事業報告(2020年4月1日から2021年3月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

(ご参考)業績ハイライト

端末販売収入が減少したものの、モバイル通信料収入(ローミング収入等含む)やソリューション収入の増加等により、増収となりました。

売上高の増加等により、増益となりました。

営業利益の増加等により、増益となりました。

全般の状況

業界動向と当社の状況

近年、5G/IoT、AI・ビッグデータなどの技術の進展により本格的なデジタル化が進み、データにさらなる価値を見出す「データ駆動型社会」へと変容しています。これらの技術の浸透により、あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメーション(以下 DX)の動きが加速するとともに、経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0(※1)for SDGs(※2)」の実現に期待が持たれています。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、生活や産業のあらゆる場面に「ニューノーマル(新常態)」が浸透し、感染症拡大防止と経済成長の両立を支えるレジリエントな社会基盤構築に向けたDXの加速が求められています。

こうした中、当社は昨年3月、第5世代移動通信サービス「au 5G」の提供を開始しました(※3)

個人のお客さまには、「みんなの5G」をコンセプトに、より多くのお客さまに5Gをご利用いただけるよう、さまざまな業界のパートナー企業とともに、「ニューノーマル」におけるエンターテインメント、スポーツ、アートなどの新しい楽しみ方をご提案していきます。また、データ通信が使い放題(※4)となるauのスマートフォン向け新料金プラン「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」、シンプルでおトクなUQ mobileの新料金プラン「くりこしプラン」、トッピングで自由に選べる新料金ブランド「povo(ポヴォ)」など、家族でも一人でも多様なニーズや生活スタイルに寄り添った、「わかりやすく」・「シンプル」・「選べる」、料金プランの提供を本年2月より順次開始しました。

法人のお客さまにおかれましては、さまざまな業界、利用シーンで企業のDXが加速し、ビジネスモデル自体が大きく変化しています。お客さまのDXを支援する5G/IoT時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」及び2030年を見据えた新たなライフスタイルを提案する調査・応用研究拠点「KDDI research atelier (リサーチ アトリエ)」において、さまざまなパートナー企業とともに5G時代ならではの新しい体験価値とビジネスの創造を進めるとともに、環境変化に強いレジリエントな基盤構築に貢献していきます。

昨年8月には、株式会社KDDI総合研究所とともに、ニューノーマル時代のレジリエントな未来社会構築を目指した「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。5Gネットワークをはじめとしたネットワークレイヤのみならず、プラットフォームレイヤ・ビジネスレイヤの進化、それを支える7つの分野のテクノロジー(※5)とオーケストレーション技術(※6)を駆使し、政府が推進する「Society 5.0」の実現を加速していきます。

当社は、SDGsの達成に向け、全社でサステナビリティ活動を推進しています。これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続ける決意をこめて、昨年5月に2030年を見据えた「KDDI Sustainable Action」を新たに策定しました。5GやIoTなどを活用しながら、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、社会の持続的な成長に貢献していきます。

また、「KDDI Sustainable Action」の考え方に基づき、5つの方針を軸とした「新型コロナウイルス感染症対応に関するKDDIの基本方針」を発表しました。社会の基盤・ライフラインである通信サービスを維持するとともに、政府・自治体・公共団体などの取り組みに積極的に協力するなど、今後もグループの力を結集し、皆さまの生活や産業を支え続ける社会的使命に応えていきます。

※1 日本の中長期的な成長戦略の一つで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより目指すべき人間中心の社会のこと。

※2 「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標。

※3 5Gは一部エリアでの提供です。

※4 テザリング・データシェア・国際ローミング通信 (世界データ定額) をご利用の場合、「使い放題MAX 5G」「使い放題MAX 4G」は30GB/月の上限があります。大量のデータ通信のご利用時、混雑時間帯の通信速度を制限する場合があります。動画などの視聴時には通信速度を制限します。

※5 「ネットワーク」、「セキュリティ」、「IoT」、「プラットフォーム」、「AI」、「XR」、「ロボティクス」のこと。

※6 複数のシステム間で情報やデータが自動的に流れ、これらの情報やデータを複数のシステムで使う仕組みのこと。

事業別概況

パーソナル

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日本国内及び海外における、個人のお客さま向け通信サービス(モバイル、固定通信等)及びライフデザインサービス(コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等)の提供
売上高
営業利益

TOPICS

お客さまのご利用スタイルに応じたマルチブランドでのサービスを展開

当社は、安心の使い放題の「au」、シンプル・お手頃価格の「UQ mobile」に加え、本年3月からは新料金ブランド「povo」の提供を開始しました。「povo」は月額2,480円(税込2,728円)で使えるデータ容量20GBに加えて、お客さまのニーズに合わせて自由に選択可能な、「5分以内通話かけ放題(※1)」「データ使い放題24時間(※2)」(有料)などのさまざまなトッピングをご利用いただけます。また「UQ mobile」を昨年10月に事業承継し、「くりこしプラン」を開始するなど、お客さまの多種多様なニーズ、生活スタイルにきめ細かくお応えできるよう、マルチブランドでのモバイル通信サービスの提供を進めております。

