事業報告(2025年4月1日から2026年3月31日まで)
企業集団の現況に関する事項
事業の経過及びその成果
当連結会計年度における世界経済は、米国の通商政策や各国の金融政策の動向、中国における不動産不振や消費の伸び悩み、ウクライナ情勢の長期化に加え、中東情勢の緊迫化などにより、先行き不透明な状況が続きました。日本経済におきましては、賃上げの進展等による個人消費の下支えに加え、設備投資や雇用環境の持ち直しが見られるなど、全体として底堅く推移しました。一方で、エネルギー・資材価格の高止まり、人手不足、為替相場の変動、米国における関税率引き上げの動きに伴う先行き不透明感の高まりなど、内外の事業環境には不確実性が残りました。
当社グループでは、2022年3月に日工グループの2030年のありたい姿を示した2030年ビジョン「高い技術力に裏打ちされたプラント設備・環境製品のトップメーカー且つ、運用・保全サービスによる顧客の経営パートナー」を公表し、その実現に向けた取り組みを進めております。
また、2025年度を初年度とする新たな中期経営計画においては、2030年ビジョンの実現に向け、収益力の向上、事業ポートフォリオの強化、資本効率の改善を重点課題として位置付け、主力事業の競争力強化、メンテナンスサービスの拡充、環境負荷低減に資する製品・サービスの開発、海外事業の収益改善、人的資本及び設備への投資等に取り組んでいるところであります。
このような状況下、主力のアスファルトプラント関連事業及びコンクリートプラント関連事業においては、引き続きメンテナンスサービスを中心に堅調に推移しました。新規受注につきましても、アスファルトプラントにおいて、省エネ支援制度を活用した旺盛な更新需要に加え、環境負荷低減・省エネルギーに資する設備需要も底堅く推移しており、受注残高も好調に積み上がっております。
売上高及び損益につきましては、上期に一部案件の売上計上時期に遅れが生じたものの、下期にかけて挽回を進めました。海外におきましては、中国では景気低迷や価格競争の影響が継続しているものの、採算性を重視した営業活動に取り組み、タイ及びASEAN地域では、市場環境の変化や中国製品との競争激化を踏まえ、受注確保、在庫販売、生産体制の見直し等に注力しました。
以上の結果、当連結会計年度は、連結売上高493億71百万円(前期比0.4%増)、連結営業利益30億99百万円(前期比12.0%増)、連結経常利益34億25百万円(前期比11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億36百万円(前期比26.3%増)となりました。
事業の経過及びその成果
部門別の概況は以下のとおりであります。
(単位:)
アスファルトプラント関連事業の売上高は前期比0.8%減の193億27百万円となりました。受注残高は大幅に増加し、前期比91.2%増の172億22百万円となっています。
(単位:)
コンクリートプラント関連事業の売上高は前期比0.7%増の143億61百万円となりました。受注残高も、前期比20.0%増の114億34百万円となっています。
(単位:)
環境及び搬送関連事業の売上高は前期比34.3%増の43億71百万円となりました。受注残高も、前期比2.1%増の12億86百万円となっています。
(単位:)
破砕機関連事業の売上高は前期比8.5%増の24億48百万円となりました。受注残高は、前期比3.5%減の3億61百万円となっています。
(単位:)
製造請負関連事業の売上高は前期比30.5%減の33億39百万円となりました。受注残高も、前期比7.0%減の18億24百万円となっています。
(単位:)
その他事業の売上高は前期比8.3%増の55億22百万円となりました。受注残高も、前期比86.8%増の12億97百万円となっています。
対処すべき課題
〇アスファルトプラント事業の収益性向上
道路舗装業界では、2022年度をピークに原材料費及びエネルギーコストは緩やかな下落基調にあるものの、適正売価レンジには至っておらず、依然として業界全体の課題となっております。このような環境のもと、当社は省エネ補助金の活用とあわせ、生産効率に優れたユニット型の新型アスファルトプラント「VPシリーズ」の販売比率を高めることで、収益性の改善を図ってまいります。
さらに、GX対応として中温化合材の普及に伴う関連設備の開発・市場投入を推進するとともに、水素バーナやバイオマス燃料バーナなど脱炭素関連製品の開発・市場投入を進め、中長期的な収益性向上に取り組んでまいります。
〇コンクリートプラント事業の国内シェア拡大
