事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

事業の概要について動画をご視聴いただけます

https://www.daidan.co.jp/ir/shareholder/video-202506/

企業集団の現況に関する事項

事業の経過及びその成果

当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな景気回復がみられました。企業収益は改善傾向を維持しており、企業の賃上げも浸透してきた結果、物価上昇の影響はあるものの個人消費は緩やかな増加基調となりました。一方で、米国の関税政策による不確実性や金融資本市場の変動による影響などが懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。

建設業界におきましては、公共投資は堅調に推移し、企業の設備投資も緩やかな増加傾向にありました。近年の課題である技術者、技能者の高齢化、人手不足、また上昇基調の続く労務費や資機材調達費などの建設コストの負担は依然改善されておらず厳しい状況が続きました。

このような情勢の中、当社グループは、グループ総合力を強化する「磨くステージ」と位置付ける「中期経営計画 Phase2」において、その方針を「人材戦略を基盤とした人づくりの実現により企業価値を高める」と定め、「人づくり」を通じて個人がより活躍できる会社へと進化するための取り組みを推進いたしました。

その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、受注工事高は2,812億7千1百万円(前連結会計年度比11.1%増)、完成工事高は2,627億3千2百万円(前連結会計年度比33.1%増)、次期繰越工事高は2,584億円(前連結会計年度比7.7%増)、営業利益は230億3千7百万円(前連結会計年度比111.8%増)、経常利益は234億7千9百万円(前連結会計年度比97.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は174億4千3百万円(前連結会計年度比92.0%増)となり、完成工事高、営業利益ともに過去最高値を達成しました。

■当社グループの業績ハイライト

■工事部門別の前期繰越工事高、受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高(当連結会計年度)

主な受注工事、完成工事は次のとおりであります。

資金調達の状況

当連結会計年度におきましては、資金調達を目的とした増資、社債発行等は行っておりません。

設備投資の状況

当連結会計年度における設備投資の総額は、9億6千万円であります。

対処すべき課題

中期経営計画 Phase2

長期ビジョンで示す3つのフェーズのうち、2番目にあたる2025年3月期から2027年3月期までの3年間を、中期経営計画「磨くステージ」としております。「磨くステージ」の方針を、「人材戦略を基盤とした人づくりの実現により企業価値を高める」とし、長期ビジョンの基本方針「信頼される人と組織の深化」、「快適・最適な空間の提供」、「豊かで持続可能な社会への貢献」に沿った戦略および施策を実行しております。

「磨くステージ」初年度の業績は、受注環境の好転や大型工事の順調な進捗、中期経営計画の施策効果もあり、目標を上回る結果となりました。足元の受注環境は引き続き良好に推移すると予想しておりますが、米国関税政策による内外設備投資の先行き不透明感、引き続き厳しい施工余力の状況等今後の経営環境は流動的です。

こうした状況を総合的に勘案し、2025年5月に中計最終年度の業績目標および財務戦略指標を修正いたしました。中期経営計画の各施策を着実に進捗させ目標達成を目指してまいります。

FY2024 – 2026 中期経営計画
Stage2030 / Phase2磨くステージ
《磨くステージ》数値目標(修正目標)
基本方針
事業領域
財務戦略
キャピタルアロケーション
ESG経営の推進
マテリアリティ(重要課題)

当社グループにとっての重要度と、ステークホルダーへの影響度の両面から評価を行い、マテリアリティを特定しました。これに基づき、ESG経営の推進に取り組んでいます。

サステナビリティ推進体制

取締役会の監督のもとに「サステナビリティ委員会」を設置し、マテリアリティに係る取り組みの進捗管理を行っています。

気候変動をはじめとするサステナビリティ課題については、各課題を明確なテーマとして位置づけ、主管部署を定めて組織横断的に取り組んでいます。これらの課題を事業上の重要なリスクとして認識し、全社的なリスクを統合的に管理する「リスクマネジメント委員会」と情報共有を行うことで、リスク対応の一体性を高めています。

PICK UP ① 
カーボンニュートラルへの貢献

温室効果ガス排出量削減への取り組み

■SBT認定取得

国際的なイニシアティブである「Science Based Targetsイニシアティブ(SBTi)」より、当社が策定した温室効果ガス排出量の削減目標が科学的根拠に基づいた短期目標であると認定されました。

※SBTiは、環境情報の開示に関する国際NGOであるCDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が共同で運営する国際的なイニシアティブです。

■CDPへの情報開示

CDPのフレームワークに基づく開示を通じて、ステークホルダーに対する透明性の高い情報提供に取り組んでいます。また、当社は気候変動分野において、マネジメントランク「B」を取得しています。

※CDPは英国のロンドンに本部を置く非営利団体であり、企業の気候変動課題への対応状況について、ガバナンス体制、リスク・機会の評価、戦略的対応、温室効果ガス排出量等の情報開示を求めています。

PICK UP ② 
働きがいのある職場環境の実現

健康経営への取り組み

従業員の健康と働きやすい職場環境づくりに取り組む「健康経営」が評価され、経済産業省の認定制度に基づく「健康経営優良法人2025(大規模法人部門・ホワイト500)」に認定されました。今後も、マテリアリティ「働きがいのある職場環境の実現」に向けて、健康経営のさらなる推進に取り組んでまいります。

※ホワイト500とは、経済産業省が健康経営優良法人に認定した法人のうち、特に優良な上位500社に付与される称号のことです。

PICK UP ③ 
サステナブルな社会に寄与する新規事業の推進

再生医療分野への取り組み

再生医療分野への貢献を目指し、質の高い医療のために安全な環境の実現を推進しています。子会社であるセラボヘルスケアサービス株式会社と連携し、設備に関するノウハウのみならず、治療を提供する側と受ける側の双方に最大限のメリットをもたらす、最適な設備と運用支援サービスを提案しています。

また、設備の提供にとどまらず、細胞加工による医薬品の受託製造にも取り組むなど、事業領域を拡大しながら、医療分野での新たな価値創出に取り組んでいます。

連結計算書類