また、5Gの利用拡大にあたっては「みんなの5G」を掲げ、端末からサービスまでより身近な5Gの利用促進を積極的に進めており、5G端末の累計販売台数が本年3月末で240万台を突破しました。

※1 一部対象外の通話があります。また、1回5分以内の国内通話が対象です。5分超過分につき、税込22円/30秒の通話料が別途かかります。

※2 ネットワークの混雑時や動画・クラウドゲームなどの利用時に通信速度を制限する場合があります。

au経済圏拡大に向けた取り組み

昨年5月にau WALLETポイントをPontaポイントと統合し、国内最大級の会員基盤を構築しました。また、ローソン、ユニクロなどの企業やドラッグストア・スーパーマーケットなどの業界とPontaポイント還元キャンペーンを行う等、au PAYをお客さまにお得にご利用いただける施策を強化しました。さらに、獲得したPontaポイントを増量してau PAY マーケットで使える「お得なポイント交換所」もご提供し、au経済圏のさらなる魅力化と拡大を進めました。

本年2月以降、au PAY ゴールドカードでのau通信料支払い特典の強化、auじぶん銀行住宅ローン 金利優遇施策の開始など、当社グループ一体で金融事業の拡大を進めてきました。この結果、2020年度の決済・金融取扱高は期初目標を大きく上回り、2019年度の6.5兆円から9.0兆円に伸長しています。

また、au PAYについては、本年3月に発表された、株式会社J.D. パワー ジャパンによる「2021年 QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査SM」において、総合満足度第1位を受賞しました。

出典:‌J.D. パワー2021年QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査(3,000名からの回答による。jdpower-japan.com)

※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

5G時代における新たな体験価値の提供

5G本格稼働に合わせた動画系サービスの充実を図り、昨年4月に株式会社テレビ朝日との共同出資による動画サービス「TELASA」、昨年10月にSHOWROOM株式会社との協業によるプロ仕様の縦型動画サービス「smash.」、民放キー4局のVODサービスを集めた「テレビパック」、auスマートパスプレミアムでのマルチアングル動画や360度VR動画配信などを開始しました。また、渋谷区と連携した「バーチャル渋谷」、横浜DeNAベイスターズや名古屋グランパスと提携したスポーツ観戦の高度化など、5GやIoTをはじめとするさまざまなテクノロジーを活用した新たな体験価値をいち早くお客さまに届ける取り組みを行いました。

グローバルビジネスの展開

KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.がミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で行っているミャンマー通信事業では、ポイントサービス「MPT Club」やモバイル電子決済サービス「MPT Pay」の浸透を図っています。本年2月の政変後は、現地の情勢を見守りながら、関係者の安全確保を最優先としつつ、通信サービスの維持に努めています。また、モンゴル国内の総合通信事業者MobiCom Corporation LLCでも、電子決済サービス「Candy」を「monpay」に名称変更し、同サービスのさらなる普及に取り組んでいます。

ビジネス

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日本国内及び海外における、法人のお客さま向け通信サービス(モバイル、固定通信等)及びICTソリューション・データセンターサービス等の提供

TOPICS

お客さまのDXを加速

昨年4月に三井不動産株式会社と5Gを活用したオフィスビルのDX推進を目指し業務提携するなど、新型コロナウイルスによって変容した企業の新しい働き方への支援に取り組んでおり、昨年7月にはインターネットをベースとした安心・快適なIT環境を実現する「マネージドゼロトラストソリューション」を発表しました。

昨年12月には東日本旅客鉄道株式会社と業務提携し、交通と通信の融合により、場所や時間に捉われない、多様な働き方や暮らしを創出する新しい分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」の実現に向け、新しい時代の新しい価値への創造に積極的に取り組んでいます。

また、昨年12月にAmazon Web Services, Inc.(AWS)と5Gネットワークエッジで超低遅延を実現する「AWS Wavelength」の提供を開始しました。5Gと本サービスを組み合わせることで、AWSの利用者に低遅延のアプリケーションを開発できる基盤を提供していきます。国内の5Gキャリアとしては、当社が唯一提供しております(本年3月時点)。「AWS Wavelength」は、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を5Gで加速する次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」の取り組みの一つとなっております。

お客さま満足度向上の取り組み

株式会社J.D.パワー ジャパンによる「2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査」において、大企業・中堅企業市場部門で総合満足度5年連続第1位に加えて、当社として初めて中小企業市場部門で総合満足度第1位を受賞しました。さらに、「2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査」<大企業市場部門>において総合満足度第1位を2年連続、「2020年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査」において総合満足度第1位を8年連続で受賞しました。

今後もより一層お客さまにご満足いただけるよう、さらに質の高い商品・サービスの提供に取り組んでいきます。

出典:J.D. パワー
J.D. パワー2016年-2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査。(2020年調査は従業員100名以上の企業2,634件の回答による。jdpower-japan.com)
J.D. パワー2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査。(従業員50名以上100名未満の企業1,408件の回答による。jdpower-japan.com)
J.D. パワー2019-2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査。(2020年調査は従業員1,000名以上の企業416件の回答による。jdpower-japan.com)
J.D. パワー2013-2020年法人向けIP電話・直収電話サービス顧客満足度調査。(2020年調査は従業員100名以上の企業1,323件の回答による。jdpower-japan.com)

