第4号議案 自己株式取得の件【株主提案】
議案の要領
議題1「定款一部変更の件(剰余金の配当等の決定機関)」に係る議案の承認可決を条件として、次のとおり、自己株式の取得をする。
会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を株式総数130万株、総額48億円(ただし、会社法により許容される取得価格の総額(会社法第461条に定める「分配可能額」)が当該金額を下回るときは、会社法により許容される取得額の上限額)を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。
提案の理由:
議題2 自己株式取得の件
当社は、2023年12月31日時点(第53期第3四半期報告書)において、純資産の61.5%に及ぶ約87億円の投資有価証券を保有しており、その大半は流動性の高い政策保有目的の上場会社株式です。当社は、政策保有株式につき「今後1~2年で純資産割合の20%未満に縮小する」ことを発表されていますが、その速やかな実行を担保し、利益と純資産の両面をコントロールしROEの改善を着実に実現させるべく、当該投資有価証券の税引き後含み益部分に相当する、同時点の「その他有価証券評価差額金」と同額の48億円を自己株式の取得に充てるべきと考えます。
また、取得した自己株式の内、半数以上は、将来的に市場に再度放出される懸案を排除するために、消却すべきです。なお、分配可能額は、同時期に70億円以上あり、財務健全性に悪影響を及ぼすとは考えづらく、このような資本政策によってもたらされると考えられる「強い株価」を株式交換などによるM&Aの原資とすることも可能となります。
【第4号議案についての当社取締役会の意見】
第3号議案についての当社取締役会の反対意見の箇所において述べたとおり、当社は、2024年3月期の期末配当より、5%を下限とする自己資本配当率(DOE)という新たな株主還元方針を適用しております。また、当社は、政策保有株式の保有方針についても、当社が2024年3月22日に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」において、今後1~2年以内に純資産割合20%未満までの縮減を図ることを公表しております。このように、当社は、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組みも着実に進めております。
これに対して、本議案は、本株主総会終結の時から1年以内に、2023年12月31日時点の「その他有価証券評価差額金」に相当する48億円を総額として、当社の自己資本の30%を超える130万株という大規模な自己株式の取得を行うものであり、当社において十分な原資を確保していない現状において本議案が可決された場合、当社の長期的な成長が停滞し、さらには当社の財務健全性が大幅に毀損されるおそれがあると考えております。また、取得方法として市場取引による自己株式の取得を想定した場合、当社株式の流動性等を考慮すると、1年間で130万株の自己株式の取得を行うことも現実的ではありません。
さらに当社は、2024年4月24日に2022年度から2024年度を対象とした中期経営計画の修正を公表し、同日付の決算説明資料の中で中期経営計画における財務方針の進捗状況を報告しており、本議案が可決された場合、当社が修正後の本中期経営計画に基づき行う今後の成長投資の機動性や経営の自由度が損なわれることとなり、当社取締役会が目指す資本コストや株価を意識した経営の実現が妨げられる結果をもたらすと考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本議案に反対いたします。