事業報告(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)

1. 企業集団の現況に関する事項

企業集団の事業の経過及びその成果(注1・2)

全般的概況

売上収益

当社グループの経営指標である為替一定ベース(注3)のcore revenue(注4)は、前年度比13.9%増加しました。また、売上収益は、たばこ事業及び加工食品事業での増収により、前年度比13.4%増の3兆4,677億円となりました。

調整後営業利益、営業利益及び当期利益(親会社所有者帰属)

当社グループの経営指標である為替一定ベースの調整後営業利益(注5)は、たばこ事業及び加工食品事業における増益により、前年度比24.9%増加しました。調整後営業利益は、新興国通貨が円に対して減価した影響がネガティブに発現し、前年度比21.5%増の9,022億円となりました。

営業利益は、たばこ事業におけるカナダにおける訴訟の和解に伴う訴訟損失引当金計上影響の剥落に加え、調整後営業利益の増加により、前年度比175.9%増の8,670億円となりました(注6)

親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加が金融損益の悪化及び法人所得税費用の増加を上回り、前年度比184.6%増の5,102億円となりました。

当社グループの経営指標

全社業績

(注)
  • 当社グループは、第41期より、医薬事業を非継続事業に分類し、第40期を組み替えております。したがって、第40期及び第41期の売上収益、為替一定ベースのcore revenue、営業利益、調整後営業利益は、継続事業の金額及び増減率を表示しております。
    また、第40期の数値は、2024年12月期の監査報告書日後に生じたカナダにおける訴訟の和解に伴う修正後発事象の影響を反映しております。
  • 超インフレ経済下にある子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、会計上の調整を実施しております。なお、為替一定ベースの実績は、特定市場の超インフレに伴う売上及び利益の増加分について、一定の算定方法を用いて控除しております。
  • 為替一定ベースは、たばこ事業における当期の調整後営業利益、core revenue又は自社たばこ製品売上収益から、前年同期の為替レートを用いて換算・算出した為替影響及び一定の方法を用いて算出した一部市場のインフレに伴う売上又は利益の増加分を除いたものです。
  • core revenueは、自社たばこ製品売上収益、加工食品事業・その他の売上収益の合計です。
  • 調整後営業利益は、営業利益+買収に伴い生じた無形資産に係る償却費+調整項目(収益及び費用)です。なお、調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失±リストラクチャリング収益及び費用等です。
  • 当社グループのカナダ現地子会社であるJTI-Macdonald Corp.を含むたばこ会社に対する喫煙と健康に係る訴訟に関連して、集団訴訟原告を含む各債権者との間で包括的和解に合意することを目的とした再生計画案がオンタリオ州上級裁判所によって承認されたことを受けて、当社は2024年度においてカナダにおける訴訟の和解に伴う訴訟損失引当金(3,756億円)を営業費用として計上しております。当該影響及び2025年度における当該案件の負債再測定影響、並びに2025年度に計上した一過性の損失であるスーダン子会社の清算に伴うのれんの除却損を除いた場合の前年度比は22.4%増です。

事業別の概況

たばこ事業

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当年度におきましては、Combustiblesにおける市場シェアの継続的な伸長、米国Vector Group Ltd.(以下、「VGR社」)買収効果に加え、RRP(注1)販売数量(注2)の大幅な成長により、総販売数量(注3)は前年度比2.2%増の5,778億本となりました。Combustibles販売数量(注4)は、Winston及びCamelが牽引したGFB(注5)販売数量の増加により、前年度比1.7%増の5,638億本となりました。RRP販売数量は、日本が牽引したPloom販売数量の伸長により、前年度比28.0%増の140億本となりました。

自社たばこ製品売上収益(注6)は、全クラスター(注7)において発現したポジティブな単価差/商品構成影響に加え、VGR社の買収効果を含むポジティブな数量差影響により、前年度比14.6%増加しました(為替一定ベースにおいても、前年度比14.6%増)。RRP関連売上収益(注8)は、Heated Products(注9)の貢献により、前年度比23.9%増加しました。

調整後営業利益は、自社たばこ製品売上収益の力強い成長が、RRPへの投資強化及びインフレに伴うコストの増加を上回り、前年度比20.3%増加しました(為替一定ベースでは、前年度比23.5%増)。

