事業報告(2025年4月1日から2026年3月31日まで)
経営の基本方針
経営理念および行動準則
積水化学グループは、経営に対する理念を体系化しています。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されています。
(1) 社是「3S精神」
当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、「水」という文字をかたどったものです。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定しました。
「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、全社員の間で、しっかりと共有されています。
<社是「3S精神」>
(2) グループビジョン
積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通じて社会に貢献することを目指しています。
地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指しています。
<グループビジョン>
積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。
(3) 積水化学グループ 企業行動指針
積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指しています。
<企業行動指針>
- 1 社会の発展に役立つ事業活動を行う。
- 2 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。
- 3 お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。
- 4 あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。
- 5 よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。
グループビジョンを実現するための経営戦略
積水化学グループは、社是「3S精神」の下、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪として成長していくため、長期ビジョン「Vision 2030」、ならびに2026年度から2028年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Accelerate 2028」を策定し、以下の取り組みを推進しています。
(1) 長期ビジョン「Vision 2030」
長期ビジョン「Vision 2030」では、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げています。イノベーティブモビリティ、レジデンシャル、アドバンストライフライン、ライフサイエンスの4つの事業領域と、新規領域としてネクストフロンティアを設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙います。
<長期ビジョンの全体像>
<ESG経営>
積水化学グループは、「サステナブルな社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる以下の3つのステップをステークホルダーとともに取り組んでいます。
①環境・CS品質・人材の「3つの際立ち」と「ガバナンス」の磨き上げ
②3つのアプローチ(量を増やす・質を高める・持続的に提供する)で社会課題解決を加速
③4つの事業領域で「未来につづく安心」の創出・拡大
このESG経営を加速するため、当社グループ主要施策について中長期目標を定め、重大インシデントにつながるリスク軽減に向けた取り組みや、人的資本に始まる無形資本を増強することで、環境などの社会課題解決を進めていきます。
ESG経営概念図
(2) 中期経営計画「Accelerate 2028」
長期ビジョンの第3フェーズとなる中期経営計画「Accelerate 2028」では、積水化学グループの業容倍増に向け、“事業戦略”と“基盤強化”の両輪で、攻めのESG経営を実践し、長期ビジョンの実現に向け“一気に加速”することを基本方針とし、仕込み成果創出・稼ぐ力の継続強化と、ESG経営基盤の継続強化に取り組み、企業価値の向上を推進します。
<中期経営計画「Accelerate 2028」の全体像>
<中期経営計画の数値目標>
- 「純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」を表しています。
- 2026年度の計画については招集ご通知の53ページに記載のとおりです。
<基本戦略>
中期経営計画「Accelerate 2028」の基本戦略は、攻めのESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させていくために、長期ビジョンの第3フェーズとして“事業戦略”と“基盤強化”に取り組み、長期ビジョンの実現に向けて、成長を加速させることにあります。
事業戦略(仕込み成果創出・稼ぐ力の継続強化)
戦略領域マップにもとづくサステナビリティ貢献製品の拡大と創出
基盤強化(ESG経営基盤の継続強化)
持続成長と仕込み成果創出へ貢献拡大
