事業報告(2022年1月1日から2022年12月31日まで)
企業集団の現況
当連結会計年度の事業の状況
事業の経過及び成果
当社グループの当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)の連結業績は、
売上高
53,738百万円(前連結会計年度比 10.3%増)
営業利益
12,229百万円(前連結会計年度比 35.9%増)
親会社株主に帰属する当期純利益
9,236百万円(前連結会計年度比 45.0%増)
となりました。
当連結会計年度における経済環境をみると、不安定な世界情勢、インフレーション及び急速な円安進行の中でも、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改革、新たなデジタルサービス開発といったITを通じた経営改革への取組みは引き続き旺盛です。また、働き方改革によるリモートワークへの対応のほか、企業全体のサプライチェーンの見直しや、ESG・SDGs関連分野におけるITの活用も加速しており、あらゆる業種や領域においてIT投資が活発化しています。
更に、個人においても、ECサイト経由での購買、動画やオンラインを活用した娯楽やスポーツ観戦、ネットサービス上での教育、自己啓発など、ITの利用が浸透しました。
このような状況下、当社においては多種多様な顧客から戦略的な案件を獲得したことに加え、大型プロジェクトが順調に進行した結果、当社グループの当連結会計年度は前期比で増収増益となりました。
セグメント別の状況
各セグメントの業績(売上高・営業利益)については以下のとおりとなります。
(単位:)
フューチャーアーキテクト株式会社(フューチャー株式会社のテクノロジー部門を含む)は、当社の中長期的な成長に資するプロジェクトである地域金融機関向け次世代バンキングシステムにおいて2行目となる金融機関への導入が決定いたしました。また、エネルギー業界におけるAI・IoT技術を活用したフルオートメーションシステムの開発、デジタルコマースを加速するアパレル業界向けの基幹システム開発、顧客のITインフラの刷新案件等、引き続き多種多様な顧客からの様々な案件を獲得、推進いたしました。
これらに加え、物流業をはじめとした多くの企業向けの継続的なDX支援が順調に進行したこと、並びに品質管理の徹底を継続して行った結果、前期比で増収増益となりました。
フューチャーインスペース株式会社は、フューチャーアーキテクト株式会社との連携により安定的に保守・運用案件を受託し、また、新規開発案件の受注を積み上げたことから、前期比で増収増益となりました。
FutureOne株式会社は、オリジナルのパッケージソフトウェア「InfiniOne」の提供に際し、カスタマイズを最適化する取組みを推進するとともに、外部販売パートナー等のチャネル強化に努めた結果、前期比で増収増益となりました。
株式会社ワイ・ディ・シーは物流分野における独自のノウハウを当社グループの顧客に提供し顧客層の拡大に努めるも、SI案件の減少などにより、前期比で減収減益となりました。
株式会社ディアイティは、脆弱性診断、インシデント対応、ネットワークセキュリティソリューションなど、サイバーセキュリティ関連の受注が好調に推移しており、またサイバー攻撃に対抗する統合分析プラットフォーム「WADJET(ウジャト)」の展開も進んだことで、前期比で増収増益となりました。
この結果、本セグメントの売上高は45,593百万円(前期比16.1%増)、営業利益は12,910百万円(同44.7%増)となり、前期比で増収、大幅な増益となりました。
(注)上記のセグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高又は振替高を調整前の金額で記載しております。
(単位:)
株式会社YOCABITOは、冬物アパレルの売上が気候の関係により想定より伸びなかったことに加え、引き続きアウトドア用品市場の競争が激しいことから売上が想定を下回りました。また、円安や原材料費、物流費の高騰による仕入コスト等の上昇が利益を圧迫し、前期比で減収減益となりました。
コードキャンプ株式会社は、次年度において売上を見込む法人向けの受注が伸長したものの、当年度においては個人向けの受注が競合他社の参入を背景に減少しました。これにより、前期比で減収減益となりました。
東京カレンダー株式会社は、デジタルプロモーションを強化したことにより雑誌販売が大きく伸長したことに加え、「東カレデート」等のネットサービス収入が安定的に推移いたしました。一方で、2023年1月より開始する新サービス「グルカレ」に係る費用を計上したことなどから、前期比で増収減益となりました。
ライブリッツ株式会社は、プロ野球のチーム強化に向けたシステム拡張が増加したことに加え、会員管理・ECパッケージ「FastBiz」のラグビーチームなど複数チームへの導入を実施したことなどから、前期比で増収増益となりました。
この結果、本セグメントの売上高は8,274百万円(前期比13.8%減)、営業損失は272百万円(前期は営業利益413百万円)と、前期比で増収減益となりました。
(注)上記のセグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高又は振替高を調整前の金額で記載しております。
直前3事業年度の財産及び損益の状況







- 当社は2022年1月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。上記は2019年12月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して「1株当たり当期純利益」及び「1株当たり純資産額」を算定しております。