(注)
  • RRP(Reduced-Risk Products)は、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品です。当社製品ポートフォリオにおけるHeated Products/Infused Tobacco/E-vapor/Modern Oral/Traditional Oral等が含まれます。
  • RRP販売数量は、RMC(Ready Made Cigarettes:スティック形状で販売している紙巻たばこ製品)として換算したRRPの販売数量です。ただし、デバイス/関連アクセサリー等は含みません。
  • 総販売数量は、製造受託/RRPデバイス及び関連アクセサリーを除くたばこ製品の販売数量です。
  • Combustibles販売数量は、製造受託/RRPを除く燃焼性のたばこ製品の販売数量です。
  • GFB(Global Flagship Brands)は、Winston、Camel、MEVIUS、LDの4ブランドです。
  • 自社たばこ製品売上収益は、物流事業/製造受託等を除く売上収益です。
  • JTグループのたばこ事業をより深く理解していただくために、同事業を3地域のクラスター(Asiaは日本を含むアジア全域、Western Europeは西欧地域、EMAは東欧、中近東、アフリカ、トルコ、南北アメリカ大陸及びGlobal Travel Retail)に区分けしたものです。
  • RRP関連売上収益は、自社たばこ製品売上収益の内訳としての、デバイス/関連アクセサリー等を含むRRPの売上収益です。
  • Heated Productsは、HTS(Heated Tobacco Sticks:たばこ葉を使用したスティックをデバイスを用いて直接加熱する製品)とHNS(Heated Nicotine Sticks:たばこ葉を使用せず、ニコチンを含むスティックをデバイスを用いて直接加熱する製品)の総称です。
Ploomの進捗
  • 日本におけるPloom販売数量は、Ploom AURA及びEVOの貢献もあり前年度比35.0%増加し、2025年度第4四半期時点のHeated Productsカテゴリ内シェアは、前年同期比3.2ppt増の15.7%に伸長
  • Ploom AURA発売により、2025年12月時点の日本におけるPloomユーザー数は、発売前の2024年12月時点と比較し34%増加。また、Ploom AURAは2025年末時点で17市場において展開
Combustiblesのパフォーマンス
  • 総需要(注)は減少しているものの、2025年度は50以上の市場で販売数量が増加したことに加え、VGR社の買収効果も貢献し、Combustibles販売数量は前年度比1.7%増加
  • GFB販売数量は、前年度比2.8%増加し、7年連続で伸長。Winston及びCamelは、それぞれグローバルで第2位・第3位のCombustiblesブランドとしての地位を更に強化
(注)
  • 総販売数量の90%超を占める70以上の市場におけるRMC、FCT(Fine cut tobacco:お客様ご自身で、巻紙を用いて手巻きする、または器具と筒状の巻紙を用いて紙巻たばこを作成するための刻みたばこ製品)、リトルシガーに基づきます。

加工食品事業

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当年度におきましては、冷食・常温事業、調味料事業に注力し、収益力の向上に取り組んでおります。

当年度の冷食・常温事業におきましては、注力している冷凍麺、パックごはん、お好み焼等は引き続き国内市場において高いシェアを維持するとともに、更なる競争力強化に向け、家庭用新商品19品、リニューアル品44品を発売しております。家庭用新商品においては、ご家庭で手軽に本格的な味わいを楽しめる具付き麺(うどん及びラーメン)を2025年秋に発売しております。調味料事業におきましては、主力商品群である外食店向けラーメン関連商品(ラーメンスープの素・香味油等)や加工メーカー向けエキス商品(酵母エキス・畜肉エキス等)の販売に注力するとともに、更なる成長に向けて海外輸出の拡大や洋食調味料の新商品発売等により、幅広い地域と分野での味づくりに取り組んでおります。

また、原材料費の高騰等を背景に厳しいコスト環境が継続している事業環境下においても、生産性向上やコスト削減等の継続的な取組みに加え、価格改定を実施し、利益の創出に最大限努めてまいりました。

当年度における売上収益は、冷食・常温事業における価格改定効果により、前年度比1.5%増の1,595億円となりました。調整後営業利益は、売上収益の増加等が原材料費の高騰を上回り、前年度比6.4%増の86億円となりました。

2. 企業集団が対処すべき課題

(1)経営の基本方針

当社グループの経営理念は、「4Sモデル」の追求です。これは「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」という考え方です。

当社グループは、「4Sモデル」の追求を通じ、中長期に亘る持続的な利益成長の実現を目指しています。持続的な利益成長のためには、お客様に新たな価値・満足を提供し続けることが前提となることから、中長期的な視点に基づき、将来の利益成長に向けた事業投資を着実に実施していくことが肝要と考えております。

この「4Sモデル」を追求していくことが、中長期に亘る企業価値の継続的な向上に繋がると考えており、株主を含む4者のステークホルダーにとって共通利益となるベストなアプローチであると確信しております。

