第1号議案  取締役(社外取締役を除く)に対するストック・オプションとしての新株予約権に関する報酬等の額及び内容決定の件

1.提案の理由

当社取締役(社外取締役を含みます。)の報酬は、2015年3月31日開催の第15回定時株主総会において年額10億円以内と決議いただいておりますが、第20期(2019年1月1日から2019年12月31日まで)から、中長期的かつ継続的な企業価値及び株主価値の向上に資するインセンティブを与えることを目的として、当社の取締役に対する株式報酬制度を導入しております。つきましては、当該株式報酬制度に基づき、上記報酬枠とは別枠として、当社の取締役(社外取締役及び非常勤取締役を除きます。以下、本議案において同じとします。)に対し、第21期(2020年1月1日から2020年12月31日まで)において、ストック・オプションとして、以下の内容の新株予約権を割り当てることとし、当該新株予約権に関する報酬等の額を、80億円を上限として設定することにつきご承認をお願いするものであります。

本件ストック・オプションとしての新株予約権については、その割当てに際して公正価格を基準として定める払込金額の払込みに代えて、本議案によるストック・オプションとしての新株予約権に関する報酬等に基づく取締役の報酬債権をもって相殺する方法により払込みがなされることを予定しております。

当該株式報酬制度の導入にあたって、取締役の報酬制度や報酬水準の妥当性、決定プロセスの独立性、客観性及び透明性を確保するため、委員の過半数が社外取締役で構成される報酬委員会を設置し、同委員会の提言を踏まえ、本議案を付議しております。

なお、本議案の対象となる当社の取締役は、社外取締役及び非常勤取締役を除く取締役4名となります。

2.当社の取締役に対するストック・オプションとしての新株予約権の具体的な内容

(1) 新株予約権の総数並びに目的となる株式の種類及び数

(ア) 新株予約権の総数

30,240個を第21期に割り当てる新株予約権の数の上限とする。

(イ) 新株予約権の目的である株式の種類及び数

新株予約権の目的である株式の種類は当社普通株式とし、各新株予約権の目的である株式の数(以下「付与株式数」という。)は100株とする。ただし、本議案の決議の日以降、当社が当社普通株式につき、株式分割(当社普通株式の株式無償割当てを含む。以下、株式分割の記載につき同じ。)又は株式併合等を行うことにより、付与株式数の調整をすることが適切な場合は、当社は付与株式数につき合理的な範囲で必要と認める調整を行うものとする。

(2) 新株予約権の払込金額

新株予約権1個当たりの払込金額(発行価額)は、新株予約権の割当てに際して二項モデル等の公正な算定方法により算定された新株予約権の公正価格を基準として当社取締役会で定める額とする。

(3) 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、新株予約権の行使により交付を受けることができる株式1株当たりの払込金額(以下「行使価額」という。)に付与株式数を乗じた金額とする。

行使価額は、新株予約権を割り当てる日(以下「割当日」という。)の属する月の前月各日(取引が成立しない日を除く。)の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値に1.05を乗じた金額とし、これにより生じた1円未満の端数はこれを切り上げる。ただし、当該金額が割当日の終値(終値がない場合は、それに先立つ直近日における終値)を下回る場合は、当該終値とする。なお、当社が、合併、募集株式の発行、株式分割又は株式併合等を行うことにより、行使価額の調整をすることが適切な場合は、当社は行使価額につき合理的な範囲で必要と認める調整を行うものとする。

(4) 新株予約権を行使することができる期間

新株予約権者は、次の各号に掲げる期間(いずれの期間も、初日及び末日を含むものとする。以下本項及び第5項において同じ。)において、すでに行使した本新株予約権を含めて当該各号に掲げる個数を上限として、本新株予約権を行使することができる。この場合において、当該各号に基づき算出される行使可能な本新株予約権の個数につき1個未満の端数が生ずる場合には、かかる端数を切り捨てた個数の本新株予約権についてのみ行使することができるものとする。

①新株予約権の割当日の3年後の応当日から10年後の応当日まで
割当てを受けた本新株予約権の総数の20%

②新株予約権の割当日の4年後の応当日から10年後の応当日まで
割当てを受けた本新株予約権の総数の50%

③新株予約権の割当日の5年後の応当日から10年後の応当日まで
割当てを受けた本新株予約権の総数の100%

(5) 新株予約権の行使の条件

(ア) 新株予約権者は、権利行使時において、当社又は当社の関係会社の取締役の地位にあることを要する。ただし、当社又は当社の関係会社の取締役を任期満了により退任した場合又は当社の取締役会が正当な理由があると認めた場合はこの限りでない。

