事業報告2025年4月1日から2026年3月31日まで

企業集団の事業の経過及び成果等

企業集団の主要な事業内容

日本郵政グループ(以下「当社グループ」といいます。)は、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」といいます。)、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」といいます。)及び株式会社かんぽ生命保険(以下「かんぽ生命保険」といいます。)が主な事業主体となって、郵便・物流事業、郵便局窓口事業、国際物流事業、不動産事業、銀行業、生命保険業等の業務を営んでおります。

金融経済環境

当年度の経済情勢を顧みますと、世界経済は、米国の関税政策の影響を受けつつも、米国を中心に総じて底堅く推移しました。米国経済は、関税政策による物価上昇が限定的ななか、個人消費を中心に堅調に推移しましたが、FRB(連邦準備制度理事会)は、労働市場の急減速を受け、2025年9月以降、3会合連続で利下げを行いました。ユーロ圏経済は、ECB(欧州中央銀行)が2025年4月と6月に利下げを実施した後、政策金利は据え置かれたものの、内需を中心に底堅く推移しました。日本経済は、米国による関税政策の影響が見られましたが、内需の持ち直しもあり緩やかに回復しました。賃金と物価がともに上昇するなか、日本銀行は2025年12月に利上げを行いました。しかしながら、2026年2月末には米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始し、世界経済全体の先行き不透明感が急速に高まりました。

金融資本市場では、米国の長期市場金利は、関税政策により上下に振れた後、労働市場の弱さや景気減速懸念から低下に向かいました。その後、米国とイスラエルの軍事行動を契機とする原油価格の高騰を受け再び上昇傾向に転じました。また、日本の長期市場金利は、2025年4月に米国の関税引き上げ表明を受け一時1.1%台まで急低下しました。その後は物価高が続くなか、財政悪化懸念や原油価格高騰もあり、上昇基調に転じました。

ドル円相場は、米国の関税政策への懸念等から、2025年4月下旬に一時140円程度まで円高が進行しましたが、日本の財政悪化懸念等もあり、2026年1月には160円程度まで円安が進行しました。その後は為替介入への警戒等により円高に転ずる局面があったものの、イラン情勢の緊迫化等により再び円安基調に転じました。

日経平均株価は、米国同様に、2025年4月上旬に一時31,000円台まで急落しましたが、好調な米国株式市場や日本の新政権への政策期待等から上昇基調が続き、2026年2月末に最高値を記録しました。その後は原油価格高騰による景気減速懸念等を受け、下落しました。

物流業界においては、EC市場規模の拡大が続く一方で、業界内の激しい競争に加え、諸物価や人件費の上昇に伴うコストの増加等により、厳しい環境が続いています。また、働き方改革関連法等によるドライバー拘束時間に係る基準強化などから生じる、いわゆる物流の「2024年問題」への対策として、「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき業界・分野別に作成された自主行動計画に掲げられた取組みの実行のほか、改正物流総合効率化法及び改正貨物自動車運送事業法が施行され、物流業界を取り巻く事業環境に変化が生じています。

郵便事業においては、デジタル化の進展等に伴う郵便物数の減少が続いています。こうしたなか、経営環境の変化に応じて機動的に郵便に関する料金を変更することができるようにするため、定形郵便物の料金の上限額を日本郵便の申請に基づき総務大臣が認可する制度に見直すことなどを内容とする郵便法改正案の第221回国会(特別会)への提出が、2026年3月に閣議決定されております。

銀行業界においては、当年度の全国銀行における預金は27年連続で増加し、貸出金も15年連続で増加しました。金融システムは、各国の経済政策運営や中東情勢を中心とする地政学的リスク、海外ノンバンク部門の動向等が、様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については引き続き丁寧に見ていく必要があるものの、全体として安定性を維持しています。

生命保険業界においては、超高齢社会の進展や人口減少等に加え、度重なる自然災害の発生、資源価格の高騰や為替の変動等、先行きが読めない不確実な状況が続くとともに、ライフスタイルの変化や、生成AIの急速な広まり等による社会のデジタル化の進展等、社会全体が大きく変化している現在、お客さまの人生に寄り添い、万が一に備えるお客さまの自助努力を支援し、安心を提供するという役割が、ますます大きくなってきていると考えております。

企業集団の事業の経過及び成果

当社グループは、2024年5月に発表した中期経営計画「JP ビジョン2025(プラス)」(2024年度~2025年度)で掲げたお客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現を目指し、収益力の強化、人材への投資によるEX※1(従業員体験価値)向上、DX※2の推進等によるUX※3(ユーザー体験価値)向上へ重点的に取り組んでまいりました。

日本郵便においては、2025年4月にトナミホールディングス株式会社(以下「トナミHD」といいます。)を子会社化し、それ以降同社傘下の子会社との共同配達等の協業を進めたほか、2025年10月には、同じく日本郵便において、ロジスティードホールディングス株式会社の株式取得(以下「ロジスティードHD」といいます。)並びに同社及び同社中核子会社であるロジスティード株式会社との資本業務提携契約を締結しました。

グループ一体でのDXの推進については、2025年7月には、かんぽ生命保険の「かんぽアプリ」と「ゆうID」との連携を開始したほか、同年8月には、お客さまの郵便局体験をさらに向上させるため、郵便局窓口での購買時に「ゆうゆうポイント」を付与するサービスを開始しました。

2024年度に発覚した非公開金融情報※4の不適切な利用事案に対しては、必要な態勢整備が図られるまでの間は郵便局からの来局誘致を停止し、研修等の再発防止策を継続的に行いました。加えて、グループ一体でのお客さまの非公開金融情報等の適切な利用の実現に向け、お客さまから非公開金融情報等の利用に係る同意をいただくチャネルを拡大するとともに、お客さまの同意を得た情報を参照・検索等に利用できるシステム環境の整備を推進し、グループ顧客管理基盤を構築しました。また、同年度に発覚した一時払終身保険等の販売に係る認可取得前勧誘事案においても同様に、再発防止策を継続的に実施してまいりました。