<投資・財務戦略>
中期経営計画「Accelerate 2028」の3年間に獲得するキャッシュに加え、適切かつ機動的な資金調達を行うため、投資枠7,000億円を設定します。設備投資枠(戦略投資+通常投資)として4,000億円、M&A投資枠として3,000億円をそれぞれ設定し、市場開拓に伴う増産投資や、M&Aによる技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用します。また、サステナビリティ貢献製品の継続的創出のための研究開発費は、1,550億円を設定しています。
<株主還元>
中期経営計画「Accelerate 2028」では、株主の皆様への持続的かつ安定的な株主還元を強化することを表明するため、DOE(自己資本配当率)を前中期経営計画の3%以上から、3.5%以上に変更することに加えて、累進配当(原則として減配せず、配当を維持もしくは増配を続ける配当政策)を導入いたします。連結配当性向は40%以上、総還元性向50%以上(ネットD/Eレシオ(負債資本倍率)が0.5以下の場合)とし、安定的な配当政策を継続いたします。
(3) 気候変動課題への取り組み
積水化学グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、その解決に積極的に取り組んできました。2018年、2℃目標ベースのGHG(Greenhouse Gas:二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス)削減ロードマップをベースに化学業界初となるSBT認証(注)を取得しましたが、2022年にはマイルストーンの前倒し達成を受け、1.5℃目標ベースのロードマップへと見直し、SBT認証を再取得しました。この目標とは2030年にGHG排出量削減率についてはScope1+2を2019年度比で50%減、Scope3を2019年度比30%減とするものです。これまでは老朽設備更新の促進などの「エネルギー消費革新」、購入電力の再生可能エネルギー(以下「再エネ」)転換や自家消費型太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」を進めてきました。
現在は、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換の促進、さらには「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みも進めており、中長期のGHG排出量削減目標の達成を目指します。
(注)SBT(Science Based Targets)認証:企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策への貢献と科学的に整合していると、国連グローバル・コンパクトをはじめとする共同イニシアチブにより認証されたもの
・GHG排出量削減目標
- 1.Scope1:
- 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
(燃料の燃焼、工業プロセス)
- 2.Scope2:
- 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
- 3.Scope3:
- Scope1、Scope2以外の間接排出
(事業者の活動に関連する他社の排出)
2023年度から開始した中期経営計画において、最終年度である2025年度は以下の目標を目指して取り組みを進めました。
【脱炭素化】
GHG排出量削減率(Scope1+2) ▲36%(基準年2019年度)
購入電力の再エネ比率 70%
2025年度のGHG排出量の削減は、電力の再エネ転換が進み、計画どおり進捗しました。グループ全体における購入電力の再エネ比率についても計画通りに進捗しています。
(4) 資源循環の実現に向けた対応
積水化学グループは2050年にサーキュラーエコノミーを実現し、持続可能な社会を目指しています。この長期ゴール実現のために2020年度に下記の資源循環方針を定めました。
- 資源循環に関するイノベーションを推進する
- 事業活動で使用する非化石由来および再生材料の使用を拡大する
- ライフサイクルにおいて排出される廃棄物においてはマテリアルへの再資源化を最大化する
2023年度から開始した中期経営計画において、最終年度である2025年度は以下の目標を目指して取り組みを進めました。
【再資源化の促進】
廃プラスチックのマテリアルリサイクル率(国内)65%
2025年度は、工場から排出される廃プラスチックに対して、既存技術の活用によるマテリアルリサイクルの水平展開に加え、難リサイクル材に対しての新しいリサイクル技術の検討が進みました。今後は実装に向けて検討を進めます。
さらに、真のサーキュラーエコノミーの実現をめざし、使用する原料について、再生可能もしくはバイオマス由来の原料など循環可能な資源に転換する取り組みも加速します。
(5) サステナビリティ貢献製品による持続可能な開発目標(SDGs)への貢献
気候変動や資源循環などの社会課題が深刻化し、企業に対しては持続可能な社会の実現への貢献を求める声が高まっています。積水化学グループにおいても、さまざまな製品や事業を通じて、2030年までに世界が成し遂げるべき「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた企業活動を推進しています。
