-
第4号議案から第6号議案までは、株主様1名からご提案いただいたものです。なお、以下の議案の要領及び提案の理由は、議案ごとに整理し、提案株主様から提出されたものを原文のまま記載しております。
1.議案の要領
現行の定款に「第 7 章 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を新設し、第38条として、以下の条文を新設する。なお、本株主総会における他の議案(会社提案に掛かる議案を含む。)の可決により、本議案として記載した条文に形式的な調整(条文番号のずれの修正を含むが、これらに限られない)が必要となる場合は、本議案に掛かる条文を、必要な調整を行った後の条文に読み替えるものとする。
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応)
第38条 当会社は、上場会社である限り、東京証券取引所が要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の精神に則り、下記を実践する。
1. 株主・投資家の視点から資本コストを捉え、開示する
2. 株主・投資家の視点を踏まえて自社の株価を多面的に分析・評価する
3. バランスシートが資本コストや資本収益性の観点から効率的な状態となっているか点検し、改善が必要と考えられる場合にはその計画を開示・実践する
4. 資本コストや資本収益性を意識した上で、事業ポートフォリオの見直しを含む経営資源の適切な配分を意識した抜本的な取り組みを行い、適切な経営資源の配分に基づくキャピタルアロケーション方針を開示する
5. 資本コストを低減させるという意識を持ち、改善が可能と考えられる場合にはその計画を開示・実践する
6. 中長期的な企業価値向上のインセンティブとなる役員報酬制度の設計を行う
7. 中長期的に目指す姿の実現に向けて、どのような意図で各取り組みを実施するのか、各取り組みがどのように課題解決につながるのか、分かりやすく開示する
8. 経営陣や取締役会が、株主・投資家との対話に主体的に関与する
2.提案の理由
弊社は 2023年3月31日に東京証券取引所がプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象として要請している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(以下、「東証要請」)の主旨に賛同しております。また、その対応が形式面にとどまらず、実効性の高いものであるために、2024年2月1日に東京証券取引所が発表した「投資者の視点を踏まえた『資本コストや株価を意識した経営』のポイントと事例」(以下、「ポイントと事例」)に基づく、取り組みの継続的な検証が有効であると考えます。
現状、プライム市場上場企業の約8割が東証要請に関する対応を開示済みという状況を踏まえれば、本東証要請はすでにその役割を終えていると思われるかもしれません。しかし、弊社の最大の問題意識は企業によってその開示・取り組みの質の差が著しいことです。優れた開示に基づき、対応を推進し、企業価値向上に向けた取り組みと実効性の高い連携を行っている企業もある一方、残念ながら東証要請の趣旨を理解していない、あるいは意欲がないまま形式だけ整えたと思われる企業も存在します。
当社は、東証要請に基づく開示状況は開示済となっておりますが、ポイントと事例に基づく項目に従った具体的な開示が不十分であり、当社が ROE8%目標を達成し中長期的な企業価値向上のためには、利益の継続的な成長だけではなく、バランスシートをベースとする資本コストや資本収益性を意識した経営を実践すべきです。弊社はポイントと事例に記載の項目において、3.バランスシートが効率的な状態になっているか点検しその改善計画の開示と実践、4.事業ポートフォリオの見直しを含む経営資源の適切な配分を意識した抜本的な取り組みとキャピタルアロケーション方針の開示、7.中長期的に目指す姿の実現に向けた分かりやすい開示は、当社にとって特に改善の必要性が高い項目であると考えます。当社がこの具体的な内容を開示することによって、東証要請の趣旨である中長期的な目線を持つ株主・投資者の期待に応えることができると考えます。
3.当社取締役会の意見
当社取締役会としては、本株主提案議案に反対いたします。
本株主提案は、東京証券取引所が要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の取組みに関して、定款に条文を新設することを求めるものですが、会社の根本規則である定款に定める事項として適切ではないと考えております。
当社グループは、企業の存在意義(パーパス:すこやかな毎日、ゆたかな人生)及びありたい会社の姿(ビジョン:Glicoグループは人々の良質なくらしのため、高品質な素材を創意工夫することにより、「おいしさと健康」を価値として提供し続けます。)の実現に向けた長期経営構想の第2ステップとして、2025年2月13日に公表いたしました、加速フェーズと位置付ける新中期経営計画(2025年度~2027年度)を策定し、パーパス実現を通じて、グローバル10億人のウェルビーイングに貢献してまいります。
新中期経営計画では、当社の市場価値や資本収益性に関する分析及び現状認識を示すとともに、「価値創造による利益創出を加速、ROE6~8%の達成を目指す」ことを目標に掲げ、価値創造・価値向上案件の増加による売上成長及び利益向上を目指すだけでなく、ROE目標の達成に向けて成長投資枠の活用と株主還元を機動的に実施してまいります。
また、当社グループにおける現在の資本コストは4~6%と推定しております。今後も株式市場との対話を重ねながら、新中期経営計画で計画中の各施策を実行することで、資本コストを上回る収益性の達成により、中長期的な企業価値向上及び株主共同の利益に資する経営を目指してまいります。
上記のとおり、当社グループは「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関して鋭意取組みを推進しており、また市場環境や事業戦略の変化に迅速かつ柔軟に対応するためにも、本株主提案が求める会社の根本規則である定款に記載すべき事項ではないと考えます。
よって、当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。