(イ) 新株予約権者は、当社普通株式の株価が以下の各号に定める条件を満たす場合に限り、当該各号に掲げる個数の本新株予約権を行使することができる。この場合において、当該各号に基づき算出される行使可能な本新株予約権の個数につき1個未満の端数が生ずる場合には、かかる端数を切り捨てた個数の本新株予約権についてのみ行使することができるものとする。また、当社が、合併、募集株式の発行、株式分割又は株式併合等を行うことにより、基準株価(第1号に定義する。)の調整をすることが適切な場合は、当社は基準株価につき合理的な範囲で必要と認める調整を行うものとする。なお、当社普通株式の株価が以下の各号に定める条件を満たした場合には、第4項に定める期間及び行使可能個数の上限に従い、本新株予約権を行使することができる。

①新株予約権の割当日の3年後の応当日から6年後の応当日までの間のいずれの日においても、当該日を含む直前営業日10日間(当社の普通株式の普通取引が成立しない日を除く。以下本項各号において同じ。)の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値が、7,518円(以下「基準株価」という。)を超える場合
割当てを受けた本新株予約権の総数の20%

②新株予約権の割当日の4年後の応当日から7年後の応当日までの間のいずれの日においても、当該日を含む直前営業日10日間の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値が、基準株価を超える場合
割当てを受けた本新株予約権の総数の30%

③新株予約権の割当日の5年後の応当日から8年後の応当日までの間のいずれの日においても、当該日を含む直前営業日10日間の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の平均値が、基準株価を超える場合
割当てを受けた本新株予約権の総数の50%

(ウ) その他の行使の条件は、新株予約権の募集事項を決定する当社取締役会において定めるものとする。

(6) 譲渡による新株予約権の取得の制限

譲渡による新株予約権の取得については、当社取締役会の決議による承認を要するものとする。

(7) 新株予約権のその他の事項

新株予約権に関するその他の事項については、新株予約権の募集事項を決定する当社取締役会において定めるものとする。

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【ご参考】報酬ポリシー

1.当社グループのミッション

当社グループのミッションは、「CLOSING THE DISTANCE」です。世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることで、LINEを入り口として生活の全てが完結する世界の実現を目指しています。

そのミッションを実現するための価値基準が、「WOW」という言葉に込められています。WOWとは、「ユーザーを感動させる初めての体験」であり、「思わず友だちに教えたくなるような驚き」のことです。市場をリードし、世界のパラダイムを変えるNO.1サービスには、必ずWOWが存在します。当社グループの存在意義は、常にWOWを追求し、常にNO.1に挑戦し続けること、それを通じて世の中をより豊かなものへと変革し、その社会的価値の創造を通じて、ユーザー、クライアント、取引先、従業員、株主といったステークホルダーに広く価値を提供し続けることです。

2.当社グループの戦略

2011年6月に誕生したコミュニケーションアプリ「LINE」は、コミュニケーションのパラダイムを変える、まさにWOWを体現するサービスであり、CLOSING THE DISTANCEを実現するものです。当社グループは、LINEの誕生後も、その成長を基盤として、飽くなきWOWの追求、NO.1への挑戦を通じて、様々なサービスを世に送り出してまいりました。そして、これからもその歩みを止めることなく、更なるWOWの追求、CLOSING THE DISTANCEの実現に挑戦し続けていきます。

技術革新がかつてないスピードで進行し、ユーザーのニーズや価値観は多様化しています。それは、世の中の変化を新たな価値創造のための契機と捉え、その実現に向けて挑戦を続ける当社グループにとってはこの上ない好機です。Facebook社、Amazon社、Netflix社、Google社、Apple社に代表される、高い知名度、資本力及び技術力を有するグローバルインターネット企業や、新たな価値の創造に積極的に挑戦しようとするスタートアップ企業との競争は激しさを増しておりますが、その中で、当社グループは、Fintech、AI、Blockchain等の先進的分野への積極的な挑戦を推進しています。