生コン業界は出荷量が減少する一方で、電力・原材料・輸送コストの上昇に対応するため、経済産業省および国土交通省、生コン議員連盟の支援のもと、適正な売価反映が進展しております。その結果、物価資料の掲載価格への反映も進み、足元では良好な収益性が維持されており、今後も一定の設備投資需要が見込まれます。
当社はコンクリートプラントのトップメーカーとしてさらなるシェア拡大を図るべく、生コン工場のトータル管理提案、プラント支援センターの活用、モバイルプラントの拡販、ならびにプレキャスト向け高機能製品の開発を通じて差別化を強化してまいります。
また、経済産業省およびNEDOによる「グリーンイノベーション基金事業/CO₂を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」に引き続き積極的に参画してまいります。
〇メンテナンス事業の安全対策
当社は年間12,000件を超えるプラント工事に携わっており、安全対策を最重要課題と位置付けております。労働災害の撲滅に向け、「プラント安全対策プロジェクト」を推進し、安全対策マニュアルや注意喚起動画の整備・更新に加え、墜落・転落、巻き込まれ、感電といったリスクを再現したVR災害疑似体感装置を活用した実践的な安全教育を継続しております。
さらに、注意喚起動画の一般公開やVR装置の積極活用を通じて、当社社員のみならず工事協力会社やお客様にも安全衛生意識の向上を働きかけており、信頼性のさらなる向上と労働災害の撲滅に努めてまいります。
○海外市場の深耕
中国アスファルトプラント市場では固定資産投資の回復への期待がある一方、先行きは不透明であり、道路工事は新設から維持・補修中心へとシフトしております。再生材の使用比率も都市部を中心に上昇しており、リサイクル設備の優劣がメーカー選定に大きく影響する状況となっております。当社は新型プラント「NHRシリーズ」および大型リサイクル設備により差別化を図っております。
ASEAN市場では、タイ市場において、需要拡大のペースが想定を下回り、価格競争が激化しておりますが、当社はタイに製造・販売拠点を有する唯一のメーカーとして、サービス力を軸に競争優位性を確立し、販売は回復基調にあります。2026年度には、業務効率化および迅速な意思決定を目的として、現地法人2社(販売会社・製造会社)の統合を実施いたします。今後もタイにおけるトップメーカーとしての確固たる地位確立を目指し、ASEAN市場の持続的成長を取り込みながら、性能・サービス両面での差別化と新機種のコスト競争力強化を進めてまいります。
〇新規発展領域の拡充
日本国内では砕石プラントや各種廃材処理プラントの老朽化が進んでおり、更新需要の高まりを背景に自走式破砕機の需要が拡大しております。これを受け、モバイルプラント事業では在庫管理体制の整備、人員強化、販促活動の強化を進めた結果、累計納入台数は240台に達し、納入後のメンテナンス需要も着実に拡大しております。
また、新製品である自走式土質改良機をラインナップに加え、販促活動を一層強化することで、さらなるシェア拡大とサービス品質向上を図ってまいります。
製造請負事業については、M&Aにより2022年に宇部興機株式会社、2023年に株式会社松田機工をグループに迎え、相互連携を強化しております。本社工場における製造請負は20年以上の実績を有し、2024年度には過去最高水準の売上を達成しました。今後も3社連携を一層強化し、高収益事業として成長させてまいります。
さらに、2025年10月に発足したエンジニアリング営業部を起点に、「混練・加熱・搬送・制御」のコア技術に「破砕・計測」などの新領域を組み合わせ、新市場への展開を加速いたします。まずは建設発生土の流動化処理装置や各種残渣・汚泥処理装置を軸に事業基盤を構築し、中長期的には製鉄・電力分野など大型プラント領域への展開を進め、新たな収益の柱の確立を目指してまいります。
〇成長投資と株主還元
2025年度からスタートした新たな中期経営計画(2025-2027年度)は「力強いビジネス拡大フェーズ」と位置付け、収益力の向上を主軸に取り組んでいます。
中期経営計画期間において、収益力向上のためのグループ社を含む設備投資60億円、成長のためのM&A投資に50億円を予定しており、2027年度にはROE8.0%の達成、株主資本コストを大きく上回る収益力を確立し時価総額400億円の実現を目指します。
また、2030年ビジョン達成に向けて、引き続き積極的な人材採用を図るとともに研修制度の更なる充実により、人財パフォーマンスの最大化を目指します。
株主還元に関しては、配当性向60%以上の継続に加え、2026年度には通期42円、2027年度には通期50円の配当を予定しています。
株主のみなさまにおかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。