開発においては、革新的な技術の創出と、早期実用化の両立をめざし、5つの世代を設定したロードマップを策定し、取り組みを進めています。これまでに、光と電気の変換を行う光インターフェースの機能を小型化した通信用モジュール(COSA)を実用化してきましたが、今回新たに、従来は個別の部品であったCOSAとデジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)を一体化する光・電子コパッケージ(CoPKG)技術を開発しました。これにより、光インターフェースの更なる小型化や低消費電力化が可能となります。
  • APNの具現化に向けては、1波長あたり100Gbpsを超える大容量、低遅延性、遅延ゆらぎゼロの特徴を持つ光伝送パスを、ユーザ要望に応じて多地点間で動的に提供可能とする実証環境を構築しました。また、分散したコンピュータデバイスを光で接続するディスアグリゲーティッドコンピューティングにおいては、新たなコンピュータアーキテクチャ(メモリセントリックアーキテクチャ)を考案、試作開発しました。その効果を検証した結果、従来方式と比較して約2分の1程度の低消費電力化の見込みを得ました。
  • 街全体をリアルタイム・精緻に把握する4Dデジタル基盤®︎を用い、さまざまな未来予測とデジタルツイン間の連鎖により、街の全体最適化を行う街づくりDTC®︎を活用した取り組みの一つとして、短期間データからの快適性予測を可能とするフィードフォワード型のAI空調制御技術を確立し、省エネと快適環境の両立の有効性を実証しました。加えて、自分自身のデジタルツイン“Another Me“の実現に向けて、京都大学との共創によりSelf as We の自己観に基づいて自分自身とAnother Meも包含した”わたし“の哲学的な再定義を行い、発表しました。
  • 2020年1月に設立したIOWN Global Forumには、IOWNがめざす世界、およびそのイノベーションに賛同した世界の主要なICT企業が参加しており、そのメンバー数は93社にまで拡大しました(2022年3月時点)。2021年4月に第1回Annual Member Meetingを開催し、400名を超えるメンバーが参加しました。また、2021年10月には、ユースケースドキュメントとして、2文書を制定・公開、加えて、2022年1月には、技術ドキュメントとして、6文書を制定・公開しました。
IOWN構想の実現に向けた協業の推進
  • 富士通株式会社と持続可能な未来型デジタル社会の実現を目的とした戦略的業務提携に合意しました。この提携を通じて創出されるイノベーションにより、IOWN構想に賛同する幅広いパートナーとグローバルかつオープンに連携し、低エネルギーで高効率な新しいデジタル社会の実現をめざします。
  • 株式会社ACCESSとIOWN構想の実現を目的とした提携に合意しました。IOWN時代の新たなユーザインタフェースおよびユーザエクスペリエンスの研究開発を推進するとともに、株式会社ACCESSの100%子会社であるIP Infusionの体制を活用し、開発したソフトウェア製品をグローバル市場で販売していく体制の整備を進めます。
  • 株式会社スカパーJSATホールディングスと持続可能な社会の実現に向けた新たな宇宙事業のための業務提携に合意しました。成層圏を飛行する高高度プラットフォーム、宇宙空間の低軌道・静止軌道まで複数の軌道を統合、それらと地上を光無線通信ネットワークで結び、分散コンピューティングによってさまざまなデータ処理を高速化、また、地上のモバイル端末へのアクセス手段を提供、超カバレッジを実現する宇宙統合コンピューティング・ネットワークの構築に挑戦します。
環境問題の解決など安心安全な社会の実現に向けた研究開発
  • 高出力レーザの照射によってアスベスト(石綿)を繊維形状から球形状に変形できる技術を開発しました。本技術を用いることで、アスベストを無害な球形状へ変形するとともに、飛散する粉塵量を抑制できるため、アスベスト粉塵の吸引による作業者の健康リスクを大幅に低減することが可能となります。
  • 日本電気株式会社と共同で、情報通信インフラを構成する通信機器およびシステムの構成やリスクをサプライチェーン全体で共有し、セキュリティに関する透明性を確保することによりセキュリティリスクの抜本的な低減を図る、セキュリティトランスペアレンシー確保技術を開発しました。
最先端の研究開発の推進
  • IOWN構想の実現とその先を見据えた当社の研究開発の推進を目的に、各分野の著名な権威者である研究者で構成されたNTT R&Dオーソリティチームを結成するとともに、長期的視野に立った研究開発を一層強化するため、オーソリティチームの一員である若山正人 数学研究プリンシパルが統括する基礎数学研究センタを新設しました。
  • 大規模な冷凍・真空装置を要するなど、実用化に向け小型化が大きな課題となっていた量子コンピュータについて、東京大学、国立研究開発法人理化学研究所と共同で、ラックサイズの大規模光量子コンピュータ実現の基幹技術である光ファイバ結合型量子光源(スクィーズド光源)を開発しました。

以上の取り組みの結果、当事業年度のNTTグループの営業収益は12兆1,564億円(前年比1.8%増)となりました。また、営業費用は10兆3,879億円(前年比1.1%増)となりました。この結果、営業利益は1兆7,686億円(前年比5.8%増)、また、税引前利益は1兆7,955億円(前年比8.7%増)、当社に帰属する当期利益は1兆1,811億円(前年比28.9%増)となりました。

