事業報告(2025年1月1日から2025年12月31日まで)

企業集団の現況に関する事項

1.事業の経過及びその成果

当連結会計年度における我が国経済は、底堅い個人消費や堅調な設備投資を中心に内需を下支えし、緩やかな景気回復が継続しているほか、インフレ・賃金上昇・金利上昇が継続しております。

不動産投資マーケットにつきましては、日銀による追加利上げ後も、国内外の投資家による事業用不動産の投資意欲は高い状況が続き、賃料上昇が見込めるオフィスを中心として多くの大型取引が成立するなど、活発な状況が継続しました。

こうした環境のもと、当社グループは、2020年度を初年度とする中長期経営計画に基づき、「変革」と「スピード」をベースに、環境変化に柔軟に対応した進化を通じて、持続的な企業価値向上の実現に注力してまいりました。

その結果、当連結会計年度の連結業績は、営業収益は727,447百万円(前期比135,831百万円、22.9%増)、営業利益186,826百万円(前期比23,465百万円、14.3%増)、経常利益172,927百万円(前期比18,597百万円、12.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益114,334百万円(前期比11,993百万円、11.7%増)となりました。

営業収益につきましては、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件によりオフィス等の不動産賃貸収入が安定的に推移したことに加え、販売用不動産の売上も順調に推移しました。営業利益につきましては、物件の竣工、取得によりオフィス等の不動産賃貸収入が安定的に推移したことに加え、販売用不動産の売上総利益が増加したことにより、増益となりました。経常利益につきましては、支払利息の増加により営業外費用が増加したものの、営業利益の増加があったこと等により、増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券売却益の減少により特別利益が減少し、また、税金費用が増加したものの、経常利益の増加に加え、段階取得に係る差損の減少により特別損失が減少したこと等により、増益となりました。

事業別の状況は、次の通りであります。

事業区分別の概況

営業収益
前期比 %増
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事業別売上構成比 %

(単位:

<主な事業内容>

不動産投資業務、不動産開発業務、アセットマネジメント業務等

当社グループの中核事業は、東京23区を中心に、約250件(販売用不動産除く)の賃貸物件・賃貸可能面積約131万㎡を活用した不動産事業であります。「高い利益成長」と「安定基盤利益拡大」を実現するポートフォリオ再構築の観点から、環境変化に対応できる競争優位性のある物件への継続的な入れ替えや厳選した開発の推進に取り組んでおります。また、本格化する竣工物件の利益の最大化をはかるため、出口戦略の多様化により、安定的・継続的な開発利益と運用報酬の獲得にも継続して取り組んでおります。

当連結会計年度の新規物件(固定資産)の取得につきましては、アリオ西新井(一部)(東京都足立区)、ヒューリック神谷町ビル(一部)(東京都港区)及びFORECAST新宿SOUTH(東京都新宿区)などを取得いたしました。

開発・建替事業(固定資産)につきましては、ヒューリックロジスティクス三郷(埼玉県三郷市)が2025年7月、ヒューリック銀座ビル(東京都中央区)が2025年8月、ヒューリックスクエア札幌(Ⅱ期)(札幌市中央区)が2025年9月に竣工いたしました。

また、(仮称)心斎橋開発計画(大阪市中央区)、自由が丘一丁目29番地区第一種市街地再開発事業(東京都目黒区)、(仮称)銀座8丁目9-11,12開発計画(東京都中央区)、(仮称)塩浜二丁目開発計画Ⅰ期(東京都江東区)、(仮称)青山ビル建替計画(東京都港区)、(仮称)G8開発計画(東京都中央区)、(仮称)銀座五丁目開発計画(東京都中央区)、(仮称)銀座六丁目みゆき通り開発計画(東京都中央区)、銀座7丁目昭和通り開発計画(東京都中央区)及び(仮称)新宿318開発計画(東京都新宿区)などが順調に進行しております。

PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業につきましては、東京都と渋谷区実施の「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷一丁目地区共同開発事業」などが順調に進行しております。

販売用不動産につきましては、ヒューリック広尾ビル(東京都港区)、(仮称)市ヶ谷開発計画(東京都千代田区)、ヒューリック新宿ビル(一部)(東京都新宿区)、浅草ビューホテル(東京都台東区)、八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業(東京都中央区)及びヒューリック大阪ビル(大阪市中央区)などを売却しております。

このように、当セグメントにおける事業は順調に進行しており、前連結会計年度及び当連結会計年度に竣工、取得した物件によりオフィス等の不動産賃貸収入は安定的に推移したことに加え、販売用不動産の売上も順調に推移したことなどから、当連結会計年度の営業収益は637,458百万円(前期比110,253百万円、20.9%増)、営業利益は198,111百万円(前期比27,683百万円、16.2%増)となりました。

