事業報告(自2022年4月1日 至2023年3月31日)

事業の経過及びその成果

わが国の経済は一部に弱さがみられるものの緩やかに持ち直しています。先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあり景気が持ち直していくことが期待されます。但し、世界的に金融引締めが続く中で海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分な注意が必要です。

このような環境の中、当社グループは、「コンサルティング」と「投資」を事業の軸とし、グループ各社のシナジーにより、幅広い産業・企業の価値創造、社会課題を解決する新たな市場の創出を行っております。コンサルティング事業においては、企業のトランスフォーメーションを推進するための『3つの変革(マネジメント・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーション、サービス・トランスフォーメーション)』の実現に向けたサービス提供を目指し、事業戦略立案、業務変革、組織変革、デジタルテクノロジーやクラウドソリューションの活用、プロジェクトマネジメント、新規事業開発、企業間連携の推進等の価値創造に取り組んでいます。投資事業においては、複数の産業を横断したリジェネラティブ&ウェルビーイング領域を中心に投資活動を推進しております。

当連結会計年度の業績並びに経営指標の状況は以下の通りです。

当社グループの当連結会計年度の売上高は、17,334,289千円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。

販売費及び一般管理費につきましては対面活動の正常化に伴う諸経費と採用費の増加により、5,138,843千円(前連結会計年度比14.5%増)となりました。

売上高の増加により、売上総利益は1,128,174千円増の8,374,265千円(前連結会計年度比15.6%増)、営業利益は475,610千円増の3,235,421千円(前連結会計年度比17.2%増)、経常利益は500,054千円増の3,265,047千円(前連結会計年度比18.1%増)となりました。

法人税等合計は、1,058,944千円(前連結会計年度比2.8%減)となりました。

税金等調整前当期純利益は3,263,043千円(前連結会計年度比18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2,204,098千円(前連結会計年度比32.4%増)となりました。なお、投資活動によるその他の包括利益は312,149千円となりました。

セグメントごとの経営成績

売上高
前期比 %増
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コンサルティング事業の当連結会計年度の業績は、売上高17,259,287千円(前連結会計年度比11.6%増)、セグメント利益5,032,397千円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。産業別では金融、商社、運輸、通信、流通、製造を中心とした顧客へのデジタル・トランスフォーメーション戦略策定、新規事業やサービス開発、組織と人財の活性化など企業のトランスフォーメーションを支援するプロジェクトが事業を牽引しました。

人財採用につきましては、当連結会計年度において経験者56名、新卒36名が入社しました。新卒社員は10月から稼働を開始しております。2023年3月末時点のコンサルタント数は511名となっております。プロジェクト満足度は93ポイントと高い水準を維持しております。
なお、当社連結子会社の株式会社SXAの全株式をMBOの方式により譲渡いたしました。同社の業績はこれまでコンサルティング事業業績に包含して報告しておりましたが、今回のMBOに伴い、2023年3月期第4四半期以降は当社の連結対象から除外されております。

売上高
前期比 %減
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新規投資等の活動を本格化した投資事業においては、2022年5月に、国内間伐材を利用した地産地消型木質バイオマス発電等の再生可能エネルギー事業を展開しているフォレストエナジー株式会社に約2億円を出資しました。さらに12月には、ドライバー専門求人サイトを運営する株式会社ドラEVERに約1億円を出資しました。また、10月から11月にかけて、企業向けに社員の健康管理サービスを提供している株式会社メンタルヘルステクノロジーズの株式を約1.5億円で取得しました。

2022年9月に投資先の株式会社eWeLLと株式会社プログリット、2023年3月に株式会社モンスターラボホールディングスが東京証券取引所グロース市場に上場しております。2023年3月にウェルネス・コミュニケーションズ株式会社の株式を全て売却しております。以上の結果、2023年3月末時点の累計投資残高は評価差額を含め約22億円となりました。

投資事業の当連結会計年度の業績は、売上高167,368千円(前連結会計年度比49.9%減)、セグメント損失130,778千円(前連結会計年度はセグメント利益45,359千円)となりました。

(ご参考)事業運営体制

シグマクシス・グループの事業運営体制

当社グループは、「コンサルティングサービス」と「投資」を事業の軸とし、グループ各社のシナジーにより、幅広い産業・企業の価値創造、社会課題を解決する新たな市場の創出を行っています。

コンサルティング事業では、構想提案、新規事業・サービス開発、デジタル先端技術、SaaS/ クラウドソリューション、プロジェクトマネジメント等のプロフェッショナルを揃え、新しい価値の創造を支援しています。

投資事業では、複数の産業を横断したリジェネラティブ&ウェルビーイング領域を中心に投資。また、投資先に対して、コンサルティングによるバリューアップ支援で企業価値向上をサポートしています。

■グループ体制

(ご参考)事業紹介(コンサルティング事業・投資事業)

コンサルティング事業(株式会社シグマクシス)