(4)セグメント別の状況

(注)NTTグループ横断でのリソース・アセットの戦略的活用と意思決定の迅速化を目的に、2020年12月のNTTドコモ完全子会社化や2022年1月のNTTドコモによるNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの子会社化をはじめとした会社組織の見直しを実施し、当連結会計年度より、NTTグループのセグメントを従来の移動通信事業、地域通信事業、長距離・国際通信事業、データ通信事業、その他の事業の5区分から、総合ICT事業、地域通信事業、グローバル・ソリューション事業、その他(不動産、エネルギー等)の4区分に変更しております。なお、招集通知32頁、34頁、35頁の2020年度の営業収益および営業利益については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値を記載しています。

総合ICT事業

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概況

総合ICT事業では、5Gサービスや「ドコモ光」などの販売を推進したほか、法人事業においては、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの3社統一の法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開するなど、すべての法人のお客さまをワンストップでサポートするための取り組みを進めました。また、スマートライフ領域においては、さまざまな事業者とのコラボレーションを推進し、新たな付加価値の提供に取り組みました。

主な取り組み内容

  • お客さまそれぞれのライフスタイルに合わせた料金サービスの更なる充実に向けて、低廉な料金をメインプランにしたいというお客さまのニーズにこたえるため、dアカウント®やdポイントなどを活用するエコノミーMVNOとの連携に合意し、全国のドコモショップでエコノミーMVNOの提供する料金サービスの取り扱いを開始しました。
  • 2021年12月、法人のお客さま向けに、スタンドアローン方式による5Gサービスの提供を開始しました。今後、さまざまな業種・業態のお客さまにご利用いただけるよう展開し、新たなサービスやソリューション創出による産業の発展に向けて取り組んでいきます。 ※5G専用のコアネットワーク設備である5GCと、5G基地局を用いる方式
  • 2021年10月、ワークスペースの検索・予約ができるサービス「droppin™」の提供を開始しました。ワークスペースを提供する複数事業者との契約や支払い、スペース予約を統合することで、支払い管理や予約方法のマニュアル作成などに係る企業の負担を軽減し、フレキシブルワークの一層の普及に貢献しています。
主なサービスの契約数

〇「携帯電話サービス」:8,475万契約(対前年:+212万契約)

〇「ドコモ光」:726万契約(対前年:+22万契約)

地域通信事業

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概況

地域通信事業では、光アクセスサービスなどをさまざまな事業者に卸提供する「光コラボレーションモデル」や、地域社会・経済の活性化に向けたソリューションビジネスの強化を図りました。

主な取り組み内容

  • 2021年10月、大日本印刷株式会社と共同出資で高等教育の高度化に取り組む株式会社NTT EDXを設立しました。電子教科書・教材事業を軸に、高等教育の課題解決に向けた各種サービスを提供するとともに、出版社・書店の業務の電子化・効率化を支援する取り組みを行います。
  • 2021年11月に東北電力株式会社、東北電力ネットワーク株式会社とインフラ事業の業務効率化および地域課題解決の取り組みに関する連携協定、2021年12月にほくでんグループと地域の発展に向けた連携協定を締結し、各社が担うインフラ事業の業務効率化や、災害対応力の向上、地域の課題解決に連携して取り組むことに合意しました。
  • 2022年1月、中小企業や自治体のデジタルトランスフォーメーションを支援する株式会社NTT DXパートナーを設立しました。これまで培ってきたICT活用のノウハウ、地域社会との深いつながり、豊富なアセットなどを活かし、デジタルトランスフォーメーションのコンサルティングからデジタルプラットフォームの構築・運用までお客さまと共創・伴走しながらワンストップで提供することにより、地域課題や社会課題の解決を推進します。
主なサービスの契約数

〇「フレッツ光」:2,327万契約(対前年:+70万契約)

〇(再掲)「コラボ光」:1,629万契約(対前年:+105万契約)

グローバル・ソリューション事業

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概況

グローバル・ソリューション事業では、データセンタービジネスやマネージドサービスといった成長分野でのサービス提供力の強化を図ったほか、市場の変化に対応したデジタル化の提案、システムインテグレーションなどの多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。

主な取り組み内容

  • 2021年5月、カナダ エドモントン国際空港とスマート交通プロジェクトの開発を共同で実施することに合意しました。NTTグループのスマートシティ技術を活用し、空港および周辺施設で運行するシャトルバスに対し、利用者需要に応じた最適ルートで送迎する、オンデマンドバスサービスを導入します。
  • 2021年7月、イスラエルの最先端技術をNTTグループに取り込み、新たなビジネスを創出することを目的として、イスラエルに現地法人を設立しました。これにより、イスラエル企業とNTTグループのシナジーによる新ビジネス創出へ向けたエコシステムを構築します。具体的にはスタートアップ、ベンチャーキャピタル、在イスラエルグローバル企業などとの関係を強化し、新たなビジネスを展開します。
  • 2021年11月、働く場所や端末を選ばない、柔軟な働き方に合わせた業務環境を提供する「ゼロトラストセキュリティサービス」の提供を開始しました。NTTデータグループの従業員が利用するゼロトラスト環境を導入・運用したノウハウを活用し、ゼロトラストセキュリティのコンサルティングから構築・運用までを一気通貫でサポートするサービスをグローバルで展開します。