常にWOWを追求し、CLOSING THE DISTANCEを継続的に実現していくために最も重要な要素は、「LINER」、つまりLINEで働く人材です。烏合の衆ではなく、グローバルスタンダードにおけるトップクラスの人材が、同じ志を共有し、強固なチャレンジ精神と闘志を胸に、失敗を恐れることなく挑戦をし続けること、これこそが、これまでも、そしてこれからも、当社グループの競争力の根源であり続けます。

当社グループが競争力を維持し、更に高め、中長期的かつ継続的な企業価値及び株主価値の最大化を実現していくためには、人材の価値を最大化することが必要です。そして、国境を越えた人材獲得競争が熾烈を極める昨今において、従来の日本企業の報酬制度の枠組みでは、それを実現することはできません。

それは、グローバルスタンダードにおけるトップクラスの人材にとって十分に魅力的なものでなくてはなりません。それらの人材が常にWOWを追求し、NO.1に挑戦し続けるための強力なインセンティブとならなくてはなりません。一部の限られた対象者ではなく、等しく全てのLINERに機会が提供され、明確にパフォーマンスに応じて配分されるものでなくてはなりません。そして、全てのステークホルダーの利害とアラインし、中長期的かつ継続的な企業価値及び株主価値の最大化に強く結びつくものでなくてはなりません。

このような認識に基づき、当社は新たな株式報酬制度を導入いたしました。当該制度は、当社グループが中長期的かつ継続的に社会的価値を創造し、全てのステークホルダーに広く価値を提供し続ける根源をなすものです。

3.報酬の基本方針

LINEの力強い成長を基盤に、Fintech、AI、Blockchainといった技術革新の中で、更なる飛躍を目指す2019年12月期からの3ヵ年度は、当社グループにとって「第二の創業期」です。そして、その極めて重要な期間において、グローバルスタンダードにおけるトップクラスの人材を獲得し、WOWを追求し、NO.1に挑戦し続け、CLOSING THE DISTANCEを実現するための原動力となる報酬制度について、以下の基本方針を定めました。

(1)中長期的かつ継続的な企業価値及び株主価値の向上に資するインセンティブ

・短期的な利益水準に捉われることなく、本質的な価値(WOW)に挑戦し続け、中長期的かつ継続的な企業価値及び株主価値の最大化をKGI(Key Goal Indicator)として定め、KGIの達成に向けたインセンティブが働くものであること

・一部の限られた対象者にのみ与えられるものではなく、等しく全ての役職員に機会を提供し、明確にパフォーマンスに応じて配分されるものであること

(2)株主との利益意識の共有

・中長期的かつ継続的な株主価値の向上を実現するため、株主の利益と役職員の利益とをアラインするものであること

・株主との利益共有を図りつつも、WOWの追求、NO.1への挑戦、CLOSING THE DISTANCEの実現を通じて社会的価値を創造し、ユーザー、クライアント、取引先、従業員、株主といったステークホルダーに広く価値を提供することに資する制度であること

・短絡的・短期的な株価の上昇のための過度なリスクテイクを抑止するため、財務指標だけでなく、コンプライアンスや情報セキュリティ等の非財務的な観点を含めた多角的な評価を反映するものであること

(3)報酬ガバナンス

・従来の日本企業の枠を超えた大胆な株式報酬制度の導入に際し、欧米企業並みの独立性が担保された報酬委員会を設置すること。なお、当社取締役の報酬制度や報酬水準の妥当性、決定プロセスの独立性、客観性及び透明性を確保するため、報酬委員会の構成は、社外取締役が過半数を占めることとし、社外取締役が委員長を務める

・報酬委員会は、当社取締役に関する、報酬の基本方針、報酬総額及び報酬構成、評価基準及び同基準に基づく評価、並びに当社取締役の個別報酬額等について審議し、取締役会に対して助言・提言を行うこと

・報酬委員会は、年4回以上開催することを予定し、報酬委員会が独立的に任命する報酬コンサルタント等の各分野における専門家の助言も踏まえ、当社グループの戦略、人材の獲得やモチベーションの向上等の目的に沿った有効性や、当社取締役の報酬総額を検討する上でのベンチマーク企業との比較等、株主や投資家をはじめとするステークホルダーへの説明責任が果たせる合理性について複合的な観点から検討を重ねること

