事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
企業集団の現況
当事業年度の事業の状況
事業の経過及び成果
業績の概況
当連結会計年度におけるわが国経済環境は、企業業績の堅調さが継続し、家計部門も実質所得が増加に転じるなど、日本経済は緩やかな回復を続けている一方で、海外景気の下振れや、米国の政策動向、金融資本市場の変動等の影響に総合的かつ慎重に対応する必要があります。
リユース業界におきましては、リユース品に対しての物価高騰に伴う生活防衛策としての需要増加や、多様性を尊重する社会の潮流の中で、一点物の魅力や、趣として支持されること、人、社会、環境などにやさしく、社会的な問題の解決につながるような消費行動をする選択があり、市場成長の拡がりを見せております。
このような環境のなか、当社グループは「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」ことを目指し、お客様の選択可能性を広げ利便性を向上するため、インターネットを介した電子商取引の拡充の他、2nd STREETを中心としたリユース店舗の新規出店を、国内及び海外において推進し持続的成長の実現に取り組んでおります。
リユース系リユース商材の動向といたしましては、リユースラグジュアリー商材、特に高級時計を中心に扱うOKURA TOKYOは軟調な取引相場の中、商品流動性を高めてリスク管理を行い、堅調に推移いたしました。また、商品構成の中心であるリユース衣料・服飾雑貨は、記録的な高温や暖冬傾向などの天候不順の影響や出店計画未達があったものの、リユース市場拡大に比例した着実な成長となりました。海外地域では直営店方式での出店により活動範囲を広げ、世界のリユース市場における認知度向上を図り各地域において着実に現地での支持を集め、店舗数・売上を拡大しております。以上の結果、リユース系リユース商材全体の売上は大幅に増加し、売上高は前期比12.1%増の190,246百万円となりました。
メディア系リユース商材の動向といたしましては、ゲーム関連商材は新作ゲームソフトのヒットによるリユース商材への恩恵が乏しかったものの、家庭用ゲーム機本体の値上げ前の駆け込み需要により、微減収となりました。また、スマートフォンやタブレット端末等のリユース通信機器市場の拡大に合わせ、店頭サポートスタッフを配置した「GEO mobile」をショッピングモール等へ出店していることに加え、認知度向上のため戦略的に広告を行いリユースモバイル商材のシェア獲得に注力しております。以上の結果、メディア系リユース商材全体の売上高は前期比12.4%増の83,669百万円となりました。
新品商材の動向といたしましては、トレーディングカード及びカプセルトイの売上が好調に推移したものの、前期は需給バランス改善による家庭用ゲーム機本体の販売増及び大型タイトルのリリースがあり売上高増加要因となりましたが、当期はその反動減の影響が大きく、売上高は前期比25.1%減の99,100百万円となりました。
また、収益性の悪化により、店舗等に係る固定資産について減損損失を3,138百万円計上いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は427,669百万円(前期比1.4%減)、営業利益は11,250百万円(前期比33.1%減)、経常利益は12,224百万円(前期比34.8%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は4,537百万円(前期比58.4%減)となりました。
主要商材の売上高は以下のとおりとなりました。

また、当連結会計年度末における当社グループの店舗数の状況は以下のとおりとなりました。
( )内は、前連結会計年度末からの増減数であります。

設備投資の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)では、新規出店及び既存店におけるリニューアル工事などを中心に13,493百万円の設備投資を行いました。
なお、当連結会計年度において重要な設備の除却、売却等はありません。
資金調達の状況
当連結会計年度においては、借入金返済資金として第2回無担保社債の発行により5,500百万円、長期運転資金として金融機関より18,000百万円、計23,500百万円を調達しております。
事業の譲渡、吸収分割又は新設分割の状況
特記すべき事項はありません。
他の会社の事業の譲受けの状況
特記すべき事項はありません。
吸収合併又は吸収分割による他の法人等の事業に関する権利義務の承継の状況
特記すべき事項はありません。
他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得又は処分の状況
特記すべき事項はありません。
対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、SDGsの考えが社会に広がり、価格だけにとらわれないリユースへの価値観が改めて見直されるなど、リユース市場は継続成長が全世界的にも見込まれています。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」を企業理念とし、お客様の消費行動を理解し、オンライン・オフラインの境目をなくした双方で、商品・サービスを自在に選択してご利用いただける“ネットワークリテイラー”の体制を構築し、リユースとレンタルの循環型流通やリテールを通して、世界の方々に豊かで楽しい「日常」を届け続ける“グローバルプラットフォーマー” でなければならないという課題意識のもとに、以下の項目について取り組んでまいります。
①リユース市場の深耕
リユース市場の拡大の中、持続的成長のためお客様との直接接点となる多店舗展開を加速させるとともに買取サービスの拡充といった利便性の向上を図り、リユース市場におけるポジションを高めてまいります。
地域特性に合わせた新業態などの店舗開発や海外出店を含めた販売網の構築を行い、仕入れの強化として買取専門店・出張買取や買取ロッカーの設置によりお客様にリユース商品を身近に感じて頂ける環境づくりを展開してまいります。
②収益基盤の再構築と拡充
「買う」「借りる」「売る」「場の提供」というグループの各事業が持つ機能に多種多様な商材を掛け合わせることにより、新規フォーマットを提案してまいります。
映像・音楽ソフトのレンタル市場縮小傾向が続く中、全国に約1,000店舗を有するゲオショップの店舗網を活かし、実店舗だからこそ体験できる価値の提供を行うことで店舗の魅力向上を図ってまいります。
寡占市場においても店舗網を展開することで顧客接点を重視したプロモーション活動等により商材の市場占有率を高め、メディア商材の最大利益化に努めます。
オフプライスストア業態やラグジュアリー商材の取組み以外にも、新たなる店舗・業態の開発を行い、お客様のニーズに即した商材を提供するために、グループの有する店舗網を活かしたマーケティング活動と商材の育成・獲得を図ります。
また、新たな柱となる事業領域の獲得については、M&A手法等も有効な手段の1つとして模索してまいります。
③ITの積極活用とオンラインの強化
スマートフォン使用等オンラインでの情報認知と検索行動がますます一般化する中で、商品情報の検索性を高めることや決済方法の多様化対応により、ECサイトと店舗との併売等お客様への利便性を高め、よりシームレスな購買環境整備を物流体制及びIT・電子商取引対応への投資を行うことにより推進強化してまいります。
④グローバルマネジメントの構築
リユース企業の世界的リーディングカンパニーを目指す上で、これまで以上にグローバル情報の把握と、迅速でフレキシブルな経営判断を行い、海外企業に対する競争力を高めるマネジメント体制を構築してまいります。
海外の機能集約と分業を推進し、グループ全体を最適化する仕組み作りを構築してまいります。
⑤人材の獲得と教育投資
各項目で述べてきた戦略を実現するため、人材獲得と教育投資による人材の活用を引き続き推進してまいります。
また、企業の持続的な成長・発展を実現するためには、従業員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、その個性や能力を最大限に発揮することが必要となることから、多様な働き手を支援する環境の整備、グローバル教育・資格制度の再構築をしてまいります。