その他(不動産、エネルギー等)

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概況

不動産事業、エネルギー事業などに係るサービスを提供しました。

主な取り組み内容

【不動産事業】
  • NTTグループの不動産事業を一元的に担うNTTアーバンソリューションズ株式会社を中心に、オフィス・商業事業や住宅事業、グローバル事業を推進しました。2022年1月、名古屋において地域活性化およびSDGsの達成や脱炭素化などに貢献する次世代型先進オフィスを竣工させるなど、地域社会の街づくりに貢献しました。
【エネルギー事業】
  • スマートエネルギー事業を推進するNTTアノードエナジー株式会社を中心に、再生可能エネルギー発電所の開発、NTTグループが保有するアセットの活用拡大、脱炭素ソリューションの展開など、NTTグループの新たな環境エネルギービジョン(NTT Green Innovation toward 2040)の実現に向けた取り組みを推進し、 NTTグループおよび社会のカーボンニュートラル、エネルギーの地産地消、レジリエンス強化の実現に取り組みました。

2.対処すべき課題

(1)今後の環境変化

新型コロナウイルス感染症拡大などにより、世界の分断が加速しており、リモート・分散型社会が拡大しています。これらにより、デジタル化やデジタルトランスフォーメーションが進展する一方で、監視社会などのデジタル化の負の側面が課題となっています。また、経済安全保障の重要性の増大や世界規模での自然災害の巨大化など、環境が大きく変化しています。

(2)NTTグループ中期経営戦略に基づく事業展開

このような環境変化に対応するために、2018年11月に発表したNTTグループ中期経営戦略を見直し、2021年10月にNTTグループの変革の方向性を新たに定めました。社会・経済の方向性に合わせ、分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイル、国内/グローバル事業の強化、ESGへの取組みによる企業価値の向上という3つの変革を通じて、サステナブルな社会実現への貢献をめざします。

新たな経営スタイルへの変革

業務変革やデジタルトランスフォーメーション、制度見直しや環境の整備を進めていくことにより、リモートワークを推進し、ワークインライフ(健康経営)の推進や、オープン、グローバル、イノベーティブな業務運営を実現していきます。コンダクトリスクなどを考慮したガバナンスの充実については、ステークホルダーとの適切な関係構築、サービスなどライフサイクルの的確な管理、危機管理能力の向上などの対策を実行していきます。

また、自らの変革を進めることで、お客さまのデジタルトランスフォーメーション支援、地域創生の促進、レジリエンスの向上、分散型社会への貢献などにつなげていきます。

国内/グローバル事業の強化

新生ドコモグループの成長・強化、IOWN開発・導入計画の推進、グローバル事業の競争力強化、B2B2Xモデル推進、新規事業の強化に取り組んでいきます。

当社は、2020年12月にNTTドコモの競争力強化・成長ならびにNTTグループ全体の成長に向けNTTドコモを完全子会社化しました。NTTドコモは2022年1月に子会社化したNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアの機能統合を進め、新ドコモグループ中期戦略として掲げる7つの取り組み(法人事業の拡大、スマートライフ事業の拡大、通信事業の強化、国際事業の強化、ITの強化、R&Dの強化、ESGの推進)を通じて、更なる成長に挑戦していきます。

また、2022年5月、NTTグループにおけるグローバル事業の強化に向けた再編を公表しました。NTTデータとNTT Ltd.で行ってきたビジネスユーザ向け海外事業をNTTデータ傘下に集約し、両社がより一体となって事業運営を行います。また、NTTデータの持つコンサルティング、アプリケーション開発などのケイパビリティと、NTT Ltd.が得意とするデータセンター、ネットワーク、マネージドサービスなどの高付加価値サービスを組み合わせ、お客さまにトータルで新たな価値を提供するとともに、長期的には当社のIOWN技術を活用した革新的なサービスをグローバルで展開していきます。さらに、NTTグループの海外事業に関する人材を結集することで、海外各地域における事業特性やお客さま特性などに合わせた迅速な意思決定を実現し、グローバルガバナンスを強化していきます。

企業価値の向上

新たな環境エネルギービジョンに基づく環境負荷削減に向けた取り組み、災害対策、株主還元の充実を進めます。

新たな環境エネルギービジョンとしてNTT Green Innovation toward 2040を掲げ、事業活動による環境負荷の削減と限界打破のイノベーション創出を通じて、環境負荷ゼロと経済成長といった背反する目的の同時実現をめざします。2030年度にはNTTグループ全体で温室効果ガス排出量を2013年度比80%削減し、モバイル(NTTドコモ)、データセンターは先駆けてカーボンニュートラルを実現します。2040年度にはNTTグループ全体でカーボンニュートラルを実現します(対象はScope1+2)。

(3)中期財務目標

中期経営戦略の見直し(2021年10月公表)にあわせ、財務目標についても見直しを行いました。

メインの財務指標であるEPSは従来目標の2023年度320円から+50円の上方修正となる2023年度370円をめざします。新生ドコモグループのシナジー効果(2023年度に1,000億円の増益)やデジタルトランスフォーメーションの更なる推進を通じたコスト削減(2023年度に2,000億円以上)などにより、利益成長を中心にEPS目標の達成に取り組んでいきます。コスト削減目標は2017年度からの累計削減額を従来の2023年度8,000億円以上から1兆円以上としました。

