事業報告(2022年7月1日から2023年6月30日まで)

会社の現況に関する事項

事業の経過および成果

当社は、抗がん剤の基礎研究および臨床開発、ならびにそのために必要な提携パートナーの獲得活動に取り組んでいます。

当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、過去の臨床試験で得られたデータの詳細解析からわかった「がん微小環境」「がん免疫」「がん幹細胞」などに関わる多様な作用を踏まえ、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床試験を実施しています。現在は膵臓がん3次治療を対象とした第2相試験を終え、次相臨床試験の準備を進めています。

2つ目の候補化合物CBS9106については、2014年12月にライセンス契約を締結した米国 Stemline Therapeutics, Inc.(以下「Stemline社」)が、進行固形がん患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を完了し、現在は次相臨床試験の計画が進められています。

さらに当社は、これらの2つの候補化合物の後続パイプラインとなる新規候補化合物の探索・創出に向けて、当社独自の薬剤スクリーニング法による探索研究と、CBP501に関する新たな知見を基にした「次世代CBPプロジェクト」からの創出に取り組み、また、東京大学医学部附属病院、ファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)らと共同研究を進めています。これらの取り組みから当社は現在、CBP-A08、CBT005、IDO/TDO阻害剤など複数の次世代パイプラインを有しています。

以上の結果、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床試験費用ならびに次世代プロジェクト関連支出が加わり、前期比63,258千円増加の671,040千円となりました。販売費及び一般管理費は、前期比56,267千円増加の294,924千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前期比119,526千円増加し、965,965千円となりました。

この結果、営業損失は965,965千円(前事業年度営業損失846,438千円)となり、営業外費用として新株式および新株予約権の発行に伴う株式交付費319,977千円を計上したことにより経常損失は1,283,062千円(前事業年度経常損失854,327千円)、特別利益として新株予約権戻入益40,204千円を計上した結果当期純損失は1,244,108千円(前事業年度当期純損失855,577千円)となりました。

対処すべき課題

当社は、独自の創薬エンジンを基に技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、パイプラインによっては承認申請までのすべての臨床試験を当社のリスク負担で実施し、併せて必要に応じて提携パートナーの獲得も模索して中長期的な企業価値の最大化を図る「創薬パイプライン型」開発による付加価値の高いビジネスモデルを志向しています。

このために当面対処すべき経営課題を以下のとおり認識し、それぞれ対応を実施しています。

  • ・CBP501の臨床試験推進による企業価値向上
  • ・中長期的な企業価値の源泉となる創薬エンジンの改良・充実、新規化合物パイプライン獲得、開発推進
  • ・現時点で安定的な収益源がないこと、一方で研究開発費用の先行投資は必須であることから継続的に営業損失を計上していることを踏まえた、製薬企業等との提携の獲得や資本市場からの資金調達による上記課題解決・推進のための財務基盤の強化

計算書類