事業報告(2024年1月1日から2024年12月31日まで)

企業集団の現況

当事業年度の事業の状況

事業の経過及び成果

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって緩やかに回復することが期待されています。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国経済における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況になっております。

インターネット広告の市場規模は3兆3,330億円となり、「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」を合計した「マスコミ四媒体広告費」の2兆3,161億円を大きく上回り(注1)、日本国内のDX市場は中長期的な拡大を続け、2030年には8兆350億円の規模にまで成長すると予測されております(注2)。また、人材不足の課題はより一層深刻になることが予測され(注3)、DXの実現が企業の事業継続の根幹に関わる時代が訪れようとしています。このように、事業変革をもたらすマーケティング領域でのDXが重要性を増す中、当社グループが提供する、デジタル上の顧客体験を改善して事業成長を支援する「攻めのDX」のニーズもますます高まると想定され、当社グループの事業機会はさらに拡大していくものと考えています。

このような経営環境の中、当社グループは、グループシナジーの追求や商品ラインナップの強化、クロスセルの強化など顧客単価向上に向けた取り組みを行いました。

特に、生成AIの登場によって、「顧客体験」と「業務プロセス」のDXをAIが接続する時代が到来しようとしており、DXの費用対効果を飛躍的に向上できる可能性が高まりつつあり、当社グループにおいてもそうした動向をいち早く捉え、「ワンストップで解決できる」体制の整備に努めてまいりました。2024年10月には、当社グループでこれまで培ったノウハウと技術を結集し、生成AIを活用した新たなAIサービスラインナップの提供を開始しました。

また、子会社である㈱ディーゼロにおいては、アクセシビリティへの取り組みを強化し、コーディングガイドラインの提供や、行政や自治体でのWebアクセシビリティ対応を担当するなど、アクセシビリティ分野でのポジションを高めつつあります。

これらの取り組みにより、当社グループ全体の連結売上高は成長基調を維持しております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,523,816千円(前連結会計年度比4.2%増)、営業損失28,549千円(前連結会計年度は25,661千円の営業損失)、経常利益6,449千円(前連結会計年度比44.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失171,975千円(前連結会計年度は21,696千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

出典
  • (注1)㈱電通「2023年 日本の広告費」
  • (注2)㈱富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」
  • (注3)内閣府「令和5年版高齢社会白書」

セグメント別の状況

売上高
前期比 %減
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売上高構成比率 %

(単位:

グロースセグメントは、マーケティング領域における企業のデジタル活用が進む中、これまでのWebサイト改善や動画制作だけではなく、子会社である㈱ディーゼロによるWebサイト制作やCRMの改善など顧客の課題に合わせたトータル提案に注力した結果、大手顧客を中心にクロスセルが進み、顧客単価が向上しましたが、一部のプロジェクトの契約更新遅延等が業績に影響を及ぼす結果となりました。

この結果、売上高は2,368,039千円(前連結会計年度比0.6%減)、セグメント損失は87,037千円(前連結会計年度は111,316千円の損失)となりました。

売上高
前期比 %増
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売上高構成比率 %

(単位:

トランスフォーメーションセグメントは、DXに関するコンサルティングやワークショップ及び2022年10月に子会社化した㈱ハイウェルの行う事業により売上が構成されております。グロースセグメントと同様に大手顧客に向けたトータル提案を積極的に行い、DXコンサルティングを軸に顧客単価が向上し、業績拡大を続けております。

この結果、売上高は2,155,777千円(前連結会計年度比10.0%増)、セグメント利益は58,487千円(前連結会計年度比31.7%減)となりました。

設備投資の状況

イ.当連結会計年度中に完成した主要設備
当連結会計年度中において実施いたしました設備投資の総額は49,101千円であります。その主な内容は、弊社がお客様に提供しているソフトウェアプラットフォームへの設備投資となります。

ロ.当連結会計年度において継続中の主要設備の新設、拡充
該当事項はございません。

ハ.当連結会計年度中に実施した重要な固定資産の売却、撤去、滅失
該当事項はございません。

資金調達の状況

運転資金の効率的な調達を行うため金融機関とのコミットメントライン契約500,000千円を締結しております。当連結会計年度末の実行残高はありません。
また、㈱ハイウェルの株式の当初取得資金のリファイナンス及び追加取得資金として金融機関より長期借入金410,000千円の調達を行いました。

他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得又は処分の状況

2024年10月31日付で㈱ハイウェルの株式を追加取得し、議決権比率を100%といたしました。

重要な子会社の状況

対処すべき課題

当社グループでは、以下の事項を主要な課題と捉えております。

① クライアントあたりの取引単価向上

当社グループが今後も持続的な成長を実現していくためには、クライアントあたりの取引単価向上が戦略的に重要だと考えております。引き続き高い成長が見込まれるマーケティングのDX化の領域において、多様な業種の大手クライアントに対し、コンサルティング力を最大限に活かしつつ、デジタル上の顧客体験の改善に向けて一層充実したサービスを幅広く提供していくことにより、国内におけるDXニーズを的確に捉えてクライアントとの関係強化を図り、クロスセルをさらに積極的に推進することで、クライアントあたりの取引単価向上を目指してまいります。

② 生成AIを活用したソリューションの開発・拡充

生成AIの登場により、マーケティングのDXのROIを飛躍的に向上させる可能性が高まっています。当社グループでは、そうした可能性を最大限引き出すために、硬直化した組織では採用・活躍しづらい多様な人材をプラットフォーム上に集め、タイムリーにプロジェクトにアサインし、そして、新たなテクノロジーをいち早く見出して試行し、迅速に利活用することを同時に強力に推進していくことで、クライアントのビジネスニーズにマッチした生成AIソリューションを開発し、拡充していくことに積極的に取り組んでまいります。

(注)生成AI…
生成AIは、人工知能を活用し、テキストや画像、音声などのコンテンツを自動生成する技術であり、業務効率化や創造的作業の支援に活用される。

③ システムの安定性強化

当社グループは、インターネットを介したサービスを展開していることから、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、突発的なアクセス増加にも耐えられるようなサーバー設備の強化や、そのための人員確保、教育・研修などを継続的に行ってまいります。

④ 情報管理体制の強化

当社グループは、グロースハッカーの個人情報を保有しており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。

⑤ 人事制度の拡充と内部統制及びコンプライアンス体制の強化

当社グループは、今後更なる事業拡大を推進するにあたって、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度や福利厚生等の人事制度の拡充に努めながら、業務遂行能力、当社グループの企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、様々な分野で活躍できる優秀な人材の採用に取り組んでおります。

また、当社グループは、持続的企業価値向上と透明性の高い健全な経営を実現することを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、内部統制及びコンプライアンスの強化に取り組んでおります。関係法令・規則の遵守、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指し、社内教育を行ってまいります。また、代表取締役を委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置して、コンプライアンス上の重要な問題を審議し、その結果を取締役会に報告する体制を取っており、これを適切に運用することによりコンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図っていく方針であります。

直前3事業年度の財産及び損益の状況

主要な事業内容(2024年12月31日現在)

連結計算書類