そのようななか、日本郵便において点呼業務不備事案が発覚し、2025年6月、一般貨物自動車運送事業の許可取消処分を受けたほか、2025年10月以降順次、軽四輪車の行政処分が執行されました。

お客さまをはじめステークホルダーの信頼を損なう結果となったことを重く受け止め、日本郵便における経営の最重要課題としてコンプライアンス・ガバナンスの強化に取り組み、点呼の記録漏れや改ざんを防止するためのデジタル点呼の導入、郵便局へ実施を指示している業務の適法性確保と負荷軽減のための「郵便局業務の総点検」を進めました。

また、日本郵便本社や全国の日本郵便支社が取引先に対して取引条件を事前に明らかにしなかったことで特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス法」といいます。)に違反するおそれのある取引が相当程度あることが判明しました。これを受け、将来行われる「フリーランス」に該当する方々との取引についてフリーランス法に違反することがないようにすることを最優先として、取引先がフリーランス法上の「フリーランス」に該当しない場合を含め、原則として、事前に取引条件を明示した発注書等を交付するように運用を改めました。

これらの事案について、同様の事案が発生することがないよう、当社グループは再発防止策を徹底し、お客さま本位のサービス提供に全力で取り組んでまいります。

当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等を着実に推進するとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保、郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ運営に取り組みました。

また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況、各社の内部監査態勢・監査状況の把握に努めたほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するとともに、病院事業の経営改善に取り組みました。

さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、持続可能な社会の実現・未来の創造に貢献するため、サステナビリティ経営の推進に関する取組みや災害復興支援に、グループ全体で取り組んでおります。

加えて、「JP ビジョン2025(プラス)」で示した方針を踏まえ、当社は2025年3月にゆうちょ銀行普通株式の売出しを実施するとともに、同普通株式に係る株式処分信託を設定し、当該信託にゆうちょ銀行普通株式を拠出いたしました。これにより、当社のゆうちょ銀行に対する議決権の保有割合は50%を下回っております。2023年の売出し及び本売出しによって得た資金については、物流領域の能力増強やDX化等の成長投資に充当するとともに、自己株式取得にも活用することで、当社グループの企業価値の向上を図っていきます。

業績面では、デジタル化の進展等に伴う郵便物数の減少や諸物価、人件費の上昇に伴うコストの増加等があった一方、年度初来からの国内金利上昇等による運用環境の好転等により、銀行業セグメント及び生命保険業セグメントの業績が堅調に推移しました。

  • ※1 EX(Employee Experience:従業員体験価値)とは、社員が会社で働くことを通じて得られる体験価値のことです。
  • ※2 DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、ビジネスや生活を変革する取組みのことです。
  • ※3 UX(User Experience:ユーザー体験価値)とは、システムやサービスを利用するユーザー(お客さまや社員)が、その利用を通じて得られる体験価値のことです。
  • ※4 非公開金融情報とは、お客さま対応等の中で知った、お客さまの金融取引や資産に関する、通常、本人しか知りえない情報(口座残高や引落情報、保有ファンドの状況等)のことです。

以上の結果、当年度、当社グループにおきましては、連結経常収益は11兆4,405億円(前期比0.24%減)、連結経常利益は1兆749億円(前期比31.96%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,745億円(前期比1.07%増)となりました。また、ROE(株主資本ベース)は4.5%(前期比0.1ポイント増)となり、「JP ビジョン2025(プラス)」で掲げた主要目標(財務目標)はいずれも達成することができました。

  • ※ ROE(株主資本ベース)とは、銀行業の特性を考慮し、その他有価証券評価差額金の影響を受けない株主資本ベースのROEのことです。親会社株主に帰属する当期純利益を、純資産から非支配株主持分及びその他有価証券評価差額金を除いた期中平均株主資本で除し、小数第一位未満を四捨五入して算出しております。
【ご参考】 当期実績

各事業セグメント別の事業の経過及び成果は、以下のとおりであります。

郵便・物流事業

日本郵便において、点呼業務不備事案に伴う行政処分執行後、他の運送会社へ委託を行うことを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることのないよう、ユニバーサルサービス等を確実に提供してまいりました。

事業の成長に向けては、差出・受取利便性の向上、営業体制・営業力の強化、楽天グループ株式会社をはじめとする他企業との連携強化等を通じた荷物分野の収益拡大に加え、DXの推進や商品・サービスの見直し等を通じたオペレーションの効率化に取り組んでまいりました。

また、国際物流・国内物流の全てを一体で事業運営できる総合物流企業を目指し、トナミHDの子会社化や同社傘下の子会社との共同配達等の協業を進めたほか、ロジスティードHD等との資本業務提携契約を締結しました。

このほか、セイノーグループとの間で、双方のドライバー不足の解消に向け、共同運行便の拡大等に取り組んでまいりました。

業績面では、2024年10月に実施した郵便料金の改定により単価が改善した一方、デジタル化の進展等に伴う郵便物数の減少や荷物分野における競合他社との激しい競争が継続するとともに、諸物価や人件費の上昇に伴うコストの増加等が継続しました。

以上の結果、当年度、当社連結の郵便・物流事業の経常収益は2兆3,083億円(前期比10.52%増)、経常損失は54億円(前期経常損失322億円)、日本郵便連結の郵便・物流事業の営業収益は2兆2,975億円(前期比10.41%増)、営業損失は118億円(前期営業損失383億円)となりました。