- 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
対処すべき課題
当社グループは、科学・技術を大切にし、企業の経営変革と社会変革に貢献することを企業理念に掲げ、お客様の未来価値を最大化するとともに、自らも新しい価値を創造することをミッションとしております。そのために、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることと社会貢献の両立が重要と考えております。
当社グループをとりまく事業環境をみますと、中長期的にはDXやリモートワークをはじめとする働き方改革等の変化に加え、ESG・SDGsなどの経済、社会的な課題への対応の要請もあり、企業の積極的なIT投資は続くものと予想されます。
当社グループといたしましては、ITを通じて経営改革を推進していく企業のニーズを的確に捉え、グループシナジーを発揮しながら多面的、積極的に支援することで、多種多様な顧客からの一層高い支持が得られるように努めてまいります。
更に、関心の高まっているESG・SDGs関連では、2022年9月より、当社グループの温室ガス排出量を開示しております。今後も自身のESG・SDGs関連の取組みを進めるとともに、環境対応や脱炭素化に向けたお客様の取組みを支援してまいります。
また、グループとしての知的財産の有効活用や、M&Aも含めた機動的な戦略投資を行うことで、ビジネスモデルの進化を図り、次期以降の更なる成長へとつなげるとともに、継続的な人材採用、教育、研究開発への投資といった将来の成長に資する事業基盤の整備を進めてまいります。併せて、グループ内のコミュニケーション強化、品質管理精度の更なる向上等、グループガバナンスの強化を実施してまいります。
課題解決に向けた取組
明確な経営方針に基づくグループ全体としての成長の実現
当社グループは、ITコンサルティング&サービス事業とビジネスイノベーション事業の2way戦略でテクノロジーをベースとしたビジネスを展開しております。ITコンサルティング&サービス事業において蓄積してきたテクノロジーやノウハウをグループ全体の競争力の源泉としながら、ビジネスイノベーション事業で、新規事業も含めた事業の拡大を図り、両事業による深化と探索を通じてグループの持続的成長を図ってまいります。
このため、ITを通じて経営改革を推進する企業をグループシナジーを発現させながら支援するとともに、知的財産の有効活用、アントレプレナーシップを発揮した新規事業への挑戦、機動的な戦略投資によりビジネスモデルを進化させてまいります。
また、人材の採用及び育成、研究開発といった将来の成長に資する事業基盤整備を進め、併せて、グループ内のコミュニケーション強化、品質管理精度の更なる向上等、グループガバナンスの強化を実施してまいります。
ITコンサルティング&サービス事業においては、顧客の抱える経営上の課題を経営者の視点で共有し、業務改革やDXを推進する企業を積極的に支援するほか、更なるグループシナジーを発揮することで、ITの戦略的活用により多様化する企業ニーズへの価値提供力を高め、企業の経営変革への貢献を目指します。
ビジネスイノベーション事業においては、各種先行投資や実行した施策により着実な収益の拡大を進める一方で、事業環境の変化に対応する必要のあるビジネスについては新たな経営体制の下、収益力の強化を図り、更なる積極的な人材投資、研究開発、新たなサービス展開などにより継続的な成長を図ってまいります。
プロジェクト品質管理の高度化
当社グループでは従来より、プロジェクト品質管理については積極的に取り組んでまいりましたが、過去の高難度案件、不採算案件から得られた知見と教訓をもとに、リスクの早期検知、プロジェクト状況の可視化、フェーズごとのレビュー運営、適材適所のアサイン、稼働判定プロセスの厳格化といった品質管理のプロセスを一層強固なものとし、引き続きプロジェクト品質管理の高度化を推進してまいります。
プロフェッショナルとしての人材確保・育成
当社グループの企業価値向上にあたり人材は必要不可欠であり、動画による企業紹介や、オウンドメディアでのカルチャーの発信等を充実させ、グループで質の高い人材を採用してまいります。また、新人研修・FutureSchool等の育成プログラムや、評価制度改定に伴う報酬見直し等の社内制度を充実させることで、人材育成に向けたサポート体制を強化しております。加えて、グループ各社での事業開発、経営ポストへの出向といった、グループ内の積極的な人材交流による、全体の活性化、底上げを行ってまいります。
内部統制の強化
当社グループでは、企業価値向上の観点から、強固な内部統制体制の構築・運用を重要課題と認識しております。このため、当社の行動規範であるFutureWayを社員全員が共有するとともに、ビジネスコンダクトガイドラインを定め、併せて、コンプライアンス教育の実施等を通じて管理体制強化に取り組んでまいります。
新たな価値実現への貢献
当社グループでは、働き方の変化やESG、SDGsなどの社会的要請を強く意識し、時代をリードする企業グループであり続けられるよう、これらの課題に積極的に取り組んでまいります。既に、リモート勤務体制の整備拡充や、遠隔地勤務を可能とする体制の整備、株主総会へのIT技術の積極的活用などを進めてまいりましたが、今後もこれらの取り組みを強化してまいります。環境への取組みでは、リモートワークに伴う温室ガス排出量の把握にも努めたほか、当社グループの温室ガス排出量開示においてグループ企業であるライブリッツが提供するメタバースプラットフォームを活用し「フューチャー・サステナトピア」として公開するなど、先進的な取組みを行っております。