このほか、2023年度の財務目標である海外営業利益率7%やROIC8%は、引き続き従来設定した目標の達成をめざしさまざまな取り組みを進めていきます。

3.設備投資の状況

NTTグループは、5Gや「フレッツ光コラボ光含む)」などの各種サービス需要への対応を中心に、1兆6,876億円(前年比2.4%減)の設備投資を行いました。

4.資金調達の状況

NTTグループは、NTTドコモの完全子会社化に伴うブリッジローンの借換や設備投資などのため、長期借入金やグリーンボンドなどの社債発行により、1兆7,750億円の長期資金調達を実施しました。

なお、当社においては、NTTドコモの完全子会社化に伴うブリッジローンの借換やNTT東日本・NTT西日本への貸付などに係る資金として、NTTファイナンスからの長期借入金にて1兆3,880億円を調達しました。

5.主要な借入先および借入額

6.重要な子会社の状況

(注)
  • 1. 出資比率は各社の保有する自己株式を控除して計算しています。また、括弧内は当社の子会社による出資比率です。
  • 2. 当事業年度において、NTT DATA Europe & Latamは、EVERIS PARTICIPACIONESから商号を変更しました。
  • 3. 当事業年度末日における特定完全子会社の状況は、次のとおりです。

株式に関する事項

当社は、2022年4月4日より、東京証券取引所市場第一部から新市場区分であるプライム市場へ移行しております。

1.発行可能株式総数

6,192,920,900株

2.発行済株式の総数

3,622,012,656株

3.当事業年度末の株主数

888,337名

4.大株主

(注)
  • 1. 持株数は、千株未満を切り捨てて表示しています。
  • 2. 当社は自己株式79,490,430株を保有していますが、上記大株主からは除外しています。
  • 3. 持株比率は自己株式を控除して計算しています。なお、自己株式には役員報酬BIP信託が保有する当社株式1,089,760株は含めておりません。

コーポレート・ガバナンスに関する事項

1.基本方針

当社は、株主や投資家の皆さまをはじめ、お客さまやお取引先、従業員などさまざまなステークホルダーの期待に応えつつ、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう東京証券取引所の定める「コーポレートガバナンス・コード」の各原則の趣旨を踏まえ、体制強化していくことが重要であると考えており、経営の健全性の確保、適正な意思決定と事業遂行の実現、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、コンプライアンスの徹底を基本方針として取り組んでおります。

コーポレート・ガバナンス体制

2022年3月31日時点
※2022年6月24日付で“内部統制室”の組織名を“内部監査部門”に変更予定

2.コーポレート・ガバナンス体制の概要

当社は、独立社外監査役を含めた監査役による監査体制が経営監視機能として有効であると判断し、監査役会設置会社形態を採用しております。

また、当社は、独立社外取締役を選任することにより、業務執行を適切に監督する機能を強化しております。

3.取締役会

取締役会は、独立社外取締役4名を含む取締役8名で構成され、社外取締役比率は50%となっております。また、執行役員制度を導入し、経営に関する決定・監督の機能と業務執行の機能を明確に分離することで、執行に対する監視機能と経営の機動力を担保しております。取締役会は、原則として毎月1回の定例取締役会を開催し、必要のある都度臨時取締役会を開催することで、グループ経営戦略に関する議論に加え、法令で定められた事項、および会社経営・グループ経営に関する重要事項を決定するとともに、取締役および執行役員から定期的に職務執行状況の報告を受けることなどにより、取締役および執行役員の職務執行を監督しております。

独立社外取締役については、それぞれ豊富な経験を有し、人格、見識ともに優れていることから、業務執行の監督機能強化への貢献および幅広い経営的視点からの助言を期待するものです。

なお、当社は、取締役会による役員等の指名・報酬の決定等における独立性、客観性および説明責任の更なる強化を目的に、取締役会の事前審議等機関として5名の取締役で構成(過半数である3名が独立社外取締役)される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。

加えて、サステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、サステナビリティ委員会を取締役会直下の機関として任意に設置し、重要な課題・指標の決定については、取締役会で決議することで、その取り組みの更なる推進を図っております。

取締役会の実効性評価

純粋持株会社である当社の取締役会は、グループ全体の中長期的な事業戦略に基づいたグループ各社の具体的な事業運営について、モニタリングする役割を担っています。

当社の取締役会は、執行役員などで構成する執行役員会議や、社長・副社長を委員長とし、関係する執行役員などが参加する各種の委員会の審議を経て、グループ経営に係る重要事項などを決定するとともに、各取締役および各執行役員の職務執行の状況をモニタリングしています。