また、当年度の総取扱物数は、郵便物が117億5,103万通(前期比6.48%減)、ゆうパックが5億6,547万個(前期比1.25%増)、ゆうメールが31億7,426万個(前期比2.06%減)となりました。

郵便局窓口事業

日本郵便において、「お客さまに選んでいただける事業への成長」に向けて、収益力、郵便局の価値・魅力、サービス品質の向上に取り組んでまいりました。

具体的には、地域の特性に応じた窓口営業時間の弾力的な運用の一環として、昼時間帯の窓口業務の休止を進め、2024年度に試行を開始した郵便局について、一部を除き本実施に移行したほか、新たに約1,100局において試行を開始しました。また、地域事情に応じて、窓口業務を半日とし、郵便物等の配達業務等を行う取組みや、観光地において、平日の窓口業務を半日とし、要員を確保した上で、土・休日の窓口業務を行う取組みを開始しました。

加えて、地方公共団体事務受託の推進、地域金融機関等との連携強化、郵便局窓口と駅窓口の一体運営等に取り組みました。

このほか、新たなタブレット型PCの配備を拡大したほか、かんぽ生命保険商品の新規申込みや保全・支払等をペーパーレスで処理可能なシステムを全局で利用開始する等、窓口オペレーション改革の取組みを推進しました。

2024年度に発覚した非公開金融情報の不適切な利用事案に対しては、必要な態勢整備が図られるまでの間は郵便局からの来局誘致を停止し、再発防止策として、研修等の継続的な実施、グループ顧客管理基盤の構築等を行いました。また、同年度に発覚した一時払終身保険等の販売に係る認可取得前勧誘事案においても同様に、再発防止策を継続的に実施してまいりました。

業績面では、送金決済件数や保有保険契約件数の減少等に伴う銀行及び保険受託手数料の減少に加え、タブレット型PCの配備拡大等に伴い費用が増加しました。

以上の結果、当年度、当社連結の郵便局窓口事業の経常収益は1兆171億円(前期比0.69%増)、経常利益は90億円(前期比62.34%減)、日本郵便連結の郵便局窓口事業の営業収益は1兆139億円(前期比0.51%増)、営業利益は69億円(前期比69.92%減)となりました。

国際物流事業

日本郵便において、同社の子会社であるToll Holdings Pty Limited(以下「トール社」といいます。)による豪州での収益性向上等の施策を推進するとともに、アジア域内で特に成長が見込まれる国や業種を重視した事業展開による収益拡大に取り組んだほか、コスト削減等に継続して取り組んでまいりました。

また、JPロジスティクス株式会社(以下「JPロジスティクス」といいます。)等、当社グループ内企業と連携し、ロジスティクス事業及びフォワーディング事業の拡大に取り組んできたところです。

以上の結果、当年度、当社連結の国際物流事業の経常収益は5,058億円(前期比1.37%減)、経常利益は43億円(前期比6.98%減)、日本郵便連結の国際物流事業の営業収益は5,051億円(前期比1.29%減)、営業利益(EBIT)は138億円(前期比3.62%増)となりました。

また、当年度、日本郵便におきましては、連結営業収益は3兆6,511億円(前期比6.06%増)、連結営業利益は222億円(前期比533.17%増)となりました。

不動産事業

日本郵便及び日本郵政不動産株式会社(以下「日本郵政不動産」といいます。)において、JPタワー(商業施設名:KITTE)をはじめとするオフィスビル、商業施設、賃貸・分譲住宅、高齢者施設等のグループ保有不動産の開発を中心に推進しており、市街地再開発事業においては旧白金社宅の事業を推進し、また、分譲住宅事業においては、プラウド池下高見(旧高見寮:名古屋市)が2026年1月に竣工したほか、新たな分譲住宅案件を計画するなど、事業の強化・拡充に取り組みました。

グループ外収益物件については、2025年12月に日本郵政不動産が共同出資する外資系ホテル「Osaka Sakurajima Resort」プロジェクトが本格着工(2029年竣工予定)したことを発表し、2026年3月に共同事業である「ザ・ランドマーク名古屋栄」が竣工したほか、用途やエリアごとのマーケットを見極めて賃貸住宅の取得を行いました。

以上の結果、当年度、当社連結の不動産事業におきましては、賃貸物件の稼働率向上や分譲収益の計上等により、経常収益は890億円(前期比8.98%増)、経常利益は200億円(前期比62.46%増)となり、日本郵便連結の不動産事業の営業収益は607億円(前期比4.07%減)、営業利益は175億円(前期比16.20%増)となりました。

銀行業

ゆうちょ銀行では、「リテールビジネス」、「マーケットビジネス」及び「Σ(シグマ)ビジネス(投資を通じて社会と地域の未来を創る法人ビジネス)」という3つのビジネス戦略の推進及びそれらを支える経営基盤の強化に継続的に取り組みました。

「リテールビジネス」では、お客さま本位の営業活動を前提に、お客さま基盤の維持・深耕を最重要課題と捉え、リアルチャネルとデジタルチャネルの相互補完戦略を加速し、伝統的な銀行業務を超えた新しいリテールビジネスへの変革に向けた取組みを進めております。

デジタルサービスでは、スマートフォン上で基本的な銀行取引が行える「ゆうちょ通帳アプリ」(以下「通帳アプリ」といいます。)の機能拡充を図るとともに、テレビCM等を活用したプロモーション施策を展開しました。加えて、窓口でも丁寧なご案内を行い、登録口座数は「JP ビジョン2025(プラス)」の目標である1,600万口座を上回りました。

また、スマートフォン上で口座開設等が行える「ゆうちょ手続きアプリ」や、店舗に設置するセルフ型営業店端末「Madotab」等に、お客さまの利便性を高める機能を順次追加いたしました。

