事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項

事業の経過およびその成果
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)は、業界や地域を問わない賃金上昇に伴い、消費意欲の喚起が期待される一方で、企業業績に対する人件費増加の影響が懸念されるなど、やや不透明な経営環境となりました。このような環境において当社グループは、食の感動体験の訴求を国内外でさらに強化しました。また国内では、店舗で働く従業員の満足度を高め、人材を充足する仕組みづくりを進めました。


これらの結果、売上収益は2,682億28百万円(前期比15.6%増)と過去最高となり、本格讃岐うどん専門店の丸亀製麺、国内その他、海外事業の全セグメントで過去最高を記録しました。
事業利益(注1)は182億5百万円(前期比27.4%増)と大幅な増益となり、こちらも過去最高となりました。丸亀製麺セグメントは原材料費、人件費および水道光熱費の増加を増収で吸収し、過去最高となりました。一方、国内その他セグメントは出店に伴う費用の増加などもあり、ほぼ横ばいとなりました。海外事業においては、一部地域の市況悪化の影響もあり、減益となりました。
また、市況悪化に起因する海外事業セグメントにおける不採算店舗やのれんの減損等により、減損損失は80億66百万円となり、当第2四半期に計上した丸亀製麺の外部委託契約に関する一過性費用11億85百万円などにより、その他営業費用は29億82百万円となりました。これらの結果、営業利益(注2)は86億74百万円(前期比23.8%減)と減益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は18億74百万円(前期比65.7%減)と減益となりました。
- (注1)事業利益:売上収益-売上原価-販売費および一般管理費
- (注2)営業利益:事業利益-減損損失+その他の営業収益-その他の営業費用
事業のセグメント別の業績は、次のとおりであります。
丸亀製麺


主要な事業内容
本格讃岐うどん専門店で、各店舗に製麺機を設置して「打ち立て」、「茹でたて」を実現し、オープンキッチンでお客様の目の前で調理し、「できたて」、「手づくり」、「安心感」を感じていただける、臨場感あふれる店舗です。
丸亀製麺セグメントにおいては、お客様に選ばれ続けるためのパーセプションを形成するブランド戦略と、衝動をつくる商品戦略を組み合わせ、ブランド価値と顧客体験(CX)と従業員体験(EX)を同時にスパイラルアップさせるマーケティング戦略を展開しています。また、麺職人(注)の全店配置や人員充足をきっかけに、新たな試みを多数・矢継ぎ早に展開することが可能となりました。
季節ごとのフェア商品として、2025年1月15日から丸亀製麺の冬の季節商品の中でも1位2位を争うほどの人気商品「鴨ねぎうどん」と「牡蠣たまあんかけうどん」を同時に販売しました。「鴨ねぎうどん」は累計販売数約157万食を販売、「牡蠣たまあんかけうどん」は早期販売終了となるほどの大ヒットとなりました。また、丸亀製麺にお食事に訪れるご家族連れ、とくにお子さまにもっともっとうどんを楽しんでいただきたいという想いから開発した、もちもちの“打ち立てうどん”と“丸亀うどーなつ”“ジュース”がセットになった「丸亀お子さまもちもちセット」を1月15日から販売し、3月31日までに累計販売数120万食を突破するほど、ご好評をいただきました。3月4日からは、丸亀製麺の春の定番であり、今年で10年目の登場となる旨みあふれる「山盛りあさりうどん」、そして、完全新作となる丼からはみ出るほどの大きな豚天3枚をあわせた、ボリューム満点の、おいしさあふれる「甘辛しょうがダレのはみ出る豚天ぶっかけうどん」を販売し、3月31日までにそれぞれ累計販売数が約65万食と約74万食となる大ヒットとなりました。
また、新カテゴリーとなる商品として、うどん生まれの「丸亀うどーなつ」を2024年6月25日から全国の丸亀製麺にて販売開始しておりますが、非常に多くのお客様よりご好評をいただき、2025年3月31日までの累計販売数が1,370万食を突破しました。
一方、原材料費、人件費および水道光熱費の増加に対処するため、2025年1月15日に一部商品の価格改定を実施しました。
これらの取り組みにより、売上収益は1,281億42百万円(前期比11.6%増)と過去最高となりました。また、事業利益も過去最高の208億96百万円(前期比13.9%増)と大幅な増益となりました。
- (注)麺職人:理想的なうどんを作る専門人材で、丸亀製麺独自の人材育成システム
国内その他