取締役会においては、各取締役の所掌に基づき、現状のグループ経営などにおける課題とその解決に向けた取り組みや、出資や提携などの事業拡大に向けた取り組みについて報告・審議されております。当事業年度は、今後の事業環境の変化を展望して見直した、中期経営戦略「Your Value Partner 2025」に基づき、サステナビリティの推進などの会社経営・グループ経営に関する重要事項、ガバナンスの更なる強化に向けた方針の策定などを中心に、活発な議論がなされました。特に、当事業年度は、サステナビリティに対する関心の高まりや、リモート・分散型社会の進展といった社会情勢をとらえた中期経営戦略の見直しに加え、NTTドコモの完全子会社化をはじめとするグループ運営体制の見直しを実施したこともあり、経営戦略に関する議案の割合が増加しております。また、独立社外取締役に対して、取締役会付議案件の事前説明に加え、代表取締役から当面の課題や検討状況を説明し、執行の注力内容と取り組み趣旨の明確化に努めることで、取締役会の監督機能が充分に発揮できるような環境を整えております。

さらには、独立社外取締役に当社の事業をより深く理解してもらえるように、独立社外取締役と代表取締役で当社の経営戦略について意見交換を実施するとともに、当社が力を入れている研究開発に関する展示会において、最先端の研究成果などについて説明しました。他にも、独立社外取締役と当社監査役、主要なグループ会社の独立社外取締役などとの間で、NTTグループの経営課題について意見交換を行いました。

これらの意見交換会において、独立社外取締役および監査役から、当社の取締役会などに関し、十分な情報提供と活発な議論が行われており、実効性が確保できていると評価されています。

また、取締役会の継続的な実効性向上を通じた経営ガバナンスの強化を目的に、毎年1回、取締役会の実効性評価を実施しています。当事業年度においても第三者機関を起用し、全取締役・監査役を対象とした取締役会に関するアンケート調査を行い、取締役会としての実効性評価を実施しました。取締役会の役割と責務、構成、運営、満足度といった観点での質問を行い、第三者機関にて取りまとめた結果、すべての設問において肯定的意見が多数を占めており、取締役会に期待される重要な役割・責務が十分に果たされていることを確認しました。

また、戦略的議論の活性化に向けて実施した意見交換会の開催など、ガバナンス関連の強化やサステナビリティ等重要課題の議論の充実などにより、すべての役員から肯定的な意見を得ており、当社としては、取締役会の実効性は確保されていると評価しております。

一方、複雑化する案件の理解を深めるための取り組みについて、一定の評価を得ているものの改善の余地があるとの意見もあり、事前説明における審議案件の背景に関わる補足説明などの充実、主要な子会社の経営陣との意見交換機会の更なる拡充など、実効性のより高い取締役会の運営をめざし、引き続き改善に取り組みます。

4.監査役会

監査役会は、社内監査役2名と独立社外監査役3名(各1名ずつ女性2名を含む)の合計5名で構成されております。当事業年度は監査計画に基づき、グローバル事業の競争力強化や新ドコモグループの機能統合に向けた取り組みなど、引き続き経営が大きく変化するなか、法令に基づく監査に加え、中期経営戦略の進捗状況やコーポレート・ガバナンスの維持・向上に向けた取り組み状況などについて、内部統制室・会計監査人・グループ会社監査役などとの連携による効率的・効果的な監査に努めました。また、代表取締役および独立社外取締役などとの意見交換、海外子会社を含むグループ会社の代表取締役および監査役などとテーマに応じた意見交換を実施することで、取締役および執行役員の職務の執行状況の実情を把握するとともに必要に応じて提言を行っております。当事業年度は、代表取締役および独立社外取締役などとの意見交換を43回、グループ会社の代表取締役および監査役などとの意見交換を53回実施しました。

独立社外監査役を含む当社の監査役は、取締役会など重要な会議に出席するほか、取締役および執行役員の職務の執行状況に関し、適宜監査を行っております。また、内部統制室・会計監査人・グループ会社監査役などと、定期的、および必要に応じて適時に情報交換を行うなど連携を強化し監査を行っております。さらに、グループ監査体制の高度化に向け、主要グループ会社の監査役との間で、重要性、およびリスク・アプローチに基づきリスク認識の統一を図り、主要グループ会社の監査役を通じた監査、往査を実施しました。

また、当事業年度の監査活動を振り返り、次年度の監査計画への反映、および監査品質の向上などを目的に、2018年度以降継続して監査役会の実効性を評価しております。当事業年度の実効性の評価に際しては、各監査役に対するアンケートに加え、独立社外監査役3名に対するインタビューを実施しました。なお、匿名性を確保するとともに客観的な視点を確保するため、アンケートやインタビューの実施、集計結果の分析にあたり、第三者機関を活用いたしました。また、NTTグループのグローバル化が進展するなか、監査役会としてもグローバルな視点を監査に取り入れる観点から、当事業年度においては、従来の経年変化を問う評価項目に加え、米国・英国企業の監査委員会に関するプラクティスを参考にしつつ分析評価のプロセスを深掘りし、アンケート項目や分析の参考とするアプローチを実施しました。当事業年度の主な評価項目は、監査計画、経営幹部への提言・業務執行監査、グループ監査体制、不正対応、三様監査(監査役による監査、会計監査人による監査、内部監査部門による内部監査)連携、監査役会の運営などです。これらを踏まえ、監査役会で議論・検証した結果、監査役会の実効性は確保されていると評価しました。

引き続き、NTTグループの事業展開や国内外の組織再編などを踏まえ、内部統制室およびグループ会社監査役などとの連携を強化するとともに、グループ監査体制の高度化に向けて取り組みます。また、社会的要請への責任の高まりや非財務情報の開示の充実などの状況を踏まえ、取締役および執行役員の取り組み状況を一層注視し、積極的に提言を行います。経営幹部に対する監査に際しては独立社外取締役との連携を一層強化するなど、今後も監査役会の実効性の一層の向上に努めます。