資産形成サポートビジネスでは、投資信託商品のラインアップ拡充に加え、お客さまが身近な店舗から、専門性の高いコンサルティングを提供する資産運用リモートセンターにアクセスできる体制を構築するなど、お客さまの資産形成ニーズにきめ細かく対応しています。

「マーケットビジネス」では、国内金利上昇トレンドを捉え、預け金等から日本国債への投資シフトを継続するとともに、世界的に市場環境が大きく変動するなか、リスク対比リターンを意識しつつ国際分散投資を推進しました。これらの取組みにより、投資適格領域の外国社債等を中心にリスク性資産残高を拡大しました。また、リスク性資産のうち、プライベートエクイティファンド等の戦略投資領域※1は、優良案件への選別的な投資に努め、残高を積み上げました。

一方で、2026年3月末の自己資本比率(連結・国内基準)は、十分な財務健全性を確保しております。

また、これまで市場運用ビジネスで培った知見を活用したさらなる成長を企図し、新たにアセットマネジメントビジネスへの挑戦を見据え、2026年4月には「ゆうちょアセットマネジメント株式会社」を設立しました。

「Σビジネス」では、地域プライベートエクイティ投資を行うゆうちょ銀行100%出資子会社「ゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社」の態勢強化を図るとともに、2026年4月には地域事業承継を目的とした旗艦ファンド「ゆうちょキャピタル・シグマ地域事業承継2号投資事業有限責任組合」を設立しました。

また、2026年1月、次世代の東海地域を牽引するスタートアップ企業への投資を目的に、東海東京証券株式会社等が設立した「Next Tokai Innovation Fund1号投資事業有限責任組合」に、アンカー投資家※2として参加することを決定する等、着実に歩みを進めております。

ビジネス戦略を実効性高く推進するため、人的資本経営を通じた人材の強化を図るとともに、内部管理態勢の強化及び組織風土改革に取り組みました。

人的資本経営の推進にあたっては、企業価値向上に向け、経営戦略と連動した人事戦略を推進しております。具体的には、強化分野への積極的な人材配置や、キャリアデザイン研修等を通じた自律的社員の育成、多様な人材が活躍する職場づくりに向けたダイバーシティマネジメント等に取り組んでおります。

また、内部管理態勢の強化については、サイバーセキュリティやマネー・ローンダリング対策等の強化に加え、非公開金融情報の不適切な利用事案に係る再発防止策として、銀行業務委託先である日本郵便の管理・監督体制を強化しました。

さらに、2024年に発足した社員参画型の専門委員会である「みんなの声委員会 -ECHO-」を通じて、お客さまの声を活かした商品・サービスの提案・改善や、社員の声をもとにした職場改善・組織風土改革を推進しました。

  • ※1 戦略投資領域とは、プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域のことです。
  • ※2 アンカー投資家とは、ファンド設立に際し、初期段階から相当額の出資を行う大口の機関投資家のことです。

以上の結果、当年度、当社連結の銀行業の経常収益は2兆8,521億円(前期比13.09%増)、経常利益は7,590億円(前期比29.89%増)となりました。

生命保険業

かんぽ生命保険では、「お客さまから信頼され、選ばれ続けることで、お客さまの人生を保険の力でお守りする」という社会的使命を果たすべく、ライフステージ/世代を超えたつながりによるお客さまの維持・拡大と、持続的な「強い会社」へ向けた取組みを進めてまいりました。

2025年度は、非公開金融情報の不適切利用事案等を踏まえ、全ての活動をお客さま起点に進化させるとともに、お客さまサービス向上に関するこれまでの取組みを定着・発展させることで、あらゆる場面でお客さまに安心をお届けし続ける活動の展開に注力してまいりました。加えて、安心を支える強靭な経営基盤の確立に取り組むことで、「お客さまの人生を通して安心をお届けする」というかんぽ生命保険の価値をお客さまへ提供し続けてまいりました。2025年度の主な取組みは次のとおりです。

ライフステージ/世代を超えたつながりによるお客さまの維持・拡大については、お客さま本位の業務運営をさらに発展させるため、「保険のプロ」としての使命感のもと、お客さまへの商品提案からアフターフォロー、保険金の請求手続き等のあらゆる場面で、お客さまに安心をお届けし続ける活動を一体的に展開できるよう取り組んでまいりました。具体的には、お客さまとの長期安定的な関係を築きながら、様々な世代のお客さまの課題を把握し、解決策としての保障をご提案できるよう、営業社員のスキル向上に取り組んでまいりました。また、あらゆる世代のお客さまの多様なニーズにお応えする保険サービスの開発を進めてまいりました。2024年1月に販売を開始しご好評いただいている一時払終身保険について、2024年度に特約の中途付加(基本契約の締結後に特約を付加すること)を可能にする等の商品改善や、2025年度には金利上昇等の外部環境の変化を捉え、段階的に保険料の改定を実施してまいりました。加えて、2026年5月には、平準払商品の魅力向上等も実現しました。さらに、お客さまに安心をお届けし続けるため、郵便局と一体となり“ALLかんぽ”でのアフターフォローに取り組んでおります。加えて、各種手続きにおけるお客さまの負担軽減や利便性向上を果たすべく、デジタルを活かした手続きを一層拡充し、お客さまサービスの向上に取り組んでまいりました。また、営業社員に対して、保険募集実績だけでなくアフターフォロー等も含めたお客さま本位の活動全般を定量的に評価する制度を導入し、社員の成長度合いを見える化・評価して成長を促進しながら、お客さまサービスの向上に取り組んでまいりました。この制度をさらに発展させ、かんぽ生命保険の各拠点の活動全般と成長度合いも定量的に見える化・評価することで、社員と組織双方の成長を一層推進してまいりました。