コンサルティング事業では、企業の「3つの変革」実現を目指し、多様な能力を組み合わせたコンサルティングサービスを提供しています。企業間連携やジョイントベンチャー設立のシナリオを描き、グループの投資会社である株式会社シグマクシス・インベストメントと連携して、お客様やパートナーと共に新たな価値創造に取り組みます。また、産業や社会の未来像を構想し、企業・産業横断型の新たな事業づくりや、企業間でのビジネス機能の共有化に取り組んでいます。

事業運営体制

■事例紹介

お客様から開示のご承諾をいただけたいくつかの事例をご紹介します。

■SaaS活用の取り組み

株式会社商船三井様/商船三井ドライバルク株式会社様の、SaaS化による基幹業務・システムの標準化と高度化を図る「SURFプロジェクト」に参画。海運業務のプラットフォーム「Veson IMOS Platform」と、基幹業務の最新ソリューション「SAP S/4HANA Cloud」を導入し、これらのSaaSを活用した業務の標準化にも取り組む同プロジェクトにおいて、シグマクシスはプロジェクト・マネジメント・オフィスとして支援しました。

■国内線運賃刷新プロジェクト

日本航空株式会社様の「国内線運賃刷新プロジェクト」の取り組みに、プログラム・マネジメント・オフィスとして参画しました。

同社の国内線運賃のシンプル化を図り、利用客の利便性と、需要予測の精度を向上。2022年5月より新運賃での国内線チケット販売を開始しました。また収入管理業務及びシステムのグローバルスタンダード化も図り、生産性向上とシステムコスト削減を実現しました。

■店頭在庫のEC出荷業務を効率化するスマートフォン向けアプリ
「Store Support」を共同開発

三井不動産株式会社、株式会社両備システムズとシグマクシスの3社は、ECでの受注品を店頭在庫から出荷する作業を支援するスマートフォン向けアプリ「Store Support」を共同開発しました。

シグマクシスは「Store Support」の導入を含めた新たな業務・システムの構想づくりと実装のサポートを、両備システムズはロジスティクス領域の知見を活かしアプリの開発・運用を担当。本アプリの導入により、三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall」の店頭在庫の出荷業務において最大30%程度の作業時間短縮を実現しました。

■「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立

大阪大学大学院工学研究科、株式会社島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社、凸版印刷株式会社、シグマクシスの5社が2023年3月に「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立。本コンソーシアムは、「3Dバイオプリントによる食用培養肉製造技術に関する社会実装の具体的な取り組み」を目的としており、企業を超えた協業により「3Dバイオプリント技術の応用開発」「生産・流通までの一貫したバリューチェーンの確立」「省庁や民間企業との連携による法規制整備への貢献」を進めます。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での展示などを通じた情報発信で、世界に先駆けての培養肉食用化の実現を目指します。

投資事業(株式会社シグマクシス・インベストメント)

投資事業は、複数の産業を横断したリジェネラティブ&ウェルビーイング領域を中心に投資を行っています。また、投資先に対して、コンサルティングによるバリューアップ支援で企業価値向上をサポートしています。
2023年3月期は、新規に3社に出資しました。また、投資先の3社が新規に上場しました。この結果、3月末時点の累計投資残高は評価差額を含め約22億円となりました。
2026年3月期の投資残高目標を100億円とし、今後も積極的な新規投資を行っていきます。

投資領域
リジェネラティブ
&ウェルビーイング
(地球資源を再生しつつ、
人々の暮らしを豊かにする領域)

企業集団の対処すべき課題

当社グループの中長期の成長イメージとして、2022年8月に「2026年3月期『ありたい姿』」を公表いたしました。この実現に向けて、コンサルティング・投資両事業の成長を加速し、事業を推進してまいります。

具体的には次の分野の取り組みを行ってまいります。

(1) 価値共創による企業のトランスフォーメーションの推進

  • ・企業が取り組むべき主要なトランスフォーメーション(MX、DX、SX)の実現にむけ、構想提案を通じて企業・ 産業の価値共創を支援
  • ・SaaS化を推進し、企業・産業を横断した共同利用を加速

(2) 事業投資の拡大

  • ・リジェネラティブ&ウェルビーイング領域への新規投資を継続的に推進
  • ・コンサルティング事業との連携による投資先事業の価値向上

(3) 提案力の強化

  • ・企業が独自に対応する課題のみならず、企業・産業を横断した領域での潜在的な変革テーマに対するシナリオ策定とエコシステムの形成

(4) ネットワークの拡大

  • ・仲間づくり

(5) 能力の強化

  • ・スキル向上
  • ・採用
2022年8月公表
(ご参考)2025年度 〔2026年3月期〕 ありたい姿
  • ・当社グループは、昨今の変化の激しい環境においては、毎年機動的に戦略を見直し、翌年度事業計画に反映していくことが望ましいと考えているため、中期経営計画を策定しておりません。
  • ・「ありたい姿」は、当社グループの中長期の成長イメージを株主・投資家の皆さまと共有する目的で、数年ごとに参考情報として公表しています。

連結計算書類