グローバルビジネスの展開

データセンター事業の「TELEHOUSE」においては、昨年6月にドイツ・フランクフルトに新規棟を開業し、本年2月にはフランス・パリに新規棟(レオンフロー)を開業しております。またイギリス・ロンドンでも既存データセンター近隣ビルを昨年7月に取得しており、2022年初頭の開業を予定しております。

また、世界各国において高品質で安定した通信を実現する「IoT世界基盤」の「グローバル通信プラットフォーム」に対応した車載通信機をトヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社の車両に搭載いただいており、これからも人とクルマのつながりを広げるコネクティッドサービスのグローバル展開をサポートしていきます。

持続的な企業価値向上に向けたサステナビリティへの取り組み

SDGsへの対応

当社は、SDGsの達成に向け、全社でサステナビリティ活動を推進しています。これからも事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組み続けるという決意をこめて、2030年を見据えた「KDDI Sustainable Action」を昨年5月に策定しました。5GやIoTなどを活用しながら、「命をつなぐ」、「暮らしをつなぐ」、「心をつなぐ」で、社会の持続的な成長に貢献していきます。

本年3月には、東洋経済新報社「第15回CSR企業ランキング(2021年版)」において、4つの全ての部門(人材活用、環境、企業統治+社会性、財務)で上位となり、2年連続で総合1位の評価を獲得しました。「大規模災害用の公衆無線LANや充電設備の設置」や「auショップで回収された使用済み携帯電話端末のリサイクル率の高さ及び障がい者の雇用機会創出の仕組み」、さらには内部統制に関する「ガバナンスの高さ」などが高く評価されました。

※‌2005年から毎年実施されている調査結果に基づき、複雑化するCSR(企業の社会的責任)と財務の両面から「信頼される会社」を見つけることを目的とするランキング。2021年版では1,614社を対象に実施されました。

地方創生への取り組み

当社は、事業を通じて解決する社会課題の一つとして、地方創生に取り組んでいます。既に各種実証実験などの取り組みを行っておりますが、特に「人づくり」にも力を入れています。既存産業の活性化や新規事業の創出など、地方経済を取り巻く課題について、幅広い視野を持ってICTを軸とした先端技術を駆使できる、地域産業成長を担う人財の育成推進が必要とされています。

当社は2020年度、15の地域教育機関や自治体等と「人づくり」のための連携協定を締結しました。5Gなどを活用した遠隔教育プラットフォームの整備、KDDIグループの持つ人財育成コンテンツの提供、地域企業やスタートアップ企業との事業共創などを通じ、地域にとっても企業にとってもサステナブルなビジネスモデルの構築に取り組んでいきます。

「つなぐ×かえる」プロジェクト始動

昨年9月、当社は日本電信電話株式会社と、社会的課題の解決に取り組む社会貢献連携協定を締結し、「つなぐ×かえる」プロジェクトとして始動、その第一弾として、大規模災害時の船舶を相互利用した物資運搬や、災害対応の訓練・啓発活動における相互協力を開始しました。さらに第二弾として、本年2月に、就職氷河期世代などへの就労・就業支援に関する取り組みを開始し、リモートワークやICTのスキルに関わる研修並びに就業支援の取り組みを推進しています。今後もさまざまな社会課題解決に向け、競争の枠を超えて協力・貢献できる分野を継続検討し、持続的な社会の実現に貢献していきます。

「KDDI Accelerate 5.0」の策定

昨年8月、当社と株式会社KDDI総合研究所は、経済発展と社会的課題の解決を両立する持続可能な生活者中心の社会「Society 5.0」の実現を5Gで加速する、2030年を見据えた次世代社会構想「KDDI Accelerate 5.0」を策定しました。3つのレイヤを支える先端技術となる7つの分野のテクノロジーと、それらが密接に連携するオーケストレーション技術の研究開発を推進し、生活者の新たなライフスタイルの確立と日本の経済発展・社会的課題の解決を両立するレジリエントな未来社会の創造を目指します。

新技術を活用した社会課題解決への取り組み
〜スマートシティ推進に向けた連携協定を締結〜

当社と株式会社ティアフォー、株式会社Mobility Technologies、損害保険ジャパン株式会社、アイサンテクノロジー株式会社の5社は、将来の自動運転タクシーの事業化に向けて、人に優しいユニバーサルデザイン仕様のタクシー車両に自動運転システムを導入し、公道で安心・安全な実証実験をするための準備を進めてきました。5社と一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会は、「西新宿地区のスマートシティ化推進に向けた連携協定」を締結し、昨年11月には、次世代モビリティ実証実験企画において、5Gを活用し、自動運転システムを導入したタクシー車両を公道走行させるサービス実証実験を、西新宿エリアで実施しました。将来的には、自動運転タクシーが公共交通の担い手不足や交通弱者への対応といった社会課題を解決するための手段として活用されることが期待されます。

※社名及び商品名は、それぞれ各社の登録商標又は商標です。

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