持続的な「強い会社」へ向けた取組みについては、保険金等の確実なお支払いのためALM※1を基本としつつ、安定的な順ざやの確保を目指し、リスク許容度の範囲で収益追求資産への投資を継続しております。また、大和証券グループや三井物産株式会社との提携を通じて、資産運用の態勢・人材ポートフォリオの高度化に取り組んでまいりました。加えて、新たに、新興国市場に特化した英国の大手資産運用会社であるAshmore Groupとの提携を決定しました。このほか、収益源の多様化に向けて、提携関係の発展や新たな成長機会の創出に取り組んでおります。世界有数の資産運用会社であるKKR & Co.Inc、及びGlobal Atlanticとの戦略的提携契約を活用した海外保険市場からの収益獲得や、前述の大和証券グループや三井物産株式会社との提携を通じて、アセットマネジメント事業からの収益獲得にも取り組んでまいりました。また、2026年3月には、Ashmore Groupとの提携に加えて、保険見直し本舗グループへの出資を決定しました。

資本効率を意識した経営については、ERM※2に基づき、ESR※3等の財務の健全性を安定的に確保しつつ、資本収益性を向上させ、修正利益を原資とした安定的な配当や自己株式取得等の安定的な株主還元を図ることで、持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいりました。また、これらに向けて、資本コストや株価を意識した経営に取り組むことで、市場評価の改善に取り組んでまいりました。

  • ※1 ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。
  • ※2 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。
  • ※3 ESRとは、Economic Solvency Ratioの略語で、財務健全性指標の一つである「経済価値ベースのソルベンシー比率」のことです。

以上の結果、当年度、当社連結の生命保険業の経常収益は5兆6,255億円(前期比8.74%減)、経常利益は2,717億円(前期比60.04%増)となりました。

対処すべき課題

当社グループは、人口減少やデジタル化の進展など、今後10~15年にわたる社会・経済環境の大きな変化を見据えた上で、当社グループに大きな影響を与える課題の解決に向けて、今後3年間に取り組むべき主要戦略をまとめた2026年度から2028年度を計画期間とする新たな中期経営計画「JP プラン 2028」(以下「JP プラン 2028」といいます。)を2026年5月に公表しました。

「JP プラン 2028」では、人口減少や高齢化の加速、地方での過疎化、そしてデジタル化やAIなどの技術革新による社会や経済の在り方そのものが大きく変わりつつあるなか、こうした長期的な変化を踏まえ、当社グループが長期的に目指す方向性を示しました。これまでの共創プラットフォームを「総合物流」「総合金融」「生活サポート」という3つのプラットフォーム機能に深化させることに加え、不動産事業及び各グループ横断的サービスの提供を通じて今まで以上の「日本郵政グループ」の魅力と価値を生み出すことを目指します。財務面では、ROE(株主資本ベース)について、2028年度に5%~7%超を目指します。なお、「JP プラン 2028」については、2027年度に郵便料金改定が実施された場合を見据え、一定の幅をもって経営目標を設定しております。

「JP プラン 2028」の3年間は、長期的に目指す姿である「3つのプラットフォームの深化と不動産事業による価値創出」に向けたステップとして位置づけております。郵便物数や窓口来客数の減少等、グループの直面する課題に鑑み、「ユニバーサルサービスの持続的提供に向けた事業構造の見直し」、「成長領域での利益成長による企業価値向上」及び「グループ経営基盤の強化」を重点戦略としております。

「ユニバーサルサービスの持続的な提供に向けた事業構造の見直し」については、郵便・物流事業において、郵便物数が減少するなかで、グループの使命である郵便サービスを持続的に提供するため、集配拠点の集約等による業務効率化や生産性向上による要員配置の最適化を進め、徹底したコスト削減と収益向上の取組みを通じて損益改善を図ります。そのうえで、ニーズやコスト等を踏まえて各種郵便サービスの料金の見直しを検討し、また、現在、法令で求められているサービス水準の見直しを要望してまいります。また、郵便局窓口事業において、人口減少や過疎化の進展により、地域事情は多様化し、郵便局窓口の社員数減少が予測されるなか、窓口営業時間の弾力化による柔軟な運営体制の構築等により生産性向上を進めます。また、地域のインフラ維持機能やお客さまの暮らしを支えるサービスを提供することで、地域の生活を支える生活サポート拠点としての機能を発揮することを目指します。

「成長領域での利益成長による企業価値向上」については、金融、不動産、総合物流による利益拡大を進めます。金融事業においては、若年層~中高年層に向けた商品ラインアップ拡充や、リモートとデジタルを活かしたお客さま接点の変革により、多様な年代のお客さまの潜在的ニーズに対応します。不動産事業においては、将来的に総合デベロッパーへの転換を目指します。そのステップとして、「JP プラン 2028」期間においては、グループ保有不動産の開発による賃貸事業等のストックビジネスを強化するとともに、継続的な分譲マンション事業や、用地仕入れ、開発、売却により利益を獲得する回転型事業等のフロービジネスへ取り組むとともに、不動産投資顧問会社の設立や私募ファンドの運用等によるフィービジネスなども取り組むことで事業領域を拡大させてまいります。物流事業においては、当社グループの強みであるラストワンマイルに加えて、M&Aや資本業務提携等を活用し、国際物流・国内物流の全てを一体で事業運営できる総合物流企業を目指し、あらゆるお客さまの要望に応えられる利便性の高い物流サービスを提供してまいります。

「グループ経営基盤の強化」については、AIやデジタル技術の活用を推進し、お客さまの体験価値や業務における社員の体験価値を高めるグループDXの取組みを推進してまいります。サステナビリティ経営の推進に関して、環境問題への取組みについては、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、輸送・集配車両や郵便局の電力使用からの排出量削減に重点を置き、取り組んでまいります。人的資本戦略については、「事業環境の変化や成長戦略に応じた人材ポートフォリオの構築」と「社員一人ひとりの可能性の最大限の引き出し」を推進してまいります。