・株主や投資家をはじめとするステークホルダーに対して積極的な開示及びエンゲージメントを行うこと。また、ステークホルダーから得たフィードバックのうち、中長期的かつ継続的な企業価値及び株主価値の最大化に資するものについては、報酬委員会の議論に反映させること

・報酬委員会は当社取締役の報酬に係る評価に際し、企業価値及び株主価値の向上に関する成果に対する評価に加え、ESG(災害時支援やプログラミング教育等)等の定性的な評価についても議論を行い、当社取締役の個別報酬額についても検討・議論を行った上で取締役会に対して助言・提言する権限を有し、取締役会はその助言・提言内容を最大限に尊重して意思決定を行うこと

4.報酬制度の概要

社内取締役の報酬は、「基本報酬」、「賞与」及び「株式報酬」で構成されます。また、社外取締役の報酬は、「基本報酬」及び「株式報酬」で構成されます。

<基本報酬>

各社内取締役の役割と責任に応じて金銭報酬額を決定し、その一部を基本報酬として月次支給します。CEOを中心としたLINE経営チームとしての一体感を重視する考えは、金銭報酬額に反映させるものとします。

<賞与>

上記の金銭報酬額のうち、一部を賞与として支給するもので、業績連動報酬ではありません。社内取締役が、その在任期間中に、当社グループに損害を及ぼす重大な不適切行為を行った場合には、報酬委員会の審議を踏まえ、当社取締役会の決議により、当該取締役に対する支給を制限できるようにするため、金銭報酬の一部を繰り延べて賞与として支給するものです。

<株式報酬>

中長期的かつ継続的に社会的価値を創造し、全てのステークホルダーに広く価値を提供し続ける根源をなすものとして、当社は株式報酬制度を導入しています。その概要は以下のとおりです。なお、当該制度は報酬委員会に諮問した上で、報酬委員会の助言・提言を踏まえ、当社取締役会において決定しております。当該制度の導入を通じて、当社取締役の報酬においては、金銭報酬に対して株式報酬の割合が大きく向上する見通しです。

①2019年12月期から3ヵ年度に係る当社グループの役職員の貢献に対して、各期について、発行済株式総数の概ね3.6%程度のストック・オプション又はその他の株式報酬を発行し、付与します。行使可能期間は、ストック・オプション又はその他の株式報酬のために必要な株式を発行するための株主総会又は取締役会決議の日から3年後以降とし、当社グループの役職員として勤続していることを行使の条件とします

②ストック・オプションの行使価額は、発行時における当社株価に対して、概ね5%程度のプレミアムを上乗せした価額とします

③2019年12月期から3ヵ年度において、社内取締役に対しては、毎期、上記①にある発行済株式総数の概ね3.6%のうち、1.26%程度のストック・オプションを発行し、付与します。社内取締役に付与するストック・オプションについては、行使条件として株価条件を付すことにより、株主価値の向上が実現しない限り、株式価値の希薄化に伴う株主価値の毀損を最大限抑制する設計とします

④当社取締役 慎ジュンホに対しては、コミュニケーションアプリ「LINE」を生み出し成長させてきた実績に加え、Chief WOW Officer(CWO)として当社グループの革新的なサービス提供及びイノベーションの推進において極めて重要な役割を担うことを踏まえ、2019年12月期から3ヵ年度において、毎期、上記①にある発行済株式総数の概ね3.6%のうち、0.9%程度のストック・オプションを発行し、付与します

⑤当社取締役が、その在任期間中に、当社グループに損害を及ぼす重大な不適切行為を行った場合には、報酬委員会の審議を踏まえ、当社取締役会の決議により、当該取締役に対して、ストック・オプションの行使を制限又はストック・オプションの行使により取得した報酬の返還を請求することができるような設計とします

⑥社外取締役に対しては、株主との利益共有の促進や業務執行における迅速果断な意志決定へのサポートを通じた中長期的かつ継続的な株主価値の向上に対する貢献は勿論のこと、業務執行とは完全に独立した立場から、業務執行における過度なリスクテイクを抑制することも期待されます。これらを踏まえ、社外取締役には、行使条件として株価条件を付さない非業績連動型のストック・オプション又はその他の株式報酬を、適切な範囲で発行し、付与します

※本株式報酬は当社の株主総会において、必要な事項についての承認が得られることを条件とします

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