5.指名委員会、報酬委員会

取締役会による役員等の指名・報酬の決定等における独立性、客観性および説明責任の更なる強化を目的に、取締役会の事前審議等機関として5名の取締役で構成(過半数である3名が独立社外取締役)される指名委員会、報酬委員会を任意に設置し、ガバナンスの有効性を高めております。当事業年度においては、2021年8月6日より独立社外取締役を1名増員し委員会構成の独立性を高めたほか、2021年11月10日より従来の人事・報酬委員会をその機能に応じて、指名委員会と報酬委員会に分離・移行し、各委員会の権限・役割を一層明確にすることとしました。両委員会を構成する委員は、澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊原定征(社外取締役)および坂村健(社外取締役)とし、議事運営を統括する委員長は澤田純(代表取締役社長)としております。両委員会の決議にあたっては、構成メンバーである委員の過半数が出席し、出席委員の過半数をもって行うこととしております。

2021年度は人事・報酬委員会を6回、指名委員会を2回、報酬委員会を1回開催したほか、委員会メンバーによる意見交換会を開催し、役員報酬体系の在り方、役員等の選任、後継者計画、改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた対応などについて活発な議論を実施しております。

6.役員の選任

当社の取締役会の構成は、NTTグループ人事方針における経営陣の選任の方針に基づき、NTTグループの課題解決に資するスキルを有する人材をグループ内外から幅広く選任していきます。なお、社外役員については、幅広い経営視点・専門家としての意見を期待するとともに、社内外の取締役については、ダイバーシティの推進も踏まえて選任することとしております。

なお、当社においては、法令の定め(日本電信電話株式会社等に関する法律 第10条第1項)により、外国人を取締役または監査役とすることはできません。

NTTグループ人事方針
【基本的な考え方】

NTTグループは、信頼され選ばれ続ける「Your Value Partner」として、お客さまに対してワールドワイドに新たな価値を創造することを通じて、社会的課題の解決と安心・安全で豊かな社会の実現に寄与していきます。その価値観を共有できる人材をNTTグループ全体のトップマネジメント層にグループ内外から幅広く選任していくこととします。

【取締役候補の選任】

取締役候補は、NTTグループ全体の企業価値の向上のために、グループトータルの発展に寄与する幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力とリーダーシップに優れ、経営センスと意欲のある人材を選任します。取締役会は、事業内容に応じた規模とし、専門分野などのバランスおよび多様性を考慮した構成とします。

なお、業務執行の監督機能を強化する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を独立社外取締役とし、原則、複数名選任します。

【監査役候補の選任】

監査役候補は、専門的な経験、見識などからの視点に基づく監査が期待できる人材を選任することとします。

なお、取締役の業務執行を公正に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を社外監査役とし、会社法に則り監査役の半数以上を選任します。

なお、取締役候補の選任にあたっては、独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会の審議を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。また、監査役候補の選任にあたっては、監査役候補の選任方針に基づき取締役が提案する監査役候補について、社外監査役が半数以上を占める監査役会における審議・同意を経て取締役会で決議し、株主総会に付議することとしています。

後継者計画

最高経営責任者等の後継者候補については、技術革新、市場動向、経営環境の変化のスピードに対応できる後継者候補の確保が重要と捉え、幅広い職務経験、重要ポストへの配置などを通じ、候補者の多様性を担保し、人格、見識ともに優れ時世に合った人材を登用していけるよう育成を行っております。選任にあたっては、取締役会の事前審議等機関として独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される指名委員会の審議を経て、取締役会で決定しております。

なお、将来の経営幹部候補については、年齢・性別・専門分野を問わずさまざまな人材を選抜し、経営幹部候補育成プログラムとしてスタートした”NTT University”における育成を通じて、変革をリードしていく意欲あふれる多様な人材を対象としてまいります。

社外役員の独立性

当社は、職務執行の監督機能を強化する観点、あるいは取締役の職務執行を適切に監査する観点から、一般株主と利益相反を生じるおそれのない人材を、社外取締役ないし社外監査役とする方針としております。さらに、東京証券取引所の定める独立性基準に加え、以下の要件を満たす社外取締役ないし社外監査役を、独立役員(独立社外取締役ないし独立社外監査役)に指定しております。

独立性判断基準

直近の3事業年度において以下に該当する者ではないこと。

  • (1)当社の基準を超える取引先※1の業務執行者
  • (2)当社の基準を超える借入先※2の業務執行者
  • (3)当社および主要子会社※3から、直近の3事業年度のいずれかの事業年度において、役員報酬以外に年間1,000万円以上の金銭その他の財産上の利益を直接得ているコンサルタント、会計専門家、法律専門家などの専門的サービスを提供する個人
  • (4)当社の基準を超える寄付を受けた団体※4の業務執行者
    なお、以上の(1)から(4)のいずれかに該当する場合であっても、当該人物が実質的に独立性を有すると判断した場合には、独立役員の指定時にその理由を説明、開示します。
  • ※1 当社の基準を超える取引先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3の取引合計額が、当該事業年度における当社および主要子会社の年間営業収益合計額の2%以上の取引先をいう。
  • ※2 当社の基準を超える借入先とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における連結ベースでの借入額が、当該事業年度における当社の連結総資産の2%以上の借入先とする。
  • ※3 主要子会社とは、NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTデータをいう。
  • ※4 当社の基準を超える寄付を受けた団体とは、直近の3事業年度のいずれかの事業年度における当社および主要子会社※3からの寄付の合計額が、年間1,000万円又は当該事業年度における当該組織の年間総収入の2%のいずれか大きい額を超える団体をいう。