ガバナンス体制を強化する取組みについては、各郵便局の実態を的確に把握し、各局に寄り添って法令等のルールの浸透を支援する新組織を設置することにより、ガバナンスを抜本的に強化するとともに、お客さまが郵便局を信頼・安心して利用していただける環境を構築してまいります。

そして、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保については、交付金・拠出金制度も活用しつつ、その責務を果たし、地域社会に貢献するとともに、郵便局ネットワークの一層の活用・維持による安定的なサービスの提供等を図るため、グループ各社の経営の基本方針を策定し、その実施に努めてまいります。

ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式については、2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、郵政民営化法の趣旨に沿って、所要の準備を行ってまいります。

各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。

郵便・物流事業

郵便・物流事業については、利用ニーズの喚起や利便性向上による郵便物の利用拡大に向けた取組みを強化し、郵便物数の減少を可能な限り食い止めます。年賀郵便物については、新たな魅力的な商材の投入、デジタル関連サービスの展開のほか、年賀葉書の価値を感じていただけるようなプロモーションをお客さまに合わせて展開すること等により、幅広い属性のお客さまにご利用いただけるよう、利用拡大に向けた取組みを強化してまいります。これに加え、toB・toCの物流を一体で運営できる総合物流企業へ成長すべく、子会社であるトナミHDや資本業務提携を結んだロジスティードHD等と連携しながら、資産の相互利活用や業務の共同化等、ラストワンマイルを含めてシナジーを発揮し、国内外の物流サプライチェーン網の確立に取り組んでまいります。

ラストワンマイル機能の強化・効率化に向けては、集配拠点の集約等による集配ネットワークの効率化を進めるとともに、省力化投資を行いながら、要員配置の最適化等による徹底したコスト削減を進めてまいります。加えて、差出・受取利便性の抜本的改善によるサービス品質の向上や顧客価値向上に向けた柔軟な価格体系の構築にも取り組むほか、越境EC分野やフリマアプリ市場も含め、成長するEC市場の荷物を確実に取り込み、荷物分野の収益拡大を図ってまいります。

また、2025年7月の情報通信審議会において、「郵便事業を取り巻く経営環境等の変化を踏まえた郵便料金に係る制度の在り方」に係る答申が出されており、郵便料金について、日本郵便の発意に基づく上限料金の設定等の手続きを行う制度の導入が検討されているほか、持続可能な郵便事業の在り方について検討を行うことが望ましい旨が表明されているところ、前述の郵便物の利用拡大に向けた取組みや、機械化による業務効率化等を進めるとともに、こうした議論の状況を注視し、必要な対応を行ってまいります。

このほか、物流の「2024年問題」は、年々深刻化していく構造的な問題であり、日本郵便では、引き続き、荷主・運送事業者双方の立場から、物流サービスの持続可能性を確保しつつ、お客さまサービスの向上に継続的に取り組んでまいります。

あわせて、内閣官房及び公正取引委員会により示されている「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」にも沿った形で、協力会社の皆さまとのパートナーシップ構築に向けた取組みを継続し、価格転嫁・取引適正化を進めてまいります。

なお、点呼業務不備事案については、2026年度においても確実に点呼を行うとともに、ご利用いただいているお客さまにご迷惑をおかけすることがないよう、必要な手段を適切に講じ、物流サービスを確実かつ不断に提供してまいります。

郵便局窓口事業

郵便局窓口事業については、総合的なコンサルティングサービスの原点に立ち返り、お客さまのニーズに合った商品をご利用いただく営業を徹底するなど、お客さま本位の営業活動の実践を進めてまいります。

また、人口減少や高齢化、お客さまニーズの多様化等が進んでおり、社員数の減少など内部環境も厳しくなっています。そのような状況下でも郵便局を持続的に運営していくために、徹底的なコスト削減と収益拡大を図りつつ、郵便局が地域の生活サポート拠点となれるよう取組みを進めてまいります。具体的には、経費の一層の削減や窓口営業時間の弾力化による柔軟な運営体制の構築等に取り組んでまいります。あわせて、地方公共団体受託事務に加え、地域ニーズに応じた買い物支援や医療などのサービスを拡大する等の取組みも進めてまいります。

このほか、非公開金融情報の不適切な利用事案及び一時払終身保険等の販売に係る認可取得前勧誘事案に係る再発防止策を継続してまいります。

国際物流事業

トール社を通じて、ロジスティクス事業においては、アジアにおける倉庫面積の拡大や、業績が堅調な小売・消費財、政府系物流部門に注力し、またフォワーディング事業においては、業務プロセスの簡素化等による収益性の改善に取り組むほか、全社的な支出抑制及び組織構造の簡素化等によるコスト削減にも、引き続き取り組んでまいります。

また、JPロジスティクス等、当社グループ内企業との連携強化にも、引き続き取り組んでまいります。

加えて、国際物流・国内物流の全てを一体で事業運営できる総合物流企業を目指す方針のもと、国際物流業務においても、更なる付加価値の向上に取り組んでまいります。

不動産事業

日本郵便及び日本郵政不動産において、不動産事業が収益の柱の一つとなるよう、引き続き、JPタワー等のオフィス、商業施設をはじめ、住宅、保育所及び高齢者施設の賃貸事業を、住宅については分譲事業も行ってまいります。

具体的には、グループ保有不動産の有効活用や新たな収益機会の拡大の観点から、建築費や収益物件価格が高騰している状況下、適切なタイミングで開発や取得の計画を策定・実行してまいります。

また、稼働中の物件については、収益及び資産価値の維持向上に向けて、共同事業者等との連携や外部委託を適切に活用しながら、良質かつ効率的な運営に取り組んでまいります。