このSDGs達成を後押しするのがサステナビリティ貢献製品です。自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった、SDGsをはじめとする自然環境および社会環境における課題解決への貢献度が高い製品をサステナビリティ貢献製品と認定しています。「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造する」企業として、サステナビリティ貢献製品の創出と市場における拡大を通じ、SDGsをはじめとする社会課題解決への貢献と企業としての更なる成長を目指します。このことはサステナビリティ貢献製品の売上高の伸長をモニタリングすることで確認しています。
SDGsにおいても特に重要と位置付ける気候変動および資源循環関連の課題解決を加速するために、2026年2月には、低炭素と循環型の製品設計への移行を宣言する「環境配慮設計指針」を公開しました。この指針を運用し、既存の製品設計や新しい製品の企画開発の要求品質とすることで、社会要請に対応可能で訴求力のあるサステナビリティ貢献製品を創出していきます。
『未来につづく安心』を創造する今後のサステナビリティ貢献製品としては、フィルム型のぺロブスカイト太陽電池やCO2固定化技術などがあり、社会実装をめざし、実証・スケールアップなどを行っている段階です。
(6) 人的資本経営の取り組み
積水化学グループは人材理念に「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」と定め、人的資本を企業価値向上の源泉と位置づけています。長期ビジョンの実現、ならびに全員が挑戦したくなる活力ある会社の実現に向け、2023~25年度は「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を人事戦略に掲げています。役割軸の人事制度や挑戦の促進など、人材マネジメントの転換に向けて各種施策を展開することとあわせ、従業員のキャリア拡大支援ならびにグループ各社の人員確保(労働条件の改善、人員の補強、働く環境の整備)を意図して、人的資本への投資に積極的に取り組んでいます。
-
①挑戦する風土の醸成
重点KPI:挑戦行動発現度。『挑戦の“場づくり”』としては、人材公募などを通じてチャレンジ機会を提供するとともに、『挑戦の“後押し”』としては、挑戦風土の醸成やキャリア自律を促進しています。 -
②適所適材の実現
重点KPI:後継者候補準備率。『次代を担うリーダー育成』としては、全社をあげて後継者候補の認定・登用および計画的育成に取り組むとともに、『際立つプロ人材確保』としては、高度専門人材の確保および事業ニーズに即したリスキルを実施しています。 -
③ダイバーシティの実現
重点KPI:定着率。『多様な人材の活躍』としては、多様な人材の雇用と定着促進、DEI(Diversity・多様性、Equity・公平性、Inclusion・包括性)の推進および両立支援、『活力あふれる環境づくり』としては、働き方改革ならびに健康経営を推進しています。
このような人事戦略のさまざまな取り組みが評価され、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に選定、「プラチナくるみん」「健康経営優良法人ホワイト500」に認定されました。
積水化学グループの現況に関する事項
事業の経過およびその成果、対処すべき課題
積水化学グループ2025年度の業績
積水化学グループの長期ビジョン「Vision 2030」に基づき策定した、中期経営計画「Drive 2.0」の最終年度となる2025年度の事業環境は、国内住宅・非住宅市況の低迷が継続した一方で、半導体、航空機の市況が堅調に推移し、売上高は過去最高を更新しました。
住宅事業を始めとする高付加価値品へのシフトは進捗しましたが、EV市場の伸長鈍化や、海外における重点感染症検査キットの需要減等の影響により、営業利益は減益となりました。経常利益は主に為替差益により増益し、過去最高を更新しました。当期純利益は主に減損損失計上の影響により減益となりました。
2025年度の連結業績につきましては、売上高は前年度比0.9%増の1兆3,092億円、営業利益は1.4%減の1,064億円、経常利益は5.6%増の1,172億円、親会社株主に帰属する当期純利益は8.2%減の751億円となりました。
2026年度の計画概要
2026年度は、中期経営計画「Accelerate 2028」の初年度として、引き続き稼ぐ力を強化し、資本効率の向上に取り組みます。
先行き不透明な市場環境が継続する中、社会課題解決に資する高付加価値事業・製品販売の拡大、スプレッドの維持に努め、すべてのセグメントで増収増益し、全社での過去最高売上高、営業最高益の更新を目指します。
これらの取り組みにより、売上高は前年度を991億円上回る1兆4,084億円、営業利益は前年度を85億円上回る1,150億円、経常利益は前年度を32億円下回る1,140億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度を8億円上回る760億円を目指します。
また、フィルム型ペロブスカイト太陽電池事業においては、1メートル幅での製造技術や金属屋根を対象とした設置仕様を確立したことから、事業化(製品提供)を開始しました。2027年度の100MW生産ライン立ち上げによる供給量拡大を最優先事項として取り組んでいきます。
