株主のみなさまにお伝えしたいこと
平素より株主のみなさまにはご支援を賜りまして、心より御礼申し上げます。
2022年に創業150周年を迎え、次の150年に向けて新たなスタートを切る2023年1月に、社長 CEOの魚谷が会長 CEOに、中国地域CEOの藤原が社長 COOに就任しました。今後2年間はCEO、COOの二人で並走し、経営体制を一層強化します。
WIN 2023の成果と課題
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けながらも、当社が再度成長するため、当社の強みであるスキンケアなどの領域に「選択と集中」・構造改革を推進しました。これにより長年の懸案であった欧米の収益が改善、全社のスキンビューティー売上比率は70%を超える水準となるなど、強い収益基盤を構築しました。また、事業譲渡によるキャッシュ創出・負債の縮減により、強固な財務基盤を確立し、今後のさらなる発展を確かなものとする体制を築きました。それと同時に、最新鋭の3工場を新たに設立、グローバル標準システムなどIT・デジタルへ積極投資し、生産性の向上とともに需要回復に万全に備えました。
一方、日本事業と中国事業については、当初の想定よりも、成長の回復が大きく遅れています。特に、日本市場はコロナ影響が長引いていることが大きな要因ですが、この状況が3年続く中では、言い訳になってしまうことを強く認識しています。
イノベーションを通じた新たな価値の実現などにより回復の兆しは見えていますが、「健全な」企業体質を実現するべく、主要ブランド、チャネル戦略、組織体制やコスト構造などを今後抜本的に見直します。また、社員が自ら会社を変える組織風土をつくり、収益の改善につながるような取り組みを進めます。
コア営業利益率15%は今後も不退転の目標として挑み続けます
そうした中で当社は、本年2月に中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」を発表しました。「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」となるため、掲げてきたコア営業利益率15%は今後も不退転の目標として挑み続けます。2023年から2025年までの3年間は、積極的な投資と構造転換により、この道筋をつける期間と位置づけます。継続的な安定成長と高収益構造への転換を進めるうえで、最重要市場である日本事業が成長モメンタムを取り戻し、収益基盤を再構築することを最優先とします。次に巨大マーケットである中国人市場でシェアを向上させることで経営規模の拡大を図るとともに、世界一のビューティー市場である米州事業を次なる成長の柱として位置づけ、成長基盤を構築します。そして、さらなる将来に向けた新市場の開拓を進め、当社のグローバルでの成長を実現したいと考えています。
当社の経営戦略ビジョンは、パーソナルなスキンビューティーとウエルネスを融合する企業体になることです。強みである高い品質・安全性を持つスキンケア事業を幅広く開拓、メイクアップやフレグランスなどその他周辺領域をスキンビューティーの価値で拡大すること、さらにインナービューティー事業との相乗効果を出せる展開を進めていきます。同時に、デジタルプラットフォームを構築し、これまで蓄積してきたデータを活用し、お客さま一人ひとりに最適なビューティー体験とエキサイトメントを提供します。
2023年からは、「守り」から「攻め」にシフトし、積極的な投資を実行し、トップラインの成長性を獲得してまいります。「ブランド」「イノベーション」「人財」を重点領域として投資を強化し、より高い付加価値を創出することで中長期の持続的な成長を目指します。
当社は、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、お客さま一人ひとりに合った高付加価値の提供をさらに極めていきたいと考えています。
今後とも、株主・投資家のみなさまの一層のご理解・ご支援をお願いいたします。
新中期経営戦略の策定にあたって
資生堂は、今年からスタートする2023年から2025年までの3カ年を中心に取り組む中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」を策定しました。「SHIFT 2025 and Beyond」は、「守り」から「攻め」に転じる躍動の期間として、新経営体制のもと、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、さらなる事業成長を確実なものにします。
3つの分野への積極投資
「攻め」への転換のため、この戦略では、ブランド、イノベーション、人財への積極投資を実施します。
地域事業戦略
積極投資により継続的な安定成長を実現・高収益構造へ転換
その他施策
DXの継続強化
「Global No.1 Data-Driven Personal Skin Beauty & Wellness Company」を目指して、DXを強化し、Eコマース売上比率、広告媒体に占めるデジタル比率、社員のデジタル能力の向上に注力します。
FOCUSの導入により収益性改善、生産性向上へ
全社のシステムをグローバルに統合し、データの標準化、業務プロセスの最適化を目指す全社的なプロジェクト“FOCUS”のグローバルでの稼働を推進し、収益性改善と生産性向上を図ります。
財務目標
成長に向けた投資を加速
「戦略投資」「持続的増配」「適切な財務レバレッジ」をキャピタルアロケーションの柱と位置づけ、企業価値最大化を財務面からサポート
私たちは、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、2030年に向けては「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指しています。これは、一人ひとりが尊重され、誰もが活躍できる多様性に富んだ社会であり、持続的に「美」を楽しめる地球環境が必要となります。資生堂は、本業のビューティービジネスを通じて、「美の力」によるポジティブな影響を発揮するとともに、社会課題・環境課題の解決に取り組んでいきます。「社会」の領域では、異なる境遇や環境に置かれた人々が、お互いに尊重し受け入れられるD&Iを推進しています。「環境」の領域では、全事業において、気候変動対応などの環境負荷軽減やサステナブルな資源の利用に向けた取り組みを実行しています。2022年には世界の代表的なサステナビリティ指標である「Dow Jones Sustainability World Index(DJSI World)」および、アジア・太平洋地域を対象とした「Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index(DJSI Asia Pacific)」の構成銘柄に2年連続で選定されました。
環境
CO2排出量削減の取り組みをグローバルで加速
資生堂は、気候変動対応として「2026年までにカーボンニュートラル※」に取り組んでいます。2022年は科学的な根拠に基づいたバリューチェーン全体でのCO2排出量削減目標を設定し、SBTi認証を取得しました。具体的活動としては、エネルギーの効率化や国内外の工場やオフィスなど自社サイトにおける使用電力の100%再生可能エネルギーへの切り替えを加速しています。掛川工場ではCO2排出量削減活動が評価され、「2022年度省エネ大賞(省エネ事例部門)」において、「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。
※資生堂全事業所、Scope1・2
社会
「女性が活躍する会社BEST100」にて「総合ランキング1位」に選出
資生堂では、女性活躍推進に向けさまざまな制度や支援策を推進しています。女性リーダー育成塾の開催や、女性役員と女性社員によるメンタリングプログラム実施などに加え、リモートとオフィスワークを柔軟に組み合わせた働き方の導入など、職場環境の整備にも取り組んでいます。こうした社内での女性活躍推進の活動が評価され、『日経WOMAN』(日経BP)と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」が実施した「企業の女性活用度調査」において2022年度「女性が活躍する会社BEST100」の「総合ランキング1位」に選ばれました。なお、同ランキング1位の選出は4回目となります。
社会
「LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」をグローバルで展開
2017年から、「がんになっても笑顔で過ごせる社会を目指す」をテーマに、がんサバイバーを支援する「LAVENDER RING」に参画しています。2022年、資生堂が日本国内で主導してきた「MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」を4つの国と地域(中国、シンガポール、台湾、タイ)でグローバル展開し、合計107名のがんサバイバーと、120名の社員ボランティアが参加しました。参加したがんサバイバーの方々の笑顔に触れ、協働した患者団体や医療機関からは継続開催を期待する声が次々と寄せられました。