銀行業

ゆうちょ銀行をとりまく経営環境は、キャッシュレス技術や生成AI等に代表される社会のデジタル化進展、少子・超高齢化に代表される人口動態の変化や金利ある世界への転換等、目まぐるしい変化を続けており、その変化は今後も加速していくことが想定されます。一方で、前中期経営計画期間中における当社による2度のゆうちょ銀行株式の売出しにより、同行の民営化プロセスは大きく進展し、ビジネス展開の柔軟性を高めているところです。このような状況のなか、ゆうちょ銀行の企業価値を一層向上させるため、15年後にありたい姿として新たに「中長期ビジョン」を策定しました。そして、「中長期ビジョン」実現に向けた第一歩として、新中期経営計画を策定しました。新中期経営計画においては、4つの事業戦略の推進を通じ、2つのミッションの達成に向けて取り組んでまいります。

① デジタルペイメント事業戦略

リテールビジネスで推進してきた「安心・安全・便利」なサービス提供に、ポイント経済圏との連携等を通じた「お得さ」を加え、通帳アプリを起点に、お客さまによるゆうちょ銀行口座の日常使いを促進します。また、通帳アプリ等を通じて集積される金融取引データ等を基に、お客さま起点のデジタルマーケティング・広告配信を実施し、LTV※1とお客さまの体験価値を向上します。さらに、様々なパートナー企業との提携により、トークン化預金※2「ゆうちょDCJPY」を活用した安全・即時の資金決済の実現等、新たな金融サービスの創出に取り組んでまいります。

② コンサルティング事業戦略

総合金融プラットフォーマーとして、全世代に伴走する金融コンサルティングを推進します。具体的には、パートナー企業との連携を通じてお客さまの多様な金融ニーズに応える商品・サービスのラインアップを拡充し、それらをリアル・デジタル・リモートと複線化したサービス提供チャネルの中から最適なチャネルを通じて全国・全世代のお客さまに提供します。特にデジタルチャネルにおいては、スマートフォン等でいつでも手軽に資産形成等の相談ができる対話型AIサービス「ゆうちょAIコンシェルジュ(仮称)」を導入し、お客さま一人ひとりのニーズ等を踏まえた提案を通じて、顧客体験価値の向上を目指します。

③ 市場運用・アセットマネジメント事業戦略

国内金利上昇を捉え、日本国債等の円金利資産の再構築を進めるとともに、外国証券等のリスク性資産と合わせた運用ポートフォリオ全体の最適化により、リスク対比リターンのさらなる向上を追求します。また、新設子会社のゆうちょアセットマネジメント株式会社を中核に、特色あるアセットマネジメントビジネスに挑戦するとともに、海外アセットマネジメント会社をはじめとする新たなパートナー企業との提携深化も目指します。

④ 地域・企業ソリューション事業戦略

子会社のゆうちょキャピタルパートナーズ株式会社を中核とする地域プライベートエクイティ投資基盤を構築し、パートナーとなるファンド運営会社との連携強化も通じ、地域活性化をサポートする投資実績を着実に積み上げます。また、地域金融法人等とのリレーションシップ・マネジメント強化や地域企業への決済ソリューション提供等を一層強化し、Σビジネスをレベルアップした地域・企業ソリューションビジネスを推進してまいります。

⑤ 人的資本経営・企業風土改革

4つの事業戦略と連動した人材の採用、配置、育成及び自律的キャリア形成に資する機会の提供に加え、女性活躍に向けたキャリアサポート充実や社員の様々な知識・経験等の社内共有等を通じ、多種多様なバックグラウンドを有する人材が活躍できる環境整備を推進します。

また、お客さまと社員の「声」を直接経営に活かすサイクルとして、社員参画型の「みんなの声委員会 -ECHO-」を一層強化し、全社員が一丸となって企業価値向上に取り組む組織風土を醸成します。

⑥ 経営基盤の高度化

テクノロジーの進展や今後の人口動態等の環境変化を踏まえ、生成AIの有効な活用に加え、ⅠT投資を積極化し、抜本的な業務効率化を推進します。また、非公開金融情報の不適切な利用事案等を受けた内部管理態勢の強化に加え、サイバーセキュリティ、マネー・ローンダリング対策、市場運用リスク管理等、銀行業務の根幹を支える取組みを一層強化します。

  • ※1 LTVとは、Life Time Valueの略語であり、顧客が生涯に亘り企業にもたらす利益、価値のことです。
  • ※2 トークン化預金とは、銀行預金にブロックチェーンなどの技術を活用し、預金をデジタル上で取り扱えるようにしたものです。

生命保険業

かんぽ生命保険では、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」という経営理念のもと、かんぽ生命保険がお客さまに届ける価値を明確にした上で、2026年5月、新中期経営計画を公表しました。新中期経営計画では、お客さまの人生や社会に必要不可欠な存在であり続けたいという想いを込めて、2040年に目指す姿として、「新たな価値を生み出し続け、安心を全国に届けるエッセンシャル・カンパニー」となることを掲げております。これに向け、新中期経営計画期間を「成長・挑戦フェーズ」と位置づけ、3つの重要戦略とそれを支える経営基盤の確立に取り組むことで、日本全国のお客さまとのつながりを拡大・深化させ、安心を届けてまいります。

① 「かんぽ価値提供モデル」の確立

当社グループと接点のあるお客さまは多数存在しており、大きな潜在的保険ニーズを抱えております。こうしたニーズに十分に応えるべく、かんぽ生命保険ではAI・デジタル、お客さまデータに基づくマーケティング手法を駆使し、質と量を伴った、お客さま本位の業務モデルである「かんぽ価値提供モデル」を確立してまいります。これにより、リモート、デジタルとの連携によりリアルチャネルの価値を向上し、お客さまに合った「分かりやすい商品」と「便利で手厚いサービス」を提供することで、かんぽ生命保険ならではの安心を届けてまいります。

