-
1.議案の要領
会社法第 156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を、株式総数 6,360,000 株、取得価額の総額 27,000,000,000 円を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。
2.提案の理由
当社の保有する現金及び預金と有価証券、投資有価証券の合計から借入金を差し引いた金額である当社の純財務資産は 2024年9月末時点で 1,018 億円と計算され、2024年9月末時点の時価総額の約40%の規模となっております。必要資金を超えた現金資産の積み上げは資本効率の低下・企業価値の毀損につながります。当社はROE8%達成を目指しておりますが、当社の過去5年間平均のROEは5%台と過大な現金資産の保有が ROE低下の要因となっており、ROE向上のためには継続的な利益成長のみではなく、株主還元をさらに拡充し資本効率を改善することが必要です。割安な状態での自己株式取得は、一株当たり利益と純資産の改善を通じた企業価値向上や発行済株式総数の減少を通じた将来的な配当負担を減らす効果があり、短期的な株価上昇ではなく、中長期的な企業価値向上を図ることができます。
そして、弊社の提案による270億円を限度とする自己株式取得は当期純利益の規模を超えるものとなりますが、当社の純財務資産が 1,018億円であることを考えれば、将来の M&A・設備投資・研究開発資金、さらには予期せぬリスクへ備えるための必要な資金を十分に確保することが可能であり、当社の成長投資、事業運営資金、株主還元のバランスが損なわれることはありません。よって、株主還元の拡充および資本効率の向上を図り中長期的な企業価値向上のため、当社が発行済株式総数(自己株式を除く)の約10%を自己株式として取得する施策を採用すべきと考えます。
3.当社取締役会の意見
当社取締役会としては、本株主提案議案に反対いたします。
当社グループは、存在意義(パーパス)である『すこやかな毎日、ゆたかな人生』の実現に向けて、価値創造による利益創出を加速させ、中長期的な企業価値向上を実現するための成長投資や株主還元に対し、資金をバランスよく配分することが極めて重要であると考えております。
新中期経営計画における資本政策では、海外を中心に成長を見据えた事業投資に加えて、株主還元の強化を計画しており、中長期視点で株主の皆様とともに成長するグリコを目指しております。
手元資金及び3カ年で創出する営業キャッシュ・フローを原資とし、事業継続に必要な「通常投資」に300億円、海外生産能力の増強や中長期の成長に向けた「成長投資」に450~500億円、配当性向45%以上の「株主還元」に250億円(前中期経営計画期間の株主還元は配当性向35%以上)を計画し、成長のための投資と安定的な株主還元の両立を主眼としております。
当社グループは、上記方針に基づき、中長期的な経営戦略や経営環境を踏まえ、年間配当金を決定し、安定的な配当を含めた株主還元の強化を図っております。なお、これまでの株主還元実績は下表のとおりであり、2024年度については1株当たり年間配当金90円(連結配当性向70%)としております。
一方で、本株主提案は、1年以内に株式総数6,360,000株、取得価額の総額270億円の自己株式取得を求めるものであり、当社の2024年度の親会社株主に帰属する当期純利益が81億円であることを踏まえると、自己株式の取得価額総額は約3.3倍と過大な水準であり、かつ本定時株主総会終結の時から1年以内という短期間での実施を求めるものであることから、短期的な視点に立脚しているものと考えざるを得ません。本株主提案は当社グループの中長期的な企業価値向上及び株主共同の利益を毀損するおそれがあり、当社の経営方針とは馴染まないものと考えます。
よって、当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。
(参考)過去6年間の株主還元実績及び当年度の予定