営業収益
前期比 %増
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事業別売上構成比 %

(単位:

<主な事業内容>

保険代理店業務

保険事業におきましては、連結子会社であるヒューリック保険サービス株式会社が、国内・外資系の保険会社と代理店契約を結んでおり、法人から個人まで多彩な保険商品を販売しております。保険業界の事業環境は引き続き厳しい環境にありますが、既存損保代理店の営業権取得を重点戦略として、法人取引を中心に営業展開をしております。

この結果、当セグメントにおける営業収益は3,929百万円(前期比230百万円、6.2%増)、営業利益は1,090百万円(前期比93百万円、9.3%増)となりました。

営業収益
前期比 %増
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事業別売上構成比 %

(単位:

<主な事業内容>

ホテル及び旅館の運営業務

ホテル・旅館事業におきましては、連結子会社であるヒューリックホテルマネジメント株式会社は「THE GATE HOTEL」シリーズ及び「ビューホテル」シリーズ、ヒューリックふふ株式会社は「ふふ」シリーズを中心に、ホテル及び旅館の運営をおこなっております。

当連結会計年度においては、旺盛なインバウンド需要を取込み、宿泊単価の上昇により好業績で推移いたしました。

この結果、当セグメントにおける営業収益は54,256百万円(前期比5,163百万円、10.5%増)、営業利益は1,670百万円(前期比△5百万円、0.3%減)となりました。

営業収益
前期比 %増
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事業別売上構成比 %

(単位:

<主な事業内容>

建築工事請負業務、設計・工事監理業務、こども教育事業等

その他におきましては、主に連結子会社であるヒューリックビルド株式会社が、当社保有ビル等の営繕工事、テナント退去時の原状回復工事、新規入居時の内装工事を中心に受注実績を積み上げておりますほか、連結子会社である株式会社リソー教育グループが進学学習指導等をおこなっております。

この結果、営業収益は45,643百万円(前期比19,829百万円、76.8%増)、営業利益は2,137百万円(前期比△95百万円、4.2%減)となりました。

2.対処すべき課題

今後の経済環境の見通しにつきましては、賃金上昇により個人消費が増加するとともに、成長投資のための企業の設備投資が増加することで、引き続き緩やかな成長が続くと予想しております。一方で、海外経済及び海外情勢の不確実性、金融市場の変動等の影響について注視が必要と考えております。

また、不動産事業環境におきましては、金融機関の積極的な融資姿勢や、建築費高騰を受けた新規供給の減少が続くことを背景とした賃貸市況の活況を要因として、収益不動産の投資市場は引き続き堅調に推移すると予想しています。

このような環境のもと、2025年12月期の連結経常利益は1,729億円となり、前・中長期経営計画の利益目標(2029年経常利益1,800億円)の3年前倒しに目途がたったことから、環境変化に対応した新・中長期経営計画(2026-2036)を策定しました。

新・中長期経営計画では、2036年の目指す姿を「不動産事業を核として、多様な価値創造をおこない、変革・進化・成長を続ける企業グループ」とし、基本方針を「不動産事業をベースとしながらも、多様な成長事業を取り込むことで、唯一無二の強靭な事業のポートフォリオを形成し、安定的・継続的な成長と株主価値向上を追求・実現する」と策定しました。

新・中長期経営計画の達成に向けて、以下の戦略に取り組んでまいります。

① 不動産事業のさらなる高度化と効率化

本格的なインフレと賃料上昇、不動産売買市場のさらなる活性化、建築費の高騰を背景に、不動産事業のさらなる高度化と効率化を通じて、不動産の賃貸利益・売却利益・連結利益を最大化してまいります。

不動産投資事業においては、流動性が高いアセットおよび賃料成長が見込めるインフレ耐性アセットへの投資をおこなっていくほか、収益性と資金効率性の高い高難度バリューアッド等を推進してまいります。不動産開発事業においては、優良な固定資産ポートフォリオの構築やグループのリート・ファンドの成長(AUM増加)の推進、新規事業アセットの開発をおこなってまいります。

ポートフォリオ戦略につきましては、国内人口動態を踏まえ、引き続きオフィス比率50%以下、重点エリア比率50%を目標としつつ、環境変化やマクロ動向に対応して新規事業アセットを増加させ、最適なポートフォリオを構築してまいります。

さらに、クラウドやAI需要増加を背景としたインフレ耐性アセットである都市型データセンターにつきましては、先行者利益を活かしてトッププレイヤー(2036年までに総IT容量100MW超を供給予定)を目指します。

また、2024年度より本格的に取り組みを開始した海外事業につきましては、人口成長・経済成長国の実需ニーズあるアセットに限定し、投資ポートフォリオは先進国・稼働物件を主軸としながら、大手企業との連携を中心として流動性の確保と着実な利益の積み上げを実現してまいります。