② 運用環境の変化を捉えた資産運用と社会課題の解決

国内金利上昇等の運用環境の好転を捉え、運用関係損益の持続的な増加を目指し、ポートフォリオの再構築を推進してまいります。あわせて、インパクト投資の推進や産学連携により、資産運用を通じた社会課題の解決や次世代産業構造の柱となる企業の発掘にも貢献してまいります。

③ みらいへの挑戦

経営基盤を強化しながら、既存の提携関係の強化等に取り組むとともに、かんぽ生命保険の事業と親和性がありシナジー効果と利益貢献が見込める新たな領域を探索することで、さらなる収益獲得に向けたインオーガニック成長等による提供価値拡大に挑戦してまいります。加えて、AI・デジタル等を駆使し、サービスの変革と業務の再構築に取り組むことで、事業変革に挑戦してまいります。

④ 経営基盤の確立

3つの重要戦略を支えるため、「人的資本経営」、「ガバナンスの強化」、「ステークホルダーとの対話」、「財務・資本政策」といった経営基盤の確立に取り組んでまいります。「人的資本経営」では、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境を構築し、社員の成長と企業価値の向上につなげます。「ガバナンスの強化」では、保険業法等の改正や、社会環境等の変化を踏まえた各種課題に対応します。「ステークホルダーとの対話」では、幅広いステークホルダーと相互の信頼関係を深めながら、持続的な企業価値の向上と社会への貢献を実現します。「財務・資本政策」では、ERMに基づく資本管理と利益創出、株主還元の好循環の実現に取り組みます。

当社グループは、これらの取組みにおいて、着実な成果をお示しすることにより、株主・投資家をはじめとする様々なステークホルダーの皆さまのご期待にお応えしてまいりたいと考えております。

ステークホルダーの皆さまには、何卒今後ともなお一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(サステナビリティに関する取組み)
イ サステナビリティ経営に対する考え方

当社グループは、「日本郵政グループサステナビリティ基本方針」において、当社グループの事業活動を通じてサステナビリティを巡る社会課題の解決に貢献することにより、グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の向上に努めることを掲げています。

当社グループは、2023年に特定したサステナビリティに関する重要課題の6つの領域を、「JP プラン 2028」において、経営の最重要課題(マテリアリティ)に統合し、事業活動を通じて、「社会と地域の発展」と「ステークホルダーの幸せの実現」の2つの社会的価値を創造し、グループ経営理念の実現を目指します。

ロ サステナビリティに関する重要課題6つの領域

当社グループは、サステナビリティに関して取り組むべき重要課題を明らかにするために、SDGs、ISO26000、GRIスタンダード等を参考にして課題を洗い出し、「サステナビリティ課題リスト」を作成しました。このリストに基づき、当社の関係者へのアンケートを行うとともに、機関投資家等の意見や全国の市町村、地域における有識者の声等を参考として、「企業価値への影響」と「ステークホルダーにとっての重要性・期待」の2軸で評価し、特に重要な課題を特定しております。

これらの課題をさらにグルーピングし、経営理念や中期経営計画との整合性を確認した上で、6つの領域と、それぞれの取組みの方向性を整理しております。「JP ビジョン2025(プラス)」においては、以下の取組みの方向性に沿って、具体的な施策、指標及び目標を設定し、その実現に向け、取り組んでおります。

2025年度の取組み実績については以下のページよりご確認いただけます。

https://www.japanpost.jp/sustainability/sustainability_management/materiality/

ハ 自社と地域の温室効果ガス排出量の削減を目指して

当社グループは、「JP ビジョン2025(プラス)」で2050年カーボンニュートラルを目指し、2030年度の温室効果ガス排出量46%削減(2019年度比)を目標としています(Scope1及びScope2を対象としております)。グループの温室効果ガス排出量の9割超は日本郵便と郵便・物流子会社が占めており、輸送・集配車両や郵便局の電力使用からの排出量削減に重点を置き、取り組んでいます。

当社グループは地域の排出量削減にも取り組み、郵便局が地域のハブとしての役割を発揮するとともに、サプライチェーン全体での削減を進めるよう取り組んでいます。

二 人的資本に関する取組み

当社グループにおける人的資本経営の実践に向け、経営戦略と連動した人事戦略を実現するための基本的な方向性を位置づけるものとして「グループ人事方針」を策定しており、本方針に基づき、社員の「誇りとやりがい」を高め、社員の幸せと生産性向上を目指します。

そのために、「異なる互いを認め合う」環境を基盤として整備すること、個々の社員の「能力を高める」こと、そして、個々の社員が「強みを発揮する」ことが必要と考え、「JP ビジョン2025(プラス)」においても各要素について具体的な施策、指標及び目標を設定し、人的資本経営を推進するとともに、その実現に努めています。

剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがあるときの権限の行使に関する方針

当社は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続して安定的に行うことを基本方針としております。

剰余金の配当につきましては、内部留保の充実に留意しつつ、資本効率を意識し、着実な株主への利益還元を実現することを目指してまいります。

当社の剰余金の配当の決定機関は、経営の機動的な運営を確保するため、定款において取締役会と定めております。また、毎年3月31日、9月30日を基準日として、剰余金の配当をすることができる旨を定めております。

当事業年度の配当につきましては、業績等を総合的に判断した結果、普通株式の年間配当は、1株当たり50円(うち中間配当25円)といたします。

内部留保資金につきましては、企業価値の向上を目指すべく、成長機会獲得のための投資や資本効率を意識した資本政策などに活用してまいります。

なお、日本郵政株式会社法第11条に基づき、当社の剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)については、総務大臣の認可を受けなければその効力を生じません。

連結計算書類