事業報告(2024年4月1日から2025年3月31日まで)

当社グループの現況に関する事項

事業の経過およびその成果

全般の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加や、堅調な企業業績を背景に雇用・所得環境の改善がみられ、設備投資も増加傾向になる等、景気は緩やかな回復傾向が続きました。

一方、ウクライナおよび中東情勢などの地政学リスクの長期化、各地での自然災害の発生、資源価格の高騰による物価上昇に加え、米国の関税政策をめぐる各国の政策動向による影響など、先行きはさらに不透明な状態となっております。

当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、生成AI等の新たなデジタル技術が社会や生活の中に広まりつつあり、データセンター向けサーバー等の需要増加が継続しておりますが、産業機器関連の在庫調整の長引き、EV市場の減速等もあり、需要回復の遅れがみられました。

このような状況の中、アルミ電解コンデンサ用セパレータは、産業機器および車載向け等では需要回復は鈍いものの立ち上がりが見え始め、当連結会計年度の売上高は12,249百万円(前連結会計年度比723百万円、6.3%増)となりました。

機能材は、電気二重層キャパシタ用セパレータおよびリチウムイオン電池用セパレータが増加したことから、当連結会計年度の売上高は3,784百万円(前連結会計年度比481百万円、14.6%増)となりました。

この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は16,033百万円(前連結会計年度比1,205百万円、8.1%増)となりました。

利益面におきましては、原材料価格等の高止まりによる原価率上昇の影響はありましたが、売上高の増加に伴う稼働率向上や上半期までの減価償却費の軽減などもあり、営業利益は2,460百万円(前連結会計年度比741百万円、43.1%増)、経常利益は2,445百万円(前連結会計年度比423百万円、21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,781百万円(前連結会計年度比301百万円、20.4%増)となりました。

当連結会計年度における事業セグメントの状況

対処すべき課題

当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、デジタル技術の高度化に伴うAI関連の需要の増加、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを目的とした設備投資等により、半導体・電子部品市場の需要の更なる高まりが見込まれております。当社グループの売上高に占める米国向けの販売割合が低いこと等から米国の関税政策が当社グループの直接的な取引に与える影響は軽微であると判断しておりますが、各国の通商政策の動向等により世界経済の先行きや関連市場における影響については不透明な状況であります。当社グループは今後の世界経済や関連市場の動向を注視しつつ、当社グループの強みである高品質、高信頼性の製品の拡販に努めてまいります。

主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータにつきましては、市況の回復は緩やかではあるものの、引き続き生成AI関連投資等による通信設備関連分野や車載分野での堅調な推移を見込んでおります。機能材につきましても、自然エネルギーの活用等により拡大する環境関連市場や自動車電装化の伸展にともなう堅調な推移を見込んでおります。

当社グループは、2024年11月から稼働を開始した米子工場の生産設備増設により、更なる高付加価値セパレータの量産体制が整いました。大型設備投資にともなう減価償却費の増加はありますが、製造工程、サプライチェーンの自動化・省人化の推進等による生産効率向上とコスト低減に継続して取り組んでまいります。

また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、「環境と健康に挑戦 2030」というスローガンのもと「高機能セパレータ、高機能素材の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンを策定しております。特定したESGマテリアリティにおける戦略と取り組みを検討・決定した上で策定した指標および目標を中期事業計画に反映し、目標達成に向けて取り組んでおります。長期ビジョンの実現に向けて高品質、高信頼性の製品の安定供給に努めるとともに、顧客・市場ニーズに応えるための要求特性実現や新事業の創出に向けた研究開発を推進してまいります。

連結計算書類