② 収益力の複合化と強靭な事業ポートフォリオの構築

不動産事業のさらなる成長とともに、M&Aも活用しつつ事業利益の取り込みや有形・無形のアセットの活用をおこなうほか、不動産投資で培った投資ノウハウを活用して、成長領域で事業ポートフォリオを拡大してまいります。

  • ・観光事業及びこども教育事業については、不動産利益に加えて運営事業の収益最大化を目指してまいります。
  • ・環境・インフラ事業については、2029年の再エネビル化100%と蓄電池の事業化に向けた投資を加速し、再エネ・蓄電池の投資・運営・売却・アセットマネジメントのサイクルで収益獲得を目指してまいります。
  • ・高齢者・健康事業については、当社グループが保有する高齢者施設5,000室やオペレーターとのネットワークを活かし、2025年に連結子会社化したクックデリ株式会社の成長を支援することに加え、銀座の高級シニアレジデンスの開発・運営など時代に合わせて新しいマーケットを開拓してまいります。
  • ・次世代産業アセット事業については、国内初の航空上屋施設併設の物流施設「WING NRT」やオープンイノベーションを促進する研究施設など、半歩先を見て成長性のある次世代アセットビジネス(投資・運営)への取り組みを推進してまいります。
  • ・スポーツ・エンタメ事業については、幕張でのアリーナ開発や、バスケットボールクラブ「アルティーリ千葉」を通じたスポーツビジネスでのノウハウの積み上げ、他地域のアリーナや周辺スポーツ・エンタメ事業への投資をおこない、収益拡大を狙ってまいります。

これらの取り組みに加え、企業投資や事業連携等を通じて、将来の成長事業へ種まきを実施し、次世代の成長事業・企業との価値共創を通じてさまざまな収益機会を獲得してまいります。

③ 財務規律の維持・向上と資本政策の強化

2025年度も、昨年に引き続き日本格付研究所(JCR)より取得している当社の外部格付が「AA-」格となり、強固な経営基盤を評価いただきました。

今後も、「成長投資による事業拡大」と「格付AAの維持」の両立のため、厳格なバランスシートコントロールをおこない、継続的な利益成長と高いROEの維持、適切な財務レバレッジと財務規律の維持・向上、株主還元の強化を通じて、企業価値・株主価値を常に意識した経営を推進してまいります。

④ 社会への価値創造と企業成長が連動するサステナビリティ経営の進化

サステナビリティビジョンに基づき、社会活動の基盤となる商品・サービスを提供することにより、「持続可能な社会の実現」と「企業としての継続的な成長」を目指し、サステナビリティを意識した事業運営と価値創造により、社会課題の解決及び社会価値の創造と企業成長が連動する取り組みを推進しております。

環境への取り組みとしては、脱炭素社会と災害に強い社会の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。脱炭素社会の実現については、ヒューリックグループの使用電力を100%再生可能エネルギーとする「RE100」を2023年に達成し、今後は2029年の「全保有建物の使用電力の100%再生可能エネルギー化」の達成に向けて、再生可能エネルギー発電設備と蓄電池の開発を推進するとともに、保有するビルの環境認証の取得も進めてまいります。また、再生可能エネルギー発電設備と蓄電池の開発を通じて、外部への環境価値提供も進めてまいります。災害に強い社会の実現については、2029年までに高耐震建物比率100%の目標を掲げており、そのマイルストーンとして2025年末時点で高耐震建物比率100%(建替・売却予定等を除く)を実現しました。その他、保有建物の水害対策、富士山噴火時の降灰対策、BCPの高度化も2029年までに完遂させてまいります。

社会への取り組みとして、人的資本については人材育成のための種々取り組みを実践してまいります。健康経営・働き方改革等の取り組み、女性活躍推進法に基づく行動計画策定など、多様な人材が等しく能力を発揮できるバイアスのない職場としてまいります。一級建築士をはじめとした高い専門性を有する人材集団、一人当たり生産性の高い企業、人が育つ企業を目指してまいります。また、一層の社会的価値の創出を目指し、社会課題解決型企業のM&Aや投資を強化していくほか、地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係の強化、社会貢献活動の一層の充実も推進してまいります。

ガバナンスの取り組みとしては、2024年3月26日をもって社外取締役が取締役会議長を務める体制としております。取締役会及び監査役会はいずれも社外役員が過半数を占め、社外役員の全員が独立社外役員で構成されております。取締役会の多様性をはかるため役員の33%が女性で構成されており、社外取締役のみで構成される指名諮問委員会と報酬諮問委員会を設置するなど、引き続き透明性の高いガバナンス体制を推進してまいります。また、グループ横断のリスク管理とコンプライアンス体制の強化を通じて、連結経営を支えるグループガバナンスの強化を進めてまいります。

連結計算書類