主要な事業内容
「コナズ珈琲」、「ずんどう屋」、「肉のヤマ牛」、「晩杯屋」、「天ぷらまきの」、「とりどーる」、「豚屋とん一」、「長田本庄軒」、「焼きたてコッペ製パン」が含まれております。
「いちばん近いハワイ」をコンセプトとするコナズ珈琲は、季節限定フェア商品や店舗内外でのイベントによる集客に加えて、オンライン・オフラインでの情報発信やSNS活用などの強化が奏功し、客数が大幅に増加しました。2025年3月20日に福岡市内への出店となる香椎浜店(福岡)は国内トップクラスの売上となる勢いです。また、既存店の客数・客単価がともに上昇し、増収増益となりました。
豚骨ラーメンのずんどう屋は、当第4四半期に草加VARIE店(埼玉)、川崎銀座店(神奈川)および羽田空港第1ターミナル店(東京)を出店して計104店舗となり、増収となりましたが、今後の出店加速に備えたセントラルキッチンの準備費用や出店に伴う費用が増加したことなどから減益となりました。
その他の業態の店舗も出店や改装が進んだ結果、売上収益は354億12百万円(前期比24.4%増)と過去最高となりましたが、出店に伴う費用の増加などにより事業利益は44億47百万円(前期比0.1%減)とほぼ横ばいとなりました。
海外事業


主要な事業内容
「Marugame Udon」(丸亀製麺の海外ブランド)、「Tam Jai」(スパイシーヌードル)、「Franco Manca」(ピザ)、「Wok To Walk」(タイ風ファストフード)などの業態を30以上の国・地域で直営店およびFC等で展開出店しています。
海外事業セグメントにおいては、事業展開する一部地域の市況悪化の影響もあり、中間期に業績予想の下方修正を公表しました。市況が悪い中でも売上収益および収益性を改善することを企図して、2024年10月1日付で、当社海外事業本部内において、海外レストラン業態の改革を推進する部門を設立し、国内事業の高い知見を有する人材を海外に送り、繁盛店モデルづくりの強化を推進してまいりました。
商品・サービスの品質向上や生産性改善の取り組みに加えて、魅力的な商品開発やライブ感ある店頭デザイン導入により、当第3四半期以降は一定程度の売上および収益性の効果が現れてきました。また、海外事業セグメント内の事業ポートフォリオの見直しも実施しており、2025年3月31日に業績不振が続く丸亀英国事業をローカル外食企業に売却し、フランチャイズ化いたしました。
売上収益は、前第2四半期から連結したFulham Shore社の通期寄与もあり、当期は過去最高の1,046億74百万円(前期比18.1%増)と大幅な増収となりました。一方、事業利益は、当中間期までの遅れを取り戻すまでには至らず、25億24百万円(前期比7.3%減)と減益となりました。
設備投資の状況
当社グループは、販売拡大を目的として店舗展開のための設備投資を継続的に実施しており、当連結会計年度の設備投資総額は、39,266百万円となりました。
当連結会計年度は、国内におきましては、丸亀製麺で33店舗、その他で34店舗の計67店舗を直営店にて出店いたしました。
また、海外におきましては、香港、台湾、シンガポール、米国、英国等で50店舗を直営店にて出店しました。
資金調達の状況
当連結会計年度においては、自己資金に加え、主に金融機関からの長期借入145億円および転換社債型新株予約権付社債の発行219億円、ならびに既存永久劣後特約付ローンのリファイナンスとして138億円を調達し、事業資金等に充当および財務基盤強化を図りました。
対処すべき課題
2023-2028年3月期 中長期経営計画
当社グループは、名実ともにグローバルフードカンパニーとなることを目指して、「2023-2028年3月期 中長期経営計画」を策定しております。これまで、最終年度の2028年3月期の経営計画数値にはM&A計画も含めておりましたが、オーガニック成長のみの数値に見直し、また、直近の事業環境や業績状況を踏まえ、2026年3月期から3ヵ年の計画数値を更新いたしました。中長期経営計画の達成に向けて、グループ一体での業態力とマネジメント力の強化を推進してまいります。

詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しております2025年3月期決算説明資料(https://www.toridoll.com/ir/account/)をご参照ください。
財産および損益の状況

- 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ17億59百万円増加し、3,231億96百万円(前期比0.5%増)となりました。これは主に現金および現金同等物が前連結会計年度末に比べ116億44百万円増加した一方、使用権資産、無形資産およびのれんがそれぞれ前連結会計年度末に比べ75億86百万円、29億99百万円減少したことによるものです。
- 「基本的1株当たり当期利益」は、「親会社の所有者に帰属する当期利益」から当社普通株主に帰属しない金額を控除し算定しております。
- 2024年3月期において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、2024年3月期の連結財務諸表を遡及修正しております。
ご参考 連結財務ハイライト(国際会計基準)