なお、中東情勢の悪化による原材料調達の影響については、状況を注視しつつ、必要量の確保に努めるとともに、調達先の分散や代替品等のヘッジ策を進めていきます。また、価格上昇に対しては、販売価格への速やかな転嫁等により、影響の最小化を図っていきます。
株主の皆様におかれましては、持続的な成長を目指す積水化学グループに、引き続き、厚いご支援を賜りますようお願いいたします。
事業区分別の概況
住宅カンパニー
住宅カンパニー2025年度の業績
新築住宅市況の低迷により住宅事業の売上棟数が減少しましたが、構成良化による棟単価上昇とリフォーム事業の伸長により、売上高は前期をやや上回り、前年度比2.3%増の5,362億円となりました。また、営業利益は、前年度比17.9%増の371億円となり、増収、大幅増益となりました。
住宅事業では、集合住宅と高価格帯戸建の拡大による棟単価上昇が大きく貢献し、売上高は前期を上回りました。住宅ローン金利上昇や、物価上昇等の影響により地方部での受注回復が鈍く、受注棟数は前期を下回ったものの、都市部での需要が堅調に推移したため、受注金額は前期を上回りました。
リフォーム事業では、営業力強化と定期診断の充実により受注金額が拡大し、売上高は前期を上回りました。
レジデンシャル事業では、賃貸管理戸数の増大と買取再販の伸長に加え、新規連結効果もあり売上高は前期を上回りました。
2026年度の計画概要
2026年度は、住宅事業の新商品投入による商品ラインアップ強化、リフォーム事業の商材メニュー強化と外販受注の拡大、レジデンシャル事業の賃貸管理戸数の増大等により、増収増益を目指します。
住宅事業では、商品ラインアップ強化による売上棟数の増加により増収を狙います。受注については、都市部では、引き続き集合住宅と高価格帯戸建の受注拡大を狙い、地方部では、新商品投入と各エリアのニーズに応じた販売戦略を推進し、金額の増加と棟数の回復を図ります。
リフォーム事業では、断熱リフォームを中心とした商材メニューの強化と営業体制強化による外販受注の拡大により増収を狙います。
レジデンシャル事業では、引き続き賃貸管理戸数の増大と買取再販の拡大に注力するとともに、マンション竣工物件の確実な引渡しにより増収を狙います。
TOPICS
当社最高水準の「デザイン×住性能×住空間」を備えた新・フラッグシップモデル『ELVIA(エルビア)』を発売
『ELVIA(エルビア)』外観イメージ
鉄骨戸建て注文住宅の新フラッグシップモデルとして『ELVIA(エルビア)』を、2025年10月より全国(沖縄、一部離島を除く)で発売しました。
本商品は、ハイエンド層への提案を強化するため、上質で自分らしい住空間を創出するデザインと性能を高いレベルで両立しています。デザイン面では、ボックス型の構造体が生む建築美を生かした水平垂直ラインが際立つ外観と、普遍的で飽きのこない内装コンセプトを導入。
性能面では、当社最高水準の耐震性・断熱性を備えるほか、新開発の空調システム「AirLax(エアラクス)」で快適な空気環境も実現します。
住まい手に時を超えて長く調和する心地よい暮らしを提供するとともに、昨今頻発する自然災害への安心やカーボンニュートラル社会にも貢献し、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速していきます。
環境・ライフラインカンパニー
環境・ライフラインカンパニー2025年度の業績
国内住宅・非住宅市況の低迷が継続したことによる影響を受けましたが、国内事業を中心としたスプレッド維持等によりカバーし、売上高は前年度と概ね同額の2,404億円、営業利益は前年度比1.3%増の232億円となり、4期連続で過去最高益を更新しました。
パイプ・システムズ分野では、国内非住宅市場の工期長期化により販売数量が減少し、また、インド市場低迷が継続したことにより塩素化塩ビ(CPVC)樹脂が影響を受け、分野全体の売上高は前期を下回りました。
住・インフラ複合材分野では、耐火・不燃材料の新規採用および新製品拡販が順調に進捗し、また合成木材(FFU)まくらぎが欧州を中心に採用拡大した結果、分野全体の売上高は前期を上回りました。
インフラ・リニューアル分野では、管路更生については、国内下水道の全国重点調査による更新需要が徐々に発現し始めたほか、海外でも順調に受注が拡大しました。また、工場設備の大型物件受注も順調に進んだことから、分野全体の売上高は前期を上回りました。
2026年度の計画概要
2026年度は、人的資本投資や能力増強等により固定費が増加しますが、引き続きFFUまくらぎ、管路更生、CPVC樹脂を中心とした海外売上高の増加と重点拡大製品の拡販、スプレッド確保の継続により増収増益を図り、5期連続の最高益更新を目指します。
パイプ・システムズ分野では、引き続き重点拡大製品の拡販、スプレッド確保、CPVC樹脂の新製品拡販および販売エリア拡大に注力します。
住・インフラ複合材分野では、耐火・不燃材料の用途拡大による拡販を加速させます。またFFUまくらぎは、順調に採用が拡大している欧州に加え、米国での拡大にも注力します。
インフラ・リニューアル分野では、管路更生においては、国内下水道の全国重点調査を受けて発現する物件の獲得、海外でのマーケティング強化による受注拡大に取り組みます。また給水用パネルタンクの拡販と更新需要の獲得に注力します。
TOPICS
非開削で老朽水道管を更生するパイプインパイプ工法専用管新登場!
