株主のみなさまへ

平素より株主のみなさまにはご支援を賜りまして心より御礼申し上げます。

当社では高収益体質の確立に向けた事業構造改革を進めており、その成果が日本を中心として着実に現れ始めています。一方で、事業環境は依然として不透明感が高く、予断をゆるさない状況です。2025年は「勝負の年」と位置づけアクションを加速します。当社の中長期的な企業価値の最大化に向け、スピード感をもって構造改革と成長基盤の再構築を完遂します。

2024年の成果と課題

厳しい事業環境が続く中、昨年11月に修正したコア営業利益目標を達成できたことは、全社一丸となった努力の成果と捉えています。日本では昨年大規模な経営改革プランを実行。大胆な選択と集中に取り組み、低迷していたコア営業利益率は約10%まで改善しました。また、生活者意識の多様化が加速する市場環境において新価値・新市場の創造に取り組みました。大ヒットを記録した「ファンデ美容液」は代表的な事例です。中国・トラベルリテールでは、消費低下による減収が続き、2025年についても慎重な見立てをしていますが、2024年第4四半期には減収幅の縮小等、底打ちに向け明るい兆しが見え始めています。米州では、上期に発生したITシステム導入時の生産減は解消したものの、売上回復が遅れました。全社で取り組んでいるコスト削減については、2024年は日本・中国を中心に200億円の効果額を創出し、2025年にも同額規模の効果創出を想定しています。

コア営業利益は364億円と計画を超える黒字を確保した一方で、構造改革費用ならびに、金融費用として引当金※を計上したことにより、親会社の所有者に帰属する当期損益は108億円の赤字となりました。当該引当金は2024年のキャッシュ・フローに影響を与えない一過性の要因ではありますが、最終赤字という結果を経営陣一同大変重く受け止め、早急に再起を図るべく、取り組みを加速します。

期末配当につきましては、2024年通期連結業績と今後の見通し等を踏まえ、大変遺憾ではありますが、当初の配当予想から20円減額の1株当たり10円といたします。一刻も早い構造改革の完遂、収益性の向上を実現し、株主のみなさまに対する利益還元を図ってまいります。

  • ※2021年に実施した事業譲渡の対価の一部を繰延決済することとしていたものにつき、回収可能性を精査した結果、引当金を計上

アクションプラン2025-2026で取り組む最優先課題

昨年11月、中期経営戦略SHIFT 2025 and Beyondの「アクションプラン2025-2026」と題して、本質的な課題を解決し、持続的な成長を実現するために緊急に取り組むべきアクションを発表しました。厳しい現状を直視し、構造改革を断行することで、予測のつかない市場変化を乗り越えていける強い収益基盤と、決してぶれることなく社会に貢献する価値創造の基盤を構築します。

具体的なアクションの一つが、ブランド力の強化です。これまで以上に選択と集中を行い、注力ブランドを「コア3・ネクスト5」の8ブランドと定め、メリハリのある投資を進め、グローバルで強化・育成します。注力ブランドの価値をより先鋭化するために、当社の強み・競争優位性の源泉である技術力、そして研究開発力をよりダイレクトにブランド価値へと転換させます。

二つ目は、高収益構造の確立です。固定費を低減し、ブランドの成長がしっかりと利益につながる仕組みをつくります。中国・トラベルリテールでは、慎重な見立てをおいた事業計画とし、持続的な利益拡大に向け、コスト構造の適正化とニーズ多様化を捉え事業機会を最大化できるポートフォリオと組織能力を強化していきます。また、これまで日本と中国を中心に進めてきたコスト削減を他地域にも展開し、グローバルに固定費を中心とした費用の低減と1人当たりの生産性の向上を重視して収益性の改善を図ります。

このアクションプランの完遂を通じて、2024年の2倍レベルであるコア営業利益率7%を2026年に達成することを目指します。

正念場となるこの2年を乗り切るために、すべての施策をグローバルで一丸となり、高い危機感とスピード感をもって、一つのチームとして進めていかなければいけません。事業マネジメントの高度化を推進し、自律的に行動し、結果を出し続ける企業文化を培っていきます。

当社はこれからも、新しい美の価値の発見と創出に挑戦し続けることで企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現を目指します。

今後とも、株主・投資家のみなさまの一層のご理解・ご支援をお願いいたします。