7.取締役・監査役に対する研修

NTTグループ会社役員に対しては、グローバルにわたる経済・社会問題、コンプライアンス、リスクマネジメントなど、さまざまな研修の機会を設けるとともに、新たな職務経験などを積ませることで、激変する経営環境に対応できるトップマネジメントに相応しい候補者の育成に努めています。また、独立社外役員に対しては、グループ会社の事業動向や当社研究所などにおける最新の研究開発成果への理解を深める機会を設けるなど、NTTグループ事業への理解をさらに深める取り組みも行っています。

8.政策保有株式

当社は、安定株主の形成を目的とした株式の保有をしておらず、また、今後も保有いたしません。

一方で、当社は、中長期的な企業価値の向上に向け、さまざまな業界のパートナーとのコラボレーションやオープンイノベーションの推進を事業の方針としております。こうした方針を踏まえ、当社は、投資戦略委員会などにおいて、当社の中長期的な業績への寄与、業務連携の進捗状況、業務連携に係る今後の検討課題、保有先の業績推移および今後の経営戦略など、総合的に勘案し、個別銘柄の保有適否に関して検証し、株式の保有・売却を行うこととしております。また、NTTグループ各社が保有する政策保有株式についても、個別銘柄の保有適否に関する検証などを毎年実施し、売却などに取り組んでおります。

政策保有株式に関する議決権行使については、投資先企業の持続的な成長と、当社および投資先企業の企業価値向上の観点から、中長期的な企業価値向上に向けた取り組み内容を検証のうえ、株主として適切に議決権を行使します。

なお、2022年3月末現在における貸借対照表計上額の合計および資本合計に対する比率は以下のとおりです。

9.資本政策

配当については継続的な増配の実施を基本的な考えとし、自己株式の取得についても機動的に実施することで、資本効率の向上を図ります。

会社役員に関する事項

1. 取締役および監査役の状況

2.役員等賠償責任保険

当社は会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しており、これにより、被保険者が会社役員などの地位に基づいて行った行為(不作為を含む)に起因して損害賠償請求がなされたことにより、被保険者が被る損害賠償金や争訟費用などを補償することとしています。ただし、被保険者自身が贈収賄などの犯罪行為や意図的に違法行為を行ったことに起因して被保険者が被る損害などについては補償対象外とすることにより、役員などの職務の執行の適正性が損なわれないように措置を講じています。

当該保険契約の被保険者は、当社および当社子会社であるNTT東日本、NTT西日本、NTT, Inc.の取締役、監査役、執行役員です。

3.取締役および監査役の報酬等に関する方針ならびにその総額

2021年5月12日開催の取締役会において、新たな取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針(以下「決定方針」という。)を決議しております(2021年11月10日開催の取締役会において、一部改訂を決議)。決定方針の概要は以下のとおりです。

当社の取締役の報酬の決定方針および構成・水準については、客観性・透明性を確保するために、独立社外取締役3名を含む5名の取締役で構成される報酬委員会を設置し、同委員会の審議を経て取締役会にて決定することとします。また、報酬の割合、算定方法および個人別の報酬の額については、取締役会から同委員会に委任し、決定することとしております。これらの権限を報酬委員会に委任している理由は、当該委員会が代表取締役2名と社外取締役3名で構成されており、当社全体の業績を俯瞰しつつ、社外の目線も取り入れて適切な判断が可能であると考えているためです。

取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬については、月額報酬(基本報酬)と賞与(短期の業績連動報酬)、ならびに役員持株会を通じた自社株式取得および株式報酬(中長期の業績連動報酬)から構成することとしております。

月額報酬は、月例の固定報酬とし、役位ごとの役割の大きさや責任範囲に基づき、支給することとし、賞与は、当事業年度の業績を勘案し毎年6月に支給することとしております。賞与の業績指標については、当社の中期経営戦略で掲げた財務目標を選定しており、その理由は、取締役の報酬と当社の企業価値との連動性をより明確にし、中期経営戦略における財務目標達成に向けた意欲を高めるためであります。また、賞与の算定方法は、各財務目標の対前年改善度または計画達成度を各指標ごとに予め定めた方法により支給率に換算した上で、各指標のウェイトに基づき加重平均し、これに役位別の賞与基準額を乗じることにより算定しております。(「賞与の業績指標」をご参照ください)

さらに、中長期の業績を反映させる観点から、毎月、一定額以上を拠出し役員持株会を通じて自社株式を購入することとし、購入した株式は在任期間中、そのすべてを保有することとしております。

株式報酬は、当社が設定した信託を用いて、毎年6月に役位に応じたポイントを付与し、中期経営戦略の終了年度の翌年度6月に、業績指標の達成度に応じて業績連動係数を決定し、これに累積ポイント数を乗じて付与する株式数を算定することとしております。また、株式の付与は退任時に行うこととしております。