非開削で老朽水道管を更生するパイプインパイプ工法専用管「エスロハイパーJW PINP」を新開発、2025年10月より発売を開始しました。
全国の水道管(総延長約74万km)のうち、法定耐用年数を経過した管路は現在約17.6万km、さらに今後急増していくと言われていますが、現在の更新率は年間でわずか0.64%、すべての水道管を更新するには130年以上かかる想定です。老朽水道管の更新が進まない要因としては、自治体での財源の確保が厳しいこと、開削工事が難しい区間の存在、工事業者の不足などが挙げられます。
耐震型高性能ポリエチレン管「エスロハイパー」は1996年に日本で初めて発売以降、これまで数々の地震において「被害ゼロ」を続けています。非開削での老朽水道管路更生の専用管を新たに品揃えすることでこれらの課題を解決し、更新の促進に貢献します。
高機能プラスチックスカンパニー
高機能プラスチックスカンパニー2025年度の業績
モビリティ分野における高機能中間膜の着実な伸長等により、売上高は前年度比2.1%増の4,565億円となりましたが、一時費用の影響を受け、営業利益は前年度比3.1%減の593億円となり、増収減益となりました。
エレクトロニクス分野では、引き続き旺盛な半導体市況ならびにディスプレイ市況を背景とした需要の取り込みや、新規獲得が順調に進捗したことにより、売上高は前期を上回りました。
モビリティ分野では、ヘッドアップディスプレイ用中間膜の伸長や、航空機関連需要の取り込み、ドローン等の新規分野の拡大により、売上高は前期を上回りました。
インダストリアル分野では、省力化・環境対応製品が伸長し、センサー、ケアマテリアル関連製品の新規獲得が進捗したものの、欧州や日本での建築・消費財需要の低迷等を受け、売上高は前期を下回りました。
2026年度の計画概要
2026年度は、モビリティ分野を中心に、すべての分野で売上高拡大を図ります。事業拡大に向けた開発等、成長戦略に関わる費用増はありますが、カンパニー全体では増収、大幅増益、最高益更新を目指します。
エレクトロニクス分野では、半導体市況やディスプレイ市況が引き続き堅調に推移すると想定しており、旺盛な半導体市場を中心に、新規顧客の開拓及び新用途の獲得に注力します。
モビリティ分野では、ヘッドアップディスプレイ用を中心とした高機能中間膜の拡販や、回復基調にある航空機関連需要を取り込むとともに、引き続きドローンを始めとした新分野開拓を推進します。
インダストリアル分野では、成長領域と定めている省力化製品や環境対応製品の拡販を継続します。
TOPICS
インド・プネに車輌内外装向け射出成形工場を新設
~インド6番目の工場により事業を拡大~
2025年6月、当社はインド西部のマハーラーシュトラ州プネにおいて、車輌射出成形品の生産・販売を行う合弁会社SEKISUI DLJM MOLDING PRIVATE LIMITED(以下「セキスイDLJMモールディング」)のインドにおける6番目の工場を新設することを決定しました。
当社の高機能プラスチックスカンパニーは、戦略分野の一つであるモビリティ分野において射出成形事業を主要事業の一つと位置付けています。インドにおける同事業の拡大を目的として、2011年8月にセキスイDLJMモールディングを設立し、事業を開始しました。以降、インドにおけるモータリゼーションの進展を背景に事業エリアを拡大しています。今回、多くの自動車メーカーが集中し、成長が期待されるプネエリアで新工場の設立を決定しました。これにより、インドにおける生産能力を約15%増強させ、さらなる事業拡大を図ります。
主な生産品:車輌向け射出成形品(塗装・メッキ・アッセンブリー対応)
四輪・外装部品
外装塗装部品
(二輪・カウル)
アッセンブリー部品
(四輪・エアコンエアベント)
外装メッキ部品
メディカル事業
2025年度は、医療事業は堅調に推移しましたが、米国における重点感染症検査キットの需要減、ならびに中国での市況低迷の影響を受け、検査海外が苦戦したため、売上高は前年度比5.5%減の937億円、営業利益は前年度比13.0%減の111億円となり減収減益となりました。
2026年度は、検査国内および医療事業での新規案件獲得に注力するとともに、厳しい市況が継続すると見込む検査海外での収益性改善を引き続き推進することにより、増収増益を目指します。
新規事業の取り組み事例
フィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」の事業開始
当社は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品設計・製造・販売を担う積水ソーラーフィルム株式会社(代表取締役社長:上脇 太、以下「SSF」)とともに事業化・製品開発に取り組んでまいりましたが、現有設備による製造技術の確立と金属屋根を設置対象とする製品および設置仕様の事業化準備が完了しましたので、このたび事業開始を決定し、お客様への供給に向けた具体的な協議を2026年3月から開始しました。
・事業化の概要
金属屋根に設置する製品の提供は、以下の①②を対象にいたします。
- ① 環境省2025年度公募の「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された以下の自治体・事業者
さいたま市、滋賀県、西日本高速道路株式会社、福岡県、福岡市 - ② 東京都の「都有施設へのAirソーラー先行導入事業」
・今後の展開
2026年度は、現有設備による限定的な生産量となりますが、可能な限りの製品提供を進めてまいります。
当社とSSFは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の社会実装の普及拡大に向け、2027年度の100MW規模生産ラインの立ち上げによる供給量拡大を最優先事項として取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
1メートル幅のフィルム型
ペロブスカイト太陽電池
フィルム型ペロブスカイト太陽電池
「SOLAFIL」