事業報告(2023年4月1日から2024年3月31日まで)
当社グループの現況に関する事項
事業の経過およびその成果
全般の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要や個人消費の回復、企業の生産活動の進展など経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方で、大幅な為替変動や資源価格の高騰によるインフレの長期化に加え、中国経済の停滞、ウクライナおよび中東情勢などの地政学リスクへの警戒感が高まり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、コロナ禍での在庫確保の反動による在庫調整の長期化や中国経済停滞などにより半導体・電子部品全般の需要は鈍化し、民生機器や産業機器関連の需要低迷が長引いております。一方、自動車の生産回復による関連部品の需要継続、生成AI関連の需要拡大が見込まれております。
このような状況の中、アルミ電解コンデンサ用セパレータは、車載向けは安定して推移したものの、産業機器および民生機器向け等が軟調に推移し、当連結会計年度の売上高は11,525百万円(前連結会計年度比1,923百万円、14.3%減)となりました。
機能材は、市場全体の回復が総じて鈍く、リチウムイオン電池用セパレータ等が減少したことから、当連結会計年度の売上高は3,302百万円(前連結会計年度比834百万円、20.2%減)となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は14,828百万円(前連結会計年度比2,758百万円、15.7%減)となりました。
利益面におきましては、売上高減少に伴う稼働率の低下や原材料価格等の高止まりによる原価率上昇の影響があり、営業利益は1,719百万円(前連結会計年度比1,608百万円、48.3%減)、経常利益は2,021百万円(前連結会計年度比1,511百万円、42.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,479百万円(前連結会計年度比989百万円、40.1%減)となりました。
当連結会計年度における事業セグメントの状況
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対処すべき課題
当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、コロナ禍での在庫確保の反動による在庫調整の長期化や中国経済停滞などにより半導体・電子部品全般の需要は鈍化し、民生機器や産業機器関連の需要低迷が長引いております。一方、自動車の生産回復による関連部品の需要継続、生成AIの急速な活用拡大を背景とした関連需要の拡大が見込まれております。
このような状況において、主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、生成AI関連投資等による通信設備関連分野や、車載分野での需要拡大、当期長期化した在庫調整も終息の兆しがみられることで全般的な需要の回復を見込んでおります。
機能材では、当期需要の調整局面が継続したリチウムイオン電池用セパレータ等についても回復の兆しがみられることから、需要拡大をはかってまいります。
安定供給体制のさらなる強化のため、高知県内生産拠点との同時被災リスクの低い米子工場で進めている生産設備増設投資は翌年度の稼働開始に向けて計画どおり進んでおり、車載用途など高付加価値セパレータを中心とした生産体制を早期に構築するべく取り組んでまいります。
今後も、高品質・高信頼性製品を安定供給できる当社の強みを活かした拡販や、生産効率向上によるコスト低減に継続して取り組むとともに、顧客・市場ニーズに応えるための研究開発投資等を進めてまいります。
また、当社グループは3ヵ年中期事業計画(2024年度~2026年度)を策定しました。「高機能セパレータ、高機能素材の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンのもと、中期事業計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。