事業報告(2024年7月1日から2025年6月30日まで)

会社の現況に関する事項

事業の経過および成果

当社は、抗がん剤の基礎研究および臨床開発、ならびにそのために必要な提携パートナーの獲得活動に取り組んでいます。

当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、過去の臨床試験で得られたデータの詳細解析からわかった「がん微小環境」「がん免疫」「がん幹細胞」などに関わる多様な作用を踏まえ、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床試験を実施しています。現在は膵臓がん3次治療を対象とした臨床第2相試験を終え、欧州での臨床第3相試験開始に向けた申請と準備を進めています。

2つ目の候補化合物CBS9106については、ライセンス先であった米国 Stemline Therapeutics, Inc.が臨床第1相試験を完了した後、2025年6月、開発および商品化に関するすべての権利が当社に返還されました。今後当社は、追加で実施する基礎研究の成果や会社の財務状況などを勘案して、 開発方針を検討していく方針です。

さらに当社は、これらの2つの候補化合物の後続パイプラインとなる新規候補化合物の探索・創出に向けて、当社独自の薬剤スクリーニング法による探索研究と、CBP501に関する新たな知見を基にした「次世代CBPプロジェクト」からの創出に取り組み、また、東京大学医学部附属病院、ファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)らと共同研究を進めています。これらの取り組みから当社は現在、CBT005、CBP-A08、IDO/TDO阻害剤など複数の次世代パイプラインを有しています。

以上の結果、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出に臨床第3相試験準備を含むCBP501臨床試験費用ならびに次世代プロジェクト関連支出が加わり、前年度比163,492千円減少の820,000千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比11,014千円増加の289,562千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比152,478千円減少し、1,109,563千円となりました。

この結果、営業損失は1,109,563千円(前事業年度営業損失1,262,041千円)となり、営業外費用として為替差損42,342千円を計上したことなどにより経常損失は1,156,668千円(前事業年度経常損失1,208,349千円)、当期純損失は1,157,918千円(前事業年度当期純損失1,209,599千円)となりました。

対処すべき課題

当社は、独自の創薬エンジンを基に技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、パイプラインによっては承認申請までのすべての臨床試験を当社のリスク負担で実施し、併せて必要に応じて提携パートナーの獲得も模索して中長期的な企業価値の最大化を図る「創薬パイプライン型」開発による付加価値の高いビジネスモデルを志向しています。

このために当面対処すべき経営課題を以下のとおり認識し、それぞれ対応を実施しています。

  • ・CBP501の臨床試験推進による企業価値向上
  • ・中長期的な企業価値の源泉となる創薬エンジンの改良・充実、新規化合物パイプライン獲得、開発推進
  • ・現時点で安定的な収益源がないこと、一方で研究開発費用の先行投資は必須であることから継続的に営業損失を計上していることを踏まえた、製薬企業等との提携の獲得や資本市場からの資金調達による上記課題解決・推進のための財務基盤の強化

計算書類