また、自然・社会・個人の様々なスケールで非連続な変化が起こり、事業環境の不確実性・複雑性がますます高まっている状況下において、当社グループが持続的な存在であるための方向性を明確にするものとして、JT Group Purposeを策定しております。具体的には、当社グループが未来において社会から求められ、かつ、長期に亘り価値を発揮し続けていくべき領域を「心の豊かさ」であると同定し、この領域を任され、貢献し続けていきたいとの考えから「心の豊かさを、もっと。」をJT Group Purposeとしています。加えて、JT Group Purposeの実現に向けて、各事業においてもこれを踏まえた事業Purposeを策定しております。事業戦略の遂行及び行動指針の実践を通じて、成果を創出し、実績を積み上げていくことにより、JT Group Purposeの実現を目指します。

時代や人により、多様で、変化していく「心の豊かさ」の領域を、今後も社会から任され、貢献できる存在であり続けるため、当社グループは絶えず進化してまいります。

<事業Purpose>

  • ・たばこ事業:Creating fulfilling moments. Creating a better future.
  • ・加工食品事業:食事をうれしく、食卓をたのしく。

(2)中長期的な会社の経営戦略及び課題

当社グループの中長期の経営資源配分は、「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づき、中長期に亘る持続的な利益成長に繋がる事業投資(注1)を最優先とし、同時に事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視する方針です。

当社グループは、たばこ事業を利益成長の中核かつ牽引役と位置付け、たばこ事業の持続的な利益成長に向けた事業投資を最重要視します。一方、加工食品事業は全社利益成長を補完すべく、必要な投資を実行していきます。

各事業の中長期の目標は以下のとおりです。

当社グループは、不確実性を増す経営環境を見極め、スピード感を持って競争力を強化すべく、期間を3年間とした経営計画を1年ごとにローリングを行う方式で策定しており、経営理念及び経営資源配分方針を踏まえ、全社利益目標及び株主還元の中長期の方向性を「経営計画2026」において設定しています。

「経営計画2026」においては、「利益成長の中核かつ牽引役」と位置付けるたばこ事業がドライバーとなり、期間中における為替一定ベースの調整後営業利益の成長率は、年平均High single digit(注3)を見込んでおります。なお、中長期に亘っては、年平均Mid to high single digit成長を目指してまいります。

(注)
  • たばこ事業の成長投資を最重要視し、お客様・社会への新たな価値・満足の継続的な提供を通じて、質の高いトップライン成長を実現することで、為替一定調整後営業利益の成長を目指す。
  • Mid to high single digit:一桁台半ばから後半のパーセンテージ
  • High single digit:一桁台後半のパーセンテージ

株主還元方針については、「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づく経営資源配分方針で掲げる「中長期に亘る持続的な利益成長に繋がる事業投資を最優先」と「事業投資による利益成長と株主還元のバランスを重視」という観点から、以下のとおりとしています。

  • ・強固な財務基盤(注4)を維持しつつ、中長期の利益成長を実現することにより株主還元の向上を目指す
  • ・資本市場における競争力のある水準(注5)として、配当性向75%を目安(注6)とする
  • ・自己株式の取得は、当該年度における財務状況及び中期的な資金需要等を踏まえて実施の是非を検討

当社グループは全社利益目標達成に向けた基本戦略として「質の高いトップライン成長」「コスト競争力の更なる強化」「基盤強化の推進」を掲げており、中でも「質の高いトップライン成長」を最重要視しており、各事業の注力分野にリソースを集中し、商品・サービスの付加価値を向上させていきます。また、コスト競争力の更なる強化を実現すること及びこれらを支える基盤強化を推進していくことで、持続的な利益成長を実現してまいります。

当社グループ経営を取り巻く経営環境は、地政学リスクの顕在化に伴う世界経済への影響や一部市場における事業継続懸念、為替変動リスクやインフレ・金利動向をはじめとする各国マクロ経済の動向等、不確実性を増していると認識しております。こうした不透明な経営環境を乗り越え、適切にグローバルビジネスを運営し、持続的な利益成長を実現するためには、「変化への対応力」が必要であると考えております。これは、不確実性に対処すべく、計画策定時において想定の範囲を拡げるとともに、それでも起こりうる想定を超える変化・出来事に対して、素早く・柔軟に対応する能力を指しており、この変化への対応における巧拙とスピード感は、引き続き企業の競争力を決定する重要なファクターになると考えております。

今後も「4Sモデル」及びJT Group Purposeに基づき、「変化への対応力」を高めながら、大胆かつスピーディーに意識・行動を変革し、各事業の成長戦略を着実に実行することによって、持続的利益成長を実現し、中長期に亘る企業価値の継続的な向上を目指していきます。

(注)
  • 経済危機等に備えた堅牢性及び機動的な事業投資等への柔軟性を担保
  • ステークホルダーモデルを掲げ、高い事業成長を実現しているグローバルFMCG(Fast Moving Consumer Goods)企業群の還元動向をモニタリング
  • ±5%程度の範囲内で判断

連結計算書類