なお、株式報酬の業績指標としてはEPSを選定しており、その理由は中期経営戦略においてメインの財務目標としているためです。

報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定報酬:短期の業績連動報酬:中長期の業績連動報酬=50%:30%:20%」とします。

社外取締役の報酬については、高い独立性の確保の観点から、業績との連動は行わず、月例の固定報酬のみを支給することとしております。

取締役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針の概要は以上のとおりですが、取締役の個人別の報酬等の内容の決定にあたっては、報酬委員会による決定方針との整合性を含めた多角的な検討が行われているため、取締役会もその判断を尊重し、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると判断しております。

監査役の報酬については、監査役の協議にて決定しており、社外取締役と同様の観点から、月額報酬のみを支給することとしております。

また、当事業年度においては、報酬委員会は澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊原定征(社外取締役)、坂村健(社外取締役)を構成メンバーとしております。

賞与の業績指標

中期経営戦略で掲げた財務目標などを業績指標として設定し、対前年改善度または計画達成度で評価しております。

※ 上記以外にB2B2Xプロジェクト数の計画達成度合いを評価しております。

なお、2022年度以降の賞与の業績指標については、2021年11月10日に新たにNTTグループサステナビリティ憲章を制定したことを踏まえ、持続可能な社会における3つのテーマを具現化することを目的として、新たに3つのサステナビリティ指標を加えるなどの変更を行う予定です。

当事業年度に係る報酬等の総額等
(注)
  • 1. 取締役の報酬額については、2006年6月28日開催の第21回定時株主総会において、年額7億5,000万円以内と決議いただいておりましたが、2021年6月24日開催の第36回定時株主総会において、①金銭報酬の額:年額6億円以内、②役員持株会を通じた当社株式の取得の資金として取締役に支給する額:年額5千万円以内、③業績連動型株式報酬制度に拠出する金員:年額1億円以内の3種類の構成へ変更する旨、決議いただいております。なお、当該株主総会終結時において取締役8名であります。
  • 2. 上記のうち取締役の月額報酬の額については、役員持株会を通じた当社株式の取得の資金として支給した18百万円を含みます。
  • 3. 監査役の報酬額については、2006年6月28日開催の第21回定時株主総会において、年額2億円以内と決議頂いております。なお、当該株主総会終結時において監査役5名であります。
  • 4. 上記のうち株式報酬の額については、当事業年度中に係るポイント付与分として費用計上した額です。

当事業年度末日における決定方針については上記に記載のとおりでありますが、取締役会において当該方針を決議した2021年5月12日以前の決定方針の概要は以下のとおりです。

取締役(社外取締役を除く)の報酬については、月額報酬と賞与から構成しております。月額報酬は、役位ごとの役割の大きさや責任範囲に基づき、支給することとしております。賞与は業績指標の達成度合いなどを勘案して支給することとしております。業績指標は当社の中期経営戦略で掲げた財務目標を選定しており、その理由は、取締役の報酬と当社の企業価値との連動性をより明確にし、中期経営戦略における財務目標達成に向けた意欲を高めるためであります。また、賞与の算定方法は、各財務目標の対前年改善度または計画達成度を各指標ごとに予め定めた方法により支給率に換算した上で、各指標のウェイトに基づき加重平均し、これに役位別の月額報酬に一定数を乗じた数を乗じることにより算定しております。
(「賞与の業績指標」をご参照ください)

さらに、中長期の業績を反映させる観点から、月額報酬ならびに賞与の一定額以上を拠出し役員持株会を通じて自社株式を購入することとし、購入した株式は在任期間中、そのすべてを保有することとしております。なお、報酬構成割合は、標準的な業績の場合、おおよそ「固定報酬:業績連動報酬=70%:30%」となります。

社外取締役の報酬については、高い独立性の確保の観点から、業績との連動は行わず、月額報酬のみを支給することとしております。

なお、取締役の個人別の報酬などの具体的な内容については、取締役会で決議した決定方針に基づき、人事・報酬委員会において決定することとしております。取締役会から人事・報酬委員会に委任された権限の内容は、報酬の割合、算定方法および個人別の報酬の額の決定であり、これらの権限を人事・報酬委員会に委任している理由は、当該委員会が代表取締役2名と社外取締役2名(澤田純(代表取締役社長)、島田明(代表取締役副社長)、白井克彦(社外取締役)、榊原定征(社外取締役))で構成されており、当社全体の業績を俯瞰しつつ、社外の目線も取り入れて適切な判断が可能であると考えているためです。

2021年5月12日以前における取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定に関する方針の概要は以上のとおりですが、同年4月1日から6月30日までの期間に対応する取締役の個人別の報酬などの内容の決定にあたっては、人事・報酬委員会(当時)による決定方針との整合性を含めた多角的な検討が行われているため、取締役会もその判断を尊重し、当該期間に係る取締役の個人別の報酬などの内容が決定方針に沿うものであると判断しております。

監査役の報酬については、監査役の協議にて決定しており、社外取締役と同様の観点から、月額報酬のみを支給することとしております。

4.社外役員に関する事項

主な活動状況

連結計算書類